人事労務の基礎知識

常勤換算とは?人員配置基準などの確認に必要な指標の計算方法や注意事項をわかりやすく解説

常勤換算とは?人員配置基準などの確認に必要な指標の計算方法や注意事項をわかりやすく解説

常勤換算とは、医療・介護・福祉施設や事業所において、実際に勤務している職員の労働時間を基に、常勤職員の人数に換算する方法です。常勤換算を計算するときは、常勤と非常勤の違いや兼務の場合の取り扱いについて理解しておかなければなりません。

本記事では、介護施設で必須の「常勤換算」の計算法をわかりやすく解説します。常勤換算する際の3つの注意点もまとめているので、参考にしてください。

目次

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常勤換算とは

常勤換算とは、医療・介護・福祉施設および事業所において、実際に勤務している職員の労働時間を基に、常勤職員の人数に換算する方法のことです。

常勤換算では「フルタイム勤務の職員が〇人勤務している」といった形で表現する必要があり、パートや夜勤など、勤務時間が異なる形態も考慮して計算しなければなりません。つまり常勤換算で算出された数値は、「全職員の勤務時間をフルタイムの職員数に変換したもの」ということができます。

常勤換算しなければならない理由

常勤換算を行う最大の目的は、介護保険法に基づく人員配置基準を遵守することにあります。

介護保険制度では、施設や事業所が適切なサービスを提供するために、職種ごとに「基準職員数」が定められています。運営の前提条件として、この基準を満たさなければなりません。人員配置基準を下回る状態が発覚した場合、施設は自治体や監査機関から認定取り消しや業務停止といった厳格な措置を受ける可能性があります。

また、常勤換算は労働基準法に基づいた適正な労働時間の管理にも寄与します。職員の労働実態を把握し、時間外労働の発生や過重労働の兆候を見逃さないことは、労働環境の悪化や人材流出の回避につながります。加えて、繁忙期と閑散期を抱える場合や労働力の流動性が高い業界では、常勤換算を用いることで適切な人員配置を実現しやすくなるというメリットもあります。

労働力の実態を正確に把握できれば生産性の向上、コスト削減、労働環境の改善を図ることもできるため、常勤換算は単なる計算手法にとどまらず、企業運営全般に関わる重要な指標といえるでしょう。

出典:厚生労働省「人員配置基準等(介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)」

医療・介護・福祉施設における勤務形態

障害福祉サービスや介護サービス事業所における働き方は、「①常勤・専従」「②非常勤・専従」「③常勤・兼務」「④非常勤・兼務」という4パターンに分類できます。

常勤非常勤
専従①常勤・専従②非常勤・専従
兼務③常勤・兼務④非常勤・兼務

常勤と非常勤の違い

常勤とは、事業所が定めた規定の勤務時間内で勤務している職員を指す言葉で、一般的にフルタイム勤務のことです。たとえば週40時間を所定勤務時間として定めている場合、1週間で40時間以上の勤務をしている職員は「常勤=フルタイム」となります。

正社員はもちろん、職場の定める勤務時間を超えて勤務しているパートタイマーでも常勤として認められます。

非常勤はその逆で、労働時間が所定勤務時間に満たない職員のことです。たとえば、1週間に最大で40時間働く職員が常勤とされる場合、週に20時間しか働かない職員は「非常勤」です。つまり、雇用契約で設定された常勤の所定勤務時間に達しないパートタイムの職員が「非常勤」に分類されます。

専従と兼務の違い

専従とは、勤務時間中に特定の職務のみに従事すること、もしくは従事する職員を指します。この場合、他の職務を兼ねることは原則として認められません。

一方の兼務は、勤務時間中に複数の職務を同時に行うこと、もしくはそのような働き方をする職員を指します。特定の職務にのみ従事するのではなく、複数の職務を兼ねることができます。

たとえば、ある職員が管理者として配置され、勤務時間に管理職務以外に従事しない場合は「専従」、午前中は職業指導員となり午後は生活支援員になる、といった働き方をする場合は「兼務」になります。

常勤換算の計算方法について

常勤換算は常勤と非常勤の分類に基づいて行われ、常勤の職員を1.0人として、ほかの勤務形態の職員が何人分に該当するかを計算します。計算式は以下の通りです。

常勤職員の人数 +(非常勤職員の労働時間の合計 ÷ 所定労働時間)= 常勤換算人数

単位は「人数」で、小数点以下第2位は切り捨てて計算します。わかりやすいように、以下の手順で常勤換算の計算を進めていきましょう。

常勤換算の計算方法

  • 週あたりの所定勤務時間
  • 常勤の人数
  • 非常勤職員の勤務時間
  • 常勤と非常勤の常勤換算人数

週あたりの所定勤務時間

まず、施設や事業所の就業規則に従って所定の勤務時間を算出します。たとえば、1日8時間勤務で週に2日休む制度の場合は、8時間×5日間で週40時間勤務です。

就業規則で勤務時間が週32時間以下の場合、計算は32時間を所定の勤務時間として行いましょう。

常勤の人数

次に、常勤の職員総数を確認します。常勤の職員を特定し、1.0人としてカウントしましょう。

通常、常勤というと正職員を指しますが、令和3年度の介護報酬改定により、介護や育児が理由で短時間勤務になってしまう場合でも週30時間勤務すれば「常勤」と認定されるようになりました。このケースに該当する従業員も常勤として扱われます。

パートやアルバイトでも、1日8時間・週5日の勤務を行い、就業規則で週休2日が確保されている場合は常勤と見なされます。

非常勤職員の勤務時間

以下ではAさんを例に、勤務時間を計算します。Aさんは非常勤職員で、週平均25時間働いているとします。

25時間(Aさんの1週間の勤務時間) ÷ 40時間(週の所定勤務時間) = 0.6

上記の計算式から、Aさんの常勤換算上の人数は「0.6人」ということがわかります。

常勤と非常勤の常勤換算人数

最後に、常勤と非常勤の職員(Aさん、Bさん、Cさん)を例に挙げて、実際に計算してみましょう。

Aさん:非常勤(週27時間)
Bさん:非常勤(週20時間)
Cさん:常勤(週40時間)

常勤職員の人数 +(非常勤職員の労働時間の合計 ÷ 所定労働時間)= 常勤換算人数
1 +(47÷ 40)= 2.1人

上記の例では、2.1人が常勤換算人数となります。

常勤換算するときの3つの注意点

常勤換算を計算するときは、以下3つの注意点を考慮しなければなりません。


  • 有給休暇や出張
  • 育児休暇
  • 兼務

有給休暇や出張について

有給休暇と出張の取り扱い方は、常勤職員と非常勤職員の分類によって異なります。常勤社員は、有給休暇や出張を「勤務時間」としてカウントします。一方、非常勤社員は「実際に働いた時間」だけが常勤換算の対象となります。有給休暇や出張は、基本的に計算に入れません。

さらに、常勤社員でも1ヶ月以上の長期出張や休暇がある場合、その期間は勤務時間の計算から除かれるので注意が必要です。

育児休暇について

育児休暇や産後休暇は通常1ヶ月以上の長期休暇となるので、常勤換算の計算から除かれます。育児休暇後に短時間勤務をしている常勤職員は、非常勤職員と同じく「実際に働いた時間」で計算されます。

ただし、以下の3つの条件をすべて満たしていれば常勤として扱われます。

育児休暇について

  • 事業所の就業規則で、育児による短時間勤務の時間が明確に設定されている
  • 就業規則によって定められた時間が週30時間以上である
  • 現状の勤務形態でもサービスに支障がないように体制を整えている

兼務について

介護職の常勤換算において、複雑なのが「兼務」の取り扱いです。介護職員が複数の施設や業種で働いているケースは珍しくありません。また、兼業などの扱いは地域によっても基準が異なります。

基本的に兼務の場合、各職種での勤務時間を明確に区別し、その時間に基づいて常勤換算を行う必要があります。たとえば週に20時間ずつ管理職と一般職を兼務している場合、各職種での常勤換算は0.5(20時間/40時間)となります。

同一事業所内での兼務の場合は、各職種ごとの勤務時間に基づいて常勤換算を行います。ただし管理職が兼務している場合、それぞれの業務を常勤1人分に換算できることがあります。具体的な換算方法は、各事業所の規定や状況によります。

また、同一法人が運営する他の事業所で兼務している場合、勤務時間を合算して常勤換算されることがあります。ただしこれは同一敷地内であり、並行して業務を行える場合に限られ、遠くにある施設や同時に行うのが難しい業務については職種ごとの時間で別々に計算されます。

常勤換算は自動ツールに任せよう

介護や福祉業界において非常に重要な常勤換算ですが、複数の施設や職種で働いている職員がいる場合、手作業での計算は複雑で時間がかかります。そのため、正確な人員配置や法的な基準を満たすには効率的な常勤換算の方法を採らなければなりません。

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    同一人物が複数の職種や拠点で働いている場合でも、勤務時間に応じて一覧表を自動で出力できる
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まとめ

常勤換算は、施設で働く全職員の勤務時間をフルタイム換算で表す方法で、介護保険法に基づく人員配置基準を遵守するために不可欠です。手作業での常勤換算は複雑で時間がかかるため、自動ツールの利用がおすすめです。

特に、freeeが提供する「常勤換算キット」は、出勤簿作成から法的リスクの軽減まで多くの課題を解決してくれるでしょう。

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よくある質問

常勤換算人数の計算式は?

常勤換算人数は、以下の計算式で求められます。

常勤職員の人数 + (非常勤職員の合計勤務時間 ÷ 事業所が定めた規定の勤務時間)= 常勤換算人数

常勤換算の計算方法について」で詳しい計算方法をご参照ください。

常勤パートと非常勤パートの違いは?

一般的に、勤務時間によって「常勤」と「非常勤」が区別されます。たとえば、所定勤務時間を40時間に設定している場合、週5日で1日8時間働いている職員は「常勤」とされます。

一方1日8時間を週3日や、1日5時間で週5日勤務のように、所定労働時間に満たない職員が「非常勤」です。詳しくは記事内の「常勤と非常勤の違い」をご覧ください。

常勤パートと非常勤パートの違いは?

労働基準法によれば、勤務時間が6時間を超えて8時間以内である場合、最低でも45分の休憩が必要です。また、勤務が8時間を超える場合は少なくとも60分の休憩が必要とされています。

6時間ちょうどの勤務であれば、法的には休憩は必要ありません。8時間以上働く場合も、60分の休憩を取れば労働基準を満たしていると判断されます。

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