人事労務の基礎知識

雇用保険とは? 概要から加入対象、手当の種類まで解説

雇用保険は、労働者が失業した時などに必要な給付である失業等給付(基本手当)を受けられることがよく知られています。そのほか、労働者の生活や雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的としています。
この「雇用保険」の仕組みや役割、これから従業員を雇用する事業主が気をつけることなどについて解説します。 [監修:山本務(特定社会保険労務士)]

更新日:2019年4月3日

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雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者の安定した雇用と雇用の促進を目的とした社会保険制度のひとつであり、政府が管掌する強制保険制度です。

雇用保険に加入していることで、失業した場合や収入が減った場合に条件を満たせば「基本手当(失業給付)」や「高年齢雇用継続基本給付金」、「育児休業給付金」、「介護休業給付金」などの給付を受けることができます。
労働者が職業に関係があり条件に合う教育訓練を受けた場合にも「教育訓練給付金」が受けることができます。

失業したときの再就職支援や、失業・育児・介護・定年後再雇用などによって収入が減少する労働者の生活を守り、生活を支援するのが雇用保険の大きな目的です。

雇用保険による雇用の支援は、労働者に対してだけでなく事業所に対しても行われ、労働者を雇用し続けるのが難しい理由ができた場合に、事業主へ雇用を継続するための助成金や給付金などが支給されます。

事業主に対する支援としては、障がい者や母子家庭の母親、高齢者など就職が困難だとされている者を雇用した際に支給される特定求職者雇用開発助成金や、非正規労働者が企業内でキャリアアップするための取り組みを行っている企業に支給されるキャリアアップ助成金などがあげられます。

また、職業経験、技能、知識などが不足しているため安定した就職が難しい求職者を一定の期間試行雇用した企業に給付されるトライアル雇用奨励金なども、雇用保険によるものです。

事業主は雇用保険の各種届け出を確実に行う必要あり

雇用保険を管理運営するのは厚生労働省で、申請や給付などの手続きは全国のハローワーク(公共職業安定所)で行います。雇用保険料は、労働者と事業主双方が負担するものです。事業所が労災保険料とともに管轄の労働局へ納めます。

事業主は、雇用保険の適用基準を満たす労働者については、事業主や労働者の意思に関係なく、労働者が被保険者になった旨をハローワークに届け出なければならないとされています。
この届け出ができていないと、労働者が失業してしまった場合などに支給される給付の手続きができず、労働者が不利益を被る事態になります。

これが基になり、労働者と事業主の間で労働紛争が生じる原因にもなり得ますので、事業主は雇用保険の各種届け出は確実に行うよう注意しましょう。

平成30年5月から、雇用保険被保険者資格取得届などの雇用保険の書類手続きでマイナンバー(個人番号)を利用することが法律で定められています。取扱には十分注意して届け出を行いましょう。

雇用保険の適用と被保険者の範囲

労働者を一人でも雇用していれば、雇用保険の加入手続きが必要になります。

被保険者について

労働者を雇用する事業は、業種、規模等に関わらず全て雇用保険の適用を受けます。また、適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。そのため、事業主は、労働保険料の納付や雇用保険法の規定による各種届け出等の義務を負います。

被保険者の範囲

「雇用保険が適用される労働者」とは、雇用関係(労働者が事業主に対し労働に従事することを約束し、事業主がその労働に対して給料を支払うという関係)によって得られる収入によって生活する者をいいます。よって、臨時内職的に就労する者は雇用関係にないため被保険者とはなりません。

雇用保険が適用されないのは?

雇用保険が適用されないのは、法人の代表取締役や取締役などです。合名会社の社員や合資会社の無限責任者なども雇用保険に入ることはできません。(ただし従業員兼務の取締役は、条件を満たせば雇用保険の被保険者になることが可能です。)
各種団体の役員や自営業など個人事業の事業主及びその親族も雇用保険の適用対象外です。

ほかに、事業主と委任関係にある外交員(外務員)も個人事業主にあたるため保険の適用対象外となります。

パートタイム労働者は雇用保険の対象か

パートタイム労働者も、一定の基準に該当すれば雇用保険の加入手続きが必要になります。

パートタイム労働者の適用基準

パートタイム労働者については、下記のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となります。

(1)1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること

(2)31日以上引き続き雇用される見込みや予定があること

    具体的には、
  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 31日以上の雇用見込みがある場合
  • 雇用契約に更新の規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
  • 雇用契約に更新の規定はないが、同様の雇用契約により、雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合(当初は31日以上雇用される見込みがなかった場合でも、その後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。)

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引用元:厚生労働省

雇用保険の手当の種類

雇用保険には、労働者が失業して収入を得られなくなった場合、労働者について雇用の継続が困難になる事由が生じた場合、および、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、生活および雇用の安定と就職の促進のために支給する手当があります。

求職者に対する主な手当

基本手当(休職者給付)
雇用保険に加入している者が定年、倒産、契約期間の満了等により離職した場合に、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職してもらうために支給されるものです。
ただ、雇用保険に加入していても、全ての被保険者であった者に基本手当が支給されるわけではありません。基本手当が支給されるのは、雇用保険の加入期間や失業の理由などが受給資格を満たし、なおかつ、ハローワークに求職申込みを行い、働く意思と能力があり、求職活動を行なっているにもかかわらず、就職できない場合です。これらの条件を満たせば一定の期間、基本手当が支払われます。
技能習得手当
基本手当受給資格者が指定の公共職業訓練を受ける際に基本手当とは別に受けられるもので、受講手当と通所手当があります。
寄宿手当
公共職業訓練を受けるために家族と別居して寄宿する際に支給されます。
傷病手当
求職の申し込み後の基本手当受給資格者が、病気やけがのために15日以上継続して仕事に就けない場合に支給されます。
高年齢求職者給付金
高年齢継続被保険者(65歳以上の被保険者であって、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者とならない人)が失業した場合に、被保険者であった期間に応じて支給されます。
特例一時金
季節的に雇用されている者等、短期雇用特例被保険者が失業した場合に支給されます。
日雇労働求職者給付金
日雇労働被保険者が失業した場合に支給されます。

就職を促進するための手当

再就職手当
基本手当受給資格者が、所定給付日数が3分の1以上残っている状態で再就職した場合に支給要件を満たしていれば支給されます。
就業手当
再就職したものの、雇用形態が再就職手当の対象でない常用雇用以外の形態で就職した場合に支給されます。
就業促進定着手当
再就職後の一定期間の賃金が離職前の賃金を下回る場合に支給されます。
常用就職支度手当
障害のある方など就職が困難な基本手当受給資格者が安定した職業に就いた場合に支給されます。
移転費
受給資格者がハローワーク等が紹介した職業に就くため、あるいはハローワークの所長が指示した公共職業訓練等を受講するために転居する必要がある場合に支給されます。
広域求職活動費
受給資格者等が待機期間後に広域求職活動を開始したり、ハローワークの紹介で、求職活動のため遠方の事業所に訪問する際等に支給されます。
短期訓練受講費
受給資格者等がハローワークの職業指導により再就職に必要な教育訓練を受け終了した場合に、支払った教育訓練経費の一定額が支給されます。
求職活動関係役務利用費
受給資格者等が求人者との面接等や教育訓練受講のため、子の保育等サービスを利用した場合に、本人が負担したサービス利用の費用の一部が支給されます。

教育訓練を受講した場合の給付

教育訓練給付金
一定の条件を満たす一般被保険者や一般被保険者でなくなって1年以内の者が指定の教育訓練を受講終了した場合に、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されます。

雇用を継続するための給付

高年齢雇用継続基本給付
高齢者が再雇用等により賃金が一定率未満に減少した場合に、その状態で働き続ける場合に支給されます。
育児休業給付
被保険者が1歳または1歳2ヶ月(保育所に入れない場合は1歳6ヶ月または2歳まで)未満の子供を養育するための育児休業中に要件を満たせば支給されます。
介護休業給付
家族を介護するための休業をした被保険者が要件を満たすと支給されます。

まとめ

雇用保険とは、労働者の生活を守り再就職や雇用を支援するための制度です。一定の条件を満たす場合に支給される基本手当などの給付金を受給するには、仕事に就ける状態か、あるいは仕事に就く意思があるかどうかが重要になってきます。
また、今後は雇用保険の手続きにマイナンバーの記載が増加していくことが予想され、事業主は従業員のマイナンバーをより厳重に管理することが求められます。マイナンバーの取扱いについてもう一度見直しておきましょう。

監修:山本務 <やまもと つとむ>
(特定社会保険労務士)

やまもと社会保険労務士事務所、代表の山本です。労働相談、あっせん代理、労務環境調査、行政調査対応、人事労務管理、就業規則の作成・見直し、労働保険・社会保険の電子申請、給与計算、助成金申請支援など幅広く展開しています。

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