人事労務の基礎知識

深夜手当(深夜割増賃金)とは?割増率や計算方法、注意点をわかりやすく解説

深夜手当(深夜割増賃金)とは?何時から何時まで?割増率や計算方法をわかりやすく解説

深夜手当(深夜割増賃金)とは、原則として午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働した従業員に対し、通常より割増で支払う賃金のことです。労働基準法で支給が義務付けられており、適切に支払われていない場合は法令違反となる恐れがあります。

しかし、深夜手当の計算には割増率や時間外・休日労働との重複など、複雑なルールが絡むため、正しく理解することが肝心です。

本記事では、深夜手当の基本的な仕組みから具体的な計算方法、注意すべきポイントまでをわかりやすく解説します。労務管理のミスを防ぎ、法令遵守と従業員の信頼確保にお役立てください。

目次

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深夜手当(深夜割増賃金)とは

深夜手当(深夜割増賃金)とは、原則として午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働した従業員に対し、通常より割増で支払う賃金のことです。

深夜手当の支払いは、労働者の労働条件の保護を目的とした制度です。正社員だけでなく契約社員やパート・アルバイト、派遣社員など、すべての雇用形態の従業員が対象となります。定時勤務のシフトが深夜時間帯にかかる場合でも、深夜手当の支払い対象となるため注意が必要です。

なお例外として、厚生労働大臣が必要だと認めた一部の地域・期間・事業では、深夜手当の対象時間帯が午後11時から午前6時に変更されることがあります。

深夜手当と深夜残業手当、夜勤手当の違い

深夜労働に関する手当には似た言葉が多くありますが、法的な性質が異なります。

ここでは、深夜手当と深夜残業手当、夜勤手当の違いを解説します。

深夜手当と深夜残業手当の違い

深夜労働に関する手当には、深夜手当と深夜残業手当の2種類があります。これらは内容が異なります。

深夜手当は、深夜時間帯に働いたことに対する割増賃金であり、所定労働時間内であっても支給対象となります。

一方、深夜残業手当は、所定労働時間を超えた時間外労働(残業)が深夜時間帯に及んだ場合に支払われる賃金です。これは通常の時間外労働手当の割増に、深夜労働の割増が加算される形で計算されます。

たとえば午後11時から午前1時まで残業した場合、その時間は時間外労働と深夜労働が重なります。時間外労働手当(25%増)と深夜手当(25%増)が合算され、合計で50%増の賃金が支払われるのです。

【関連記事】
残業代の計算方法まとめ!月給制・時給制での出し方や割増率をわかりやすく解説

深夜手当と夜勤手当の違い

深夜手当と似ている用語に「夜勤手当」がありますが、この2つには明確な違いがあります。

深夜手当は労働基準法で定められた最低25%以上の割増賃金で、支払わなければ法令違反となります。

一方、夜勤手当は交代制勤務や夜勤の労いとして、企業が独自に設定する任意の手当です。
必ずしも深夜時間帯(午後10時から翌午前5時)に限定されず、一律「1回につき〇〇円」などと支給されることが一般的です。

重要なのは、夜勤手当が支給されていても、深夜に働いた時間については別途深夜手当を支払う必要がある点です。

深夜手当の割増率一覧

深夜労働に対する割増率は、労働基準法によって「通常賃金の25%以上」と定められています。さらに、時間外労働や休日労働と重なる場合は割増率が加算されます。

一目でわかる割増率の早見表は、以下のとおりです。

労働の種類条件割増率(最低基準)
深夜労働午後10時~翌午前5時の労働25%以上
深夜残業深夜労働 + 時間外労働50%以上(深夜割増25% + 時間外割増25%)
月60時間超の深夜残業深夜労働 + 月60時間超の時間外労働75%以上(深夜割増25% + 月60時間超の時間外割増50%)
休日の深夜労働深夜労働 + 法定休日労働60%以上(深夜割増25% + 時間外割増(法定休日)35%)

2023年4月の労働基準法改正により、中小企業においても「月60時間を超える時間外労働」の割増率が50%に引き上げられました。月60時間を超える残業が深夜に及んだ場合は、「深夜割増25% + 時間外割増50% = 75%以上」の割増賃金が必要となります。

深夜手当の計算方法

深夜手当を正確に計算するためには、以下の3つのステップで行います。

  1. 時間単位の賃金を求める
  2. 深夜労働の時間を計算する
  3. 時給に割増率と労働時間を乗算する

とくに月給制の場合は、1時間あたりの賃金(時給換算)を正しく出すことが重要です。

1. 時間単位の賃金を求める

月給制の場合、まず1時間あたりの賃金(時給)を算出します。給料が時給制の場合は、そのまま時給を用います。

月給制の場合の計算手順は、以下のとおりです。

項目内容
年間の月平均所定労働時間(365 - 年間所定休日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12
1時間あたりの賃金 月給 ÷ 月平均所定労働時間

まずは、月平均所定労働時間を算出します。次に月給を月平均所定労働時間で割ることで、1時間あたりの賃金を求めます。

ただし、月給の計算には、通勤手当や家族手当など一律に支給されない手当は含めない点に注意が必要です。基本給や職務手当など、固定的な賃金のみを対象とする点を覚えておきましょう。

2. 深夜労働の時間を計算する

次に、すべての労働時間のうち、午後10時から午前5時の間に働いた時間を出勤簿やタイムカードなどから正確に計算します。

なお、割増率の計算に影響するため、その深夜労働が法定労働時間外労働や法定外休日労働に該当するかも、あわせて確認しておきましょう。

複数の割増率が適用されるケースもあるため、「法定外残業時間」「法定内・外を問わない深夜労働時間」「休日労働時間」などは別々に計算しておくことをおすすめします。これにより、計算が複雑になっても正確に算出しやすくなります。

3. 時給に割増率と労働時間を乗算する

最後に、深夜労働時間に「25%」の割増を加えて深夜手当を算出します。

項目内容
深夜手当のみの支給額1時間あたりの賃金 × 25% × 深夜労働時間
深夜労働に対する支給額1時間あたりの賃金 + 深夜手当
(1時間あたりの賃金 × 1.25 × 深夜労働時間)

たとえば、時給1,000円の従業員が午後6時から翌午前3時まで働き、所定労働時間内に休憩を1時間とった場合の計算は以下のとおりです。

労働時間計算式・支給額
通常労働時間
(午後6時~午後10時)
休憩1時間
1,000円 × 3時間 = 3,000円
深夜労働時間
(午後10時~翌午前3時)
1,000円 × 1.25 × 5時間 = 6,250円
合計労働時間
(午後6時~翌午前3時)
3,000円 + 6,250円 = 9,250円

このように、深夜労働時間には25%の割増を加算して計算し、手当を支給します。

深夜手当の計算に関する注意点

深夜手当を計算する際は、いくつかの特殊なケースに注意が必要です。所定労働時間が深夜時間帯にかかる場合や、法定休日と深夜労働が重なる場合、固定残業時間制を採用している場合など、状況に応じた対応が求められます。これらのケースでは、通常とは異なる割増率や支給要件が適用されるため、正確な理解と処理が必要です。

ここでは、実際の給与計算で間違いやすいポイントを、具体例とともに解説します。

所定労働時間が深夜時間帯にかかる場合

所定労働時間が深夜(午後10時~翌午前5時)にかかる場合でも、深夜手当の支払いは必要です。また、実労働時間が8時間を超えた場合は、時間外労働の割増も加算されます。

たとえば、以下のようなケースにおける計算例を見てみましょう。

時給:1,200円
所定労働時間:午後5時〜翌午前2時
実労働:午後5時〜翌午前5時(休憩1時間)

この場合、支給額は以下のようになります。

労働時間計算式・支給額
所定労働時間内
(午後5時~午後10時)
1,200円 × 5時間 = 6,000円
深夜の所定労働時間内
(午後10時~翌午前2時)
休憩1時間
1,200円 × 1.25 × 3時間 = 4,500円
深夜の時間外労働
(午前2時~午前5時)
1,200円 × 1.50 × 3時間 = 5,400円
合計労働時間
(午後5:00~翌午前5時)
6,000円 + 4,500円 + 5,400円 = 15,900円

法定休日に深夜残業した場合

法定休日に深夜残業した場合は、休日労働手当(35%以上)と深夜手当(25%以上)が重なり、最低でも60%以上の割増手当を支払う必要があります。

たとえば、「1時間あたりの賃金が1,000円」で「法定休日かつ深夜時間に2時間働いた」ケースでは、支給額は以下のようになります。

労働時間計算式・支給額
法定休日の深夜労働時間
(午後10時~翌午前0時)
1,000円 × 1.60 × 2時間 = 3,200円

この場合、通常の賃金1,000円に対して、60%増の1,600円が1時間あたりの賃金となります。実際には2時間働いているので、総支給額は3,200円です。

固定残業時間制(みなし残業制)を採用している場合

固定残業時間制とは、企業があらかじめ毎月の労働時間を定め、時間外・休日・深夜労働の手当を一定時間分まとめて支給する制度です。

固定残業代(みなし残業代)として手当を支給している場合でも、その金額に深夜割増分が含まれている旨を就業規則や雇用契約書に明記していなければなりません。

明記がない場合や、固定残業代として設定した時間を超えて深夜労働をした場合は、別途深夜手当を支払う義務が発生します。

【関連記事】
固定残業代(みなし残業代)とは?メリットや計算方法について解説

深夜手当の対象者と労働制限における注意点

深夜手当の支給においては、対象者の範囲や労働制限を正しく理解しておく必要があります。とくに管理職への支給義務や、年齢・性別・家庭状況による深夜労働の制限など、労働基準法や関連法令で定められたルールを遵守することが重要です。

管理職(管理監督者)にも深夜手当の支払いは必要

労働基準法上の「管理監督者」に該当する従業員は、時間外手当や休日手当の支給対象外ですが、深夜手当については支払い義務があります。店長や課長であっても、深夜に働いた分の割増賃金(25%分)は支給しなければなりません。

18歳未満の年少者や妊産婦、育児介護を行う者の深夜労働制限

労働基準法第61条では、18歳未満の年少者を午後10時~翌午前5時の深夜時間帯に働かせてはならないと定められています。ただし、以下に該当する場合は、18歳未満の深夜労働が認められています。

18歳未満で深夜労働が認められる場合

  • 交替制によって働く16歳以上の男性
  • 交替制の事業で労働基準監督署の許可を受けている場合
    (ただし、22時30分まで)
  • 非常事態により時間外労働や休日労働の必要があり、労働基準監督署の許可を得ている場合
  • 農林水産業、保健衛生の事業、電話交換の業務に従事する場合

また、妊娠中および出産後1年以内の女性労働者は、深夜労働を拒否する権利があります。この権利を行使した場合、企業は深夜勤務を命じてはなりません。

さらに、育児・介護を行う労働者は、深夜に保育・介護ができる同居家族がいない場合、深夜労働の免除を受けられます。小学校就学前の子どもを養育する労働者や、要介護状態の家族を介護する労働者が対象となります。

まとめ

深夜手当は、労働基準法によって義務付けられた重要な制度です。雇用形態にかかわらず、午後10時から午前5時までに働いたすべての従業員に対して、通常賃金の25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

さらに、時間外労働や休日労働と重なる場合の割増率の合算や、2023年4月に施行された「月60時間超の時間外労働の割増率引き上げ」など、計算が複雑化しやすいポイントも多々あります。正しい知識を持ち、法令を遵守した適切な労務管理を行いましょう。

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よくある質問

深夜手当は何時から何時までが対象?

深夜手当の支給対象となる時間は、労働基準法に基づき「午後10時から午前5まで」とされています。ただし、「厚生労働大臣が必要だと認めた地域・期間」については、午後11時から午前6時までの時間帯に変更が可能です。

詳しくは、記事内「深夜手当(深夜割増賃金)とは」をご覧ください。

深夜手当の割増率はいくら?

深夜手当の割増率は「通常賃金の25%以上」です。なお、これは最低基準となるため、企業はこれを下回る割増率を設定してはなりません。

詳しくは、記事内「深夜手当の割増率一覧」をご覧ください。

深夜手当の計算方法は?

深夜手当を計算するには、まず時間単位の賃金を算出し、続いて深夜労働の時間を計算します。最後に、時給に割増率と労働時間を乗算すれば、深夜手当の支給額を算出できます。

詳しくは、記事内「深夜手当の計算方法」をご覧ください。

参考文献

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