協会けんぽ(全国健康保険協会)とは、中小企業の従業員とその家族を主な対象とする公的医療保険を運営する保険者のことを指します。2008年10月に、それまで国が運営していた政府管掌健康保険を引き継ぐ形で設立され、現在では国内最大規模の健康保険事業を担っています。
本記事では、協会けんぽの概要や加入条件、社会保険やほかの健康保険制度との違い、保険料率、被保険者が利用できる主な制度についてわかりやすく解説します。
社会保険の加入条件については、まずはこちらの記事!
目次
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)とは
- 協会けんぽへの加入条件・対象者
- 協会けんぽに加入するメリット
- 協会けんぽに加入しているか確認する方法
- 協会けんぽと社会保険の違い
- 健康保険組合・国民健康保険・共済組合との違い
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)の保険料と介護保険料
- 健康保険料率(2026年度)
- 介護保険料率(2026年度)
- 子ども・子育て支援金の徴収(2026年4月新設)
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)への加入手続き
- 新規適用届の提出
- マイナ保険証を持たない従業員への対応
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)の被保険者が受けられる制度
- 保険診療の利用
- 健康診断費用の補助
- 高額療養費制度の利用
- 柔道整復師・はり・きゅう・あん摩の保険適用
- 傷病手当金の受給
- 出産育児一時金・出産手当金の受給
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)の任意継続
- 社会保険の手続きや保険料の計算をラクにする方法
- まとめ
- よくある質問
協会けんぽ(全国健康保険協会)とは
協会けんぽとは、中小企業の従業員とその家族を主な対象とする公的医療保険を運営する保険者のことを指します。正式名称を「全国健康保険協会」といい、健康保険法にもとづき国が運営してきた健康保険事業(政府管掌健康保険)を引き継ぐ形で、2008年10月に設立されました。
協会けんぽの主な業務は、健康保険制度の運営および健康診断や保健指導の実施、健康づくり支援などです。加入者が安心して医療を受けられる環境を整えるとともに、企業の健康経営を支援する役割も担っています。
企業は社会保険の適用要件を満たした場合、健康保険への加入手続きが必要になります。中小企業では健康保険組合に加入していないケースが多く、その場合は協会けんぽへ加入するのが一般的です。
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協会けんぽへの加入条件・対象者
協会けんぽに加入するには、まず事業所が健康保険の適用事業所である必要があります。
法人事業所は、役員のみの会社を含めて原則すべてが強制適用事業所となるため、健康保険と厚生年金保険への加入手続きが必要です。個人事業所については、常時5人以上の従業員を雇用している場合に強制適用事業所となります。
また、従業員本人も一定の要件を満たさなければなりません。正社員は原則加入対象となり、パート・アルバイトなどの短時間労働者も以下の条件を満たす場合は加入が必要です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヶ月を超える雇用見込みがある
- 学生ではない(一定の場合を除く)
社会保険の適用拡大により、2024年10月からは従業員数51人以上の企業でも短時間労働者への適用が行われています。対象企業では加入漏れが発生しないよう注意が必要です。
なお、個人事業主本人は原則として協会けんぽに加入できず、国民健康保険に加入することになります。ただし、法人化して役員報酬を受ける形になれば、健康保険・厚生年金保険の加入対象となり、協会けんぽへ加入できる場合があります。
協会けんぽに加入するメリット
協会けんぽは、従業員数や業種にかかわらず加入できるため、中小企業にとって公的医療保険の基盤となる制度です。加入者は医療費負担の軽減だけでなく、健康増進や休業時の所得補償などさまざまな給付・支援を受けられます。
協会けんぽに加入することで得られる具体的なメリットは以下のとおりです。
協会けんぽに加入するメリット
- 健康診断費用の補助:年度末年齢が35歳以上の場合、生活習慣病予防健診などの費用補助を受けられる
- 女性向け検診の補助:一定年齢の女性は子宮がん、乳がんの検査に対する補助を受けられる
- 傷病手当金:病気やケガで働けない期間の所得を補償できる
- 出産関連給付:出産育児一時金や出産手当金を受給できる
- 健康経営支援:健康企業宣言など、従業員の健康づくりを支援する制度を利用できる
協会けんぽに加入しているか確認する方法
自社や従業員が協会けんぽに加入しているかは、資格確認書や健康保険の加入情報で確認できます。マイナ保険証の利用が進んでいる現在でも、加入先の健康保険はマイナポータルで確認できるほか、会社の社会保険関係書類や資格情報のお知らせなどからも確認可能です。
加入先を確認する際は、以下のように保険者名称に注目しましょう。
- 「全国健康保険協会 ○○支部」と記載されている場合:協会けんぽ
- 健康保険組合名が記載されている場合:健康保険組合
- 市区町村名が記載されている場合:国民健康保険
加入状況が不明な場合は、勤務先の担当部署へ確認するほか、協会けんぽの各都道府県支部へ問い合わせることも可能です。
協会けんぽと社会保険の違い
協会けんぽと社会保険は同じではありません。
協会けんぽは中小企業の従業員などが加入する健康保険制度です。一方、社会保険とは健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険などを含む社会保障制度の総称です。協会けんぽは社会保険のうち、「健康保険」を運営する保険者のひとつとして扱われます。
なお企業が社会保険に加入する場合、健康保険は協会けんぽ、年金は厚生年金保険に加入するケースが一般的です。
健康保険組合・国民健康保険・共済組合との違い
健康保険は所属する会社の規模のほか、自営業やフリーランスといった業務形態、公務員など職種によって、加入する制度が異なります。
主な健康保険は以下の4種類です。
| 種類 | 運営元 | 主な被保険者 | 加入人数 |
|---|---|---|---|
| 協会けんぽ | 全国健康保険協会 | 中小企業の従業員など | 約3,920万人 |
| 健康保険組合 | 複数または単体の企業が設立した健康保険組合 | 大企業など民間企業の従業員 | 約2,740万人 |
| 国民健康保険 | 各自治体 | 自営業者やフリーランスなど | 約2,560万人 |
| 共済組合 | 各共済組合 | 公務員や私立学校の職員など | 約950万人 |
協会けんぽの主な加入者は、健康保険組合を設立していない中小企業です。それに対して、健康保険組合は主に常時700人以上の従業員を雇用する規模の会社が組合を設立・運営している健康保険を指します。ただし、複数の会社で健康保険組合を設立する場合、従業員総数が3,000人以上であることが条件になります。
また、自営業者やフリーランスは国民健康保険、公務員や私立学校教職員は共済組合に加入するのが一般的です。
なお、75歳以上は後期高齢者医療制度の対象になるため、上記の健康保険の加入対象には含まれません。
協会けんぽ(全国健康保険協会)の保険料と介護保険料
協会けんぽの保険料は、被保険者が勤務する事業所の所在地ごとに定められた保険料率をもとに計算されます。保険料率は都道府県によって異なり、標準報酬月額や標準賞与額に応じて保険料が決まります。
また、40歳から64歳までの被保険者は健康保険料に加えて介護保険料の負担も必要です。保険料率は毎年見直されるため、最新の料率を確認しておきましょう。
健康保険料率(2026年度)
協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに設定されており、保険料は事業主と従業員で折半して負担します。
保険料率は毎年見直されており、2026年度の料率は2026年3月分(4月納付分)から適用されています。
都道府県別の保険料率は以下のとおりです。
| 2026年度(令和8年度) | |
|---|---|
| 北海道 | 10.28% |
| 青森県 | 9.85% |
| 岩手県 | 9.51% |
| 宮城県 | 10.10% |
| 秋田県 | 10.01% |
| 山形県 | 9.75% |
| 福島県 | 9.50% |
| 茨城県 | 9.52% |
| 栃木県 | 9.82% |
| 群馬県 | 9.68% |
| 埼玉県 | 9.67% |
| 千葉県 | 9.73% |
| 東京都 | 9.85% |
| 神奈川県 | 9.92% |
| 新潟県 | 9.21% |
| 富山県 | 9.59% |
| 石川県 | 9.70% |
| 福井県 | 9.71% |
| 山梨県 | 9.55% |
| 長野県 | 9.63% |
| 岐阜県 | 9.80% |
| 静岡県 | 9.61% |
| 愛知県 | 9.93% |
| 三重県 | 9.77% |
| 滋賀県 | 9.88% |
| 京都府 | 9.89% |
| 大阪府 | 10.13% |
| 兵庫県 | 10.12% |
| 奈良県 | 9.91% |
| 和歌山県 | 10.06% |
| 鳥取県 | 9.86% |
| 島根県 | 9.94% |
| 岡山県 | 10.05% |
| 広島県 | 9.78% |
| 山口県 | 10.15% |
| 徳島県 | 10.24% |
| 香川県 | 10.02% |
| 愛媛県 | 9.98% |
| 高知県 | 10.05% |
| 福岡県 | 10.11% |
| 佐賀県 | 10.55% |
| 長崎県 | 10.06% |
| 熊本県 | 10.08% |
| 大分県 | 10.08% |
| 宮崎県 | 9.77% |
| 鹿児島県 | 10.13% |
| 沖縄県 | 9.44% |
※最新の全都道府県の保険料率は協会けんぽが公表する「都道府県毎の保険料率」をご確認ください
介護保険料率(2026年度)
40歳から64歳までの被保険者(介護保険第2号被保険者)は、健康保険料に加えて介護保険料も加算されます。
2026年度(令和8年度)の介護保険料率は全国一律1.62%です。こちらも健康保険料と同様に事業主と従業員で折半して負担します。
介護保険料率は毎年見直されており、2026年度の料率は2026年3月分(4月納付分)から適用されています。
子ども・子育て支援金の徴収(2026年4月新設)
2026年4月からは、少子化対策の財源を確保するための「子ども・子育て支援金制度」が開始されました。協会けんぽ加入者の支援金率は0.23%で、健康保険料とあわせて徴収されます。支援金についても健康保険料と同様に事業主と従業員での折半です。
制度の詳細や最新情報は、子ども家庭庁が公表している「子ども・子育て支援金制度」の案内をご確認ください。なお、支援金率は今後見直される可能性があります。
協会けんぽ(全国健康保険協会)への加入手続き
協会けんぽへの加入手続きは、事業所が健康保険の適用事業所となった際に行います。法人事業所は原則として強制適用事業所となるため、設立後は速やかに手続きを進めなければなりません。
また、社会保険の加入手続きは主に年金事務所で行い、加入後の給付申請などは協会けんぽが窓口となります。
| 年金事務所 | ・新規適用届の提出 ・被保険者資格取得届・喪失届の提出 ・保険料の徴収 |
|---|---|
| 協会けんぽ | ・傷病手当金の申請 ・高額療養費の申請 ・資格確認書の発行 |
なお、2024年12月には健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とする運用へ移行しています。マイナ保険証を利用しない従業員には「資格確認書」が交付されるため、企業側も制度の概要を把握しておくことが大切です。
新規適用届の提出
法人事業所や、常時雇用従業員が5人以上の個人事業所は、健康保険の適用事業所となった日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を提出しなければなりません。
提出先は事業所を管轄する年金事務所です。なお、個人事業所で常時使用する従業員が5人未満の場合は任意適用事業所となるため、加入を希望する場合は「任意適用申請書」を提出し、認可を受ける必要があります。
新規適用届や任意適用申請書の提出時には、事業所の形態に応じて以下の書類を添付します。
| 提出書類 | 条件 |
|---|---|
| 法人(商業)登記簿謄本 | 届出する事業所が法人事業所の場合 |
| 法人番号指定通知書のコピ― | 事業主が国、地方公共団体または法人の場合 |
| 事業主の世帯全員の住民票の原本 | 強制適用事業所(常時雇用従業員が5人以上)となる個人事業所の場合 |
| 「共済組合制度(短期組合員)の適用に伴う健保法第 200 条等の適用申出書」 | 共済組合制度に加入する事業所の場合(短期給付) |
| 「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」 | 口座振替での保険料納付を希望する場合 |
社会保険の加入について詳しく知りたい方は、併せて以下の記事をご覧ください。
マイナ保険証を持たない従業への対応
2024年12月以降は健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証を基本とした運用へ移行しています。
ただし、マイナンバーカードを保有していない従業員や、マイナ保険証の利用登録をしていない従業員については、協会けんぽから「資格確認書」が交付されます。資格確認書があれば、従来どおり医療機関で保険診療を受けることが可能です。
企業側で資格確認書の発行申請を行う必要はありませんが、入社時にはマイナ保険証の利用状況を確認し、資格確認書が交付される場合があることを従業員へ案内しておくとよいでしょう。
また、資格確認書には有効期限があるため、紛失時の再交付手続きや更新時の対応についても従業員へ周知しておくことが重要です。
協会けんぽ(全国健康保険協会)の被保険者が受けられる制度
協会けんぽに加入すると、医療費負担の軽減だけでなく、病気やケガによる休業時の所得補償、出産時の給付などさまざまな制度を利用できます。
ここでは、被保険者やその家族が利用できる主な制度について解説します。
保険診療の利用
保険医療機関で医療行為(診療・治療・処方など)を受けた場合、被保険者の窓口費用負担が2〜3割となる制度です。健康保険制度の中心であり、「療養の給付」と呼ばれます。
保険診療による費用の窓口負担割合は、年齢と所得額によって異なります。
| 年齢 | 保険診療の窓口負担割合 |
|---|---|
| 70歳未満 | 3割 |
| 70歳以上 (うち標準報酬月額が28万円以上の場合(※)) | 2割 (3割) |
※単身世帯で年収383万円に満たない人、または夫婦世帯で520万円に満たない人は対象外
療養の給付の対象となる範囲は以下のとおりです。
療養の給付の対象範囲
- 診察費
- 薬や治療に必要な材料費
- 主述や処置など病気や怪我の治療費
- 在宅療養における看護費用
- 入院看護費用
健康診断費用の補助
協会けんぽの被保険者は、年度中に1回まで健康診断費用の一部補助を受けられます。
一般検診は自己負担額が最高でも5,282円で受けられ、オプションで受けられる項目についても検診費用の自己負担額を超えた分については費用が補助されます。また、被保険者の被扶養者も健康診断を受ける際には一部補助が適用されます。
高額療養費制度の利用
高額療養費制度とは、医療行為の内容によって自己負担が高額になる場合に、被保険者の費用負担を軽減させるための制度です。
高額療養費制度では、1ヶ月の中で通院・入院・手術の支払いが一定金額を超えた場合、個人の医療費の限度額を超えた分の払い戻しを受けることができます。ただし、医療機関の窓口での立て替え払いが必要で、払い戻しには通常3ヶ月以上の期間を要します。
また、マイナ保険証を利用できる医療機関では、事前に限度額適用認定証を取得しなくても窓口負担を自己負担限度額までに抑えられます。マイナ保険証を利用しない場合は、あらかじめ限度額適用認定証を取得して医療機関へ提示することも可能です。
なお個人の医療費上限額は、被保険者の年齢と収入によって異なります。協会けんぽのホームページからご確認ください。
柔道整復師・はり・きゅう・あん摩の保険適用
接骨院・整骨院での施術や、はり・きゅう・あん摩マッサージについても、一定の条件を満たす場合は健康保険の対象となるケースがあります。
保険適用となる施術とならない施術の目安は以下のとおりです。
| 保険適用になる場合 | 保険適用にならない場合 | |
|---|---|---|
| 柔道整復師 (接骨院・整骨院) | 打撲・ねんざ・肉離れ・骨折・脱臼など急性の怪我や症状に対する治療 | 肩こりなど慢性の症状や後遺症のための治療、および、通勤中や勤務中の怪我のための治療 |
| はり・きゅう | 神経痛・リウマチ・五十肩・頚腕症候群・腰痛・頸椎捻挫後遺症の治療目的のうち、医師の同意があるもの | ・左記の治療のうち、医師の同意がないもの ・他の医療機関とあわせて治療が行われているもの |
| あん摩・マッサージ | 医師の同意がある施術 | 医師の同意がない施術 |
上記の施術で保険診療に該当する場合、療養費支給申請書の提出が必要です。療養費支給申請書を柔道整復師や施術者が被保険者に代わって請求する際は、施術費用や傷病名、施術期間に間違いがないかを確認したうえで委任欄へ記入しましょう。
保険診療のほか、自由診療の場合でも医療費控除の申請にも利用できる可能性があるため、領収書は必ず保管しましょう。
医療費控除について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
傷病手当金の受給
傷病手当とは、病気や怪我の療養のために仕事を休まなければならない被保険者の生活を保証するための制度です。傷病手当金を受け取れる要件は以下のとおりです。
傷病手当金を受け取れる要件
- 業務外の病気や怪我であること
- 出勤できない、または業務が遂行できないこと
- 4日以上(連続した3日間を含む)仕事を休んだこと
- 休んだ日の分の給与が支払われないこと
受け取れる傷病手当の額は、以下の条件によって異なります。
- 保険加入期間
- 年齢
- 各種手当や年金の有無
- 労災保険の適用の有無
- 協会けんぽ加入以前を含めた標準報酬月額
たとえば、支給前に12ヶ月分の給与支払いを受けており、標準報酬月額の平均を算出できる場合は以下のように計算します。
1日の金額 =(支給開始日以前12ヶ月分の標準報酬月額の平均)÷ 30日 × 3分の2
被保険者の支給開始日以前12ヶ月分の標準報酬月額を計算する際、傷病手当金の受給前の保険期間が12ヶ月未満の場合は、以下のうちどちらか金額が低いほうが採用されます。
傷病手当金の計算方法
- 支給開始月以前の直近の継続した標準報酬月額の平均
- 標準報酬月額の平均である30万円
また、以下の項目に該当する場合は支給される傷病手当金が調整されます。
- 給与が支払われた場合
- 障害厚生年金や障害手当金を受給している場合
- 老齢退職年金を受給している場合
- 労災保険の休業補償給付を受給している(していた)場合
- 出産手当金を受給している場合
【関連記事】
標準報酬月額とは?調べ方や計算方法をわかりやすく解説
出産育児一時金・出産手当金の受給
出産育児一時金とは、被保険者とその扶養者が出産した際に、生まれた子ども1人につき50万円が支給される制度です。
なお、産科医療補償制度に加入していない病院・診療所・助産院で出産した場合、受け取れる支給額は48万8,000円です。双子以上の場合にはその人数分が支給されます。
出産手当金とは、出産のために仕事を休んだ被保険者がその時期に給与を受けとっていなかった場合に、休業期間中を対象に出産手当金が支給される制度です。対象となる期間は原則、「出産日の42日前」から「出産56日目(出産翌日を1日目とする)まで」の間です。
出産日が予定日より遅れた場合や多胎出産であった場合などは日数や給付額が異なるため、該当する場合は協会けんぽのホームページで確認しましょう。
出産手当金の計算方法は以下のとおりです。
1日の金額 =(支給開始日以前12ヶ月分の標準報酬月額の平均)÷ 30日 × 3分の2
被保険者の保険加入期間が支給日より12ヶ月未満の場合は、以下のうちどちらか金額が低いほうが採用されます。
- 支給開始月以前の直近の継続した標準報酬月額の平均
- 標準報酬月額の平均である30万円
また、出産手当金が傷病手当金より少ない場合はその差額を傷病手当金として受給できます。
協会けんぽ(全国健康保険協会)の任意継続
任意継続とは、協会けんぽの被保険者が会社を退職後も引き続き協会けんぽへの加入を希望する場合、そのまま継続加入できる制度です。
退職日の前日までに継続して2ヶ月以上被保険者であった人は、退職日の翌日から20日以内に申請することで、最長2年間協会けんぽへ加入できます。
再就職が決まっていない場合には、国民健康保険に加入するか、配偶者などの被扶養者になるか、任意継続のうちいずれかを選択します。退職後に再就職が決まっている場合は、通常、再就職先が加入している健康保険協会などに加入します。
社会保険の手続きや保険料の計算をラクにする方法
社会保険料の計算含む、給与計算事務全体を効率化
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まとめ
協会けんぽ(全国健康保険協会)は、主に中小企業の従業員とその家族が加入する公的医療保険です。健康保険組合や国民健康保険とは運営主体や加入対象が異なり、多くの中小企業では社会保険の健康保険として協会けんぽに加入しています。
協会けんぽに加入すると、保険診療による医療費負担の軽減に加え、高額療養費制度や傷病手当金、出産育児一時金などの給付を利用できます。また、健康診断費用の補助など健康づくりを支援する制度も用意されています。協会けんぽの仕組みや利用できる制度を理解し、適切な社会保険手続きや従業員対応に役立てましょう。
よくある質問
協会けんぽとは?
協会けんぽとは、国が運営してきた健康保険事業(政府管掌健康保険)を引き継ぐ目的で2008年10月に設立された公法人です。国内最大規模の健康保険事業を運営する組織で、正式名称は「全国健康保険協会」といいます。
詳しくは、記事内の「協会けんぽ(全国健康保険協会)とは」をご覧ください。
協会けんぽに加入する方法は?
協会けんぽでは、登記簿謄本など加入の際に必要な書類があります。会社を設立し、常時雇用する従業員が5人以上になった場合は強制適用事業所となるため、「新規適用届」を提出しなければなりません。
その他、詳しくは記事にある「協会けんぽ(全国健康保険協会)への加入手続き」をご覧ください。
協会けんぽと社会保険の違いは?
社会保険は健康保険や厚生年金保険などを含む社会保障制度の総称です。一方、協会けんぽは社会保険のうち健康保険を運営する保険者の一つを指します。そのため、協会けんぽは社会保険そのものではなく、社会保険を構成する制度の一部として扱われます。
詳しくは、記事内「協会けんぽと社会保険の違い」をご覧ください。
協会けんぽの保険料はいくら?
協会けんぽの健康保険料は、都道府県ごとに定められた保険料率と標準報酬月額・標準賞与額をもとに計算されます。また、40歳から64歳までの被保険者は介護保険料も負担します。
詳しくは、記事内「協会けんぽ(全国健康保険協会)の保険料と介護保険料」をご覧ください。
参考文献
- 全国健康保険協会「協会けんぽの概要」
- 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
- 全国健康保険協会「年金と健康保険に関する書類の提出先」
- 全国健康保険協会「限度額適用認定証」
- 全国健康保険協会「子どもが生まれたとき(出産育児一時金)」
- 全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき(出産手当金)」
- 全国健康保険協会「退職後の健康保険について」
- 全国健康保険協会「療養の給付」
- 日本年金機構「1-1:事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」
- 日本年金機構「新規適用の手続き」
- 厚生労働省「第197回社会保障審議会医療保険部会 基礎資料」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
