給与計算・労務管理の基礎知識

年末調整の勤労学生控除の書き方

年末調整の勤労学生控除とは、働きながら学ぶ学生で一定の年収以下の者に対して、所得税と住民税の計算にあたって控除を受けることができるという制度です。
今回は、勤労学生控除の申請方法と、申告書の書き方、注意すべきポイントをご紹介します。

勤労学生控除の対象とは

勤労学生控除とは、学校教育法で規定する中学校、高校、大学、専門学校、職業訓練校などに通う学生が、1年間で給与所得があった際に受けられる所得控除のことです。勤労学生控除の対象となるのは以下に該当する場合です。

  • 学生であること
  • 合計所得金額が65万円以下で、勤労所得以外の所得が10万円以下であること
  • 勤労所得が学生である納税者本人の勤労による所得であること

ここでいう「合計所得金額」とは、実際に受け取った給与所得に、給与所得控除を差し引いた後の金額に、その他の一定の所得を合計したものことです。

勤労所得以外の所得とは、主にギャンブルや株などで得た所得のことを指します。勤労学生控除は、労働して得た給料が大半の場合でないと、適用を受けることができません。

アルバイトを掛け持ちしている場合

勤労学生控除を受けるには、年末調整または確定申告を行う必要があります。年末調整ができるのは、1社だけになるので、アルバイトを複数掛け持ちしている場合には、1社だけ年末調整をし、他のアルバイト分は本人が確定申告を行う必要があります。

  • パターン1) 年末調整で勤務先に「給与所得者の扶養控除等異動申告書」を提出する
    多くのアルバイトでは、採用が決定した段階で、「給与所得者の扶養控除等異動申告書」を書かせます。これは事業所側で、年末調整をするために必要だからです。事業者側から申告書を渡されない場合には、学生自らアルバイト先に申告書を提出させましょう。
  • パターン2) 確定申告で税務署に「確定申告書」を提出する
    掛け持ちしているアルバイト先の場合は、自分で税務署に確定申告をする必要があります。確定申告の期間は2月中旬から3月中旬まで。この間に確定申告書を税務署に提出させましょう。

では実際に、年末調整で勤労学生控除を申告する流れを説明します。

勤労学生控除の書き方

実際に勤労学生控除を受けるために必要な書類の書き方をご説明します。用意する書類 は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」です。

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給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の勤労学生控除の書き方

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  1. 事業者情報を記入する
    「給与の支払者の名称」に、アルバイト先の会社名を記入します。次に「給与の支払者の所在地」にアルバイト先の住所を記入します。
  2. 本人情報を記入する
    「あなたの氏名」に本人の氏名とフリガナを記入します。次に「あなたの個人番号」にマイナンバーを記入し、「あなたの住所又は居所」に住所を記入します。一人暮らしをしている場合には、いま住んでいる場所を記入します。そして「あなたの生年月日」に生年月日を記入すれば、個人情報は完成です。
  3. 世帯主情報を記入する
    控除を受ける際には、世帯主の情報が必要です。「世帯主の氏名」に世帯主の名前を記入します。実家暮らしなら世帯主は多くの場合、父親です。住民票の住所が一人暮らしの住所になっているのなら、世帯主は本人です。次に「あなたとの続柄」を記入します。世帯主が父親であれば「父」、世帯主が本人であれば「本人」と記入します。
  4. 配偶者の有無を記入する
    配偶者の有無を記入します。結婚していれば「有」、結婚していなければ「無」に丸を付けます。
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  6. 最後に「勤労学生」を選択する
    「主たる給与から控除を受ける」にある「5.勤労学生」に丸を付けます。さらに「左記の内容」に「給与所得」と「在籍している学校名」を記入して完了です。年収は見積もりで構いません。「給与所得103万円」といった見積もり金額を記入します。学校名の隣には、入学した年度と月も記入します。

勤労学生控除で受けられる控除額

勤労学生控除で所得控除を受けられる金額は、「所得税27万円」、「住民税26万円」です。給与所得控除後の金額から基礎控除やこの勤労学生控除などを差し引いて、課税所得を計算します。

例えば年収130万円の学生の場合、給与所得控除後の金額は65万円で、さらに基礎控除38万円が差し引かれると残金は27万円になります。ここに勤労学生控除である27万円を差し引くと残金は0円になり、納税の義務はなくなります。

年収が130万円を超えていて、その他に所得控除できる事項がなければ、納税の義務が発生します。

勤労学生控除で注意すべきポイント

最後に勤労学生控除を受ける際に注意すべきポイントをご紹介します。

アルバイト掛け持ちの場合は、確定申告を行う必要がある

前述のとおり、アルバイトを掛け持ちしている場合、自分で確定申告を行う必要があります。確定申告の際に、学校から証明書の提出を求められる場合があります。必要な場合は、学校の窓口で証明書を発行しましょう。

扶養家族を外れると世帯主の納税額が増える

世帯主は家族を扶養することで、扶養控除を受けることができます。扶養控除の条件は、扶養家族が年収103万円以下の場合です。つまり勤労学生控除の上限である年収130万円ギリギリまで収入があると、世帯主の控除が減り、納税額が増えます。世帯全体で見るとかえって納税額が増える場合もありますので注意が必要です。

まとめ

勤労学生控除は扶養控除よりも年収の上限が高いため、より多くの収入を得ても控除が受けられます。しかし、勤労学生控除の上限まで所得を得ると世帯主が扶養控除を受けられず、世帯全体では納税額が増えてしまうこともありますので、注意しましょう。

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