勤怠管理システムとは、従業員の出退勤時間を自動集計し、給与計算や労働管理を効率化できるシステムのことです。紙と比較すると時間を短縮でき、正確かつ客観的な勤怠管理が実現できます。
本記事では、勤怠管理システムのメリット・デメリットや、選び方・比較ポイントまでわかりやすく解説します。
目次
- 勤怠管理システムとは
- 勤怠管理システムのメリット8つ
- ①給与計算が楽になる
- ②多様化な働き方に対応できる
- ③どこでも打刻できる
- ④勤怠不正を防げる
- ⑤既存システムと連携できる
- ⑥人的ミスを防止できる
- ⑦法改正に対応できる
- ⑧勤怠状況をリアルタイムに把握できる
- 勤怠管理システムのデメリット3つ
- ①導入コストがかかる
- ②慣れるまで時間がかかる
- ③勤怠ルールに合わない可能性がある
- システムの主な種類
- ①タイムレコーダー型
- ②オンプレミス型
- ③クラウド型
- 勤怠管理システムの選び方・比較方法
- ①必要な機能が含まれているか
- ②既存システムと連携できるか
- ③誰にでも使いやすいか
- ④法令への対応は十分か
- ⑤導入・運用費用は適正か
- システム導入時の注意点
- ①イレギュラーな処理への対応
- ②勤怠管理についての周知
- 勤怠管理システムの例11選【2024年最新版】
- まとめ
- よくある質問
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤時間を自動集計し、給与計算や労働管理を効率化できるシステムのことです。紙と比較すると時間を短縮でき、正確かつ客観的な勤怠管理が実現できます。
勤怠管理についての詳細は別記事「勤怠管理とは?カンタンに行う方法や目的・重要性を解説」をあわせてご確認ください。
勤怠管理システムのメリット8つ
勤怠管理システムのメリットは、主に以下の8つがあります。
勤怠管理システムのメリット
- 給与計算が楽になる
- 多様化な働き方に対応できる
- どこでも打刻ができる
- 勤怠不正を防げる
- 既存システムと連携できる
- 人的ミスを防止できる
- 法改正に対応できる
- 勤怠状況をリアルタイムに把握できる
①給与計算が楽になる
勤怠管理システムを導入することで、給与の計算を自動化できます。労働時間や休憩時間に対する時給等を設定しておけば、勤怠入力(打刻)を行うだけであとはシステムが自動的に計算してくれます。
これまで手作業でしていた作業のほとんどをシステムに任せられるため、給与計算の作業が楽にできるでしょう。
②多様化する働き方に対応できる
近年、テレワークやフレックス制度を導入するなど、企業での働き方が多様化してきています。しかし、テレワークやフレックスによって従業員の働く場所や時間が分散すると、勤怠管理が難しくなることがデメリットです。
勤怠管理システムを導入することで労働時間の管理がしやすくなります。人事や労務管理の作業を行う方にとっては、大きな業務の効率化が見込めるでしょう。
③どこでも打刻できる
勤怠管理システムを導入すると、事務所や店舗にいなくても打刻ができます。テレワークや出張、外回りからの直帰など、さまざまなケースに対応した打刻が可能です。
④勤怠不正を防げる
紙媒体で従業員の勤怠を管理している場合は、始業・終業が正確に記録されているか確認することが困難です。一方で、勤怠管理システムを導入すれば、正確な打刻時間が記録されるため、不正を防止できます。
⑤既存システムと連携できる
勤怠管理システムは、労務管理や人事管理など他に活用しているシステムと連携できます。勤怠等に関する管理はすべて一元化できるようになるため、業務の効率化が期待できるでしょう。
⑥人的ミスを防止できる
人が手作業で勤怠管理している場合は、どうしても漏れ・抜け・誤字脱字などのミスが発生してしまいます。しかし、勤怠管理システムはデジタルで管理できるため、このような人的ミスを防止可能です。
⑦法改正に対応できる
勤怠管理システムは、法律改正があった場合にシステム側がアップデートしてくれます。そのため、法改正が起こるたびに管理体制や手順を整え直す必要がなくなります。
ただし、法改正に伴うシステムの変更については利用しているシステムによって有償となる場合もあるので、サービス内容を事前に細かく確認しておきましょう。
⑧勤怠状況をリアルタイムに把握できる
紙での記入やExcel入力にて勤怠を管理している場合、従業員または管理者が記入をしなければ勤怠状況を把握できません。一方で、勤怠管理システムを導入では打刻があった段階で管理システムに反映されるので、従業員の正確な勤怠状況をリアルタイムに把握できます。
勤怠管理システムのデメリット3つ
勤怠管理システムには多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
勤怠管理システムのデメリット
- 導入コストがかかる
- 慣れるまで時間がかかる
- 勤怠ルールに合わない可能性がある
①導入コストがかかる
勤怠管理システムを導入するには、もちろん費用が発生します。勤怠管理システムはタイムレコーダー型、オンプレミス型、クラウド型に分類され、それぞれ費用相場が異なります。
たとえば、タイムレコーダー型のシステムでは初期費用が最大でも15万円程度ですが、オンプレミス型では100万円程度発生するものもあります。
勤怠管理システムの種類によって必要費用は大きく異なるので、予算にあわせてシステムを選ぶことが重要です。
②慣れるまで時間がかかる
勤怠管理システムは使い方に慣れてしまえば非常に便利で効率的なツールですが、一方で慣れるまでに時間がかかる可能性があります。
紙媒体で管理をしていた場合は、特に変化が大きいでしょう。使い方を説明する時間を設けるなど、慣れるまでの準備が必要な場合があります。
勤怠ルールに合わない可能性がある
職場によっては、イレギュラーな勤怠ルールを敷いている場合もあり、勤怠管理システムが対応できない可能性もあるでしょう。従業員の勤務がシフト制で前日の急な変更などが多い場合は、システムを使うことでかえって手間が増えるかもしれません。
そのため、勤怠管理システムが職場の勤怠ルールに活用できるかどうか、事前に確認しておくことが重要です。
勤怠管理システムの種類
勤怠管理システムは、主に3つの種類があります。それぞれの名称・導入方法・特徴を以下の表にまとめました。
種類 | 導入方法 | 特徴 |
---|---|---|
①タイムレコーダー型 | タイムレコーダーのソフトウェアをPCにインストール | ・大半の商品はタイムレコーダーと集計ソフトのセット販売 ・シンプルに勤怠管理のみを少人数で利用する組織向け |
②オンプレミス型 | 自社で保有するサーバーにソフトウェアをインストール | ・セキュリティ面に強い ・導入コストが高い |
③クラウド型 | インターネット環境があれば導入可能 | ・保守やメンテナンスの必要がない ・比較的安価で簡単に導入できる |
①タイムレコーダー型
タイムレコーダー型の勤怠管理システムは、一般的に小型の機器を用いて打刻を行い、少人数で使用するのに向いている特徴があります。打刻方法は以下のとおりです。
- 紙カード
- ICカード
- 指紋認証
- 社員ID+パスワード
- iPad ※ソフトのインストールが必要
- PC ※ソフトのインストールが必要
また、タイムレコーダー型には導入コストが比較的安価に抑えられるというメリットもあります。ただし、給与の自動化に対応していなかったり、規模の大きな事業所が使用するのには不向きだったりというデメリットもあります。
②オンプレミス型
オンプレミス型は、自社サーバーにソフトウェアをインストールして管理する、勤怠管理システムです。セキュリティが強力かつオフラインでも利用できることが特徴で、高度なセキュリティ体制を敷きたい企業におすすめです。
オンプレミス型の打刻方法には、以下が挙げられます。
- 通話
- PC
- チャット
- 指紋認証
- 静脈認証
- ICカード
- バーコード
- スマートフォン
- カメレオンコード
- Blutooth
また、オンプレミス型には、システムを自由にカスタマイズして従業員が多い企業でも運用しやすいというメリットがあります。ただし、導入コストやランニングコストが比較的高いため、予算を考慮して選ぶことが必要です。
③クラウド型
クラウド型は、インターネット経由で導入できる勤怠管理システムで、月または年契約で契約して利用します。導入コストやランニングコストが安く、すぐに導入できる手軽さが大きなメリットです。
ただし、セキュリティ面においてオンプレミス型に比べてやや不安があり、オフラインでは利用できないというデメリットもあります。
勤怠管理システムの選び方・比較方法
勤怠管理システムの選び方は、以下5つのポイントをチェックすることが重要です。順番に見ていきましょう。
勤怠管理システムを選ぶ際のポイント
- 必要な機能が含まれているか
- 既存システムと連携できるか
- 誰にでも使いやすいか
- 法令への対応は十分か
- 導入・運用費用は適正か
①必要な機能がそろっているか
勤怠管理システムの機能やサービス内容は、各メーカーによって異なります。その中でも以下4点は、機能の確認が特に必要です。
- 打刻
- 残業や有給申請
- 帳票出力
- セキュリティ対策
上記はあくまで一般的に必須とされている勤怠管理システムの機能ですが、この中から特に自社において自動化・効率化したい部分が網羅されているものを選びましょう。
また、絶対に必要な機能やあったらうれしい機能など、重要度に分けて洗い出しておくとスムーズに選択できるでしょう。
打刻
打刻は、雇用形態や勤務形態にあった方法で行う必要があります。主な打刻方法には、PC・ICカード・スマホ等があります。
また、社外で打刻する必要のある人がいるか、フレックス制や変形労働制など自社の業務形態に対応できるかなども確認しましょう。
残業や有給休暇申請
勤怠管理システムを利用して、残業申請や有給休暇のワークフロー管理などを行いたい場合は、その機能が搭載されているかの確認も必要です。
帳票出力
勤怠管理システムには、帳票出力機能が実装されているものもあります。主にEXCEL・CSV・PDFなどで出力でき、勤怠管理を紙で確認したい場合に便利な機能です。
また、導入するシステムによってほかのシステムに取り込めるものもあるので、出力形式や集計機能の有無も確認しておくと良いでしょう。
セキュリティ対策
勤怠管理システムには主に3種類ありますが、使用するシステムの種類によってセキュリティ体制には差があります。例えば、オンプレミス型は高度なセキュリティ体制を整えられますが、クラウド型はそれに比べてセキュリティは弱いとされていることが特徴です。最低限、バックアップやデータ通信が暗号化されているかなどの機能があると良いでしょう。
ただし、セキュリティが強力な場合は導入コストやランニングコストが高くなるというデメリットもあります。そのため、どの程度のセキュリティを求めるかも、勤怠管理システム選びには重要です。
②既存システムと連携できるか
勤怠管理システムの中には、その他の給与計算ソフトや人事関連のシステムと連携ができるものもあります。勤怠管理システムに打刻することで自動的に連携させる設定ができるので、社内の業務効率化につながります。
③誰にでも使いやすいか
勤怠管理システムは全ての従業員が実際に利用するものであるため、誰にとっても使いやすく利便性の高いものを選ぶことが重要です。従業員の中には、デジタルツールの利用が苦手という方もいるかもしれません。もし試験導入ができる場合は、自社の従業員に実際に利用してみてもらうのも良いでしょう。
また、勤怠管理システムのタイプによってもシステムの複雑さは異なります。できるだけ早く浸透させ、勤怠管理をスムーズにさせたい場合は使いやすさを重視することがおすすめです。
④法令への対応は十分か
労働関連の法律は、労働時間や休憩時間などさまざまな項目で厳しく定められています。さらには一部業界にだけ適用されるような法改正もあるため、注意が必要です。
また、法令改正は頻繁に起こりますが、システムが自動的に更新されるものだとより安心です。
⑤導入・運用費用は適正か
勤怠管理システムは、従量課金制のものや月額制のものなど、自社にあったサービスを選択することが重要です。勤怠管理システムは長く使用することになるため、従業員数の増減など先々のことも考え、導入コストやランニングコストなど予算に照らし合わせて検討しましょう。
システム導入時の注意点
システムを選んで導入し、運用していくうえではいくつかの注意点があります。特に、以下2点の確認は忘れないようにしましょう。
勤怠管理システム導入時の注意点
- イレギュラーな処理への対応
- 従業員への事前周知
①イレギュラーな処理への対応
勤怠管理において、頻度は低いもののイレギュラーな処理(振替休日の処理など)への対応が生じる場合もあるでしょう。その場合は、人事担当者の操作で対応ができるような設定をしておくことがおすすめです。
イレギュラーな事象が発生する場合も想定し、あらかじめ体制を整えておきましょう。
②従業員への事前周知
勤怠管理システムの導入を成功させるには、実際に勤怠入力を行う従業員の継続的な協力が必要です。そのため、勤怠管理システム導入への理解を得て、従業員がスムーズに運用できるための周知や研修が重要となります。
【2024年最新版】勤怠管理システム例11選
これまで勤怠管理システムのメリット・デメリットや、比較ポイントを初会してきました。
最後に、2024年現在提供されている勤怠管理システムの例を11種類ご紹介します。
ソフト名称 | 提供会社 |
---|---|
freee勤怠管理Plus | フリー株式会社 |
ジンジャー勤怠 | jinjer株式会社 |
KING OF TIME | 株式会社ヒューマンテクノロジーズ |
タッチオンタイム | 株式会社デジジャパン |
ジョブカン勤怠管理 | 株式会社DONUTS |
マネーフォワードクラウド勤怠 | 株式会社マネーフォワード |
楽楽勤怠 | 株式会社ラクス |
チムスピ勤怠 | 株式会社チームスピリット |
ハーモス勤怠 | 株式会社ビズリーチ |
オフィスステーション勤怠 | 株式会社エフアンドエム |
キンタイミライ | 株式会社ネオレックス |
まとめ
勤怠管理システムを導入をすることで、勤怠打刻だけでなく、給与計算に連動した他業務の効率化にもつながります。従業員数や機能など、自社に合った勤怠管理システムを選ぶようにしましょう。
ただし、導入費用やランニングコスト、セキュリティの充実度などでシステムごとに差があります。優先順位を決めて適切なシステムを導入することが大切です。
よくある質問
勤怠管理システムの選び方は?
勤怠管理システムは、以下5つのポイントを確認して選ぶことが重要です。
- ・必要な機能がそろっているか
- ・自社システムと連携できるか
- ・利便性が高いか
- ・労働関連の法令改正に対応しているか
- ・導入や運用にかかる費用は適正か
その他にも、自社で特に効率化したい業務や場面などがある場合は、合わせて重視して選ぶと良いでしょう。試しに利用できるシステムもあるので、一度従業員に使用指定してもらうのもおすすめです。
詳しくは記事内「勤怠管理システムの選び方・比較方法」をご覧ください。