最終更新日:2023/07/11

勤怠管理システムとは、従業員の出勤・退勤時間を自動的に集計し、給与計算や労働時間の管理を効率化できるシステムです。勤怠管理システムを導入することで、時間の大幅な短縮がなされることはもちろん、正確かつ客観的な勤怠管理が実現できます。
本記事では、勤怠管理システムのメリットやデメリットについて詳しく解説します。また、勤怠管理システムを導入する上での選び方から比較のポイントまで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 勤怠管理システムとは
- 勤怠管理システムのメリット
- 給与計算が楽になる
- 多様化する働き方に対応できる
- 事務所にいなくても打刻ができる
- 勤怠に関する不正を防げる
- 他に活用しているシステムと連携して管理できる
- 人的ミスを防止できる
- 法律改正への対応がスムーズに行える
- 勤怠状況をリアルタイムに把握できる
- 勤怠管理システムのデメリット
- 導入コストがかかる
- 社内に浸透するまで時間がかかる
- 職場の勤怠ルールに合わない可能性がある
- 勤怠管理システムの種類
- タイムレコーダー型
- オンプレミス型
- クラウド型
- 勤怠管理システムの選び方・比較方法
- 必要な機能がそろっているか
- 自社のシステムと連携できるか
- 誰にでも使いやすいか
- 労働関連の法令改正に対応しているか
- 導入や運用にかかる費用は適正か
- システム導入時の注意点
- イレギュラーな処理への対応
- 勤怠管理についての周知
- まとめ
- よくある質問
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムとは、従業員の出勤時間・退社時間を客観的に記録し、給与計算に必要な情報を集計するためのシステムです。勤怠管理システムの導入によって、正確な勤怠情報の記録や適切な労働時間の管理などの業務を効率的に行うことができます。
【関連記事】
勤怠管理とは?カンタンに行う方法や目的・重要性を解説
勤怠管理システムのメリット
勤怠管理システムのメリットは、以下のように8つあります。
勤怠管理システムのメリット
- 給与計算が楽になる
- 多様化する働き方に対応できる
- 事務所にいなくても打刻ができる
- 勤怠に関する不正を防げる
- 他に活用しているシステムと連携して管理できる
- 人的ミスを防止できる
- 法律改正への対応がスムーズに行える
- 勤怠状況をリアルタイムに把握できる
給与計算が楽になる
勤怠管理システムを導入することで、給与の計算を自動化できます。労働時間や休憩時間に対する時給等を設定しておけば、勤怠入力(打刻)を行うだけであとはシステムが自動的に計算してくれます。
これまで手作業でしていた作業のほとんどをシステムに任せることができるようになるため、給与計算の作業が楽にできるでしょう。
多様化する働き方に対応できる
近年、テレワークやフレックス制度を導入するなど、企業での働き方が多様化してきています。しかし、テレワークやフレックスによって従業員の働く場所や時間が分散すると、勤怠管理が難しくなることがデメリットです。
勤怠管理システムを導入することで労働時間の管理がしやすくなります。人事や労務管理の作業を行う方にとっては、大きな業務の効率化が見込めるでしょう。
事務所にいなくても打刻ができる
勤怠管理システムを導入すると、事務所にいなくても打刻ができます。テレワークや出張、外回りからの直帰など、さまざまなケースに対応した打刻が可能です。
勤怠に関する不正を防げる
紙媒体で従業員の勤怠管理をしている場合は、始業・終業が正確に記録されているか確認することが困難です。一方で、勤怠管理システムを導入すれば、正確な打刻時間が記録されるため、不正を防ぐことができます。
他に活用しているシステムと連携して管理できる
勤怠管理システムは、労務管理や人事管理など他に活用しているシステムと連携できます。勤怠等に関する管理はすべて一元化できるようになるため、業務の効率化が期待できるでしょう。
人的ミスを防止できる
人が手作業で勤怠管理を行っている場合は、どうしても漏れ・抜け・誤字脱字などのミスが発生してしまいます。しかし、勤怠管理システムはデジタルで管理できるため、このような人的ミスを防ぐことができます。
法律改正への対応がスムーズに行える
勤怠管理システムは、法律改正があった場合にシステム側がアップデートしてくれます。そのため、法改正が起こるたびに管理体制や手順を整え直す必要がなくなります。
ただし、法改正に伴うシステムの変更については利用しているシステムによって有償となる場合もあるので、サービス内容を事前に細かく確認しておきましょう。
勤怠状況をリアルタイムに把握できる
紙での記入やExcel入力にて勤怠管理をしている場合、従業員または管理者が記入をしなければ勤怠状況を把握できません。一方で、勤怠管理システムを導入では打刻があった段階で管理システムに反映されるので、従業員の正確な勤怠状況をリアルタイムに把握することができます。
勤怠管理システムのデメリット
勤怠管理システムにはメリットがある一方で、デメリットもあります。以下3つのデメリットをあらかじめ把握し、導入の際は慎重に検討することが大切です。
勤怠管理システムのデメリット
- 導入コストがかかる
- 社内に浸透するまで時間がかかる
- 職場の勤怠ルールに合わない可能性がある
導入コストがかかる
勤怠管理システムを導入するには、もちろん費用が発生します。勤怠管理システムはタイムレコーダー型、オンプレミス型、クラウド型に分類され、それぞれ費用相場が異なります。
たとえば、タイムレコーダー型のシステムでは初期費用が最大でも15万円程度ですが、オンプレミス型では100万円程度発生するものもあります。
勤怠管理システムの種類によって必要費用は大きく異なるので、予算にあわせてシステムを選ぶことが重要です。
社内に浸透するまで時間がかかる
勤怠管理システムは使い方に慣れてしまえば非常に便利で効率的なツールですが、社内に浸透するまでは時間がかかる可能性があります。そのため、従業員へ使い方についてのレクチャーを行うなど、浸透するまでバックアップ体制を整えておく必要があります。
職場の勤怠ルールに合わない可能性がある
職場によっては、イレギュラーな勤怠ルールを敷いている場合もあり、勤怠管理システムが対応できない可能性もあるでしょう。従業員の勤務がシフト制で前日の急な変更などが多い場合は、システムを使うことでかえって手間が増えてしまいかねません。
そのため、勤怠管理システムが職場の勤怠ルールに活用できるかどうか、事前に確認しておくことが重要です。
勤怠管理システムの種類
勤怠管理システムには、主に3種類があります。それぞれの名称・導入方法・特徴を以下の表にまとめました。
名称 | 導入方法 | 特徴 |
タイムレコーダー型 | タイムレコーダーのソフトウェアをPCにインストール | ・大半の商品はタイムレコーダーと集計ソフトのセット販売 ・シンプルに勤怠管理のみを少人数で利用する組織向け |
オンプレミス型 | 自社で保有するサーバーにソフトウェアをインストール | ・セキュリティ面に強い ・導入コストが高い |
クラウド型 | インターネット環境があれば導入可能 | ・保守やメンテナンスの必要がない ・比較的安価で簡単に導入できる |
タイムレコーダー型
タイムレコーダー型の勤怠管理システムは、一般的に小型の機器を用いて打刻を行い、少人数で使用するのに向いている特徴があります。打刻方法は以下のとおりです。
タイムレコーダー型の打刻方法
- 紙カード
- ICカード
- 指紋認証
- 社員ID+パスワード
- iPad※タイムレコーダーのソフトウェアインストールが必要
- PC※タイムレコーダーのソフトウェアインストールが必要
また、タイムレコーダー型には導入コストが比較的安価に抑えられるというメリットもあります。ただし、給与の自動化に対応していなかったり、規模の大きな事業所が使用するのには不向きだったりというデメリットもあります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社サーバーにソフトウェアをインストールして管理する、勤怠管理システムです。セキュリティが強力かつオフラインでも利用できることが特徴で、高度なセキュリティ体制を敷きたい企業におすすめです。
打刻方法には、以下があります。
オンプレミス型の打刻方法
- 通話
- PC
- チャット
- 指紋認証
- 静脈認証
- ICカード
- バーコード
- スマートフォン
- カメレオンコード
- Blutooth
また、オンプレミス型には、システムを自由にカスタマイズして従業員が多い企業でも運用しやすいというメリットがあります。ただし、導入コストやランニングコストが比較的高いため、予算を考慮して選ぶことが必要です。
クラウド型
クラウド型は、インターネット経由で導入できる勤怠管理システムで、月または年契約で契約して利用します。導入コストやランニングコストが安く、すぐに導入できる手軽さが大きなメリットです。
ただし、セキュリティ面においてオンプレミス型に比べてやや不安があり、オフラインでは利用できないというデメリットもあります。
勤怠管理システムの選び方・比較方法
勤怠管理システムの選び方は、以下5つのポイントをチェックすることが重要です。
勤怠管理システムを選ぶ際のポイント
- 必要な機能がそろっているか
- 自社システムと連携できるか
- 誰にでも使いやすいか
- 労働関連の法令改正に対応しているか
- 導入や運用にかかる費用は適正化
上記のポイントをおさえつつ複数の勤怠管理システムを比較することで、より企業に合ったシステムの導入につながります。
ただし、企業によっては勤怠管理だけ自動化したい場合や、経費精算も給与計算も行いたい場合など状況はさまざまです。そのため、どのような機能が必要であるかなどを事前に確認しておきましょう。 また、使える導入コストやランニングコストなども、予算に合っているかどうか確認が必要です。
必要な機能がそろっているか
勤怠管理システムの機能やサービス内容は、各メーカーによって異なります。その中でも以下4点は、機能の確認が特に必要です。
- 打刻方法
- 残業や有給申請
- 帳票帳票出力機能
- セキュリティ対策
上記はあくまで一般的に必須とされている勤怠管理システムの機能ですが、この中から特に自社において自動化・効率化したい部分が網羅されているものを選びましょう。
また、絶対に必要な機能やあったらうれしい機能など、重要度に分けて洗い出しておくとスムーズに選ぶことができます。
打刻方法
打刻方法は、雇用形態や勤務形態にあった方法で行える必要があります。主な打刻方法には、 PC・ICカード・スマホ等があります。
また、社外で打刻する必要のある人がいるか、フレックス制や変形労働制など自社の業務形態に対応できるかなども確認しましょう。
残業や有給休暇申請
勤怠管理システムを利用して、残業申請や有給休暇のワークフロー管理などを行いたい場合は、その機能が搭載されているかの確認も必要です。
帳票出力機能
勤怠管理システムには、帳票出力機能があるものもあります。主にEXCEL・CSV・PDFなどで出力でき、勤怠管理を紙で確認したい場合に便利な機能です。
また、導入するシステムによってほかのシステムに取り込めるものもあるので、出力形式や集計機能の有無も確認しておくと良いでしょう。
セキュリティ対策
勤怠管理システムには主に3種類ありますが、使用するシステムの種類によってセキュリティ体制には差があります。例えば、オンプレミス型は高度なセキュリティ体制を整えられますが、クラウド型はそれに比べてセキュリティは弱いとされていることが特徴です。最低限、バックアップやデータ通信の暗号化がされているかなどの機能があると良いでしょう。
ただし、セキュリティが強力な場合は導入コストやランニングコストが高くなるというデメリットもあります。そのため、どの程度のセキュリティを求めるかも、勤怠管理システム選びには重要です。
自社のシステムと連携できるか
勤怠管理システムの中には、その他の給与計算ソフトや人事関連のシステムと連携ができるものもあります。勤怠管理システムに打刻することで自動的に連携させる設定ができるので、社内の業務効率化につながります。
誰にでも使いやすいか
勤怠管理システムは全ての従業員が実際に利用するものであるため、誰にとっても使いやすく利便性の高いものを選ぶことが重要です。 従業員の中には、デジタルツールの利用が苦手という方もいるかもしれません。もし試験導入ができる場合は、自社の従業員に実際に利用してみてもらうのも良いでしょう。
また、勤怠管理システムのタイプによってもシステムの複雑さは異なります。、出来るだけ早く浸透させ、勤怠管理をスムーズにさせたい場合は使いやすさを重視することがおすすめです。
労働関連の法令改正に対応しているか
労働関連の法律は、労働時間や休憩時間などさまざまな項目で厳しく定められています。勤怠管理システムには、残業時間が多いとアラートが出るなど、法令順守のサポート機能が整えられているものがあります。
また、法令改正は頻繁に起こりますが、システムが自動的に更新されるものだとより安心です。
導入や運用にかかる費用は適正か
勤怠管理システムは、従量課金制のものや月額制のものなど、自社にあったサービスを選択することが重要です。 勤怠管理システムは長く使用することになるため、従業員数の増減など先々のことも考え、導入コストやランニングコストなど予算に照らし合わせて検討しましょう。
システム導入時の注意点
システムを選んで導入し、無地に運用にのせるには注意が必要です。特に、以下2点の確認は忘れずないようにしましょう。
システム導入時の注意点
- イレギュラーな処理への対応
- 勤怠管理についての周知、研修
イレギュラーな処理への対応
勤怠管理において、頻度は低いもののイレギュラーな処理(振替休日の処理など)への対応が生じる場合もあるでしょう。その場合は、人事担当者の操作で対応ができるような設定をしておくことがおすすめです。
イレギュラーな事象が発生する場合も想定し、あらかじめ体制を整えておきましょう。
勤怠管理についての周知
勤怠管理システムの導入を成功させるには、実際に勤怠入力を行う従業員の継続的な協力が必要です。そのため、勤怠管理システム導入への理解を得て、従業員がスムーズに運用できるための周知や研修が重要となります。
まとめ
勤怠管理システムは、導入して社内に浸透させることで給与計算から労働管理まで、社内のあらゆる業務の効率化につながります。種類も多く、従業員の数や導入したい機能など、自社に合った勤怠管理システムが選べると非常に便利です。
ただし、導入コストやランニングコストなどの費用面や、セキュリティの充実度などシステムによって差があります。勤怠管理システムに何を重視するのか優先順位を決めて、適切なシステムを導入し、社内の業務を効率化させましょう。
よくある質問
勤怠管理システムの選び方は?
勤怠管理システムは、以下5つのポイントを確認して選ぶことが重要です。
- 必要な機能がそろっているか
- 自社システムと連携できるか
- 利便性が高いか
- 労働関連の法令改正に対応しているか
- 導入や運用にかかる費用は適正化
その他にも、自社で特に効率化したい業務や場面などがある場合は、合わせて重視して選ぶと良いでしょう。試しに利用できるシステムもあるので、一度従業員に使用指定してもらうのもおすすめです。
詳しくは記事内「勤怠管理システムの選び方・比較方法」をご覧ください。
勤怠管理システムを導入するメリットは?
勤怠管理システムは、導入コストやランニングコストがかかるものの、以下のように社内に大きなメリットをもたらします。
- 給与計算が楽になる
- 多様化する働き方に対応できる
- 事務所にいなくても打刻ができる
- 万が一の従業員による不正を防げる
- 他に活用しているシステムと連携して管理できる
- 人による作業によって生まれる漏れや抜けが防げる
- 法律改正への対応がスムーズに行える
- 紙での記入やExcel入力に比べ、正確な勤怠状況をリアルタイムに把握できる
組織の規模の大きさに関わらず、適切に導入することであらゆる業務の効率化が期待できるでしょう。
詳しくは記事内「勤怠管理システムのメリット」をご覧ください。