監修 北 光太郎 きた社労士事務所

給与デジタル払い(デジタル給与)とは、2023年4月に解禁された、デジタルマネー(電子マネー)を、会社と従業員の資金移動業者の口座間で移動することで賃金(給与)を支払う制度のことです。
厚生労働省による指定資金移動業者の審査を終える必要があるものの、2023年10月末時点では、審査の結果や、実際に給与デジタル払いを開始できる具体的な日程は公表されていません。
本記事では給与デジタル払い(デジタル給与)とはどんな制度か、メリット・デメリット、導入スケジュール、よくある質問について解説します。
目次
給与デジタル払い(デジタル給与)とは
給与デジタル払い(デジタル給与)とは、デジタルマネー(電子マネー)を、会社と従業員の資金移動業者の口座間で移動することで賃金(給与)を支払う制度のことです。
資金移動業者とは、通貨をデータに変換しデジタルマネーとして支払いや資金の移動といった為替取引を行う、銀行以外の業者のことを指します。
資金移動業者は、厚生労働省で一定の審査を受けた後、内閣総理大臣による資金移動業者登録簿に登録された業者のみが該当します。
2023年10月31日時点ではPayPay・LINE Pay・PayPalなどのキャッシュレスサービスを主とする82社が財務局に登録されています。
出典:金融庁「資金移動業者登録一覧」
厚生労働省は2022年11月、デジタル給与の導入に関する労働基準法の改正省令を公布しました。この改正省令は2023年4月から施行され、給与支払いに対応した資金移動業者(指定資金移動業者)を指定するための申請受付と審査が始まっています。
出典:厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」
注意点として、「デジタル給与の受け取り」は、厚生労働大臣により指定資金移動業者と認められている資金移動業者しか利用できない点などが挙げられます。
また、「デジタル給与による賃金(給与)受け取り」を利用する場合でも、金融機関の口座(銀行口座)は必要です。そのため、国籍の影響などで銀行口座を作ることが難しい外国人や何らかの理由で日本の銀行口座を保有していない人の場合、デジタル給与は利用できません。
詳しくは、後述の「給与デジタル払い(デジタル給与)へ対応予定の資金移動業者」をご参照ください。
【関連項目】
よくある質問「銀行口座は持っていなくてもいい?」
よくある質問「デジタル給与を受け取る資金移動業者は選べる?」
デジタル給与の開始時期
デジタル給与は2023年4月に解禁となりましたが、実際に利用できる明確な時期については、2023年10月時点では公表されていません。
現在公表されている、給与デジタル払い(デジタル給与)を実際に利用するまでのスケジュールは以下のとおりです。
時期 | 概要 |
2023年4月〜 | 資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査(数ヶ月かかる見込み) |
大臣指定後〜 | 各事業場で労使協定を締結 |
労使協定締結後〜 | 個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始 |
出典:厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」
給与デジタル払い(デジタル給与)へ対応予定の資金移動業者
2023年10月現在、給与デジタル払い(デジタル給与)に利用できる資金移動業者は公表されていません。先述のとおり、指定移動資金業者の指定に向けた審査の途上にあるためです。
なお、資金移動業者のうち、以下を含む一部事業者が「申請書を提出済み」であることをリリースしています。
- PayPay株式会社
- 楽天Edy株式会社
- 楽天ペイメント株式会社
- 株式会社リクルートMUFGビジネス
また、この他にauペイメント株式会社も審査の申請を行ったことが報道されています。
労働者(従業員)が普段利用している資金移動業者を必ず選択できるようになるわけではありませんが、比較的利用者が多い資金移動事業者の参画が見込まれていることから、利便性の高さを期待できます。
出典:PayPay株式会社「賃金のデジタル払い(給与デジタル払い)に向けて厚生労働省へ指定申請を提出」
出典:楽天ペイメント株式会社・楽天Edy株式会社「『楽天ペイ』などで利用可能になる「賃金のデジタル払い」の指定申請完了」
出典:株式会社リクルート「毎月の振込みがラクになる給与支払サービス『Airワーク 給与支払』本日より提供開始 子会社が賃金のデジタル払いの指定事業者にも申請」
給与デジタル払い(デジタル給与)のメリット
ここではデジタル給与の導入による、会社と従業員双方のメリットについて解説します。
会社(支払側)のメリット
会社にとってのデジタル給与のメリットは、以下のとおりです。
会社にとってのデジタル給与のメリット
- 銀行振り込みよりも手数料が安い可能性がある
- 企業イメージの向上および雇用機会の増加
銀行振り込みよりも手数料が安い可能性がある
2023年10月時点では、従業員への給与支払いを目的とした資金移動業者の口座への送金手数料は明確に提示されていません。しかし、一般的に資金移動業者への口座の送金手数料は、銀行口座への振り込み手数料に比べて安く設定されています。
従業員の人数が多かったり、使用している銀行口座が会社と従業員でバラバラだったりする場合には、給与振り込みのための手数料も高くなります。
デジタル給与を利用することで、銀行振込に対して手数料が安く抑えることが可能になれば、コスト削減につながります。
企業イメージの向上および雇用機会の増加
デジタル給与を導入し給与の支払い方法を多様化することで、企業イメージの向上が期待できます。
企業イメージが向上する理由として、以下のようなポイントが挙げられます。
- 新しい制度を積極的に導入・活用する会社の土壌があると示せる
- 新しい制度を管理運用できる体制が整っていると示せる
デジタル給与を導入することで、企業イメージが向上し、それに伴い優秀な人材の確保が期待できます。
従業員(受取側)のメリット
デジタル給与の導入は、従業員にとって以下のようなメリットがあります。
従業員にとってのデジタル給与のメリット
- キャッシュレス決済利用時の利便性が向上する
- 給与の一部だけをデジタル給与で受け取れる
キャッシュレス決済利用時の利便性が向上する
デジタル給与の場合、給与は銀行ではなく資金移動業者の口座に直接支払われます。そのため、銀行などの給与受取口座からキャッシュレス決済の口座への資金移動(チャージ)の手間がなくなります。
キャッシュレス決済など、日常的にデジタルマネーを利用している従業員にとって大きなメリットといえるでしょう。
給与の一部だけをデジタル給与で受け取れる
デジタル給与を利用にあたって同意書を作成する際、デジタル給与として受け取る範囲や金額を自身で設定できます。
たとえば、「ボーナスは銀行口座への振り込みとする」、「毎月の給与のうち5万円だけをデジタル給与として受け取る」といった指定が可能です。
自身のライフスタイルに合わせてデジタル給与と従来の銀行口座振込を使い分けることで、給与の受け取り後の生活費などの振り分けや管理がしやすくなります。
出典:厚生労働省「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書(参考例)」
給与デジタル払い(デジタル給与)のデメリット
デジタル給与の導入によるメリットは複数ありますが、同時にデメリットもあります。
会社(支払側)のデメリット
会社にとっては、以下のようなデメリットが考えられます。
会社にとってのデジタル給与のデメリット
- 給与支払いに関する業務量の増加
- 管理コストの上昇
給与支払いに関する業務量の増加
デジタル給与支払いの利用有無は、従業員の希望によって異なります。そのため、場合によってはデジタル給与支払いと従来の銀行口座振り込みのふたつの方法で給与支払いを行わなくてはなりません。
さらに、給与の一部のみをデジタル給与で受け取ることを従業員が希望した場合、従業員1人への給与支払い作業が増加します。
デジタル給与の導入を検討している会社は給与支払いに関する業務量の増加に備え、デジタル給与のためだけでなく、給与の一部のみをデジタル給与で支払う場合などに対応したシステムの導入および対応が必要です。
管理コストの上昇
デジタル給与を導入する場合、デジタル給与を利用する従業員の口座情報や同意書など、新たに増える従業員情報の管理方法の確立または見直しを行わなくてはなりません。
給与の支払い方法が多様化するため、各ケースに対応したフローの作成および従業員ごとに異なる支払い方法や情報を適切に管理する必要があります。
デジタル給与の導入にあたって給与支払いのフローを再度整えるために、以下の3つの支払いパターンを想定し、準備を進めましょう。
- 銀行口座など従来の支払い方法のみの場合
- デジタル給与での支払い方法のみの場合
- 銀行口座振り込みとデジタル給与支払いを併用する場合
従業員が給与の一部のみをデジタル給与にしたいと希望している場合でも、その金額は従業員ごとに異なるため、デジタル給与の支払い範囲についても従業員ごとに管理する必要があります。
従業員(受取側)のデメリット
デジタル給与は従業員にとって利便性の高さが期待できる一方で、以下のようなデメリットが考えられます。
従業員にとってのデジタル給与のデメリット
- 希望の資金移動業者が使用できない場合がある
- 口座入金額の上限が100万円
- セキュリティ上のリスク対策
希望の資金移動業者が使用できない場合がある
デジタル給与の導入によって利用できる資金移動業者は、厚生労働省が認可した資金移動業者に限られます。
従業員がデジタル給与の受け取りを希望しても会社との労使協定で締結された資金移動業者と、自身が使用する資金移動業者が異なる場合があります。
その場合、従業員は新たに会社が指定する資金移動業者の口座を開設するか、デジタル給与の利用を見送るかを選択しなければなりません。
口座入金額の上限が100万円
資金移動業者の口座は預貯金口座ではないため、入金できる金額に100万円の上限が設定されています。
そのため、給与や賞与、退職金などすべての賃金をデジタル給与支払いの対象とする必要はありません。給与や賞与の一部をデジタル給与支払いで受け取り、残りを銀行口座で受け取ることも可能です。
資金移動業者の口座残高が100万円を超えた場合、自動的に事前に登録した銀行口座に資金が移動されます。その場合、送金手数料が従業員の口座から差し引かれる場合があります。
出典:厚生労働省「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書(参考例)」
セキュリティ上のリスク対策
デジタル給与として賃金(給与)の一部または全部を受け取る場合、これまで以上にセキュリティ対策を心掛ける必要があります。
デジタルマネーの多くは、スマートフォンにインストールされたアプリで利用します。スマートフォンを紛失した際や何らかの理由でアプリなどが使えなくなった際の対処法を確認しておくべきでしょう。
また、デジタルマネーは比較的簡単に送金ができてしまうことから、今までにない手法の詐欺や不正出金などの被害に遭わないよう、日頃からセキュリティ対策を万全にしておくことが重要です。
給与デジタル払い(デジタル給与)へ対応するまでの流れ
2023年10月現在、給与デジタル払い(デジタル給与)にできる指定資金移動業者が決まっておらず、具体的な導入方法、指定資金移動業者ごとに異なると予想される具体的な手続き内容、手数料などは公表されていません。
そのため現時点でまだ正式な導入手続きは開始できませんが、指定資金移動業者決定までの間に進めておくことができる準備作業があります。
ここでは、実際に利用するまでのスケジュールに基づき、指定資金移動業者の決定までの間に会社内で進めておくことができる事前準備、また、指定資金移動業者決定後の導入手続きの流れを解説します。
時期 | 概要 |
2023年4月〜 | 資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査(数ヶ月かかる見込み) |
大臣指定後〜 | 各事業場で労使協定を締結 |
労使協定締結後〜 | 個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始 |
指定資金移動業者の決定まで
給与デジタル払い(デジタル給与)の導入に当たっては、事前に自社がデジタル給与(給与デジタル支払い)を導入することで得られるメリット、そしてデメリットを把握しておくことが重要です。
メリットデメリットの把握
「デジタル給与のメリット」「デジタル給与のデメリット」で見てきたように、給与デジタル払い(デジタル給与)には会社と、従業員双方にメリット、デメリットが存在します。
メリットのみに注目するのではなく、デメリットによる影響も充分検討しておく必要があります。
特にデメリットに相当する項目は、時間や費用、労力などのコスト増加が見込まれることから、いわゆるコストパフォーマンスの観点からも検討する必要があります。
会社内の意識調査(アンケート)の実施
従業員の意向(利用希望の有無)も、検討材料とすべき重要なポイントの一つです。
多大なコストを掛けて導入したものの、運用開始後「あまり利用されない」などといったミスマッチが起こらないよう、従業員の意向は事前に把握しておきましょう。
具体的な導入検討開始前に、会社内の意識調査(アンケートやヒアリング)を実施することは有効な方法です。
意識調査では、利用の意向だけでなく、後に必要となる「同意書」に準じた指定資金移動業者口座への資金移動を希望する範囲や金額、利用希望の指定資金移動業者を項目として加えておきましょう。
そうすることで、デジタル給与を実際に導入した後の具体的なコストの見積もりなどに役立てることができます。
出典:厚生労働省「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書(参考例)」
指定資金移動業者の決定後
指定資金移動業者が決定し、具体的な導入手続き方法、手数料などが公表された後、実際に行う導入手続きと手順をご紹介します。
労使協定の締結
給与デジタル払い(デジタル給与)の導入に当たっては、会社と従業員の間で「労使協定の締結」を行わなければなりません。
会社と従業員の間で、給与デジタル払い(デジタル給与)導入にかかる指定資金移動業者の選定などについて合意することが目的です。また、次に述べる就業規則改正とも関連します。
労使協定における労働者側の代表者となるのは、事業場の労働組合または労働者の過半数を代表するものとされています。
就業規則や給与(賃金)規定の改正
就業規則には絶対的明示事項として、「給与(賃金)に関する規則」が定められています。
この規則を見直し、給与デジタル払い(デジタル給与)が規則違反とならないよう改正したうえで、労働基準監督署への届け出が必要です。
就業規則の改正にあたっては、労働組合または労働者の過半数を代表するものの意見を聴取し、意見書を添付しなければなりません。
従業員への周知
給与デジタル払い(デジタル給与)を運用開始する旨を、従業員に告知します。
告知内容としては、利用可能な指定資金移動業者、デジタル給与の受取範囲(金額など)の選択肢、デジタル給与の受取を希望する場合、会社に届け出が必要となる事項(同意書、資金移動業者の口座IDなど)等があります。
デジタル給与希望者による同意書の提出
デジタル給与の受取を希望する従業員は、会社から「資金移動業者口座への賃金支払い」に関する留意事項などの説明を受けた上で「同意書」を提出する必要があります。
同意書に記載される主な項目は次のとおりです。
同意書の記載事項
- 資金移動業者口座への賃金支払い関する内容の確認有無
- 資金移動業者口座への賃金支払いに関する同意の有無
- 指定資金移動業者口座への資金移動を希望する賃金の範囲およびその金額
- 指定資金移動業者名、サービスの名称、口座番号(アカウントID)及び名義人
- 指定資金移動業者口座への支払い開始希望時期
- 代替口座として指定する金融機関名、預貯金の種類、口座番号、名義人
出典:厚生労働省「資金移動業者口座への賃金支払に関する同意書(参考例)」
導入している給与システムの仕様確認
指定資金移動業者を決定するにあたって、自社で導入している給与システムが給与デジタル払いに対応しているかを確認する必要があります。
デジタル給与に対応していない場合は、改修やシステム変更が必要になる可能性があるため、かかるコストや期間を確認しましょう。
2023年9月現在でデジタル給与に対応しているシステムは、以下が挙げられます。
- デジタルマネー払いゲートウェイサービス
- エニペイ
「デジタルマネー払いゲートウェイサービス」は既存の給与システムと連携することで、デジタル給与払いを可能とします。会社が導入しているシステムが「デジタルマネー払いゲートウェイサービス」と連携できれば、デジタル払いに対応できます。
賃金支払の五原則とデジタル給与導入による変化
労働への対価として支払われる賃金(給与)は、労働基準法第24条において「賃金支払の五原則」という「賃金(給与)を支払う使用者が守るべき義務」が定められているため、法の一部改正が行われました。
賃金支払の五原則は、次の5項目によって規定されています。
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日を定めて支払わなければならない
「通貨で」とはつまり、「お金(現金)で賃金(給与)を支払わなければならない」という意味です。
かつて給与の支払い方法は、現金支払いが主流であったため、法律では現金(通貨)で支払うことが原則とされています。
しかし、現在では銀行口座への振り込みが主流になったため、従業員から同意を得た場合に、例外として銀行口座や証券総合口座への振り込みが認められています。
一方、デジタル給与の支払いは、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への振り込みです。従業員の同意を得た場合でも、給与の振り込みが認められていませんでした。
そのため、2023年4月に労働基準法施行規則が改正され、通貨支払いの例外として従業員の同意があった場合に、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への振り込みが認められました。
出典:厚生労働省「労働基準法に関するQ&A」
出典:厚生労働省「労働基準法施行規則の一部を改正する省令の公布について」
銀行振込と給与デジタル払いの違い
銀行振り込みとデジタル給与の主な違いとして、振込手数料が比較的安価になる可能性が挙げられています。
また、厚生労働省によると、給与デジタル払い(デジタル給与)で受け取った給与は「最低毎月1回、手数料無しで現金化できるようになる」とされています。
出典:厚生労働省「労働者・雇用主の皆さまへ 賃金のデジタル払いが可能になります!」
会社にとって負担が大きい振込手数料や労働者(従業員)がお金(現金)を引き出す際のATM利用料を考慮した場合、充分メリットを感じられます。
銀行振込 | デジタル払い | |
振込手数料 | やや高め | 銀行振込より安価になる想定 |
換金方法 | ・銀行窓口 ・ATM引き出し | ・銀行等での受取 ・銀行口座に送金後のATM引き出し ・ネット銀行等のATM引き出し |
換金手数料 | 無料 もしくは一定額 | |
銀行口座の有無 | 有り | 有り ※残高上限100万円を超えた際、資金を移動させる銀行口座が必要となる |
まとめ
デジタル給与は2023年4月に解禁されましたが、会社が導入し従業員への支払いに利用できるのは数ヶ月先です。
会社でデジタル給与の導入を検討している場合は、従業員への給与支払いに関するアンケートやヒアリングを行うほか、導入後の給与支払いの管理方法や体制整備について事前に準備を進めておくことで、スムーズな導入、運用開始後の業務負担の軽減につながります。
デジタル給与の導入を検討している場合は、メリット・デメリットを踏まえ、準備を始めましょう。
よくある質問
デジタル給与はいつから始まる?
デジタル給与を実際に利用できる具体的な日程については、2023年10月現在公表されていません。
デジタル給与の解禁は2023年4月1日でしたが、解禁日に資金移動業者の申請が開始され、その後審査から承認まで数ヶ月かかることが見込まれています。
指定資金移動業者が公表された後は、会社と労働組合または従業者の間で労使協定を締結し実際に導入を進めていきます。そのため、実際にデジタル給与の運用が開始されるのは解禁から数ヶ月後となります。
現在公表されているデジタル給与の導入スケジュールについては、「デジタル給与の開始時期」で解説しています。
銀行口座をもっていなくてもいい?
給与の全額をデジタル給与で受け取る場合でも、銀行口座の保有は必要です。同意書作成時の銀行口座登録は必須であるため、銀行口座を持っていなければデジタル給与の利用はできません。
同意書に記載する項目については、「給与デジタル払い(デジタル給与)へ対応するまでの流れ」で解説しています。
デジタル給与を受け取る資金移動業者は選べる?
デジタル給与を受け取るための資金移動業者は、必ず希望の業者を選べるわけではありません。
デジタル給与を受け取るための資金移動業者は、厚生労働省による審査を受けた後、指定資金移動業者に指定される必要があるためです。
また、どの資金移動業者を利用するのかは会社と労働組合または従業員との労使協定で決定されます。
詳しくは「従業員(受取側)のデメリット」で解説しています。
引き続き銀行口座も利用できる?
デジタル給与は、従業員が希望する場合にのみ利用できます。そのため、希望しない場合は引き続き銀行口座で給与を受け取れます。また、給与の一部のみデジタル給与として受け取ることも可能です。
詳しくは「賃金支払の五原則とデジタル給与導入による変化」で解説しています。
監修 北 光太郎
きた社労士事務所 代表 中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。
