人事労務の基礎知識

年末調整の還付金の計算方法

年末調整により戻ってくる「還付金」は、次の給料に合算して還付されるため、実際に振込まれるまではいくら還付されるのかわかりにくいですよね。年末調整の還付金は誰でも必ずあると思いがちですが、実はそうではありません。所得や控除、また住宅ローンの有無などにより個人ごとに違うのです。
そこで今回は、自分で還付金の計算方法ができるよう基本的な知識も含め解説していきます。

年末調整の還付金とは?

about refund

給与所得者は、毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。源泉徴収される所得税は、給与の額から年金や健康保険料などの社会保険料、扶養控除申告書にて事前に申請している扶養対象者の控除分を考慮して金額が決まります。

個人的な事情として生命保険控除や地震保険料控除、また住宅ローン減税が考慮されていないため、毎月源泉徴収される所得税は確定金額ではなく暫定金額であり、毎年末の年末調整において個人のさまざまな控除を考慮することで、所得が確定し所得税が確定します。暫定所得税に比べ確定所得税が安くなることで、還付金が発生するのです。

年末調整の還付金が発生する場合とは

年末調整で還付金が発生するのには、いくつかのケースがあります。
事前に扶養控除申告書にて申請していた扶養控除以外にさらに扶養対象者が増加する場合、または生命保険控除や地震保険控除、住宅ローン減税などさらなる控除を申告する場合です。

結婚した場合

たとえば結婚して配偶者が控除対象となれば、配偶者控除を申請します。
配偶者控除が適用されると38万円の控除がつきますので、課税所得が減少し、源泉徴収されていた所得税が還付されます。

生命保険や地震保険に加入している場合

生命保険控除や地震保険に加入していると毎年10月前後に保険料控除証明書が送付されてきます。
保険料控除証明書の添付が必要となりますが、支払った保険料に応じて一定額の控除が適用されます。扶養控除対象者の増減などがない場合、生命保険控除や地震保険料控除を申告することで、年末調整において還付金が発生します。

追徴がある場合も

逆に年末調整で還付金ではなく、追加納税が必要になる場合もあります。
扶養申告書にて事前に扶養対象者を申告していても、年の途中で扶養控除対象が減少するとその分扶養控除額が減ります。源泉徴収では事前申告していた扶養控除を適用しますが、年末調整で扶養控除対象者が減少することで控除減少に伴う所得税が追加で課税されます。

還付金の計算方法

年末調整は個人の事情としての扶養控除や生命保険控除など、さまざまな控除を考慮して正確な所得及び所得税を計算する経理処理であり、会社など雇用主が行います。
参考までに、具体的な事例を仮定して解説します。

計算例1: 配偶者特別控除や生命保険料控除などがある場合

Aさんの場合                                            
・年間給与総額 5,760,000円(月収48万円)
・年間給与に対する源泉徴収税額171,000円
・給与から控除した社会保険料等 838,716円
・生命保険料控除120,000円(最高12万円)
・地震保険料控除 50,000円(最高5万円)
・配偶者特別控除 260,000円
・一般の控除対象扶養親族1人380,000円(16歳の長男)
・基礎控除380,000円

とした場合を計算していきます。

  1. 給与総額が5,760,000円であることから、国税庁のHPで確認すると給与所得控除後の所得4,068,000円が出てきます。
  2. 社会保険料等、生命保険控除、地震保険料控除、配偶者控除、一般の扶養控除(38万円)、基礎控除(38万円)の所得控除を合計すると、2,028,716円となります。
  3. 給与所得控除後の4,068,000円から所得控除額2,028,716円を差し引くと2,039,284円となりますが、課税所得金額となるのは1,000円未満切り捨てとなるため、2,039,000円が差引課税所得となります。
  4. 課税所得金額が3,299,000円以下であるため税率は10%となり、97,500円の控除があるため年調所得税額は106,400円となります。
  5. 復興特別所得税を含む年調年税額を出すため102.1%を掛け合わせると、108,600円(100円未満切り捨て)が出てきます。108,600円が納めるべき所得税となり、源泉徴収されていた171,000円と比べると金額が小さいため、超過した62,400円が還付金となります。

次に住宅ローン控除がある場合の計算例をみていきます。

計算例2: 住宅ローン控除がある場合

Bさんの場合                                                       
・年間給与総額 6,120,000円
・年間給与に対する源泉徴収税額214,414円
・給与から控除した社会保険料等 742,032円
・生命保険料控除120,000円(最高12万円)
・地震保険料控除 50,000円(最高5万円)
・配偶者特別控除 380,000円
・一般の控除対象扶養親族1人0円
・基礎控除380,000円
・住宅ローン控除170,000円

とした場合の計算をしていきます。

  1. 給与総額が6,120,000円であるため給与所得控除後の金額が4,356,000円となります。
  2. 社会保険料、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、基礎控除を合算し1,672,032円と所得控除の合計額が出ます。
  3. 給与所得控除後の4,356,000円から所得控除合計額である1,672,032円を差し引くと2,683,000円(1,000円未満切り捨て)の課税所得金額が出てきます。
  4. 1,950,000円超3,300,000円以下の税率は10%、控除額が97,500円であるため、課税所得金額2,683,000円に対する所得税額は170,800円となります。
  5. 住宅借入金特別控除(通称住宅ローン控除)170,000円を差し引くと年調所得税額800円が出てきます。
  6. 復興所得税を含む年調年税額は800×102.1%ですが100円未満切り捨てのため、変わらず800円となります。源泉徴収税額214,414円と800円を比べると源泉徴収税額の金額が大きいため、超過分の213,614円が還付金となります。

還付金を受け取る時期

年末調整で還付金を受け取る時期ですが、会社により年末12月または翌年の1月のどちらかが一般的です。会社が税務署に提出する年末調整書類の期限が1月31日になっているため、経理処理が早く済んでいれば12月の給与に還付金が加算されて振り込まれます。

ただ、遅れてしまっていると2月になる場合もあります。会社によって年末調整の還付金を精算する時期を決めている場合もありますので、一度確認することをおすすめします。

まとめ

年末調整を正確に計算するためには、源泉徴収税額の総額、社会保険料、生命保険控除、地震保険料控除、配偶者控除、扶養控除、また住宅ローン控除などさまざまな控除を考慮しておく必要があります。担当者が、年末調整の計算を迅速にできるように、従業員側にも正確な書類記入と必要書類の提出が求められます。

年末調整の還付金をスムーズに受け取るために、担当者と従業員でしっかり連携して年末調整の作業を進めましょう。

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