最終更新日:20201/08/24
給与明細を見ると、様々なお金が天引きされています。しかし給与計算を理解できず、天引きされている意図やメリットがわからない方も多い現実があります。天引きされているお金は、生活において様々なメリットや将来的に自分を守る為に意味をもたらしています。この記事では給与について正しく理解ができるよう、給与明細に記載される各項目や、給与計算について簡単に解説します。

目次
給与明細に書いてある項目

※ freee人事労務 で作成
給与明細は、次のような項目で構成されています。
- ① 支給額:
いわゆる「額面」の金額です。基本給に残業代や手当などを足した金額です。 - ② 控除額:
支給額から控除する(差し引く)金額のことです。保険や税金が差し引かれます。保険とは、何かあったときにお金で支援してくれるものを言い、税金とは、国が運営していく上で必要なお金です。 - ③ 差引支給額:
いわゆる「手取り」のことで、実際に従業員に振り込まれる金額です。支給額から控除した額がこの金額となります。
また、給与明細に記載される、上記で説明した項目を一つの式にすると、次の図のようになります。

それでは、支給側と控除側にわけて、各項目を詳しく見ていきましょう。
支給項目
支給項目には、基本給や残業代、通勤費などの手当があります。
基本給と残業代
給与明細には、金額に加えて勤務時間などの勤怠情報も記載されています。 残業代の計算について、詳しくは下記のページをご参照ください。
手当
住宅手当や通勤手当、役職手当などそれぞれの会社によって定められた手当のことです。 重要なのは、次の2点です。
- 課税の対象となる手当か?
- 保険料の対象となる手当か?
詳しくは下記のページをご参照ください。
関連記事: 社会保険料の計算方法
関連記事: 雇用保険料の計算方法
関連記事: 源泉所得税の計算方法
また、youtube動画でも解説しておりますので、文字ではなく映像で見たい方は下記の動画をご覧ください。

天引きされる4つの保険
控除項目には社会保険、雇用保険などの保険のほか、所得税や住民税金、その他会社独自の控除などがあります。
社会保険

健康保険と厚生年金保険(いわゆる「年金」)、介護保険を合わせて社会保険と呼びます。 社会保険は、会社と従業員で半分ずつ負担することになっています。 具体的な計算方法については下記ページをお読みください。
天引きされている主な4つの社会保険を順番に解説していきます。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
健康保険
健康保険料は、年齢により負担割合が細かく分かれています。

6歳の義務教育の就学前であれば医療費が2割負担です。義務教育就学後の6歳〜69歳までが3割負担となり、70歳〜74歳まで2割負担になります。また75歳〜は1割負担となります。
例として6歳〜70歳の人が、医療費1万円だと3000円の負担になります。
厚生年金保険
厚生年金保険を、理解する上で2つの項目を知る必要があります。

1つ目が国民年金(基礎年金)です。20歳以上60歳未満の全国民が加入するもので、保険料は定額になります。
2つ目は厚生年金です。企業などに勤務している人が対象となり、保険料は1ヶ月の給与に対し定率です。20歳未満でも、企業に属していれば自動的に加入となります。
厚生年金を支払っている人も、国民年金を支払う必要があります。その場合は、老後に支給される金額も厚生年金と国民年金の支払った分だけ増えることになります。
介護保険
介護保険とは、介護が必要になったときに介護サービスが受けられる保険です。40歳になると自動的に保険料の徴収が始まります。
雇用保険
雇用保険は、会社と従業員で一定の割合ずつ負担することになっています。具体的な計算方法については下記のページをお読みください。
なお、雇用保険に関連して、労災保険という保険もありますが、これは会社が全額納めるもので、給料には直接関係せず、給与明細にも登場しません。
天引きされる2つの税金
天引きされる税金は2種類あります。
- 所得税
- 住民税
所得税

所得税とは、従業員が国に納める税金のことです。 会社が毎月従業員の給料から差し引き、徴収することを「源泉徴収」と呼びます。源泉徴収は毎月ざっくりお金を徴収しているので、12月に「年末調整」を行います。 詳しくは下記のページをお読みください。
住民税
住民税とは、従業員が住民票のある市町村や、都道府県に納める税金です。所得税が従業員の毎月の給料によって決まるのに対し、住民税は前年1月〜12月の給与所得に対して課税され、6月〜翌年5月の給与より12ヶ月で分割して徴収します。よく住民税は新卒2年目から支払わなければならないと言われていますが、前年の給与所得に対して課税されるためです。
会社が住民税を給料から差し引き、従業員の代わりに支払い手続きを行うことを「住民税の特別徴収」と呼びます。詳しくは下記のページをお読みください。
その他会社独自の控除
「積立金」「組合費」「財形貯蓄」といった、その会社独自の控除が定められている場合があります。 手当と同じく、 所得税の計算に関係する控除か? という点を確認する必要があります。
まとめ
社会保険は会社と従業員で半分ずつ出しています。知らない方も多いですが、見えないところで会社労災保険料や一般搬出金などは会社が全額負担しています。天引きによって支払っているお金は、何かあった時の為や将来を安定的に過ごす為など、様々なメリットをもたらしていることが、わかっていただけたでしょうか?
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