人事労務の基礎知識

安全衛生委員会とは?目的や設置義務、構成メンバーや罰則などをわかりやすく解説

監修 染谷 優(そめや ゆう) 社会保険労務士法人 BIZサポート

安全衛生委員会とは?目的や設置義務、構成メンバーや罰則などをわかりやすく解説

安全衛生委員会とは、「安全委員会」と「衛生委員会」を統合した、労働災害防止のための取り組みのことです。

安全委員会および衛生委員会はそれぞれ対象となる事業場において設置が義務付けられており、設置義務がある事業場においてはそれぞれを設置する代わりとして「安全衛生委員会」の設置が認められています。

本記事では、安全衛生委員会の概要や設置する目的・役割、設置義務がある事業場、構成委員、設置から開催までの手順について解説します。

目次

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安全衛生委員会とは?

労働安全衛生法上の安全衛生委員会とは、安全委員会と衛生委員会を統合した組織のことです。

安全委員会と衛生委員会を設置する義務がある事業場は、両委員会をそれぞれ設置する代わりとして安全衛生委員会の設置が認められています。

委員会の開催基準

安全委員会および衛生委員会は、労働安全衛生法においてそれぞれ対象となる事業場での設置が義務付けられています。

安全委員会

事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。

衛生委員会

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

安全衛生委員会

事業者は、第十七条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。

つまり、安全委員会と衛生委員会の両方を設置しなければならない場合は、事業者判断で「安全衛生委員会を設置してもよい」ということです。

なお、安全委員会・衛生委員会は、設置だけでなく以下のような点も義務付けられています。


  • ・月1回以上の開催
  • ・労働者への議事の周知
  • ・議事録の3年間の保管

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則 第23条、第23条第3項、第23条第4項)」

委員会を設置する目的・役割

安全衛生委員会を設置する目的は、企業において使用者・労働者が一体となって労働災害を防止することです。安全委員会は労働者の「安全」を、衛生委員会は労働者の「健康」を確保する役割を持っています。

企業には、労働者の安全や健康に配慮する義務があります。しかし、実際に働くのは労働者であり、現場の意見を聞かなければ、課題を発見したり改善したりすることは困難です。企業が禁止していたとしても、「危険な方法で作業する」「体調が悪いまま無理を押して働く」といったケースはままあるでしょう。

定期的な開催を通して「労働災害がどのようなかたちで発生しているか」や「どうすれば再発を防止できるか」を協議し、労働災害を未然に防ぐための対策を講じることが、安全衛生委員会を設置する目的です。

委員会で審議する主な内容

安全委員会および衛生委員会で審議する内容は、労働安全衛生法と労働安全衛生規則のなかで規定されています。

具体的な内容は以下の通りです。なお、下記の内容は一部抜粋しているため、詳細は「労働安全衛生法」「労働安全衛生規則」をそれぞれをご参照ください。

安全委員会で審議する主な内容

  • 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること
  • 労働災害の原因および再発防止対策で、安全面の内容に関すること
  • 安全に関する規程の作成に関すること
  • 法第28条2の第1項または第57条3の第1、2項の危険性または有害性などの調査やその結果に基づいて講じる措置のうち、安全に関すること
  • 安全衛生に関する計画(安全に係る部分)の作成、実施、評価、改善に関すること

衛生委員会で審議する主な内容

  • 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
  • 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
  • 労働災害の原因および再発防止対策で、衛生面の内容に関すること
  • 衛生に関する規程の作成に関すること
  • 法第28条2の第1項または第57条3の第1、2項の危険性または有害性などの調査やその結果に基づいて講じる措置のうち、衛生に関すること
  • 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成、実施、評価、改善に関すること
  • 衛生教育の実施計画の作成に関すること

なお、上記の代わりとして設置可能な「安全衛生委員会」にて審議をする場合、各委員会で調査・審議しなければならない内容をすべて取り扱っていれば、別途「安全委員会」や「衛生委員会」を開催する必要はありません。

委員会の設置義務がある事業場

安全委員会および衛生委員会、それぞれの設置基準は下表の通りです。

安全委員会は、業種と規模に応じて設置義務の条件が分かれます。衛生委員会は、常時使用する労働者が50人以上の場合は、業種を問わずすべての事業場で設置しなければなりません。


業種常時使用する労働者の数安全委員会衛生委員会
1林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業50人以上必要必要
2製造業(1以外)、運送業(1以外)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業100人以上必要必要
50人以上100人未満義務なし必要
31と2以外の業種50人以上義務なし必要
出典:厚生労働省「安全委員会、衛生委員会について教えてください。」
出典:厚生労働省「事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者の数」はどのように数えるのでしょうか。」

なお、委員会の設置が義務ではない事業場(労働者の数が50人未満、もしくは上表における「義務なし」のケース)においても、安全委員会や衛生委員会で取り扱うテーマにおいて従業員から意見を聞くことは義務となっています。

従業員からの意見を聴く場の設置

委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

自社がどの業種なのか、設置義務がある業種なのかわからない場合には、所轄の労働基準監督署へ確認しましょう。

ちなみに、安全委員会および衛生委員会の設置義務は、「企業」ではなく「事業場」に対して適用されます。労働安全衛生法における「事業場」とは、組織の管理化において継続して作業が行われている特定の場所のことです。

労働安全衛生法における「事業場」

この法律は、事業場を単位として、その業種、規模等に応じて、安全衛生管理体制、工事計画の届出等の規定を適用することにしており、この法律による事業場の適用単位の考え方は、労働基準法における考え方と同一である。

すなわち、ここで事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。

つまり、食品スーパーのように複数のエリア・店舗で営業している場合においても、紹介した条件を満たしていれば、本社だけでなくそれぞれの店舗ごとに委員会を設置する必要があるということです。

安全衛生委員会を構成する委員の条件

安全委員会・衛生委員会・安全衛生委員会を構成する委員は、それぞれ労働安全衛生法第17条第2項・第18条第2項・第19条第2項に規定されています。

それぞれの内容を抜粋してまとめた、安全委員会・衛生委員会・安全衛生委員会を構成する委員の条件は以下の通りです。


安全委員会を構成する委員・総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者
・安全管理者
・労働者(安全に関し経験を有する労働者)
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十七条第四項・第五項」
衛生委員会を構成する委員・総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者
・衛生管理者

・産業医 ・労働者(衛生に関し経験を有する労働者)
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十八条第四項」
安全衛生委員会を構成する委員・総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者
・安全管理者
・衛生管理者
・産業医
・労働者(安全・衛生に関し経験を有する労働者)
出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十九条第四項」

上表の「総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者」は、1名と決まっています。他の委員については、人数の規定がありません。

ただし、委員の半数については、労働者の過半数で組織する労働組合(労働組合がないケースでは労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づいて指名する必要があります。

委員の選定に関する規定

4 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

5 前二項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。

以下で、各委員の役割や適任者の条件について解説します。

総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者

「総括安全衛生管理者」とは、従業員の安全・衛生を統括的に管理する人です。特定の業種、一定の規模以上の事業場においては、総括安全衛生管理者を専任することが義務付けられています。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十条」

総括安全衛生管理者を選任する必要のある事業場は、以下の通りです。


業種常時使用する労働者数
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業100人以上
製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業および機械修理業300人以上
その他の業種1,000人以上
出典:厚生労働省「共通 3 「総括安全衛生管理者」 「安全管理者」 「衛生管理者」 「産業医」のあらまし」

事業場における「総括安全衛生管理者の選任要件」と「安全衛生委員会の設置要件」には違いがあるため、事業場によっては総括安全衛生管理者が専任されていないケースもあり得ます。

総括安全衛生管理者が選任されていない事業場においては、事業場の責任者が総括安全衛生管理者を務めます。

安全管理者

安全管理者とは、従業員の安全を管理する立場の人です。総括安全衛生管理者が管理する業務のうち、安全に関わる技術的事項の管理が求められます。作業場を巡視し、設備や作業方法などに危険があると判断したときには、すぐさま危険防止に必要な措置を講じる必要があります。

前述した総括安全衛生管理者と同じく、特定の業種、一定の規模以上の事業場においては、安全管理者を選任することが義務付けられています。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十一条」

また、安全管理者は以下の条件を満たす人の中からしか選任できません。

安全管理者を選任する条件

安全管理者として選任できるのは1または2のいずれかに該当する者です。


  1. 1.以下の(1)~(5)のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣が定める研修(安全管理者選任時研修)を修了したもの
    (1)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
    (2)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
    (3)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の課程以外の正規の課程を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
    (4)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の学科以外の正規の学科を修めて卒業した者で、その後6年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
    (5)7年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
    (6)その他(職業訓練課程修了者関係)
  2. 2.労働安全コンサルタント

衛生管理者

衛生管理者とは、従業員の衛生を管理する立場の人です。総括安全衛生管理者が管理する業務のうち、衛生に関わる技術的事項を対象としています。少なくとも週1回は作業場などを巡視し、設備や作業方法、衛生状態に有害の恐れがあると判断した場合には、ただちに労働者の健康障害を防止するための策を講じなければなりません。

すべての業種において、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、衛生管理者を選任することが義務付けられています。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十二条」

また衛生管理者は、一定の資格を保有する人を選任しなければなりません。たとえば、電気業であれば「第一種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、厚生労働大臣の定める者」が選任対象です。資格条件は業種に応じて異なるため、自社の業種とあわせて確認しておきましょう。

出典:厚生労働省「衛生管理者について教えて下さい。」

産業医

産業医とは、従業員の健康管理を担当する医師のことです。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が義務となっています。そのため、担当の産業医を安全衛生委員会の委員として指名する必要があります。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第十三条」

産業医は委員でありながら、安全衛生委員会自体に参加する義務はありません。そのため、やむを得ない場合には参加しないケースも見られますが、委員会の委員として審議に参加することが推奨されています。

月1回は作業場などを巡視し、作業方法または衛生状態にリスクがあると判断した際は即座に措置を講じなければなりません。

労働者(安全・衛生に関し経験を有する労働者)

安全衛生委員会の委員には、その事業場で働く安全・衛生に関する経験を有する従業員も指名しなければなりません。なお、安全・衛生に関する知識・経験を有する労働者であれば、特に資格などは不要です。

現場の状況を把握していて、他の従業員からの意見を集めたり、安全衛生委員会で審議した内容を従業員に伝えられたりする人の参加が望ましいでしょう。

労働安全衛生法では人数を定めておらず、事業場の規模や作業実態にあわせて決めることができます。一般的に、50名規模の事業場なら最低5人ほど、100名規模の事業場なら7人ほど指名すれば問題ないでしょう。

従業員数100名の食品スーパーの例

委員役職・部門
総括安全衛生管理者店長
安全管理者副店長
衛生管理者副店長(安全管理者と兼務)
産業医担当の産業医
労働者レジ部門チーフ
一般食品部門チーフ
青果部門チーフ

安全衛生委員会の設置から開催までの手順

安全衛生委員会を設置・開催するための手順は以下の通りです。


  • 1.委員の選出
  • 2.委員会規程の作成
  • 3.年間計画の立案
  • 4.委員会の開催
  • 5.改善の実施・振り返り

1.委員の選出

安全衛生委員会を構成する委員の条件」を参考に、委員を選出します。

2.委員会規程の作成

委員を選出したら、安全衛生委員会規程を作成します。

なお、労働安全衛生法・労働安全衛生規則では、安全衛生委員会規程の作成義務を定めていません。しかし、「労働災害・健康障害を労使一体となって防止するためのルールを決めておくほうが良い」という考え方に基づき、作成が推奨されています。

また、安全衛生委員会規程は基本的に労働基準監督署へ提出しなければなりません。

安全衛生委員会規程を作成していなかった場合、労働災害や健康障害の予防に関する責任の所在があいまいになり、対策が不十分になる懸念があります。場所によっては労働基準監督署から指導を受ける恐れもあるでしょう。

安全衛生委員会規程の作成例は、下記ページからダウンロードできます。

出典:厚生労働省「安全衛生関係のパンフレット等(東京労働局版) 目次」

3.年間計画の立案

労働安全衛生規則第21条・第22条で規定されている内容を基に、月ごとに実施するテーマを計画・立案します。年間計画書を作成する必要はありませんが、作成しておけば毎月実施する安全衛生委員会をスムーズに進められるでしょう。

年間計画には、会社としての基本方針や目標、健康診断や産業医の講話といった安全衛生に関するイベントの実施スケジュールなどについても盛り込みます。

4.委員会の開催

安全委員会・衛生委員会はそれぞれ毎月1回、2つの代わりに設置可能な安全衛生委員会も毎月1回の開催が義務となっています。安全衛生委員会を1回行った場合は、あらためて安全委員会や衛生委員会を開催する必要はありません。

委員会の開催に関する規定

事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。

また、委員会の開催後に労働者へ議事内容を周知することや、議事録の作成および3年間の保管も義務付けられています。

議事内容の周知や議事録の作成・保管に関する規定

事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない

一 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

委員会の記録に関する規定

事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
二 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの

5.改善の実施・振り返り

安全衛生委員会の設置目的は「使用者と労働者が一体となって労働災害の防止に努めること」であり、「開催すれば終わり」ではありません。

委員会の審議によって対策を決定し(Plan)、次回の委員会までに対策を実施し(Do)、対策を実施した結果どうなったのかを検証し(Check)、それを踏まえて次回に向けた対策を検討する(Action)、といった流れでPDCAサイクルを回しましょう。

安全衛生委員会における月次のテーマ選びのコツ

安全衛生委員会における月次のテーマ選びに悩むケースがあるかもしれません。その場合には、審議するテーマを以下の3つに分類して考えるとスムーズに決められます。


1年を通してチェックするテーマ・作業環境のチェック
・ヒヤリハットの発生状況チェック
・事業場内の事故発生チェック
・パワハラ・セクハラチェック
・メンタルヘルス対策
・飲酒・喫煙対策
・長時間労働対策
・腰痛・生活習慣病予防
など
特定の月に発生するテーマ・季節性感染症への対応指導
・熱中症への対応指導
・台風や降雪などの自然災害への対応指導
・健康診断受診率、結果の傾向、事後措置について
など
不規則に発生するテーマ・インシデントへの対応指導
・法改正への対応指導
など

また、安全衛生委員会のメンバーからテーマを提案してもらう、テーマ選びのためのアンケートを実施する、従業員からテーマを公募するといった方法もおすすめです。

安全衛生委員会の設置義務違反をした場合の罰則

前述したとおり、安全委員会及び衛生委員会はそれぞれ対象となる事業場において設置が義務付けられています。

設置しなかった場合は、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金が科されます。

安全衛生委員会の設置義務違反に対する罰則

次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

月1回以上の委員会の開催や議事録の保管などの義務については罰則が規定されていないものの、実施できていなかった場合には労働基準監督署から是正勧告が行われる場合があります。

まとめ

安全衛生委員会(安全委員会・衛生委員会)は、従業員の安全と健康を維持するための重要な取り組みです。定期的に開催することで従業員から情報を集め、使用者と従業員が一体となって問題点の発見や改善に取り組む必要があります。

なお、安全衛生委員会の参加者だけで終わらせず、従業員全員への周知徹底を意識することも重要です。

よくある質問

安全衛生委員会の設置条件は?

安全衛生委員会の設置は、「安全委員会と衛生委員会の設置が義務付けられている事業場」において認められています。

衛生委員会は、常時使用する労働者が50人以上の事業場であればすべての業種において設置しなければならないと決められています。安全委員会については、特定の業種を営む事業場において、常時使用する労働者が50人もしくは100人以上の場合に設置が義務付けられています。

詳しくは記事内の「委員会の設置義務がある事業場」をご覧ください。

安全衛生委員会の構成メンバーは?

安全衛生委員会の構成メンバーは以下の通りです。


  • ・総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者
  • ・安全管理者
  • ・衛生管理者
  • ・産業医
  • ・労働者(安全・衛生に関し経験を有する労働者)

詳しくは記事内の「安全衛生委員会を構成する委員の条件」をご覧ください。

安全衛生委員会の必要人数は?

労働安全衛生法で総括安全衛生管理者は1名と決められていますが、安全衛生委員会および安全委員会・衛生委員会の人数はとくに定められていません。

議長である総括安全衛生管理者が、事業規模や事業内容に応じて参加する委員を選出します。また、参加する労働者については、従事する業務内容や性別、年齢に偏りが生まれないように選出することが推奨されています。

詳しくは記事内の「安全衛生委員会を構成する委員の条件」をご覧ください。

監修 社会保険労務士・第二種衛生管理者 染谷 優(そめや ゆう)

東京都出身。大学卒業後、厚生労働省所管の公的機関に入職し、24歳で社会保険労務士試験に合格。退職共済、人事、経営支援等の業務に約15年従事したのち、2021年に社会保険労務士法人BIZサポートに転職。現在は、就業規則作成、雇用契約書作成、厚労省関係の各種助成金の代行申請等に従事。

染谷 優

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