人事労務の基礎知識

有給休暇とは?有給休暇付与日数の計算方法を雇用形態別に詳しく説明します

最終更新日:2021/04/26

監修 飯塚 知世 社会保険労務士

年次有給休暇とは、労働基準法で定められた労働者の権利であり、正社員、パート、アルバイト等、雇用形態にかかわらず所定の日数の有給休暇を付与することが法律で義務付けられているものです。

この記事では有給休暇の基礎知識、有給休暇の日数や計算方法について解説します。

有給休暇とは?有給休暇付与日数の計算方法を雇用形態別に詳しく説明します

目次

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有給休暇(年次有給休暇)とは

有給休暇とは、心身の疲労回復や生活のゆとりを確保するために入社後一定期間経過した労働者に与えられる休暇のことです。労働基準法第39条で定められた労働者の権利であるため、事業の規模や業種を問わず、就業規則に規定がなくても取得することができます。

なお、有給休暇の取得には使用者の承認は必要なく、原則として利用目的に制限はありません。

有給休暇の付与条件を満たしていれば、企業側(使用者)は正社員だけでなく、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなどにも有給休暇を付与する必要があります。また、派遣社員の場合、雇用関係にある派遣元の使用者が派遣社員に有給休暇を与える義務があります。

有給取得義務化とは?

働き方改革関連法により労働基準法の改正され、2019年4月から、10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、1年以内に5日の有給休暇を取得させることが企業側(使用者)に義務化されました。

労働基準法が改正され、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。

つまり、5日以上の有給休暇を取得していない従業員に対しては、有給休暇の取得希望の有無にかかわらず、時季を指定した業務命令を出して有給休暇を取得させなければならないということです。(時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、尊重するように務めなければなりません。)
なお、すでに5日以上の有給休暇を取得している従業員は、時季を指定する必要はありません。

この義務に違反すると、「30万円以下の罰金」という罰則の対象になります。

有給休暇の罰則について詳しく知りたい方は「最低でも有給5日消化しないと罰則!? 有給休暇の取得義務化を分かりやすく解説」をご覧ください。

有給休暇を付与する条件

労働者が有給休暇を取得するための要件は以下の通りです。

  1. 雇用した日から6ヶ月間継続して雇用されていること
  2. 全労働日の8割以上出勤していること

年次有給休暇が付与される要件は2つあります。
(1)雇い入れの日から6か月経過していること
(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
の2つです。

また、出勤していなくても在籍していれば「継続して働いている」とみなされます。派遣社員のように短期間の契約で雇用されている場合でも、契約更新を繰り返し、6ヶ月以上働いていれば上記1の条件を満たします。

出勤率の計算

上記2「全労働日の8割以上」の出勤率の計算式は以下のとおりです。

出勤率=出勤日÷全労働日

出勤率を計算する際の「出勤日」とは、所定の休日を除いた勤務日数のことです。休日出勤した場合は、休日が全労働日に含まれないので出勤日としてもカウントされません。

なお、遅刻や早退した日、業務上の傷病による休業、育児・介護休業法に基づく育児・介護休業、産前産後休暇、有給休暇を取得した日は出勤日に含まれます。また、生理休暇を取得した日は労働基準法上の出勤したものとみなす必要はありませんが、有給休暇の出勤率の計算においては出勤したものとみなすことは可能です。この規定は勤務先によって異なるので勤務先に確認してください。

※出勤日数には、休日出勤した日は除き、遅刻・早退した日は含めます。なお、出勤率の算定に当たっては、次のイ及びロの取扱に注意が必要です。

イ 全労働日から除外される日数

  1. 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
  2. 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
  3. 休日労働させた日
  4. 法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日等であって労働させた日

ロ 出勤したものと取り扱う日数
  1. 業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
  2. 産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日
  3. 育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
  4. 年次有給休暇を取得した日

雇用形態別有給休暇付与日数の計算方法

通常の労働者(週5日間勤務)の場合

有給休暇は、前述のように全労働日の8割以上の出勤という条件を満たすと、雇用した日から6ヶ月後に10日付与されます。

翌年1年間も同様に8割以上の出勤率を満たすと、継続勤務が1年6ヶ月で11日の有給休暇付与となります。さらに翌年、継続勤務が2年6ヶ月になると12日の有給休暇が付与され、その後は毎年2日ずつ増えていきます。継続勤務が6年6ヶ月以上になると、有給休暇の付与は一律で20日です。

また、定年退職した社員を引き続き嘱託として再雇用した場合は、その社員の勤続年数は継続勤務としてカウントされます。アルバイトやパートから正社員への変更など、雇用形態の変更があった場合も同様です。

なお、有給休暇の未使用分は翌年に繰り越されますが、付与された日から2年間使用しなかった場合は時効により消滅します。

通常の労働者(週5日間勤務)の有給休暇付与日数

継続勤務年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月
以上
有給休暇付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

パートタイム労働者(週4日以下かつ30時間未満勤務)の場合

週の所定労働日数が4日以下で所定労働時間が30時間未満のアルバイトやパートも、出勤率などの条件を満たせば、通常の労働者(週5日間勤務)よりは少なくなりますが有給休暇を取得することができます。

例えば、所定労働日数が週3日の場合、継続勤務が6ヶ月で5日、1年6ヶ月で6日となり、6年6ヶ月以上になると一律11日となります。

なお、通常の労働者(週5日間勤務)と同様に、未使用の有給休暇は翌年に繰り越されますが、付与された日から2年間使用しなければ時効により消滅します。

パートタイム労働者(週4日以下かつ30時間未満勤務)の有給休暇付与日数

週所定
労働日数
1年間の所定
労働日数
継続勤務年数
6ヶ月 1年
6ヶ月
2年
6ヶ月
3年
6ヶ月
4年
6ヶ月
5年
6ヶ月
6年6ヶ月
以上
有給休暇付与日数 4日 169日〜
216日
7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日〜
168日
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日〜
120日
3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日〜
72日
1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

有給休暇は次年度に繰り越しが可能

前述の通り、消化できなかった有給休暇は付与された日から2年以内であれば繰り越しが可能ですが、2年を過ぎると時効により消滅します。

有給休暇の管理

有給休暇の管理方法には、個別に管理する方法と統一して管理する方法があります。

個別に管理する方法は、中途入社の社員が多い会社では有給休暇の発生日がバラバラになり、事務手続きが煩雑になります。

一方、統一して管理する方法は「有給休暇の斉一的取扱い」といい、あらかじめ基準日を設定し一斉に有給休暇を付与しますが、勤続期間の切り捨ては認められません。

基準日を統一する上で最も重要なポイントは、労働基準法が労働者の「最低限の権利」を規定しているため、基準日を統一することで法律よりも不利な労働条件になってはならないということです。

例えば、基準日が4月1日の場合、1月1日に入社した人は本来では7月1日に有給休暇が付与されますが、まだ6ヶ月が経過していない4月1日に10日間の有給休暇が付与されます。このケースでは労働者が有利となり、労働基準法に違反しません。

しかし、基準日は変わらず4月1日で6月1日入社の場合では、本来ならば12月1日に付与されるべき有給休暇が、11ヶ月後の翌年4月1日になってから付与されることになります。このケースでは労働者が不利となるため、労働基準法違反となってしまいます。

労働基準法違反を回避する一つの策として、基準日を統一にし、入社日に一定日数の有給休暇を付与する方法があります。

例えば、基準日は4月1日で、入社時に10日間の有給休暇を付与するという条件にした場合、6月1日入社であれば本来は12月1日に10日間の有給休暇が与えられますが、入社時の6月1日時点ですでに10日間の有給休暇が与えられていることになります。このケースでは労働者が有利となり、労働基準法に違反しません。

しかし、このケースだと入社日によって不公平感が生じる可能性があるため、基準日を年2回設定し、入社日に付与する有給休暇の日数を入社月に応じて変更するという方法もあります。

なお、基準日を年3回や4回とすることも可能ですが、その場合は管理が煩雑になり、統一して管理する目的が失われてしまいます。管理の煩雑さを軽減することと、従業員の不公平感をなくすことのバランスをとって制度設計することが重要です。

また、労働基準法改正により、2019年4月から「年次有給休暇管理簿」を作成し、5年間(令和3年4月の時点:経過措置として、当分の間は3年)保存することが企業側(使用者)に義務付けられました。企業側(使用者)は、基準日・日数・時季などを記録することが求められますので、こちらもしっかりと対応しておきましょう。

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

有給休暇取得促進に向けた企業の取り組み

有給休暇取得の義務化という内容を紹介してきましたが、有給休暇取得率は就職や転職で企業を選ぶ際の基準の一つにもなっています。そのため、長時間労働の是正や優秀な人材の確保を目的に、社員が有給休暇を取得しやすい環境づくりに取り組む企業が増えています。

ここでは、有給休暇の取得率を上げるための企業の取り組み事例を紹介します。

株式会社リクルートキャリア

転職支援を行い、リクナビを運営する株式会社リクルートキャリアでは、アニバーサリー休暇制度やリフレッシュ休暇制度を導入しています。

アニバーサリー休暇制度は、「健康で生き生きと働くために、有給休暇の取得促進を目的とした休暇制度」として、年に一度、連続した4営業日以上の有給休暇を取得した社員に6万円のアニバーサリー手当が支給されることになっています。

また、「日常生活から離れて心身をリフレッシュし、中長期的な次の飛躍に備えるための休暇制度」であるリフレッシュ休暇制度は、3年に1度、連続5営業日の休暇を取得することができ、休暇取得時に24万円の手当が支給されるなど、社員のモチベーションを高めるための制度が多数導入されています。

参考:リクルートキャリア - Recruit Career「リクルートキャリアの制度風土、人のこと

六花亭製菓株式会社

六花亭製菓は、北海道の代表的なお土産である「マルセイバターサンド」をはじめ、さまざまなお菓子を製造・販売しています。創業者・小田豊四郎の「作り手が心身ともに健康でなければ、おいしいお菓子は作れない」という理念に基づき、1989年から32年連続で全社員の有給休暇取得率を100%としています。

また、入社2年目以上の社員を対象に、1週間以上の連続休暇を取得できる「長期休暇制度」を導入しています。

さらに、6人以上の社員が集まって休日や有給休暇を利用した旅行を企画して申し込むと、旅費の70%(1人あたり年間20万円まで)を会社が負担してくれる「社内旅行制度」もあります。

国内・海外を問わず、社員が自由に旅行コースを設定できるため、年間延べ1,000人の社員がこの制度を利用して「非日常」を体験しています。

参考:六花亭「福利厚生・社内制度

まとめ

有給休暇の取得は労働基準法上の労働者の権利であるため、その行使を求められた場合には、原則として希望する時季に取得できるようにしなければなりません。

また、労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者を対象に、5日分は付与された日から1年以内に必ず取得させるよう義務付けられました。罰則が発生するので、企業側はもちろんですが、従業員側も自身の有給休暇日数を意識し、効率的に消化することを心がけましょう。

現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、休業を余儀なくされている事業者が多い状況にあります。出勤できない間は給料も支払われないため、労働者は有給休暇を取得することでこの状況に対応しなければならないと考えるかもしれませんが、労働基準法により、事業者の都合で労働者を休業させた場合は、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければならないとされています。

しかし休業手当を受給するためには、労働者自身ではなく会社側の対応が鍵を握る現実が存在します。

この状況を受けて厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症の影響」により「事業活動の縮小」を余儀なくされた企業に対して、雇用の維持を図るための休業手当などの一部を助成する制度を発表しました。

詳しくは、厚生労働省の「雇用調整助成金(新型コロナ特例)」のページをご覧ください。

新型コロナウイルスに関連する助成金や、融資制度については下記のページをご覧ください。

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