人事労務の基礎知識

健康保険資格喪失証明書とは?発行手続きや書き方について解説

監修 北 光太郎 きた社労士事務所

健康保険資格喪失証明書とは?発行手続きや書き方について解説

「健康保険資格喪失証明書」とは、健康保険の資格喪失を証明する書類です。

会社を退職すると加入していた健康保険を脱退する(加入資格を喪失する)ことになるため、ほかの健康保険に加入しなければなりません。もし国民健康保険に加入する場合は、「健康保険資格喪失証明書」が必要になります。

本記事では、「健康保険資格喪失証明書」を発行する手続き方法をくわしく解説します。

目次

社会保険料の計算や手続きを安心・確実に

freee人事労務なら、従業員情報や勤怠データを基に自動で給与計算します。

一人ひとりに合わせた社会保険料や雇用保険料、所得税を自動で計算するのでミスなく安心です。

ぜひ一度、お試しください!

健康保険資格喪失証明書とは

健康保険資格喪失証明書とは、退職などによって健康保険の被保険者資格を喪失したことを証明する書類のことです。

健康保険資格喪失証明書は、基本的には協会けんぽ加入者の場合は年金事務所、健保組合加入者の場合は健康保険組合から発行されます。ただし、会社が健康保険資格喪失証明書を作成するケースもあるため、発行を申請する際は、まず会社に申請方法を確認しましょう。

退職によって加入資格を喪失した場合は、喪失日として退職日の翌日の日付が証明書に記載されます。

被扶養者がいる場合は、被扶養者の分も含めて資格喪失が証明されるため、被扶養者分の証明書としても有効です。

資格喪失届の手続き完了後から発行可能

健康保険資格喪失証明書は、加入している健康保険の資格喪失手続きが完了しなければ発行されません。資格喪失手続きは会社側が行う手続きであるため、従業員側の対応は不要です。

そのため、資格喪失証明書の発行が必要な場合には、あらかじめ会社の担当者に資格喪失手続きの予定日を確認しておいてもよいでしょう。

証明書の発行には届出が必要

健康保険資格喪失証明書を発行してもらうには、加入している健康保険または会社の担当者に資格喪失証明書の発行申請をする必要があります。

しかし、会社側には健康保険資格喪失証明書を発行する義務はありません。退職前に会社側で健康保険資格喪失証明書の手続きが可能か確認しておきましょう。

もし、会社側で手続きできない場合は、自身で手続きをしなければなりません。加入している健康保険のホームページなどで必要書類や申請手順を確認しておきましょう。

勤務先が倒産した場合の対応

勤務先が倒産し、やむを得ず国民健康保険への切り替えが必要になった場合でも、資格喪失証明書の発行は可能です。

ただし、勤めていた会社側では資格喪失証明書の発行手続きが難しい可能性があります。その場合は、従業員が自ら、年金事務所もしくは加入していた健康保険組合に問い合わせし、発行申請を行いましょう。

証明書を紛失した場合は再発行が可能

健康保険資格喪失証明書を紛失した場合は、基本的には再発行が可能です。

協会けんぽ加入者であれば、管轄の年金事務所へ問い合わせてみましょう。協会けんぽ以外の健康保険に加入していた場合も、健康保険組合に問い合わせをして資格喪失請求書の再発行を依頼してください。

なお、国民健康保険に切り替えるにあたって、原則は資格喪失証明書の提出が必要ですが、自治体によっては退職証明書や離職票などがあれば資格喪失証明書の提出は求められないケースがあります。その場合は再発行が不要のため、お住まいの自治体へ確認しましょう。

健康保険資格喪失証明書の提出が必要なケース

冒頭でも述べたとおり、退職後に国民健康保険へ加入する場合は、健康保険資格喪失証明書の提出が必要です。

国民健康保険の加入手続きは、原則として資格喪失日(退職日の翌日)から14日以内に行わなければなりません。そのため、手続きに間に合うように証明書を準備しておく必要があります。

ただし、喪失日から14日を過ぎても加入は可能です。その場合の保険料の支払方法などは市区町村に確認してください。

健康保険資格喪失証明書の提出が必要ないケース

主に以下のケースでは、健康保険喪失証明書の提出は必要ありません。

  • 退職後に別の会社に転職する場合
  • 退職後も加入していた健康保険の任意継続制度を利用する場合

退職後に別の会社に転職する場合は、転職先の会社が加入している健康保険の被保険者になります。

一般的に、転職先から健康保険資格喪失証明書の提出を求められるケースは多くありません。ただし、新たに加入する健康保険組合によっては資格喪失証明書を提出しなければならないことがあるため、転職先の会社に確認しましょう。

また、退職後も加入していた健康保険の任意継続制度を利用するのであれば、資格喪失証明書は必要ありません。

任意継続制度とは、従業員の希望があれば、会社を退職しても原則2年間は継続して健康保険に加入できる制度です。協会けんぽの任意継続制度を利用する場合、「資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること」「資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に任意継続被保険者資格取得申出書を提出すること」が条件となります。

任意継続期間の満了後は加入していた健康保険から「任意継続被保険者資格喪失通知書」が送られ、それが資格喪失の証明書となるため、資格喪失証明書の発行手続きは必要ありません。

健康保険資格喪失証明書の発行手続き

健康保険資格喪失証明書の発行手続きは、協会けんぽに加入していた場合は年金事務所、健康保険組合に加入していた場合は健康保険組合あてに行います。

ここでは協会けんぽに加入していた場合の発行手続きを解説します。健康保険組合の場合は手続きが異なるため、加入していた健康保険組合に問い合わせて確認しましょう。

協会けんぽにおける、健康保険資格喪失証明書の発行手順は以下のとおりです。

健康保険資格喪失証明書の発行手続き

  1. 資格喪失証明書の請求書に記入する
  2. 管轄の年金事務所に請求書を提出する
  3. 資格喪失証明書を受け取る

それぞれ順を追って解説します。

1.資格喪失証明書の請求書に記入する

資格喪失証明書を発行するには、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険資格取得・資格喪失等確認請求書」の提出が必要です。

ひな型は日本年金機構のホームページからダウンロードができます。

2.管轄の年金事務所に請求書を提出する

必要事項を記入した請求書は、自宅近くの年金事務所に提出します。提出方法は、年金事務所の窓口持参か郵送のいずれかです。

直接持参する場合は、マイナンバーカードまたは身分証明書(運転免許証やパスポートなど)の提示が必要であるため、忘れずに持って行きましょう。

郵送する場合は、マイナンバーカードの表裏両面または身分証明書のコピーを添付して日本年金機構の事務センターに提出します。

3.資格喪失証明書を受け取る

請求書を年金事務所の窓口に提出した場合は、資格喪失証明書を即日受け取れますが、郵送だと数日かかります。急いでいる場合は、直接年金事務所の窓口に行って申請しましょう。

ただし、会社が資格喪失手続きを完了していない場合は、資格喪失証明書は発行されません。年金事務所側で資格喪失の確認がとれてからの発行となりますので、注意しましょう。

健康保険・資格喪失等確認請求書の書き方

ここでは、協会けんぽに証明書の発行を申請する際に必要な「健康保険・資格喪失等確認請求書」の書き方を解説します。健康保険組合に加入していた場合は、各組合のホームページから記入例をご覧ください。

請求書の記載内容は、大きく以下の4つに分かれています。

健康保険・資格喪失等確認請求書の記載内容

  • 申請者が記入する欄
  • 確認書を必要とする理由
  • 被保険者 (被保険者であった者) について記入する欄
  • 被扶養者 (被扶養者であった者) について記入する欄

申請者が記入する欄

「申請者が記入する欄」には、資格喪失証明書を申請する人の情報を記入します。氏名・現住所・電話番号のほか、申請者の続柄の記入が必要です。

確認書を必要とする理由

「確認書を必要とする理由」には、「国民健康保険の加入(脱退)手続き」か「その他」のどちらかにレ印を入れます。

「その他」とは、転職先の健康保険組合に提出する場合などが考えられます。該当する箇所にレ印を入れましょう。

被保険者 (被保険者であった者) について記入する欄

「被保険者 (被保険者であった者) について記入する欄」には、被保険者本人の生年月日や会社名、会社の重所などの情報を記入します。

申請者が本人である場合には、氏名と現住所の記入は不要ですが、個人番号(マイナンバー)もしくは基礎年金番号の記入が必要です。

被扶養者 (被扶養者であった者) について記入する欄

「被扶養者 (被扶養者であった者) について記入する欄」には、被扶養者の氏名や生年月日、続柄を記入します。

国民健康保険には「被扶養者」という概念がなく、それぞれが国民健康保険に加入することになります。加入時には被扶養者の分も資格喪失の証明が必要になるため、忘れずに記入しましょう。

社会保険の手続きや保険料の計算をラクにする方法


従業員の入退社時の手続きや保険料の計算が煩雑でお困りではありませんか?

こうした手続きはfreee人事労務を使うことで、効率良く行えます。

社会保険料の計算含む、給与計算事務全体を効率化

freee人事労務給与計算

freee人事労務では、従業員情報や最新の料率にもとづいて、社会保険の計算をミスなく効率的に行えます。

また、勤怠管理をクラウド上で行うことで、勤怠データをリアルタイムに集計でき、ワンクリックで給与計算・給与明細の発行が完了します。

気になった方は是非freee人事労務をお試しください。

まとめ

健康保険資格喪失証明書は、国民健康保険に加入するために必要になる書類です。会社を退職して国民健康保険に加入する場合は、まず会社の担当者に証明書を発行する意思を伝えましょう。

従業員自身で申請する場合は郵送でも可能ですが、急ぎの場合は年金事務所の窓口に持参すれば、即日発行されます。喪失日から14日以内に手続きを済ませられるよう、早めに手続きを行いましょう。

よくある質問

健康保険資格喪失証明書を発行してもらうには?

退職時、会社側には健康保険資格喪失証明書の発行義務がないため、事前に会社側で発行してもらえるか確認しておきましょう。

会社で発行してもらえない場合は、自分自身で加入していた協会けんぽ、または健康保険組合にて発行手続きを行う必要があります。

詳しくは記事内「健康保険資格喪失証明書の発行手続き」をご覧ください。

健康保険資格喪失証明書は必要?

健康保険資格喪失証明書は、在籍していた会社を退職した後、国民健康保険に加入するために必要な書類です。

詳しくは記事内「健康保険資格喪失証明書の提出が必要なケース」をご覧ください。

監修 北 光太郎

きた社労士事務所 代表
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。

北 光太郎

人事労務のすべてをfreeeひとつでシンプルに

freee人事労務は、入社手続きで取得した従業員ごとの保険料・税金と、打刻情報とを紐づけて自動で給与計算し、給与明細も自動で発行します!

ぜひ一度ご覧ください!