人事労務の基礎知識

サービス提供責任者とは?仕事内容や役割・必要な資格について解説

サービス提供責任者とは?仕事内容や役割・必要な資格について解説

サービス提供責任者とは、訪問介護事業所に必ず配置が義務づけられている専門職で、利用者と介護スタッフをつなぐ架け橋のような存在です。

利用者や家族との相談対応から、介護計画の作成、職員の教育・指導まで幅広い役割を担います。

本記事は、サービス提供責任者について、仕事内容や1日の流れ、必要な資格、給料事情などをわかりやすく解説します。これから介護業界でキャリアを築きたい人は参考にしてください。

目次

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サービス提供責任者とは

サービス提供責任者とは、訪問介護事業所に必ず配置が義務づけられている専門職で、利用者が安心して介護サービスを受けられるよう調整・管理する役割を担います。

通称「サ責(させき)」とも呼ばれ、利用者・家族との相談対応や介護計画書の作成、職員の教育、業務管理など幅広い業務を担当します。

訪問介護現場のリーダー的存在であり、ヘルパーとケアマネジャーの橋渡し役としても重要なポジションです。

介護福祉士や実務者研修の修了など、一定の資格や経験が必要であることに加え、大きな責任を伴いますがキャリアアップやスキル向上につながる仕事です。

サービス提供責任者の仕事内容

サービス提供責任者の仕事内容は、主に以下の7つです。

サービス提供責任者の仕事内容

  • 利用者や家族との相談・連絡調整
  • 利用者や家族の課題分析(アセスメント)
  • サービス担当者会議への出席
  • 訪問介護計画書およびサービス提供手順書の作成
  • 訪問介護の同行
  • モニタリングとサービスの見直し
  • 職員の業務管理・教育・指導

利用者や家族との相談・連絡調整

サービス提供責任者は、利用者本人や家族から生活上の困りごとや希望を聞き取り、必要なサービスを調整する役割を担います。

介護を受ける人が安心して暮らせるように、ヘルパーやケアマネジャーと情報を共有しながら、訪問介護の内容や回数を決定します。

また、家族からの相談に柔軟に対応し、不安や疑問を解消することも重要です。利用者と事業者の信頼関係を築くための、窓口的な役割を果たします。

利用者や家族の課題分析(アセスメント)

利用者がどのような支援を必要としているか把握するため、心身の状態や生活習慣、家族の介護力などを丁寧に確認します。これをアセスメントと呼び、サービス内容を決定する土台となる重要な業務です。

たとえば、入浴や食事にどの程度介助が必要か、生活のなかで危険はないかといった点を細かく評価します。

本人や家族の要望と、実際の生活状況を照らし合わせることで、より適切で安全な介護サービスを提案します。

サービス担当者会議への出席

サービス提供責任者は、利用者一人ひとりのケアプランに基づいて、サービス内容を調整するためのサービス担当者会議に必ず出席します。

会議では、ケアマネジャーや看護師、リハビリ職など多職種と意見を交換し、利用者にとって最適な支援方法を検討します。そのなかで、訪問介護の立場から実現可能なサービス内容や注意点を提案するのが主な役割です。

利用者中心のケアを実現するために、現場の具体的な情報を提供する橋渡し役といえるでしょう。

訪問介護計画書およびサービス提供手順書の作成

訪問介護計画書とは、何のサービスを、どのくらいの頻度で、どのように行うか具体的にまとめたもので、利用者ごとに作成します。

また、職員が実際に介護を行う際に参考にする「サービス提供手順書」の作成もサービス提供責任者の仕事です。

サービス提供手順書には、「食事介助は椅子に座って行う」「服薬確認は記録ノートに残す」などといった介護における手順を明記します。

訪問介護の同行

新しく利用者を担当する際や、職員の支援方法を確認するために、ヘルパーと一緒に訪問介護に同行することもサービス提供責任者の重要な仕事です。

同行では、利用者の状態に合った介助ができているか、安全に配慮できているかをチェックし、必要に応じてその場で指導を行います。

また、利用者や家族から直接意見を聞く貴重な機会にもなります。

同行を通じて職員のスキルアップを図り、利用者により安心してサービスを受けてもらえるようサポートする大切な業務です。

モニタリングとサービスの見直し

介護サービスは、一度決めた内容をそのまま継続するのではなく、利用者の状態変化に応じて柔軟にサービス内容を見直す必要があります。

そのため、定期的に利用者の生活状況を確認し、適切なサービスが提供されているかをモニタリングします。たとえば、身体機能が低下して新たな介助が必要になった場合や、反対に自立度が上がって介助が減らせる場合などが考えられるでしょう。

モニタリングで変化を早めに把握し、サービスを改善・調整することで、生活の質の向上につなげることが大切です。

職員の業務管理・教育・指導

サービス提供責任者は、現場で働くヘルパーの業務管理や教育も行います。

たとえば、シフトの調整や業務の割り振り、緊急時の対応指示などを担い、現場がスムーズに回るようサポートします。

また、介護技術やマナーの指導、法令遵守に関する研修などを通じて、職員のスキルアップを促すことも重要です。

経験の浅い職員には同行指導を行い、質の高いケアを提供できるようフォローします。利用者に安心したサービスを提供するためには、職員全体のレベル向上が欠かせません。

サービス提供責任者の1日の流れ

サービス提供責任者の1日は、デスクワークと現場対応の両方が含まれ、幅広い業務を行うのが特徴です。基本的な1日の流れは、以下のとおりです。


時間仕事内容
9:00出勤・朝礼
9:30メールや連絡事項の確認・職員への業務指示
10:00利用者や家族への連絡
11:00訪問介護計画書の作成や修正
12:00昼休憩
13:00訪問介護に同行、利用者の状態や職員の支援方法を確認
14:30サービス担当者会議への参加
16:00事業者に戻り情報整理
17:00ヘルパーの報告確認や事務作業
18:00業務管理や翌日の準備をして退勤

※上記はあくまで一例で、事業所によって時間や仕事内容は異なります

事務処理や調整業務、現場支援などがバランスよく組み合わされており、常に利用者の生活を中心に据えながら、チームを支えるのがサービス提供責任者の役割です。

サービス提供責任者になるには?

サービス提供責任者として働くためには、資格や実務経験が必要です。

サービス提供責任者に必要な資格

サービス提供責任者になるには、以下のいずれかに該当する資格もしくは実務経験がある人のみです。

サービス提供責任者になるために必要な資格・条件

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • 旧介護職員基礎研修修了者
  • 旧1級課程修了者
  • 3年以上介護等の業務に従事した介護職員初任者研修課程修了者

出典:厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について」

サービス提供責任者は訪問介護の中心を担うため、資格と経験の両方をバランスよく備えることが求められます。

無資格からサービス提供責任者になる最短ルート

無資格からサービス提供責任者を目指す場合、最短ルートは実務者研修資格の取得です。実務者研修は450時間のカリキュラムで、無資格からでも受講可能です。

資格取得には、最短でも6ヶ月ほどかかるため、無資格からサービス提供責任者になるには、少なくとも半年以上かかるでしょう。

さらにキャリアアップを目指すなら、介護福祉士国家試験の受験資格を得て、資格取得を進めるのも有効です。

無資格からでも段階を踏めば数年でサ責を目指せるため、将来性のあるキャリアパスといえます。


出典:厚生労働省「介護福祉士実務者研修について」

サービス提供責任者になった後のキャリアプラン

サービス提供責任者として経験を積むと、介護現場での管理・指導力や計画作成スキルが身につき、キャリアの幅が広がります。たとえば、以下のような選択肢があります。

  • 今働いている事業所の管理者
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)
  • 法人の経営に関わるポジション
  • 資格スクールの講師や法人の教育担当

サービス提供責任者としての経験は、介護現場での指導力や計画作成能力を磨くだけでなく、組織運営や教育にも活かすことができます。

そのため、管理者やケアマネジャーだけでなく、法人経営や教育担当など多様なキャリアへとステップアップが可能です。経験を積むほど、将来的なキャリア選択の自由度も高まるでしょう。

サービス提供責任者の給料はいくら?

厚生労働省の「令和6年度 介護労働実態調査結果」によると、サービス提供責任者の平均月収は、一般的に25万円ほどです。事業所によっては、役職手当や資格手当が上乗せされる場合もあります。

特に介護福祉士の資格を持っていると、資格手当や処遇改善加算の対象となり、収入アップが見込めます。

また、サービス提供責任者の経験は介護職のキャリア形成に直結し、将来的にケアマネジャーや管理者などへのステップアップにもつながるでしょう。

まとめ

サービス提供責任者とは、訪問介護事業所における中心的な存在であり、利用者の生活を支えるために欠かせない役割です。

利用者や家族の相談窓口となり、介護計画を整え、職員の業務を管理するなど、その仕事は多岐にわたります。責任は大きいものの、やりがいとキャリアアップのチャンスが得られる職種です。

また、訪問介護の質を高め、利用者の暮らしを支える役割を担っているため、今後ますます需要が高まる役割です。

これから介護業界で長く活躍したい人にとって、サービス提供責任者は挑戦する価値のあるポジションといえるでしょう。

よくある質問

サービス管理責任者とサービス提供責任者の違いは?

サービス管理責任者(サビ管)とサービス提供責任者(サ責)は、名称が似ているため混同されがちですが、以下のとおり役割も配置される事業所も異なります。


配置される事業所役割
サービス管理責任者障害福祉サービス事業所・個別支援計画の作成やスタッフの管理
・利用者の自立支援のサポート
サービス提供責任者訪問介護事業所・利用者や家族との調整
・介護計画書の作成や職員の指導
・訪問介護サービスの運営

サービス管理責任者は障害福祉の領域で、サービス提供責任者は高齢者介護の領域で活躍する職種と考えると、わかりやすいでしょう。

サービス提供責任者の詳しい仕事内容については「サービス提供責任者の仕事内容」をご確認ください

サービス提供責任者とケアマネジャーの違いは?

サービス提供責任者とケアマネジャーは、どちらも介護現場で重要な役割を担いますが、以下のとおり支援内容や計画書の作成などが異なります。


職種支援内容
サービス提供責任者・訪問介護サービスの計画作成やスタッフ管理
・利用者への直接的な支援調整
ケアマネジャー・介護保険サービス全体のコーディネート
・ケアプラン作成やサービス事業所との連携、家族への相談対応

また、必要な資格も異なり、サービス提供責任者は介護福祉士や実務者研修などの資格が必要で、ケアマネジャーは介護支援専門員の資格が必要です。

サービス提供責任者に必要な資格については「サービス提供責任者になるのは?」をご確認ください

サービス提供責任者は他業務と兼務できる?

サービス提供責任者は、原則として専任での配置が求められる重要な職種です。

ただし、事業所の規模や運営状況によっては、他業務との兼務が認められる場合があります。

たとえば、管理者や生活支援員と兼務するケースもありますが、利用者支援やスタッフ管理に支障が出ないことが前提です。特に人員基準に関しては、事前に確認しておかないと、配置基準を満たせず法令違反になる恐れがあります。

利用者に対して質の高いサービスを継続するためにも、サービス提供責任者の業務量を十分に考慮し、無理のない範囲で兼務することが大切です。

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