人事労務の基礎知識

出勤簿とは?書式や保存期間に注意点までまとめて解説

労務管理を行ううえで、事業所は法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)をつけることが労働基準法によって定められています。この法定三帳簿のひとつである「出勤簿」ですが、事業主や労務管理担当者はどんなポイントを理解しておくべきか、ご存知でしょうか?今回は、出勤簿に記載すべき事項や書式、保存義務がある期間について、法的根拠も含めてご紹介していきます。

「出勤簿」の主な特徴

法定三帳簿のひとつである「出勤簿」

出勤簿は、労働基準法の第4章の趣旨に基づき、労働者の適切な労務管理を行う上で、賃金台帳や労働者名簿と同様、法定三帳簿のひとつに位置付けられています。帳簿することによって、従業員の正確な労務管理を行うことが可能であり、法定三帳簿は事業所に常に備え付けが必要です。労働基準法の条文において、出勤簿の作成に関する明確な規定はありませんが、厚生労働省の通達で行なうべき対応が記述されています。

そのため、通達の第4項「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」に従って、事業主は、労働者の始業・終業時刻の確認と記録を実施する必要があります。
詳細は厚生労働省のガイドラインをご確認ください。

出勤簿に記載すべき対象者

出勤簿に含める従業員は、基本的に全員となります。例えば、パートタイム・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、出勤簿に勤務状況を記載します。

ただし、労働基準法第41条第2項に規定されている「管理監督者」に該当する管理職については、必ずしも出勤簿に記載する必要はないとされています。
なぜなら管理監督者は、経営者と同じ立場にあり従業員を管理する人を指し、「自身の判断にて出退勤ができる自由裁量を持ち合わせている」と考えられるためです。

管理監督者は会社の役職名で判断されるのではなく、実際の職務内容や職場における権限、賃金などによって判断されます。
詳細は厚生労働省のガイドラインをご参照ください。

一方で、会社側は、管理監督者を含む従業員全員の健康を確保する義務があります。したがって、健康を害するような過剰な長時間労働を抑制するため、健康管理のみを目的として、管理監督者を出勤簿対象の従業員に含めることは妥当といえるでしょう。

タイムカードと出勤簿の関係

出勤および退社時刻の記録を目的として、タイムカードを導入している会社も多くみられます。ただし、実際には、打刻された時間が、必ずしも正確な出勤・退社時刻を反映しているとは言い切れない場合もあります。

例えば、出社後の打刻をして朝食をとっていたり、終業後に所用を済ませてから退社の打刻をしたり、という可能性もあります。したがって、タイムカードが、実際の労働時間を示す証拠書類として、それだけで出勤簿に代わるものとは言い切れない場合があります。

以上のことから、タイムカードを出勤簿として活用するのであれば、作業日報や残業許可証などの補足資料と照合し、適正に打刻がなされているか、検証作業が必要となります。場合によっては、ICカードやパソコンの利用時間なども合わせて確認すべきでしょう。もし、打刻時間と実際の労働時間に大きな乖離が発見された場合には、打刻時間の修正を行います。

出勤簿に記載すべき事項と使用する書式とは

記載すべき項目の一覧

出勤簿に記載する内容は、労働基準法違反となる可能性を排除するためにも、以下の項目を網羅しなければなりません。

  • 各労働者の出勤日と労働日数(出社・退社時刻を含む)
  • 日別の労働時間数
  • 時間外労働を行った日付と時刻・時間数
  • 休日労働を行った日付と時刻・時間数
  • 22時から翌5時までの深夜労働を行った日付と時刻・時間数

なお、時間外労働の基準と休日労働の基準は下記の通りです。
 
  • 時間外労働とは 「時間外労働」とは、原則1日で8時間もしくは1週間で40時間を超える部分です。
  • 休日労働とは 1週間に1日、もしくは4週間に4日以上が休日として定められていますが、この範囲を超えた労働が「休日労働」となります。

出勤簿の書式例

出勤簿の書式自体は、労働基準法および関係法令にて、手書きや電子媒体などの形式は問われていません。したがって、労務管理や給与計算の担当者が間違いなく作業できるよう、使用しやすいものを選ぶことをおすすめします。

例えば、エクセルを使用して、上述の記載すべき事項をカバーした様式を自社で作成しても構いません。ウェブ検索にて入手可能な無料のテンプレートを使用する会社もあります。なお、比較的従業員数が多い会社の場合は、出退勤の管理システムを導入し、自動的に出勤簿を作成する方法もあります。

Web

出勤簿の法定保存期間と法律違反時に課される罰金とは

出勤簿の保存期間

出勤簿は、労働基準法第109条での「賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。出勤簿の保存期間は3年となります。ここでいう3年間とは、最後に出勤簿が記入された日付から起算して3年となる点に注意が必要です。

仮に、解雇または退職した労働者の出勤簿であっても、会社側は、少なくとも3年間は保存しなければなりません。出勤簿は、労働者名簿や賃金台帳などの労務関係書類と合わせて、労働基準監督署の調査対象となりうる重要な帳簿と位置付けられています。

なお、労働基準法第115条の規定では、退職金の請求権の時効が5年間と定められていることから、退職者分の出勤簿は、最低でも5年間は保存しておくとさらに安心です。

なお、出勤簿のほか労働者名簿や賃金台帳をはじめ、労働や賃金、災害補償などに関する書類は3年間保存する必要があることもあわせて覚えておきましょう。

出勤簿の保存に関する罰金制度

万が一、出勤簿を3年以内に廃棄または紛失してしまった場合、労働基準法第120条に基づき、「30万円以下の罰金」が課される可能性があります。場合によっては、法律違反をしたことが世間一般に知らされ、社会的信頼を損なう可能性も出てきます。

したがって、あらかじめ確実に出勤簿を保存できるよう、慎重に対処しておくことが必要です。特に、出勤簿を電子媒体にて保存する場合には、データの消去や改ざんが行われないよう、セキュリティー対策も万全に講じておくことをおすすめします。

まとめ

出勤簿は、会社および事業主が、労働者に対して適切に給与等の支払いを行うためにも、重要な労務関係資料のひとつです。正確な記入と管理・保存を行い、労働基準監督官から求めがあれば、迅速に対応できるよう、日ごろから備えをしておくことが大切になります。

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