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源泉徴収票を再発行するには?なくした際の対処法や注意点、代用できる書類などを解説

源泉徴収票を再発行するには?なくした際の対処法や注意点、代用できる書類などを解説

源泉徴収票は、自身の年入や納めた所得税額が記載された書類です。しかし、いざ必要になったときに見当たらず、紛失に気づくこともあるでしょう。

源泉徴収票は万が一紛失した場合でも再発行が可能です。ただし、即日で再発行されるケースは少ないため注意が必要です。

本記事では、源泉徴収票を紛失した際の対処法や再発行の方法、注意点についてわかりやすく解説します。

目次

源泉徴収票の作成をボタン1つで安心・確実に

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源泉徴収票はなくしても再発行が可能

源泉徴収票とは、1年間の年収や納付した所得税額、社会保険料額等が記載された書類です。年末調整後や退職時に会社から交付されるのが一般的ですが、紛失した場合でも会社の人事・総務部など給与担当部署に依頼すれば再発行してもらえます。

また、すでに転職して会社を辞めた後でも、前の会社に依頼すれば源泉徴収票の再発行に応じてもらえます。

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源泉徴収票とは?見方や発行時期、いつ届くのかについてわかりやすく解説

源泉徴収票をなくした時の対処法

源泉徴収票をなくしてしまった場合は、まず会社(現在勤務中の会社、もしくは以前勤務していた会社)の人事・総務部などの給与担当部署に連絡しましょう。源泉徴収票の再発行手続きは発行元である会社が行うため、直接依頼するのが最も確実な方法になります。

電話やメールで連絡する場合は、「源泉徴収票をなくしてしまったので再発行をお願いします」と伝えれば、通常は担当者が対応してくれるでしょう。

なお、会社によっては源泉徴収票の再発行時に「再発行申請書」など所定の社内書類が用意されていることがあるため、その場合は会社のルールにしたがって手続きを行います。

また、再発行を依頼する際には以下の情報をあらかじめ伝えておくと手続きがスムーズです。

  • 氏名
  • 必要な源泉徴収票が年度
  • 再発行を希望する理由

通常は、会社は依頼を受けてから数日~数週間で源泉徴収票を再発行してくれます。再発行された源泉徴収票は、原則として自宅住所宛てに郵送で受け取ります。ただし、在職中であれば社内で手渡しされる場合もあります。

郵送の場合は発送から到着まで日数がかかるため、手元に届くまで少し時間に余裕を持って依頼しましょう。

給与所得以外の源泉徴収票を再発行したい場合

源泉徴収票は会社からの給与所得に対して発行されるものですが、公的年金や退職所得など給与以外の所得についても源泉徴収票が発行されます。

ここでは、給与所得以外の源泉徴収票を再発行する際の手続きを解説します。

公的年金

年金受給者の方が受け取る「公的年金等の源泉徴収票」をなくした場合は、日本年金機構で再発行の手続きを行います。公的年金等の源泉徴収票は原則、過去5年分までであれば再発行が可能です。

再発行は、日本年金機構の相談窓口である「ねんきんダイヤル」に電話で依頼する方法が一般的です。電話で問い合わせる際は本人確認のために基礎年金番号を聞かれるので、年金手帳など番号がわかるものを手元に用意しておきましょう。

再発行された公的年金等の源泉徴収票は、日本年金機構に登録されている住所宛てに郵送されます。電話で再交付を申請した場合、手元に届くまで約2週間程度かかるのが一般的です。

もし確定申告の期限が迫っている等で急ぎの場合は、お近くの年金事務所や街角の年金相談センターの窓口で直接相談しましょう。なお、「ねんきんネット」に登録済みの方であれば、オンライン上から源泉徴収票の再交付申請を行うことも可能です。


出典:日本年金機構「ねんきんダイヤル(年金相談に関する一般的なお問い合わせ)」

退職金

退職時に受け取る「退職所得の源泉徴収票」をなくした場合は、退職金の支払元である元勤務先の会社に問い合わせて再発行を依頼します。基本的な依頼方法は給与の源泉徴収票と同様で、依頼時には以下の情報を伝えましょう。

  • 氏名
  • 退職年月日
  • 再発行を希望する理由

退職金の源泉徴収票も再発行までに時間がかかることがあるため、必要とわかった時点で早めに依頼することが大切です。とくに退職後しばらく経っている場合は会社側の事務処理に時間がかかる可能性があるため、余裕を持って連絡しましょう。

もし退職した会社が既に存在しない場合(倒産・廃業している場合など)は、会社の清算業務を担当する弁護士や破産管財人、会社が加入している退職金共済制度の運営団体に問い合わせる方法があります。

それでも解決しない場合は、管轄の税務署に相談することも一つの手です。税務署に状況を説明すれば、何らかのアドバイスや対応策を提示してくれる可能性があります。

個人事業主やフリーランスの報酬

個人事業主やフリーランスとして仕事を請け負い、報酬から源泉徴収が行われていた場合は、源泉徴収票が発行されることはありません。企業が源泉徴収票を発行する義務があるのは、あくまで会社員などの給与所得者に対してのみであり、業務委託関係である個人事業主やフリーランスの報酬については源泉徴収票を交付する義務が企業にはないためです。

会社側は支払った報酬や源泉徴収した税額をまとめた「支払調書」という法定調書を税務署に提出しますが、別途支払調書を個人事業主やフリーランスへ交付するかどうかは会社側の任意とされています。

源泉徴収票の再発行における注意点

源泉徴収票は、確定申告や年末調整、各種手続きで必要になる大切な書類です。しかし、再発行には時間がかかったり、状況によってはスムーズに発行してもらえなかったりすることもあります。

ここでは再発行依頼をする際に注意すべき点や、会社に対応してもらえない場合の解決策を解説します。

再発行には時間がかかる

そもそも源泉徴収票は会社が年に一度作成する書類です。再発行依頼を受けた担当者は過去のデータを遡って再作成する必要があるため、即日の発行ができない場合があります。

再発行を依頼してから手元に届くまで、目安として1〜2週間程度はかかると想定しておきましょう。そのため、源泉徴収票が必要な期日が決まっている場合には、できるだけ早めに再発行依頼することが大切です。

ただし近年では、会社がシステムで源泉徴収票を管理し、源泉徴収票を電子交付(システム経由で交付)する企業も増えてきています。電子交付を行っている企業では、従業員自身で過去の源泉徴収票をダウンロードできる場合があります。再発行依頼をする前にシステムにログインをして印刷できないか確認してみるとよいでしょう。

再発行を断られた場合は税務署に相談する

多くの会社では従業員や元従業員から源泉徴収票の再発行依頼があれば迅速に対応してくれますが、ごく稀に再発行を断られるケースも考えられます。

たとえば、「すでに廃業していて担当者がいない」「担当者が不在で連絡が取れない」といった状況では、再発行に応じてもらえない可能性があります。

このような場合は、管轄の税務署に相談することを検討しましょう。税務署に事情を説明すれば、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで企業に対して源泉徴収票を交付するよう行政指導をしてもらえる可能性があります。

また、会社がすでに倒産していて連絡が取れない場合なども税務署に相談することで活路が開ける可能性があります。 税務署に相談に行く際は、以下の情報や書類を準備しておくと手続きがスムーズに進みます。

  • 氏名・住所・連絡先
  • 会社の名称・住所・連絡先
  • 必要な源泉徴収票の年度
  • 給与明細書などの給与の支払いが証明できる書類(手元にあれば持参)

源泉徴収票の再発行ができないケース

例外的ではありますが、どうしても源泉徴収票の再発行が難しいケースも存在します。たとえば、次のようなケースです。

源泉徴収票の再発行ができないケース

  • 会社が完全に廃業し、清算手続きが完了している場合
  • 会社が倒産して連絡先が不明な場合
  • 発行元での源泉徴収票の保管期間(原則7年間)が過ぎている場合

上記のようなケースでは会社から源泉徴収票を再発行してもらうことが困難です。

しかし、前述のとおり税務署に相談することで解決できる可能性があります。会社からの再発行ができなくても諦めず、まずは税務署に問い合わせてみることをおすすめします。

源泉徴収票の代わりになる書類

源泉徴収票そのものを用意できない場合でも、代替となる書類を提出することで対応できる場合があります。ただし、ここで紹介する書類で代用できるかどうかは提出先によって異なるため、事前に確認することをおすすめします。

給与支払証明書

「給与支払証明」書は、勤務先の会社が発行する給与の支払い実績を証明する書類です。会社の社印付きの証明書で、一般的には各月の給与額や賞与額などが記載されています。

源泉徴収票が手元にない場合でも、給与支払証明書により年間の収入額を証明でき、代用書類として認められるケースもあります。発行を希望する場合は会社の担当者に問い合わせてみましょう。

源泉徴収簿

「源泉徴収簿」は、会社が社内で保管している従業員ごとの給与支払額や源泉徴収税額等を記録した帳簿です。年末調整の際に会社が作成・保存しているもので、いわば源泉徴収票の社内控えのようなものです。

源泉徴収票の代わりとして源泉徴収簿のコピーを提出することで認めてくれる場合があります。ただし、源泉徴収簿はあくまで社内書類であるため、提出先によって受理されるかどうか判断が分かれる可能性があります。

支払調書

「支払調書」は、会社など支払者側が税務署に提出する法定調書の一つで、会社が個人に支払った報酬と源泉徴収税額を税務署に報告するための書類です。たとえば、会社からフリーランスの人へ報酬を支払っている場合、会社は翌年1月末までに税務署へ支払調書を提出する義務があります。

支払調書は本来税務署に提出するための書類ですが、発行者(会社)の任意で個人にも交付されることもあります。主に個人事業主やフリーランスが確定申告を行う際、支払調書があると源泉徴収税額の控除証明として役立ちます。なお、給与所得者には支払調書は通常発行されませんので、主にフリーランス・個人事業主向けの代替手段といえます。

源泉徴収票が必要になる場面

源泉徴収票は様々な場面で提出を求められることがあります。どのようなときに必要になるのか、代表的なケースを確認しておきましょう。

確定申告を行う時

会社員の場合、年末調整で税金の精算は完了していますが、医療費控除など年末調整で適用しきれなかった控除を受ける場合や、副業収入がある場合などには確定申告を行う必要があります。

確定申告では、交付された源泉徴収票に記載された年間の給与収入額や所得税額の情報を申告書に記載する必要があります。会社員にとって源泉徴収票は確定申告時の基本資料となるため、確定申告をする場合は毎年必ず手元に保管しておきましょう。

住宅ローン・自動車ローンなどに申し込む時

住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローンを申し込む際にも、源泉徴収票の提出を求められることがあります。金融機関は融資審査の一環で申込者の年間収入を確認しますが、源泉徴収票は勤務先が発行する公式な収入証明書として扱われるためです。

例えば、住宅ローンでは直近の源泉徴収票(場合によっては2年から3年分)を提出するよう求められるケースがあります。ローン申請を予定している方は源泉徴収票をなくさないよう注意し、紛失した場合は早めに再発行を依頼しましょう。

転職した時

年の途中で転職した場合、転職先の会社で年末調整を行う際に前職分の源泉徴収票の提出が必要となります。転職先の会社は、その年の1月〜12月の所得と税額を合算して年末調整を行う必要があるため、前職の源泉徴収票がないと前職分の給与所得や源泉徴収税額が把握できず、年末調整ができません。

通常は、退職後に前の会社から源泉徴収票が交付されますが、もし受け取っていなかったり紛失してしまった場合は、速やかに前の会社の担当者に連絡して再発行を依頼する必要があります。

源泉徴収票を転職先した会社に提出しないと、年末調整が完了せず自身で確定申告をする手間が生じることになるため、注意しましょう。

子どもの保育園・幼稚園の入園を申し込む時

子どもの保育園や幼稚園の入園を申込みする際には、会社に勤めている方は主に就労証明書を提出しますが、自営業者や会社経営者の場合は源泉徴収票の提出を求められる場合があります。

自治体にもよりますが、保育園の入園申込みでは両親の所得額に応じて利用料や入園の優先度が決まることがあります。その確認資料として源泉徴収票の提出が必要となるケースがあるということです。

賃貸物件を契約する時

アパートやマンションなど賃貸物件の契約時にも、場合によっては源泉徴収票の提出が求められることがあります。賃貸オーナーや管理会社としては、借主が家賃を滞りなく支払える収入があるかを確認するため、勤務先の在職証明書や給与明細に加えて源泉徴収票の提出を求めるケースがあります。

貸主からすれば源泉徴収票は前年の収入が証明できる公的書類であるため、家賃支払い能力の裏付け資料として有効です。もし、賃貸契約のタイミングで源泉徴収票をなくしていることに気付いたら、早めに再発行手続きをしておきましょう。

まとめ

源泉徴収票は万が一なくしてしまった場合でも再発行は可能です。基本的には会社(または前の会社)に連絡して再発行を依頼すれば、対応してもらえます。再発行には時間がかかる場合があるため、確定申告や各種手続きの締切に間に合うよう早めに連絡しましょう。

また、会社の廃業など特殊な事情で会社から再発行が受けられない場合でも、税務署に相談することで解決策が見つかる可能性があります。

なお、会社側では従業員への源泉徴収票交付が義務付けられているため、発行を迅速に行えるよう社内体制を整えているところも増えています。

freee人事労務は源泉徴収票の電子交付が可能となり、従業員自身で源泉徴収票データをダウンロードできるなど利便性が高まります。システムを活用することで、源泉徴収票の紛失リスクを減らし、従業員が万が一なくした場合でも速やかに再取得できる環境が整えられるでしょう。

また、源泉徴収票の電子交付は発行する側(会社側)の事務負担の軽減にもつながります。ぜひ、freee人事労務の導入をご検討ください。

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よくある質問

なくした源泉徴収票は再発行できる?

源泉徴収票をなくした場合でも会社の人事・総務部などの給与担当部署に依頼すれば再発行してもらえます。

詳しくは「源泉徴収票はなくしても再発行が可能」をご参照ください。

源泉徴収票をなくしたらどうすればいい?

会社の担当者に電話やメールで連絡するか、 会社がシステムで源泉徴収票を発行している場合は、自身で源泉徴収票をダウンロードできる場合があります。

詳しくは「源泉徴収票をなくした時の対処法」をご参照ください。

源泉徴収票の代わりになる書類は?

主に給与支払証明書、源泉徴収簿、支払調書です。ただし、代用できるかどうかは提出先によって異なるため、事前にご確認ください。

詳しくは「源泉徴収票の代わりになる書類」をご参照ください。

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