源泉徴収簿とは、源泉徴収の内容を記録した帳簿のことです。提出の義務はありませんが、しっかりと帳簿をつけることで、年末調整をスムーズに行えます。
本記事では、源泉徴収簿の正しい書き方や源泉徴収票との違い、そして提出や保存の方法について解説します。
目次
源泉徴収簿とは
源泉徴収簿とは、給与や賞与といった所得や、社会保険料や雇用保険料などの控除額を記入し、正しい所得税額を算出させるための帳簿です。
提出の義務はありませんが、年末調整の際に発行する源泉徴収票を、不備なく発行するために用いられます。
源泉徴収票との違い
源泉徴収票とは、所得税法によって定められた事業者が発行する所得税の証明書のことです。
源泉徴収簿の作成手順
源泉徴収簿には、国税庁が定めたフォーマットがあるので、それをもとに作成方法を説明をします。
- 源泉徴収簿に個人情報を記入する
- 支払った給与の情報を記入する
- 扶養家族がいる場合に記入する
- 賞与情報を記入する
- 給与、賞与の合計を記入する
- 給与所得控除後の給与等の金額を計算する
- 扶養家族の情報を記入する
- 扶養家族の情報を元に控除額を計算する
- 保険料控除申告書の情報を記入する
- 本年度の算出所得税額を計算する
- 本年度の税額を計算する
1.源泉徴収簿に個人情報を記入する
源泉徴収簿の所定の位置に、「所属」「職名」「住所」「氏名」「整理番号」を記入します。整理番号とは、確定申告をした場合に税務署から割り振られる番号のことです。源泉徴収簿は、提出の義務はないので、整理番号について記載しなくても問題ありません。
2.支払った給与の情報を記入する
支払った給与を月ごとに記入していきます。左から順に、「支給月日」、「総支給額」、「社会保険料の控除額」、「社会保険料控除後の給与等の金額」となっています。給与明細に同様の内容が記載されているので、それを記載すれば完了です。
3.扶養家族がいる場合に記入する
扶養家族がいる場合、「社会保険料控除後の給与等の金額」の右隣に「扶養家族の人数」と「算出税額」を記入します。こちらも給与明細から転記をすれば良いでしょう。
4.賞与情報を記入する
毎月の給与と同様に、賞与情報の記入をします。記入内容も給与と同様で、「総支給額」、「社会保険料の控除」、「社会保険料控除後の給与等の金額」となっています。
5.給与、賞与の合計を記入する
1年間の給与と賞与の情報を記入したら、合計金額を算出します。右際の「年末調整」の中に、「給与手当等」、「賞与等」の部分に本年度の合計金額を記入します。
6.給与所得控除後の給与等の金額を計算する
本年度分の所得の合計を出したら、次は「給与所得控除後の給与等の金額」を算出します。控除額は支給する給与によって変動し、計算方法も変わります。
7.扶養家族の情報を記入する
給与や賞与の情報を記入し、所得控除の計算も完了したら、次は扶養家族の情報を記入していきます。「扶養控除等の申告」の欄の「申告の有無」に丸をつけて、申告内容を書き進めます。
転職などの場合は、働き始めの日付と一緒に記入します。次に扶養家族の人数を記入し、「配偶者の有無」の部分に丸をつけます。
8.扶養家族の情報を元に控除額を計算する
扶養家族の情報に沿って、控除額を計算します。「配偶者控除額、扶養控除、基礎控除額及び、障害者等の控除額の合計額」の部分に、計算後の金額を記入します。
9.保険料控除申告書の情報を記入する
保険料控除に入るのは、生命保険、地震保険、社会保険などです。給与所得者が記載した「保険料控除申告書」を参考にして、「保険料」の欄に控除額を記入します。
10.本年度の算出所得税額を計算する
全ての控除内容を記入したら、算出所得税額を計算します。「給与所得控除後の給与などの金額」から「所得控除額の合計金額」を差し引き、所得税の計算を行うと算出所得税額の計算までが完了です。
11.本年度の税額を計算する
東日本大震災の復興支援として、復興特別所得税というものが加わりました。算出所得税の金額に102.1%を乗じた金額が年調年税額となります。
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源泉徴収票の作成と計算方法
源泉徴収簿の提出や保存は必要?
源泉徴収簿は、年末調整の際に発行する源泉徴収を正しく作成するための帳簿なので、税務署に提出する義務はありません。ただし、年末調整の根拠として源泉徴収簿を利用した場合は、7年間保存する決まりとなっています。
源泉徴収簿には重大な個人情報が記載されているため、保管は厳重にする必要があります。そのため、保管期間が過ぎたあとは所持するのではなく、速やかに処分することをおすすめします。
まとめ
源泉徴収簿を毎月つけておけば、源泉徴収簿の集計をもとに年末調整を行うことができます。毎月欠かさず記録をつけ、年末調整に備えましょう。
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