人事労務の基礎知識

雇用保険の加入条件は?手続きの方法や必要書類について

企業(個人事業主を含む)が新たに従業員を雇用したときは「雇用保険の加入手続き」を行い、被保険者に「雇用保険被保険者証」を渡さなければいけません。
ここでは、雇用保険の対象となる従業員やその加入条件、加入できる年齢などの基本的な情報のほか、加入に必要な書類や雇用保険被保険者資格取得届の書き方を記入例とともにご紹介します。

労働保険の手続きや保険料の計算がラクに

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そもそも、雇用保険とは?

雇用保険とは簡単にいうと「仕事がなくなったときに備える公的保険」です。
会社員や比較的シフトに多く入っていたパート従業員、アルバイトが退職や失業したときに、経済的な心配をせずに再就職や起業などの準備ができるよう、約3ヵ月間~1年間の範囲で、給与の代わりとなる「失業等給付」を支給することが主な役割です。

給付を受ける条件や、給付を受けるまでの日数は、年齢や離職理由などによって異なります。このうち「特定受給資格者」とは、例えば所属していた企業の倒産やリストラ、解雇などで職を失った人のこと。「特定理由離職者」は、期間を定めた労働契約の期間の満了後に更新されなかった人や、体力の問題、妊娠や育児、住所変更などによって働き続けることが困難になって離職した人をいいます。

<特定受給資格者及び一部の特定理由離職者の所定給付日数>

※受給資格にかかる離職日が2017年3月31日以前の場合

<就職困難者の所定給付日数>

<上記2つ以外の離職者の所定給付日数>

引用元:ハローワークインターネットサービス

早期に再就職を決めた失業者には「再就職手当」や「就業手当」が支払われます。また、再就職手当を受けた人の給与が、まえの職場よりも下がった場合は、さらに「就業促進定着手当」が支払われます(再就職先に6ヵ月以上雇用される必要があります)。また、再就職に成功したことをハローワークに報告せず、その後も給付を受け続けることは、「不正受給」となりますので注意が必要です。

なお、育児や介護を理由に休業している従業員には、給与の代わりとなる「休業給付」が雇用保険の財源から支払われます。このほか、定年後も引き続き会社に勤めたものの、給与が下がってしまった高年齢従業員に対して、差額を埋め合わせるための「高年齢雇用継続給付」が支払われる場合もあります。
ちなみに、人を雇用する会社や個人事業主が「雇用保険に加入することは法的義務」として定められています。これは、あまねく労働者の社会的立場を保護することが目的です。

雇用保険の加入条件

さまざまな立場の従業員について、それぞれの雇用保険の加入条件をまとめました。

事業所に対する加入条件

従業員を一人でも雇っている事業所は、雇用保険法に基づき雇用保険適用事業所とされます。事業主は従業員の生活を守るため、加入条件を満たす従業員を雇用保険に加入させなければなりません。

正社員の場合の雇用保険の加入条件

雇用保険適用事業所で働く正規雇用の従業員(一般社員)は、すべて雇用保険に加入する義務があります。
これまで、加入者は65歳未満という年齢制限がありましたが、2017年1月1日以降、制度改正によって年齢制限がなくなりました。つまり、現在は65歳以上の従業員も雇用保険への加入が必要です。ちなみに、一般社員の場合は雇用保険の加入に雇用契約書の有無は問われません。たとえ試用期間中であっても、報酬が払われていれば雇用保険の加入対象になります。

なお、個人経営の農林水産業で、従業員が常時5人未満の場合は、例外である「暫定任意適用事業」にあたるため、雇用保険への加入は任意となります。

パートやアルバイト従業員、派遣社員の場合の雇用保険の加入条件

雇用保険に加入できる非正規雇用者は、週の所定労働時間が20時間以上で、継続して31日以上雇用される見込みのある者です。特に雇用期間が決まっていない場合や、雇用契約の更新により31日以上続けて働くことができる場合、当初は31日未満だった雇用契約が延長により31日以上になった場合なども、雇用保険への加入が必要です。

季節労働者の雇用保険の加入条件

季節に左右される仕事に従事する者で、1年のうち4ヵ月以上の雇用契約を結んでいて、週の所定労働時間が30時間以上の者は雇用保険の「短期雇用特例被保険者」となります。この短期雇用特例被保険者が失業した場合、基本手当(失業手当)の代わりに「特例一時金」という給付金が受け取れるのです。

日雇労働者の雇用保険の加入条件

1日単位の単発の仕事に従事する者や雇用期間が30日以内の者が、雇用保険適用事業所に雇用された場合は、自動的に加入条件が満たされますので、加入手続きを行うだけで「日雇労働被保険者」となります。

なお、日雇でも同じ事業主のもとで31日以上継続して働いているとき、2ヵ月継続して18日以上働く場合は、一般社員と同様に一般被保険者として雇用保険に加入することになります(公共職業安定所長の認可を受ければ、日雇労働被保険者の立場を継続することも可能です)。

日雇労働者が雇用保険の加入手続きを行うときは、みずからハローワークへ出向いて「雇用保険被保険者資格取得届」に「雇用保険日雇労働被保険者手帳」を添えて届け出なければなりません。この点はほかの雇用保険被保険者と大きく異なりますので、該当する方(雇用側も)は注意してください。

雇用保険加入の必要書類

新規に雇用保険に加入する事業所は、雇用保険に加入するための適用事業所の設置手続きが必要です。これにより、労働者の雇用保険加入手続きができるようになります。手続きはハローワークで行いますが、そのまえに「労働保険関係成立届」を労働基準監督署に提出しなければなりません。

労働保険関係成立届を提出したのち、「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」などを所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出して、雇用保険の加入手続きを行います。実際に、雇用保険適用事業所設置届の手続きを行う際に必要な書類は下記のとおりです。

  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 被保険者が持っている雇用保険被保険者証(なければ履歴書の写し)
  • 労働保険関係成立届の控え(労働基準監督署に提出した控え)
  • 法人登記謄本(原本)または登記事項証明書

このうち、雇用保険被保険者資格取得届には、賃金台帳や労働者名簿、出勤簿などの添付書類が必要になりますが、社会保険労務士や労働保険事務組合を通して提出するときと、特に問題がない場合は添付する必要はありません。手続きに必要な用紙は、ハローワークに設置してあります。特に資格取得届は、1人につき1枚必要なので、予め被保険者の人数より多めにもらっておくと良いでしょう。

また、すでに雇用保険に加入している事業者が、新たに雇用保険に加入する必要が生じた場合は、「雇用保険事業所各種変更届」とともに、雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出して手続きを行います。

一方、事業主として初めて雇用保険被保険者資格取得届を提出する際に、「提出期限を過ぎて提出することになった場合」や「過去3年間において事業主の届け出による不正受給が明らかになった場合」「労働保険料の納付状況が悪い場合」「株式会社の取締役や事業主と同居している親族が被保険者になる場合」には、添付書類が必要となります。

ハローワークでの雇用保険の加入手続き

雇用保険に加入する際は、新たな従業員を雇用した翌日から10日以内に、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)で雇用保険の手続きを行います。出向などの人事異動がある際は、加入手続きの見落としがないか必ず確認しておきましょう。

ちなみに、該当年度の雇用保険料は概算保険料を計算し、労災保険と合わせて申告・納付します。 それぞれの書類の書き方及び記入例は以下のとおりです。

保険関係成立届

保険関係成立届には、会社の概要、会社名、住所を記入し、雇用保険への加入日、雇用者数を記入します。1ヵ月のあいだに雇用者数の変動がある場合は「平均使用労働者数」で構いません。なお、雇用保険被保険者数は、一般・短期の労働者数と日雇労働者数の合計を記入します。
詳細は厚生労働省の「労働保険の成立手続はおすみですか」でご確認いただけます(リンク先はpdfファイルです)。

雇用保険適用事業所設置届

雇用保険適用事業所設置届には、会社名、住所、被保険者を雇用した日、会社の概要、保険関係成立届に記載される労働保険番号を記入します。
詳細は「ハローワークインターネットサービス」でご確認いただけます。

雇用保険被保険者資格取得届

労働保険番号は再取得の場合に記入するものです。最後に被保険者でなくなってから7年以上経過している場合は、新規取得として扱います。事業所番号は、雇用保険適用事業所設置届の提出の際に交付される番号となります。雇用の原因には、中途採用者や新卒者、出向によるものといった理由を番号で記入し、賃金、専門職や事務職など雇用形態、職種も併せて記載します。さらに、契約期間と1週間の労働時間などを記入して提出します。

ちなみに、従業員の雇い入れ日には試用期間も含めます。雇用保険の加入手続きをすると、「雇用保険適用事業所設置届事業主控」と「雇用保険被保険者証」「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」が交付されますので、雇用保険被保険者証を本人(従業員)に渡してください。

雇用保険適用事業所設置届事業主控には、その事業所に割り当てられた雇用保険の加入番号が印字されています。「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」といっしょに、事業所で大切に保管しましょう。 詳細は「ハローワークインターネットサービス」でご確認いただけます。

まとめ

雇用保険の加入手続きは、従業員一人ひとりに行うものです。正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの加入手続きも忘れずに行いましょう。また、人事異動や新規雇用などがあった際は、加入手続きを確認し直すことが大切です。

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