人事労務の基礎知識

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の提出方法と実務における注意点

従業員が、所属している会社から退職および異動等をした際には、健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の提出が必要となります。そもそも健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届はどのような内容の書類なのか、その提出方法や関連する実務手順についてもあわせてご紹介します。

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の概要

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届とは

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届は、事業主が提出すべき書類のひとつです。各会社では、従業員が死亡や退職、転勤した場合、あるいは一定の年齢に達し厚生年金保険および健康保険の資格を喪失した従業員がいる場合に提出が義務付けられています。
何らかの理由により、従業員が「障害認定」を受けることになった場合にも届出を行う必要があります。

様式に記載すべき項目

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届に記載すべき主な内容は、対象となる従業員の氏名や生年月日のほか、年金手帳の基礎年金番号や資格喪失原因、標準報酬(月額)となります。また、健康保険および厚生年金保険の資格喪失原因については、5つの区分から選択する方式となっています。

具体的には、従業員が70歳に達し厚生年金保険対象から外れる場合には「70歳到達」、75歳となり健康保険の被保険者でなくなる場合には「75歳到達」を選択します。一方、退職や雇用形態の変更によって資格を喪失した場合には「その他」、死亡による資格喪失の場合には「死亡」を選択し、備考欄にその事実が発生した日付を記載します。

引用元:日本年金機構

資格喪失年月日の考え方

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届において、各従業員の資格喪失年月日の記入は必須となります。以下、喪失原因別に資格喪失年月日の考え方を整理しておきましょう。

死亡または退職の場合

被保険者が死亡した場合、資格喪失年月日は、その「翌日」となります。なお、退職に関しては、自己都合か会社都合かは問わず、資格喪失年月日は、いずれの場合も退職日翌日として構いません。

転勤による場合

転勤によって被保険者資格を喪失する場合、資格喪失年月日は「転勤の当日」となります。

障害認定を受けた場合

65歳から74歳の被保険者が、後期高齢者医療広域連合(通称「広域連合」)より一定の障害があると認定された場合、資格喪失年月日は「障害認定日」となります。

70歳に到達する場合

70歳の誕生日を迎える被保険者が、厚生年金保険の資格を喪失する年月日は、「誕生日の前日」となります。

75歳に到達する場合

75歳に到達する被保険者がいる場合、その健康保険の資格喪失年月日は、「誕生日の当日」となります。なお、各事業所にまもなく75歳を迎える被保険者がいる場合には、誕生月の前月を目安として被保険者資格喪失届の様式が各事業所に送付されます。

様式の提出方法および添付すべき書類

届出様式の提出先

各会社の事業主は、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届を作成した後、日本年金機構へ提出します。具体的には、各事業者の住所地を管轄する年金事務所の窓口に持参するか、郵送にて事務センターへ送付するのが一般的です。なお、CDまたはDVDといった電子媒体での提出も有効です。

70歳到達によって厚生年金保険の被保険者資格のみを喪失する対象者がいる場合には、それ以外の被保険者分とは別個に届出様式を作成・提出する必要があります。

提出期限と添付書類

提出期限は、資格喪失の事実が発生した日から5日以内です。提出期限にあたる日が土日祝日である場合には、その翌日が期限です。日程に余裕がないことが事前に分かっている場合には、早めに届出様式への記入や必要添付書類の入手準備を行っておくことをおすすめします。

添付すべき書類としては、全国健康保険協会管掌健康保険(通称、「協会けんぽ」)の被保険者の場合、従業員本人とその扶養者の「健康保険被保険者証」が必須となります。そのほか、被保険者が「高齢受給者証」などの交付を受けている場合には、それらも合わせて添付しなければなりません。万が一、紛失などによって「健康保険被保険者証」が添付できない場合には、「健康保険被保険者証回収不能・滅失届」の添付も必要です。

一方、対象となる従業員が、組合管掌健康保険(通称、「組合健保」)の被保険者の場合には、「健康保険被保険者証」は健保組合の方に返却しますので、年金事務所での手続きに必要な添付書類はありません。

引用元:日本年金機構

届出書類提出後の社会保険料の控除

被保険者資格喪失届を提出した後の社会保険料の控除について、確認しておきましょう。例えば、退職によって被保険者資格を喪失した従業員にかかる社会保険料は、前月分の保険料の負担が必要になり、資格喪失日(すなわち、退職日翌日)が属する月の分は徴収されません。

月末に退職をする従業員がいる場合には注意が必要です。なぜならば退職した日が月末の場合、資格喪失日はその翌月の1日となることから、退職月の社会保険料も徴収されるからです。その場合、翌月に退職者への支払い給与は発生しない場合は、退職月の社会保険料は退職した日が属する月分の給与から控除しなければなりません。実務において、社会保険料の徴収が適切になされるよう、退職日が月末となる場合には慎重に対処する必要があります。

まとめ

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届に関して、概要および一連の手続きを理解したら、さっそく提出様式の準備を始めましょう。社員情報の管理を行う際、普段から社会保険関連項目を見やすく整理しておくことで、対象者を迅速に見極めることが可能となります。

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