人事労務の基礎知識

知らなかったは通用しない!経営者が知っておきたい「サービス残業」

社会的な問題にもなっているサービス残業。社内でしっかりと対策はできているでしょうか。サービス残業という意識がなくても、知らず知らずのうちにサービス残業が行われているかもしれません。サービス残業の定義とサービス残業による経営面でのリスクやデメリットを解説します。

サービス残業とは

サービス残業は、賃金不払残業とも言われるもので、タイムカードや勤怠管理外で残業をすることです。
つまり、タイムカードや出勤簿は適正な労働時間になっていても、実際は報告以外の時間も仕事をしているという状態のことを指します。

社会問題になってきたサービス残業

近年耳にすることも多くなってきた、ブラック企業。劣悪な環境で従業員を雇う企業のことを指しますが、そんな劣悪な環境の中のひとつとしてあげられるのが、残業代の未払い、サービス残業です。

経営が不安定になりやすい中小企業に限らず、大企業においても、サービス残業による過労死などが問題視されています。

サービス残業の現状とは

厚生労働省からは、毎年、「監督指導による賃金不払残業の是正結果」つまり、サービス残業の是正を行った件数や額について報告が行われています。

たとえば、平成27年度の報告を確認してみると、賃金不払残業の是正が行われた企業は1,348です。対象労働者や支払われた割増賃金については前年の平成26年度よりも減少しているものの、是正企業の数は増えています。

調査によると1年間で対象となった労働者数は約9万人、日本の人口が約1億3,000万人だとすると、約1万人に6人が1年間で対象となっているのです。

各年度の「監督指導による賃金不払残業の是正結果」は、厚生労働省のページから確認できます。

サービス残業が発生してしまう理由

サービス残業が起きてしまう理由のひとつとして、企業側が費用削減を目的にサービス残業を強要するという場合もありますが、日本の現状を見るともっと複雑です。

上司側の「時間内に終わらなかった仕事は残業してでもやるのが当たり前」、部下側の「自分の能力が低いから残業しなくてはならない」という従業員側の意識の問題もあります。
もちろん、企業側が賃金未払いで残業を強要することは違法な行為ですが、サービス残業が当たり前にならないよう、会社側で社員の意識改革を率先して行うことも大切です。

実はサービス残業になっているケース

使用者がサービス残業になることを知らなかったなど、故意でなかったにしても、実はサービス残業になってしまっているというケースがあります。

残業時間の過少報告の強要

実際の勤務時間に対して、会社または、上司が少なく報告するように強要することは、もちろんサービス残業にあたります。

早朝の勤務

日本の場合、慣習的に所定の勤務時間よりも早めに出社して仕事をはじめるということは少なくありません。特に新人の場合は、上司より早めに出社しなければという思いで出社する方も少なくないでしょう。

残業と言うと、勤務時間が終わってからの残りの仕事というイメージもあるかもしれませんが、所定の出社時刻よりも早めに仕事に取り組んだ時間分は本来残業にあたる労働時間です。

残業時間の切り捨てや過少報告

たとえ会社や上司による残業時間の過少報告の強要がなかったとしても、申請していない働いた時間があるということに変わりはありません。
「上司に悪い」「自分の仕事が遅いせいだ」など従業員の思うところもあるかもしれませんが、従業員側の判断による実際よりも少ない勤務報告はサービス残業にあたります。

管理職という名ばかりの役職

法律上、会社は管理監督者には残業代を支払わなくても良いことになっています。そこで問題になってきているのが、実際には法律上で定めた管理監督責任のない、名ばかり管理職。従業員に名前だけの役職を与えて、残業代を支払わないという問題です。
故意である場合もありますが、職務上管理職ではないのに管理職という名前を与えて残業代を支払わないのは、サービス残業に該当する可能性があります。

みなし固定残業

みなし固定残業とは、残業時間30時間など従業員の残業時間をあらかじめ見越して、固定の残業代を給与として支給することです。みなし固定残業の時間よりも残業時間が短い場合は問題ありません。

しかし、サービス残業の問題に発生するのは、みなし残業時間よりも実際の残業時間の方が長い場合です。
実際の残業時間の方が長い場合は、企業は超過した分を残業代として支払う義務があります。
しかし、実際に超過分が払われていないことも少なくありません。

「コスト削減のため」「法令を知らなかった」ではすまされないサービス残業

「コスト削減のため」、「社員の実態を知らなかった」、「そもそも法律を知らなかった」など、さまざまな理由でサービス残業が社会からなくならないのが現状です。
しかし、知らなかったからや安易な気持ちで強要するサービス残業は法律的に許されない行為だということを知っておく必要があります。

そもそもサービス残業は労働基準法で禁止されている行為

そもそもの前提として、サービス残業は労働基準法によって禁止されている行為です。
さらに、労働基準法では、法定外の時間外労働があった場合や法定休日出勤があった場合などについては割増賃金を支払うように定めています。サービス残業を行うというのは、法律に違反する行為になるのです。

サービス残業による罰則とは

是正勧告を受けた企業は、是正分の給与の支払いを行っています。サービス残業により、労働基準監督署より是正勧告を受けた場合、支払われていなかった残業代分を支払わなければならないというのがひとつです。

しかし、悪質だと判断された場合など、場合によっては付加金と言ってサービス残業代を2倍支払ったり、刑事上の問題に発展したりする可能性も否めません。どこの会社もやっているから、ばれないから大丈夫と思わずに、サービス残業が分かったら早めに改善する必要があるというのは言うまでもありません。

企業発展のメリットにならない

刑事上の問題に発展した場合はもちろんですが、サービス残業はそもそも企業が発展するメリットにはなりません。
確かに、費用の削減など一時的なメリットはあるかもしれませんが、社員の育成に繋がらない、社員の意欲を阻害して生産性を低下させるなど、長期的に見ると多くのデメリットがあります。

サービス残業をなくすために

サービス残業の問題は、複数の問題が絡み合っていることが少なくないことから、企業の上層部だけでなく、従業員1人1人も意識できるように社内環境を改善していく必要があります。

サービス残業解消のための事例としては、人事部による抜き打ちの残業時間確認、システムの改善による正確な労働時間の記録と残業代の計算、経営陣による社内報での呼びかけなどがあるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

サービス残業は、従業員にとってデメリットがあるだけでなく、会社にとっても将来的に見ると損失になります。そもそもサービス残業は、労働基準法に違反している行為です。もし、社内でサービス残業が行われている場合は、早急な改善が必要です。

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