人事労務の基礎知識
年末調整の障害者控除の書き方
最終更新日:2021/04/02
年末調整の際に必要な障害者控除の書き方をご紹介します。障害者控除で受けられる控除額や申請の際の注意すべきポイントもあわせてまとめました。
目次
年末調整をカンタンにする方法
障害者控除とは
障害者控除とは、納税者本人や配偶者、扶養家族が所得税上の障害者に当てはまる際に、一定の控除を受けられる制度のことをいいます。障害者控除を受けることで、所得が同じだったとしても、所得税と住民税の納付額が低くなります。
障害者控除は一律ではなく、障害の度合いが重いと判断されたら「特別障害者」に指定され、通常の障害者控除よりも高い控除額となります。
障害者控除の対象
障害者控除となる対象は、原則として障害者手帳が交付された人のみとなります。
よって、要介護認定を受けていて日常生活に影響をきたすレベルでの障害をお持ちの方でも、障害者手帳を交付されていなければ対象となりませんのでご注意ください。
また、精神又は身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者又は身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合にも、障害者控除を受けることができます。
障害者控除の対象となる条件一覧
- 精神上の障害により、自分で有効的な意思表示ができない方(特別障害者)
- 児童相談所や知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医により、知的障害者と判定された方
- 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方
- 身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている方
- 年齢が65歳以上で精神又は身体に障害があり、(1)(2)又は(4)に準ずるものとして市町村長や福祉事務所長の認定を受けている方
- 戦傷病者手帳の交付を受けている方
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている方
- その年の12月31日時点で、6ヶ月以上に渡って身体の障害により寝たきり状態で、自分で排便などをすることができないなど複雑な介護を必要とする方
引用:国税庁「障害者控除」
障害者控除で受けられる控除額
障害者控除で受けられる控除額は、障害の等級によって変わります。
区分 | 所得税(控除額) | 住民税(控除額) |
一般の障害者の場合 | 27万円 | 26万円 |
特別障害者の場合 | 40万円 | 30万円 |
控除対象配偶者か扶養家族が 特別障害者の場合 |
75万円 | 53万円 |
一般の障害者よりも、障害が重いと判断された場合は、特別障害者に該当して控除額も大きくなります。配偶者や扶養親族と同じ家計で共に生活をしている特別障害者の場合は、同居特別障害者に該当することになります。
引用:国税庁「No.1160 障害者控除」
障害者控除を受けないとどうなるのか
障害者控除を受けないと、所得税と住民税の控除ができなくなってしまい、必要以上に税金を納付することになってしまいます。
例えば月収30万円の一般の障害者の方の場合、所得税の控除は27万円、住民税の控除は26万円です。仮に所得税5%、住民税10%のとき、障害者控除の申請をすれば、通常よりも納税額が4万円ほど安くなります。
ただし、年末調整の段階で障害者控除の申請をしなくても、自分で所得税の還付申告をすれば支払った税金の還付を受けることができます。所得税で還付申告をした場合、障害者控除を申請した情報が住民税にも反映されるので、住民税も障害者控除が適用された金額になります。
障害者控除の書き方

引用:令和3年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
障害者控除の書き方は、対象者となる人と同居しているか否かで書き方が変わります。それぞれの書き方を説明します。
本人が控除を受ける場合
一般の障害者

- 障害者にチェックを入れます。
- 「本人・一般の障害者」に◯をつけます。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に障害者手帳の交付日時と障害者の等級を記入します。
特別障害者

- 障害者にチェックを入れます。
- 「本人・特別障害者」に◯をつけます。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に障害者手帳の交付日時と障害者の等級を記入します。
配偶者が控除を受ける場合
一般の障害者

- 「障害者」にチェックを入れます。
- 「同一生計配偶者・一般の障害者」に◯を付けます。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に以下の内容を記載します。
・配偶者の氏名
・障害者手帳の交付日時
・障害の等級
特別障害者(同居している場合)

- 「障害者」にチェックを入れます。
- 「同一生計配偶者・同居特別障害者」に◯をつけます。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に以下を記載します。
・配偶者の氏名(同居)
・障害者手帳の交付日時
・障害の等級
特別障害者(別居している場合)

- 「障害者」にチェックを入れます。
- 「同一生計配偶者・特別障害者」に◯をつけます。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に以下を記載します。
・配偶者の氏名(別居)
・障害者手帳の交付日時
・障害の等級
配偶者が特別障害者に分類される場合、同居しているか別居しているかを明示する必要があるので、忘れずに記載しましょう。
親や子供などの扶養家族が控除を受ける場合
一般の障害者

- 「障害者」にチェックを入れます。
- 「扶養家族・一般の障害者」に◯をつけ、扶養家族の人数を記入します。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に以下を記入します。
・控除を受ける扶養家族の氏名
・障害者手帳が交付された日時
・障害の等級
特別障害者(同居している場合)

- 「障害者」にチェックを入れます。
- 「扶養家族・同居特別障害者」に◯をつけ、扶養家族の人数を記入します。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に以下を記入します。
・控除を受ける扶養家族の氏名(同居)
・障害者手帳の交付日時
・障害の等級
特別障害者(別居している場合)

- 「障害者」にチェックを入れます。
- 「扶養家族・特別障害者」に◯をつけ扶養家族の人数を記入します。
- 「障害者又は勤労学生の内容」に以下を記入します。
・控除を受ける扶養家族の氏名(別居)
・障害者手帳の交付日時
・障害の等級
障害者控除で注意すべきポイント
障害をお持ちの方であれば申請するべき障害者控除ですが、注意するべきポイントは2つあります。
障害者控除には障害者手帳が必要
障害者控除を受けるには、障害者手帳が必要です。申請の際には、障害者手帳のコピーの提出を求められることが多いので、手元に障害者手帳がない方は申請をして発行しておきましょう。また申請中でまだ手元にない場合は、医師の診断書を提出することで代用できます。
引用:厚生労働省「障害者手帳」
「要介護認定」を受けても障害者控除にならない
介護保険法上の「要介護認定」を受けた場合、日常生活に支障が出てしまいますが、障害者手帳が発行されない以上、所得税法上の障害者控除は受けられません。しかし例外的に市町村長や福祉事務局長が認定した場合のみ、障害者控除を受けられるようになります。
まとめ
障害者控除とは、障害者手帳を持つ方が年末調整の際に控除申請をすることで、所得税と住民税を控除できる制度のことです。申請方法はシンプルですが、書類に不備があると必要以上に税金を払うことになります。年末調整で申請する際には、漏れなく書類を作成するようにしましょう。
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