人事労務の基礎知識

残業代の計算方法まとめ!月給制・時給制での出し方や割増率をわかりやすく解説

残業代の計算方法まとめ!月給制・時給制での出し方や割増率をわかりやすく解説

残業代とは、労働基準法で定められている法定労働時間や、企業ごとに定められた所定労働時間を超えて働いた時間分の賃金です。残業代には、正しい計算方法や残業できる時間の上限などが定められており、従業員に正しく支給するためには仕組みを理解しなくてはいけません。

残業代の計算は、「残業代 = 時給 × 割増率 × 残業時間」で求めることができます。

本記事では、割増された賃金(時間外手当)の仕組みや、月給制・時給制における残業代の正しい計算方法、計算時の注意点などについて紹介します。

目次

給与計算を自動化してラクに

無料で試せるクラウド給与計算ソフト「freee人事労務」

freee人事労務なら、従業員データや勤怠データから給与を自動で計算、給与明細を自動で作成。社会保険料や雇用保険料、所得税などの計算も自動化し、給与振込も効率化します。

ぜひ一度、自動で給与計算してみてください!

残業代とは

残業代とは、労働基準法で定められている法定労働時間や、企業ごとに定められた所定労働時間を超えて働いた時間分の賃金です。

また、残業代と「時間外手当」の違いについても把握することで、自分の給与を適切に把握しやすくなります。

ここでは、法定労働時間や所定労働時間などについて解説します。

「法定労働時間」とは労働基準法によって定められた労働時間

法定労働時間とは、労働基準法第32条に定められた1日、1週間の労働時間の上限(週40時間、1日8時間まで)のことです。この労働時間を超える時間外労働に対しては、割増賃金が支払われます。

また、1日8時間以内の条件を満たしていたとしても、休日出勤をしたことなどにより週の労働時間が40時間以上になると、40時間を超過した部分が法律上の残業にあたり、割増賃金の対象となります。

なお、残業に該当するかどうかは実働時間で判断し、以下のようなケースは実働時間に含まれません。

  • 休憩時間
  • 遅刻や早退などの事情で勤務していなかった時間
  • 休暇を取得した場合
  • 私用の外出 など

「所定労働時間」とは企業が定めた労働時間

労働基準法で定められた「法定労働時間」と混同しがちなものに「所定労働時間」があります。所定労働時間とは、企業ごとに定められた「従業員が働く時間(労働時間)」のことで、休憩時間を除く始業から終業までの時間を指します。

所定労働時間は、就業規則や雇用契約書などに記載されている場合が多いので、確認してみるとよいでしょう。

なお、所定労働時間は法定労働時間に準じています。所定労働時間を超過していても、法定内残業(1日8時間、週40時間以内)であれば企業は割増賃金を支払う必要はありません。

残業代(手当)と時間外手当の違い

「残業代」や「残業手当」とは、会社の就業規則などによって決められている所定労働時間を超えて働いた場合、または法定労働時間を超えた場合に対して支払われる賃金の総称を指します。

一方で、「時間外手当」とは、労働基準法に定められた法定労働時間を超えて労働したこと(法外残業)に対して支払われる割増賃金です。

残業や時間外労働にはいくつかの種類があり、それぞれ割増率が異なります。割増率については、後述の「割増率と残業時間を計算する」をご覧ください。

残業の種類とそれぞれの割増率

残業代の計算を複雑にしている要因のひとつが、どの種類の残業に該当するかによって適用される割増率が異なる点です。労働基準法では最低限の割増率が定められており、通常の1時間あたりの賃金にこの割増率を掛けて計算します。

残業の種類と、法律で定められている最低割増率を一覧にすると以下のようになります。

割増賃金の種類割増率
時間外労働(法定労働時間を超過)25%以上
時間外労働(1ヶ月に60時間を超過)50%以上
深夜労働(午後10時から午前5時までの労働)25%以上
法定休日労働35%以上
法定外休日労働(所定休日労働)なし
(※週40時間を超えた場合は25%以上)

適正に給与計算を行うために、以下の4つの基本パターンとそれらの組み合わせについて理解しておきましょう。

時間外労働

法定労働時間である「1日8時間」または「週40時間」を超えて労働させた場合に発生する、いわゆる通常の残業です。割増率は25%以上(1.25倍)が義務付けられています。

注意点として、過度な長時間労働を防ぐ観点から、1ヶ月に60時間を超える時間外労働に対しては割増率が50%以上(1.50倍)に引き上げられています。2023年4月1日より、中小企業を含むすべての企業にこのルールが適用されています。

休日労働(法定休日の出勤)

労働基準法で義務付けられている「週1回」または「4週を通じて4日」の法定休日に労働させた場合に発生します。割増率は35%以上(1.35倍)です。

ここで間違いやすいのが、会社の所定休日である法定外休日との違いです。たとえば完全週休2日制(土日休み)で日曜日を法定休日、土曜日を法定外休日としている場合、以下のように扱いが変わります。

  • 土曜日の出勤:時間外労働として扱われ、割増率は25%以上
  • 日曜日の出勤:法定休日労働として扱われ、割増率は35%以上

また、法定休日の労働には時間外という概念が存在しません。そのため、法定休日に8時間を超えて働いた場合でもすべて休日労働として計算され、一律で35%以上の割増率となります。なお、この割増率の適用時間は、後述の深夜労働に該当する時間帯は除きます。

深夜労働

原則として、午後10時から翌午前5時までの間に労働させた場合に発生します。割増率は25%以上(0.25倍の上乗せ)です。時間外労働であるかどうかにかかわらず、この時間帯に働いた場合には必ず発生します。

深夜手当が設定されている理由は、単なる労働時間の延長に対する対価ではありません。自然な生活リズムを乱す、夜間労働による心身への負担や健康リスクを補償し、企業に深夜労働の抑制を促すためです。

条件が重複した場合の割増率(組み合わせ計算)

深夜労働が時間外労働や休日労働と重なった場合、割増率はそれぞれを加算(重複)して計算する必要があります。人件費の負担も大きくなるため、正確な可視化とコントロールが重要です。

割増率が加算される組み合わせ例

割増率が加算される組み合わせ例

  • 時間外労働 + 深夜労働の場合:
    時間外手当(25%以上) + 深夜手当(25%以上) = 50%以上(1.50倍)
  • 休日労働 + 深夜労働の場合:
    休日労働手当(35%以上) + 深夜手当(25%以上)= 60%以上(1.60倍)
  • 月60時間を超える時間外労働 + 深夜労働
    時間外手当(50%以上) + 深夜手当(25%以上) = 75%以上(1.75倍)

残業代の正しい計算方法

法定労働時間を超える残業代は、以下の計算式で求めることができます。

残業代 = 時給(1時間あたりの基礎賃金) × 割増率 × 残業時間

なお、所定労働時間を超える場合の残業代は、法定労働時間内に収まっていれば割増とはなりません。

1. 時給を計算する

時給制の場合はすでに1時間あたりの基礎賃金が明確に設定されているため、もっともシンプルに残業代を計算できます。

時給制の場合の残業代 = 時給 × 割増率 × 残業時間

月給制の場合は、以下のように所定労働時間で割り戻して時給を算出する必要があります。

月給制の場合の時給 = 月間給与(基本給 + 諸手当) ÷ 月平均所定労働時間

また、月平均所定労働時間を求める計算式は以下のとおりです。

  • 年間所定労働時間 = 年間所定労働日数(365日 - 年間休日数) × 1日の所定労働時間
  • 月平均所定労働時間 = 年間所定労働時間 ÷ 12ヶ月

日給制の場合も、まずは1日あたりの給与から1時間あたりの基礎賃金(時給)を割り出す必要があります。

日給制の場合の時給 = 日給 ÷ 1日の所定労働時間

なお、1年単位で賃金総額が決まる年俸制の場合にも、残業代は発生します。まずは以下の計算式で、時給を算出しましょう。

年俸制の場合の時給 = 俸総額 ÷ 1年間の所定労働時間

日給制や年俸制の場合も、時給を算出できれば、その後の割増率や計算方法は月給制などと同様です。

2. 割増率と残業時間を計算する

残業には、いくつかの種類があり、種類ごとに割増率は異なります。また、割増率は合算されるため、残業時間を計算する際には残業の種類ごとに分けておきましょう。

残業時間の種類ごとの割増率は、「残業の種類とそれぞれの割増率」で解説したとおりです。

勤務形態別の残業代の計算方法

昨今の企業では、フレックスタイム制や裁量労働制など、多様な働き方が導入されています。勤務形態によって所定労働時間の捉え方や残業代の計算方法が異なるため、自身の働き方に合わせた正しい算出方法を把握しておきましょう。

フレックスタイム制の場合

フレックスタイム制は、1ヶ月などの一定期間(清算期間)の中で、従業員が始業・終業時刻を自由に決められる制度です。1日あたりの所定労働時間は固定されていませんが、1週間あたりの労働時間が平均40時間(法定労働時間)を超えた分が残業代の対象となります。

超過した時間に対する計算方法は、一般的な残業代の計算方法(時給 × 割増率 × 超過時間)と同様です。

裁量労働制(みなし労働時間制)の場合

裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず「あらかじめ労使協定で定めた時間分を働いた」とみなして賃金を支払う制度です。ただし、みなし労働時間が週40時間を超えて設定されている場合は、超過分に対する残業代の支払いが必要です。

裁量労働制では、固定残業代(みなし残業代)として給与に含まれているケースも少なくありません。休日出勤や深夜労働をした場合、あるいは実際の残業時間が固定残業代の枠を超えた場合は、別途残業代(割増賃金)が発生するため、労働時間の管理は必須となります。

管理職の場合

労働基準法上の「管理監督者」に該当する従業員(いわゆる管理職)の場合、労働時間や休憩・休日の制限を受けません。そのため、時間外労働(残業)や休日出勤に対する割増賃金は発生しないのが原則です。

ただし、管理監督者であっても22時から翌5時までの深夜帯に働いた場合は、深夜割増手当(25%以上)の支払いが必要となります。また、経営者と一体的な立場にあるか、労働時間に対する裁量があるかなど、厳しい要件を満たさない限り「管理監督者」とは認められません。名ばかりの課長や店長などは該当しないケースが多く、その場合は通常の従業員と同様に残業代が発生します。

労働時間別の残業代の計算例

前述した残業代の計算方法を踏まえ、ここではさまざまな労働時間ごとの残業代について計算してみましょう。時給は1、200円として計算します。

  • 月内の時間外労働(法定内)が10時間の場合
    1、200円 × 10時間 = 12、000円
  • 月内の法定時間外労働が50時間、休日労働が10時間の場合
    1、200円 × 1.25 × 50時間 + 1、200円 × 1.35 × 10時間 = 91、200円
  • 月内の時間外労働(法定外)が60時間、時間外労働(1ヶ月に60時間を超える時間外労働)が20時間の場合
    1、200円 × 1.25 × 60時間 + 1、200円 × 1.5 × 20時間 = 126、000円

残業代を計算する際の注意点

残業代を計算する際には、労働基準法にもとづいて計算する必要があります。

残業代は1分単位で計算する必要があったり、法定労働時間を超えての労働や休日出勤が必要な場合には36協定の締結をする必要があったり、残業代には条件規約があったりします。

これらの規定が守られていないと、残業代が適切に支払われず、企業の社会的な信用にも影響を及ぼす恐れがあるので、注意が必要です。

残業代は1分単位で計算しなければ違法となる

労働基準法第24条で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められており、残業代は1分単位で計算しなくてはなりません。そのため、「19時10分に退勤打刻をした場合は、19時にまとめる」といった切り捨ての運用はできないのです。

ただし、例外として1ヶ月ごとに残業時間を算出する仕組みでは「30分未満は切り捨て」「30分以上は1時間に切り上げる」ことが認められています。たとえば、1ヶ月の残業時間が30時間13分であれば30時間、30時間45分であれば31時間として計算できます。

また、残業代を計算した際に1円未満の端数が発生した場合は、就業規則に規定することで50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げる処理をすることも可能です。

企業が従業員に残業させる場合には36協定の締結が必要

法定労働時間を超えての労働や休日出勤が必要な場合、労働基準法第36条により、会社と労働組合(あるいは労働者の過半数の代表者)との間で特別な協定を結び、その協定書を労働基準監督署に提出しなければならないと定められています。

この協定は、労働基準法36条に定められているルールであることから、「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

また、36協定を締結した場合でも、臨時的な特別の事情がなければ月45時間、年360時間を超える時間外労働は認められていません。

残業できる時間には上限規制がある

上記のとおり、36協定による時間外労働の上限は、月45時間、年360日と定められています。しかし「予算・決算業務」「大規模なクレームへの対応」などの理由により、一時的に法律の限度時間を超えた残業が必要な場合も想定できます。

このような場合は、労使の協議を行い「特別条項付き36協定」を結べば、例外的に残業時間の限度を超えることができます(月100時間未満、年720時間以内)。

なお、特別条項を適用したとしても、45時間を超えての残業は1年につき6ヶ月まで、休日出勤の時間を含め2〜6ヶ月間の残業時間の平均は80時間以内に収める必要があります。

「建設業・自動車運転の業務・医師・鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業」は、上限規制の猶予期間が設けられていました。しかし、2024年4月1日以降は上限規制が適用されることになります。

また建設事業では、災害の復旧・復興の事業で一部上限規制が適用されないなどの条件もあるため、猶予期間が設けられていた事業者は確認が必要です。

残業代請求の時効は3年

正しく残業代の計算ができていなかったなどの理由により、従業員から企業に未払い残業代の請求があった場合、企業側は過去3年分の残業代を支払う必要があります。

これは2020年4月の法改正により、残業代請求権の消滅時効が2年から3年に延長されたためです。残業代の消滅時効が長くなるということは、企業にとって未払いの残業代の請求を受けるリスクが高まるだけでなく、遅延利息額が増えるリスクも生じます。

また、このようなトラブルが表面化すれば、企業の社会的な信用や従業員のモチベーションにも影響します。時間外労働に対する割増し賃金を正しく理解し、適切に支払うことが大切です。

まとめ

残業代とは、法定労働時間や所定労働時間を超えて働いた時間分の賃金です。残業の種類によって割増率が異なっていたり、残業できる時間には上限が定められていたりするので、担当者は正しく制度を理解しなくてはいけません。

残業代のトラブルが発生してしまうと会社の信用や従業員のモチベーションに関わる可能性があるため、正しく仕組みを理解し、適切な支払いを実施しましょう。

よくある質問

残業代の計算方法は?

残業代は、「時給 × 割増率 × 残業時間」で求めることができます。

時間外労働の種類ごとの賃金の割増率、具体的な計算例などは、記事内の「残業代の正しい計算方法」をご覧ください。

残業代は15分単位で計算してもよい?

労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。15分単位で残業代を計算することは14分以下の労働時間を切り捨てているため。「全額を支払う」という原則を破っていることになります。

なお、1ヶ月分をまとめて計算する場合には、30分未満を切り捨て、30分以上を繰上げして計算することが認められています。

詳しくは記事内「残業代は1分単位で計算しなければ違法となる」をご覧ください。

未払いの残業代を請求できる時効は何年?

未払い残業代の請求権の消滅時効は3年です。2020年4月の法改正により、従来の2年から3年に延長されました。従業員から請求があった場合、企業は過去3年分に遡って残業代を支払う義務があります。

詳しくは、記事内の「残業代請求の時効は3年」で解説しています。

参考文献

人事労務のすべてをfreeeひとつでシンプルに

freee人事労務は、入社手続きで取得した従業員ごとの保険料・税金と、打刻情報とを紐づけて自動で給与計算し、給与明細も自動で発行します!

ぜひ一度ご覧ください!

「freee人事労務」残業代のトラブル解決

今なら30日間無料でお試し可能
登録はメールアドレスのみ