人事労務の基礎知識
年末調整の配偶者控除・配偶者特別控除の書き方
配偶者控除・配偶者特別控除とは配偶者の所得が一定以下などの条件を満たした場合に税金の控除を受けられる制度のことです。ここでは年末調整で必要な書類申請方法、控除を受ける際に注意すべきポイントをご説明します。
▼2018年度の年末調整に関しては以下の記事もご参照ください▼
平成30年度 年末調整の変更点をわかりやすく解説

目次
年末調整をカンタンにする方法
配偶者控除とは?2018年の変更点も
配偶者控除とは、配偶者が無収入、もしくはパートなどで年収103万円以下、かつ世帯主の所得が1000万円を超えない場合に所得控除を受けられる制度のことです。
配偶者特別控除とは配偶者の年収が年収103万円超201.6万円未満、かつ世帯主の所得が1000万円を超えない場合の場合に適用されます。配偶者控除・配偶者特別控除を利用することによって、毎月の所得税や住民税が軽減されます。配偶者の収入が減った際に、納税額が減額される制度と覚えておくと良いでしょう。
※2018年の税制改正により、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の適用条件や控除額が変更になっています。具体的な変更点は以下です。
- 配偶者特別控除の上限額が年収201.6万円未満に
- 配偶者特別控除の控除額が年収150万円までは一律に
- 世帯主の年収が1220万円(所得の場合は1000万円)を超える場合、配偶者控除の対象外に(配偶者特別控除も対象外)
- 世帯主の年収が1120万(所得の場合は900万円)を超える場合、配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が段階的に引き下げられるように
出典:国税庁
対象となる所得は
配偶者控除は、配偶者本人が年収103万円以下の場合に適用される減税措置です。よく聞くこの「年収103万円以下」とありますが、実は税法にはこのような記載はありません。税法上には「合計所得金額38万円以下」としか記載がありません。では年収103万円以下とは、どこから来ているのでしょうか。
答えは所得税の計算の仕方にあります。所得税は基本的に収入から必要経費を差し引いた所得に税金がかかるようになっています。アルバイトやパートによって得られた給与収入は、必要経費とみなされる最低65万円を給与所得控除として差し引くことができます。もし年収103万円なら、給与所得控除後の合計所得は「38万円」となります。この金額が配偶者控除の条件である「合計所得金額38万円以下」に合致するので、配偶者控除を受けるためには「年収103万円以下」となるのです。
なお配偶者の年収が103万円を超える場合は、配偶者控除の対象にはなりません。別途、「給与者の配偶者特別控除申告書」を提出して、配偶者特別控除の適用を受ける必要があるので、注意が必要です。なお、配偶者特別控除とは、配偶者控除を受けられない場合に、一定の要件を満たせば、配偶者の所得に応じて所得控除を受けることができるという制度です。
配偶者控除の書き方
では実際に配偶者控除を申請するための書類の書き方を見ていきましょう。
1.給与所得者の扶養控除等申告書(マル扶)

手順は以下の3ステップです。
- 「給与所得者の扶養控除等申告書」を用意する。
- 給与者の氏名、個人番号、生年月日、住所などを記入する。
- 「控除対象配偶者」欄に、配偶者の氏名、生年月日、住所、所得の見積額を記入する。
以上の3カ所にそれぞれ必要事項を記入すれば、配偶者控除申請は完了です。
「控除対象配偶者」欄にある「所得見積額」とは、今年度の年収見積もりのことです。年末調整をする段階では、まだ今年度の年収が確定していないことが多く、見積もりとなっています。予想される年収を記入しましょう。
2.給与所得者の配偶者控除等申告書(マル配)
2017年度は配偶者特別控除の対象者のみ「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」(マル保・配特)の提出が必要でしたが、2018年度の年末調整から、書類の様式と対象範囲が変更になりました。
配偶者控除・配偶者特別控除のいずれの控除を受ける場合にも「給与所得者の配偶者控除等申告書」(マル配)の提出が必要になります。
詳しくは平成30年度 年末調整の変更点をわかりやすく解説もご覧ください。
配偶者控除・配偶者特別控除で受けられる控除額
配偶者(被扶養者)がパートなどによって所得がある場合、もう1人の配偶者(扶養者)が配偶者控除・配偶者特別控除で受けられる控除額は、年収150万円までは一般的に38万円です。被扶養者が、年収150万円以上稼ぐようになると、配偶者特別控除の控除額が段階的に減少していきます。
なお、配偶者控除を受ける場合の控除額が必ず38万円というわけではありません。年末調整の段階で、配偶者の年齢が満70歳以上であれば控除額が48万円になります。これは老人控除対象配偶者と呼ばれ、年金受給額がパートよりも増えることから、控除額も増額されているのです。また配偶者が障害者の場合、配偶者控除の他に一般の障害者であれば27万円、特別障害者であれば最高75万円まで控除を受けることができます。
さらに、控除を受ける納税者本人の合計所得も控除額に影響します。合計所得が900万円(年収で1,120万円)以下までは一律の控除額ですが、合計所得が900万円超~1,000万円以下(年収で1,120万~1,220万円)では控除額が減少します。合計所得が1,000万円を超える場合は、配偶者控除・配偶者特別控除の対象外となりました。(平成30年度~)
配偶者控除で注意すべきポイント
最後に配偶者控除を受ける際に、注意すべき4つのポイントをご説明します。
1.配偶者は納税者本人と同一生計であること
同一家計とは、生活費や学費、治療費などを納税者本人と共有している状態のことを指します。ですので、単身赴任などで別居の状態であっても、納税者本人の収入によって配偶者が生活していれば、同一生計であるとみなされます。
2.配偶者が青色申告者の専従給与を受け取っていないこと
配偶者が青色事業専従給与を受け取っている、あるいは白色事業専従者の対象である場合は、配偶者控除を受けられません。ですので、配偶者が個人事業主として収入がある場合は、たとえ年収が103万円以下であっても、配偶者控除が受けられないと留意しておきましょう。
3.生命保険や損害保険の満期保険金も収入に含まれる
配偶者控除が定義する年収は、アルバイトやパートによって得られる収入だけではありません。年金や生命保険や損害保険などの満期保険金による収入なども収入として計上されます。
つまりパートなどによる年収はちょうど103万円でも、年末になって生命保険の満期保険金や給付金から必要経費を差し引きした所得が入ると、合計年収が103万円を超えるため配偶者控除は受けられません。
事前に給付金が振り込まれるのがわかっている場合、配偶者控除を受けるためには年末のパートシフトを調整する必要があります。
4.法律上、婚姻関係が認められていること
配偶者控除を受けられるのは、戸籍上配偶者として認められる場合です。事実上のパートナー・内縁関係、婚約中でまだ婚姻関係にない場合などは配偶者控除・配偶者特別控除を受けることはできません。
5.世帯主の年収が1220万円(所得が1000万円)を超えないこと
平成30年分以降、年収合計が1,220万円(合計所得が1,000万円)を超える場合は、配偶者控除の対象外になるという条件が追加されました。
まとめ
配偶者控除とは、配偶者の年収が103万円以下の場合38万円の控除を受けられる制度、配偶者特別控除とは、配偶者の年収が103万円超201.6万円未満の場合に段階的な控除を受けられる制度ですです。配偶者控除・配偶者特別控除を受けるためには、納税者本人と同一生計である上で、青色申告者の専従給与を受けていないこと、法律上婚姻関係が認められていること、世帯主の年収が1,220万円を超えないことが必要です。申請方法は分かりやすいですが、収入調整が難しいため、しっかりと収入計画を考える必要があります。
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