人事労務の基礎知識

年末調整の計算の流れ【計算例つき】

サラリーマンは毎月の給与から源泉徴収という形で所得税が引かれていますが、実は源泉徴収は概算で給与から天引きしているため、年末に正確な所得税の計算をやり直す必要があります。給与所得者はそれぞれ結婚していたり独身だったり、生命保険に加入していたり住宅ローンを組んでいたりなど、状況によって様々な控除があります。

年末に各自異なった控除などを正確に把握したうえで、税金を納めるために会社側で再計算をする作業が必要になります。

今回は、計算例を含めて、年末調整の計算の流れについてご紹介します。

年末調整の計算の流れ

会社が年末調整で最初に確認すべきは、年間の給与の合計額の確認です。毎月の給与はもちろんですが、賞与も加えた合計額を把握することが必要不可欠です。この合計金額からまず給与所得控除を差し引きます。サラリーマンは自営業者とは違い経費を自分で算定できないため、サラリーマンの必要経費としての考え方です。

さらにここから、健康保険や年金などの社会保険料を控除します。すでに源泉徴収により所得税の概算分と社会保険料は給与より差し引いているのですが、正確な計算をするために再度計算します。さらに従業員から提出してもらう「給与所得者のための扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」、付随して添付書類を確認します。

扶養控除申告書

扶養控除等申告書は扶養している親族についての申告をして扶養上状況により税金を安くするための書類で配偶者控除や扶養控除などを記載します。給与が103万円以下の配偶者が対象となります。

また控除対象扶養親族は70歳以上の扶養親族、高校生や大学生など特別扶養親族を記載します。さらに16歳未満の扶養親族や障害者や寡婦も控除対象となります。

配偶者特別控除は配偶者の給与が103万円を超え141万円未満までで控除額が段階的に減少します。

保険料控除申告書

保険料控除申告書では、年末調整にて控除される保険料を記入します。 控除対象の保険には、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などが含まれます。

申告書の内容を控除した後の計算

すべての控除を差し引いて残った所得に税率を掛け合わせると所得税額が出ます。住宅ローンでの控除がある場合にはここで差し引きます。最後に残った金額に102.1%をかけると最終的な所得税及び復興特別所得税を算出できます。

年末調整の計算例

年末調整による過不足精算の計算例について解説していきます。
既婚男性で妻(収入なし)16歳の子供がいるケースです。

区分 金額 税額
給料・手当等 4,380,000円 62,390円
賞与等 1,490,000円 78,205円
5,870,000円 140,595円

給与と賞与に分かれていますが、年末調整では合計欄で確認していきます。年間給与の金額5,870,000円から税額である140,595円が源泉徴収されています。ここに扶養控除や生命保険控除などを差し引いて再計算していきます。

まず、給与と賞与の合計5,870,000円を「給与所得控除後の給与等の金額の表」にて求めると4,154,400円となります。 この金額から様々な控除額を差し引いていきます。

給与所得 4,154,400円
社会保険料控除額 829,975円
生命保険料控除額 71,550円
地震保険料控除額 45,000円
配偶者・扶養・基礎控除額  1,140,000円
差引給与所得額 2,067,000円(1,000円未満切り捨て)

社会保険料は全額控除対象となりますが、生命保険料や地震保険料の控除は支払った金額により控除額が決まります。また配偶者控除が38万円、16歳以上19歳未満の扶養控除38万円、基礎控除が38万円の合計で114万円となります。全ての控除を差し引いた2,067,000円を元に税額を計算します。

2,067,000円×10%(税率)-97,500円(控除額)=109,200円(算出所得税額)
109,200円×102.1%=111,400円 ※100円未満切り捨て

111,400円が最終的な納付すべき所得税と復興特別所得税となり、すでに源泉徴収にて支払い済みの140,595円と比べると29,195円の超過となります。この超過額29,195円は本人に還付されることになり、12月または翌年1月の給与と一緒に会社から振り込まれることになります。

年末調整の計算で注意すべきポイント

年末調整では様々な控除を後から申請するため還付されることがほとんどです。ただ、稀に源泉徴収している所得税が不足する場合もあります。

理由はいくつかありますが、扶養控除対象者の減少により不足額が出るケースが一番多く見受けられます。その年度末においての扶養控除が適用されるため、結婚や離婚、子供の独立などにより扶養親族の変更があった場合には、年末調整時に忘れずに記載するようにしましょう。

また、毎年10月前後に送付されてくる生命保険や損害保険などの控除書類も年末調整に必要となるため保管が必要です。

自宅購入で住宅ローンを組んだ場合には初年度のみ確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整で給与所得者の住宅借入金等特別控除申告を記入し提出すれば問題ありません。

まとめ

年末調整では毎月の源泉徴収されている所得税を扶養控除や住宅ローン控除など個々の従業員の事情を反映して正確な納税金額を導きだすものです。自営業者などは確定申告をして納税することになりますが、サラリーマンなど給与所得者も同じよう事業主として会社側が年末調整で正確な納税金額を計算することになります。必要書類をしっかり確認して間違いがないように手続きしましょう。

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