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源泉徴収票の書き方・作り方まとめ!正しく作成する方法【2024年(令和6年)最新】

源泉徴収票の書き方・作り方まとめ!正しく作成する方法【2024年(令和6年)最新】

源泉徴収票は、1年間の「支払った給与額」と「源泉徴収した税額」を記載した書類で、国税庁の「給与所得の源泉徴収票」の書式に沿って作成できます。

本記事では、源泉徴収票の項目の書き方・用語の説明・税額の計算方法など、源泉徴収票の作り方・書き方について詳しく解説しています。ミスなく源泉徴収票を作成するためにぜひお役立てください。

目次

源泉徴収票の作成をボタン1つで安心・確実に

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源泉徴収票の作成方法

源泉徴収票は、国税庁が公開する「給与所得の源泉徴収票」の書式に沿って埋めていくことで作成できます。ここからは、記載箇所ごとに書き方を解説していきます。

源泉徴収票

出典:国税庁「F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)

1. 支払金額

源泉徴収や各控除額が差し引かれる前の額面上の年収を指します。会社員の場合、源泉徴収票の「種別」には給料や収入と記入するのが一般的です。この支払金額には、非課税の通勤手当などは含まれません。

2. 給与所得控除後の金額

1. 支払金額に記入した収入額から給与所得控除額を差し引いた後の金額を記入します。給与所得控除とは、会社から給与収入を受けている人に適用される控除のことをいいます。

個人事業主の場合は、事業に必要な文房具などの事務用品や交際費などの経費を収入から差し引くことができます。

しかし、会社員などの給与をもらっている人たちの中には、経費が発生しないケースもあります。
これでは不公平となるため、給与所得控除は「会社だけではなく従業員にも必要経費はある」という考えのもと、一定額を経費として年収から差し引くことで、本来支払うべき税金の納付額を安くするという制度です。

【関連記事】
給与所得控除とは?給与所得の計算方法や所得控除との違いをわかりやすく解説

3. 所得控除の額の合計額

ここには給与所得控除以外の、適用される各種控除額の合計を記入します。2. 給与所得控除後の金額からこの所得控除の合計額を差し引いた額が「課税所得」となります。

所得控除の種類とそれぞれの控除額は以下のとおりです。

所得控除一覧

控除の種類適用条件控除額
社会保険料控除健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済の掛金を支払った支払った掛金の合計額
生命保険料控除生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で支払った保険料がある一定の方法で計算した金額
(最大12万円)
地震保険料控除地震保険料を支払った一定の方法で計算した金額
(最大5万円)
寡婦控除その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦で一定の要件を満たしている
※寡夫控除は2020年度分よりひとり親控除に変更
27万円
ひとり親控除納税者がひとり親で一定の要件を満たしている35万円
勤労学生控除特定の学校の学生、生徒であること
※合計所得金額が75万円以下かつ勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
27万円
障害者控除納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である一人につき、
・障害者27万円
・特別障害者40万円
・同居特別障害者75万円
配偶者控除配偶者の合計所得が48万円以下
(給与のみの場合は給与収入が160万円以下)
・一般控除対象配偶者は最大38万円
・老人控除対象配偶者は最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である最大48万円
※配偶者の所得金額によって異なる
扶養控除16歳以上の子どもや両親などを扶養している・一般控除対象扶養親族は38万円
・特定扶養親族は63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満)
・老人扶養親族は最大58万円
基礎控除原則、すべての人に適用最大95万円
※所得金額によって異なる
※令和6年分までは最大48万円
雑損控除災害や盗難、横領によって損害を受けた以下のいずれか多い方

・(差引損失額) - (総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額) - 5万円
医療費控除一定額以上の医療費を支払った
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
(支払った医療費 - 保険金などで補填される金額) - 10万円

※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額 × 5%
寄附金控除ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした「寄附金支出合計額」と
「総所得金額等 × 40%」
のいずれか少ない方-2,000円

出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし

4. 源泉徴収税額

源泉徴収税額には、1年間で徴収した所得税の合計額が記載されます。

2.給与所得控除後の金額から、3.所得控除の額の合計額を差し引いた金額(課税所得)に、国税庁が定めた税率を掛けることで所得税が算出されます。

このとき、課税所得額に応じて一定の控除額を差し引くことができます。

源泉徴収税額の税率と控除額については、後述「年末調整における所得税の計算方法」で解説します。


源泉徴収額の算出方法

5. 控除対象配偶者の有無等 / 配偶者(特別)控除の額

控除の対象となる配偶者の有無を記入します。配偶者に収入がある場合などで配偶者特別控除の適用となる場合は、右側の「配偶者特別控除の額」に記入します。

6. 控除対象扶養親族の数

配偶者以外に控除の対象となる扶養親族の人数を記入する部分です。扶養親族の中に、障害がある人がいる場合は「障害者の数(本人を除く。)」、外国などに居住している人がいる場合は「非居住者である親族の数」にそれぞれ人数を記入します。

7. 社会保険料等の金額

給料から天引きされる厚生年金保険料や健康保険料などの合計金額を記入します。

【関連記事】
社会保険料の計算方法まとめ!負担割合や社会保険料控除についてわかりやすく解説

8. 生命保険料の控除額 / 地震保険料の控除額 / 住宅借入金等特別控除の額

社会保険料とは別に、個人で加入している生命保険や地震保険料の金額を記入します。

住宅ローン控除はローン初年度に関しては確定申告が必要なため源泉徴収票には記載されません。2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の申告ができるようになります。

それぞれの控除額については、国税庁のホームページからご確認ください。

出典:

「生命保険料控除」
「地震保険料控除」
「認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」

年末調整における所得税の計算方法

年末調整における所得税計算の流れ

それでは実際に所得税を算出してみましょう。ここでは、以下の条件を例に解説していきます。

  • 年収:400万円
  • 配偶者控除あり
  • 扶養親族:1人
  • 生命保険加入

1. 年収から給与所得控除を差し引いた「給与所得」額を算出する

まず年収から給与所得控除の金額を算出します。現在、給与所得控除額は収入額に応じて次のようになります。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで550,000円
1,625,001円から1,800,000円まで収入金額 × 40% - 100,000円
1,800,001円から3,600,000円まで収入金額 × 30% + 80,000円
3,600,001円から6,600,000円まで収入金額 × 20% + 440,000円
6,600,001円から8,500,000円まで収入金額 × 10% + 1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)
出典:国税庁「給与所得控除」

年収400万円の場合、給与所得控除額は以下の計算式で算出されます。

給与所得控除額:
4,000,000 × 20% + 440,000 = 1,240,000(円)

給与所得:
4,000,000 - 1,240,000 = 2,760,000(円)

また令和元年(2019年)分以前は計算式が異なりますので、注意が必要です。詳しくは国税庁のホームページを参考にするようにしましょう。

2. 給与所得から所得控除の合計額を差し引いて「課税所得」額を算出する

1.で算出した給与所得から所得控除の合計額を差し引き、課税所得額を算出します。

今回の例で適用される所得控除は以下のとおりです。

  • ・配偶者控除:38万円(配偶者の年収が103万円以下の場合)
  • ・扶養控除:38万円(扶養家族の年収が103万円以下の場合)
  • ・社会保険料控除:60万円(年間で支払った金額全額控除)
  • ・生命保険料の控除額:12万円(限度額)
  • ・基礎控除:48万円(一律)

給与所得から上記の合計額を差し引いて課税所得額を算出します。

初稿控除の合計
380,000 + 380,000 + 600,000 + 120,000 + 480,0000 = 1,960,000

課税所得:
2,760,000 ー 1,960,000 = 800,000(円)

3. 所得税率・復興特別所得税率をかけて所得税額を算出する

2.で算出した課税所得に国税庁が定めた税率をかけ、所得税額を算出します。税率は課税所得額によって変動するので気をつけましょう。また、課税所得額に応じて控除額を差し引くことができます。

<所得税の速算表>

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

今回の例では、課税所得額が80万円となるため、税率は5%となります。

また、2013年から2037年の間は東日本大震災の復興対策として、「復興特別所得税」が加算されます。該当期間中は上記の所得税率に復興特別所得税の税率2.1%を上乗せして税額を算出します。

よって、今回の例における所得税及び復興特別所得税の合計は以下のように算出します。

所得税及び復興特別所得税の合計額:
800,000 × 5.105% = 40,840(円)

年末調整の場合は、100円未満が切り捨てされるため、源泉徴収額は40,800円となります。

源泉徴収票の記入の流れ

実際に上記の計算例を源泉徴収票に記入してみましょう。

源泉徴収票の記入方法

  1. 給与所得者(受給者)の情報を記入する
    源泉徴収票の最上部にある「支払いを受ける者」の部分に、給与所得者の住所と氏名を記入します。税務署提出用の源泉徴収票には、マイナンバーまたは法人番号も記入が必要です。
  2. 「支払金額」に400万円と記入する
  3. 「給与所得控除後の金額」に2,760,000と記入する
  4. 「所得控除の額の合計額」に1,960,000と記入する
  5. 「控除対象配偶者の有無等」に有をつける
    控除対象配偶者がいる場合、用紙の下半分にある「控除対象配偶者」欄に氏名を記入します。
  6. 「控除対象扶養親族の数」に扶養親族の人数、「扶養対象扶養親族」欄に扶養親族の氏名を記入する
  7. 「社会保険料等の金額」に600,000と記入する
  8. 「生命保険料の控除額」に120,000と記入する
    生命保険料の控除額がある場合、摘要欄の下にある「生命保険料の金額の内訳」に内訳を記入します
  9. 「源泉徴収税額」に40,800と記入する

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与やボーナス(賞与)などの報酬から税金・保険料を天引きし、会社が従業員の代わりに納税する仕組みのことです。会社は報酬を支払う従業員に対して源泉徴収を行う義務があります。

そして、毎月報酬から源泉徴収された所得税の金額と、実際に支払う金額の差額を調整する仕組みを「年末調整」といいます

勤め先の会社が年末調整を行うことで、従業員は自身で確定申告をしなくても納税額の申告と納税が完了します。

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは、その年の1月1日〜12月31日の1年間(年の途中で退職した場合は、その年の1月1日から退職日までの給与期間)に、会社が従業員に「支払った給与額」と「源泉徴収した税額」などを記入した書類のことです。

会社は年末調整が終わったタイミング、もしくは退職者が出たタイミング(退職の日以後1ヶ月以内)で、この源泉徴収票を作成する必要があります。

原則、源泉徴収票は従業員1人につき、従業員用(1部)・税務署提出用(1部)・市区町村提出用(2部)の計4部を作成します。市区町村提出用は「給与支払報告書」という名称で、提出する年の1月1日時点で従業員が住民登録している市区町村に提出します。
年末調整時に作成する源泉徴収票は、毎年1月31日までに提出対象者分を税務署に提出しなければなりません。

源泉徴収票作成や労務管理をカンタンに行う方法

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気になった方は是非 freee人事労務で源泉徴収票を作成してみてください!

まとめ

源泉徴収票の作成の際には、金額などを正しく計算するほか、間違いなく記入していく必要があります。

源泉徴収票の内容は、翌年の住民税額を決定するもとになる給与支払報告書の内容にもなりますので、しっかり時間をとって作成しましょう。

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よくある質問

源泉徴収票はどうやって作成する?

源泉徴収票は国税庁が提供するフォーマットのほか、自分で作成することも可能です。源泉徴収票に記載する項目や作成方法についてはこちらで詳しく解説しているのでご覧ください。

源泉徴収票を自分で作成する方法は?

国税庁が提供するフォーマットを元に、源泉徴収票に記載する項目をおさえることで、自分で作成することが可能です。詳しくはこちらで解説しているのでご覧ください。

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