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社会保険の加入条件とは?従業員側、事業所側の視点でわかりやすく解説【2025年最新】

社会保険の加入条件とは?従業員・事業所別の条件や2024年問題後の変更点を解説【2026年最新】

2024年10月の法改正により、社会保険の適用範囲は大きく広がりました。現在、従業員数51人以上の事業所で働くパート・アルバイトの方は、一定の条件を満たせば社会保険への加入が義務付けられています。

なお、適用拡大の対象外の従業員50人以下の企業については引き続き現行のルールが適用されます。

本記事では、社会保険の加入条件や実際の手続き、社会保険に加入するメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。

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社会保険の加入条件は、従業員と企業で異なる

社会保険の加入条件は、従業員と企業で異なる

社会保険とは、国民の生活を保障するために国が運営する公的な保険制度です。病気・けが・失業など、生活するうえでのリスクに備えることができます。上図にあるように、健康保険(医療保険)、厚生年金保険(年金保険)、介護保険、雇用保険、労災保険(労働者災害補償保険)の全5種類を総称し、「広義の社会保険」といいます。

この加入条件は従業員側と事業所(企業)側のそれぞれに設けられており、注意が必要です。

一般的に「社会保険の加入条件」といえば従業員を対象とした内容を指しますが、従業員数の増加に伴い、事業所側も社会保険に加入する必要があります。本記事では、従業員側と事業者側それぞれの社会保険加入条件について解説します。

また、社会保険について詳しくは以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事】
社会保険とは?5つの種類や加入条件、国民健康保険との違いをわかりやすく解説

【従業員側】社会保険の加入条件

従業員の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は以下のとおりです。なお、狭義の社会保険の残りひとつである「介護保険」は、40歳以上の方が原則加入するものであるため省略します。

正社員・フルタイム従業員

  • 75歳未満の正社員
  • 法人の代表者、役員

正社員だけでなく、パート・アルバイトで4分の3基準を満たす短時間労働者の場合は、以下の条件に該当する場合は加入が必須です。

4分の3基準を満たす短時間労働者

  • 70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である場合

さらに2024年10月の適用拡大以降、特定適用事業所(従業員数51人以上の企業)では、以下の4項目すべてを満たすパート・アルバイトの人に加入義務が生じます。

特定適用事業所(従業員51人以上の企業)で働く短時間労働者

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額の賃金が8.8万円を超える(基本給 + 諸手当。賞与や残業代は除く)
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない(休学中や夜間学生、通信制は加入対象)

なお、従業員数50人以下の企業の場合、現時点では上記4条件の義務化対象外ですが、労使合意があれば任意で加入可能です。

年収の壁と社会保険加入の判断基準

パートやアルバイトの方が働き方を決める際に大きな分岐点となるのが、年収の壁という考え方です。これまで多くの人を悩ませてきた106万円の壁ですが、政府の方針により2026年10月をもって撤廃されることが決定しました。

現行の制度では従業員数が51人以上の企業で働く場合、月額賃金が8.8万円(年収換算で約106万円)を超えると、社会保険への加入義務が生じています。しかし、2026年10月からはこの金額の基準が完全に廃止される見込みです。その結果、月収の多寡にかかわらず、週20時間以上働く短時間労働者は原則として全員が社会保険の対象となる仕組みへと移行します。

この改正は、収入を一定以下に抑えるために就業時間を調整する働き控えを解消し、より自由な働き方を後押しすることを目的としています。あわせて、企業規模の要件についても2027年から段階的に撤廃されるスケジュールが示されており、社会保険の網羅性は今後さらに高まっていくでしょう。

一方で、配偶者の扶養から完全に外れる基準となる130万円の壁については、依然として残る点に注意が必要です。ご自身の働き方や手取り額にどのような変化が出るのか、最新の動向を常にチェックしておくことが求められます。

【従業員側】社会保険の加入手続き

従業員を雇用し、健康保険・厚生年金保険に加入する際は、事業主から年金事務所へ「被保険者資格取得届」を提出します。

なお、被保険者に被扶養者の追加や削除、氏名変更などがあった場合は「第3号被保険者関係届」を提出しなければなりません。

社会保険の加入・喪失に際して、共通する事項は以下のとおりです。

項目内容
提出期限採用や設立といった事実の発生から5日以内
提出先事務センターまたは管轄の年金事務所
提出方法オンラインによる電子申請や郵送、窓口への持参

一括適用の申請をする場合

本社が事業所の労務管理も行っている場合は、本社と支社をひとつの適用事業所とみなす一括適用の申請ができます。

この申請が承認されると、本社と事業所間の人事異動であれば社会保険の加入・喪失届の提出が不要となります。

他の事業所で加入している場合

近年では、働き方改革による副業・兼業の普及や社会保険の適用範囲拡大にともない、複数の事業所で社会保険に加入するケースが増加しています。

その場合、被保険者はひとつの事業所を選択し、「二以上事業所勤務届」を申請します。この届出は、「被保険者資格取得届」を提出し、かつ選択した事業所が加入する保険の被保険者となることが前提です。

「二以上事業所勤務届」の提出ルール

  • 提出期限:事案発生から10日以内
  • 提出先:事務センターまたは管轄の年金事務所
  • 提出方法:郵送・持参・電子申請のいずれか

保険料は標準報酬額を各事業所の報酬額に応じて按分し、給与計算の際に控除します。

以上の手続きは被保険者本人が行うものであるため、企業側はあらかじめ複数の事業所に勤める従業員に対して知らせておくとよいでしょう。

加入対象者が未加入のままだった場合

社会保険の加入対象の従業員を未加入のままにしていると、以下のようなリスクがあります。

  • 日本年金機構からの加入指導など
  • 罰金および罰則
  • 追徴金の徴収
  • ペナルティ以外のデメリット

保険制度の加入を免れることはできません。法的リスクを避けるため、加入条件に該当する場合は速やかに届出をしてください。

日本年金機構からの加入指導など

加入対象者が未加入だった場合、日本年金機構から加入状況に関する調査があります。そして、加入を勧奨しても自主的に加入しない未適用事業所を中心に、年金事務所職員による重点的な加入指導が実施されます。

もし重点的な加入指導を受けても手続きが行われない場合は、立入検査が行われ、被保険者の資格の有無を確認されることになるでしょう。必要に応じて、職員の認定による加入手続きが実施されます。事業所には立入検査に対する受忍義務があり、検査の拒否や質問に対して回答をしないことなどは認められません。

罰金および罰則

正当な理由なく社会保険加入対象者を未加入のままにしていた場合、虚偽の報告があったと判断されることがあります。虚偽の報告など悪質な違反をしたと認定されると、「6ヶ月以下の懲役」もしくは「50万円以下の罰金」を課せられるおそれがあります。

追徴金の徴収

強制加入となった場合、未加入になっていた従業員の社会保険料を、過去2年間分遡って追徴されることになります。支払い金額は、事業所側と被保険者(従業員)側で折半です。

なお、従業員がすでに退職していて連絡がつかない場合などは、事業所が全額負担しなければなりません。

ペナルティ以外のデメリット

上記のペナルティ以外に考えられるデメリットとしては、ハローワークに求人を出せない可能性が挙げられます。社会保険に未加入の場合、ハローワークは求人票を受け付けてくれないかもしれません。そして、ハローワーク担当者からもまずは社会保険に加入するよう指示されるでしょう。

他にも、「年金を請求する際に厚生年金が支給されなかった」として、退職した従業員から損害賠償を請求されたケースがあります。社会保険が未加入となっている事業所の従業員には遺族厚生年金が支給されない可能性もあるため、加入要件を満たす場合は速やかに加入しましょう。

従業員が社会保険に加入するメリット

社会保険に加入するメリットは、お勤め先で健康保険に入れば傷病手当金や出産手当金の支給対象になり、病気やケガ、出産で仕事を休むときに給料の3分の2相当額を受け取ることができる点です。

仕事を休んで給料をもらえない場合でも、傷病手当金や出産手当金を受け取れれば生活資金として使えます。

また、厚生年金保険に加入すれば国民年金に比べて将来の年金額が増えるため、老後の生活資金をより多く確保できます。

障害を負った場合や家族が遺された場合に支給される障害年金や遺族年金についても、厚生年金保険加入者の方が国民年金加入者より金額が大きくなります。

そして雇用保険に加入していれば、万が一失業した場合でも失業給付を受けられ、育児休業や介護休業で仕事を休む際に育児休業給付金や介護休業給付金を受け取れます。

働けなくなった場合などに備えた保障が手厚くなる点が、社会保険に加入する大きなメリットです。

従業員が社会保険に加入するデメリット

社会保険に加入するデメリットは、社会保険料がかかり、手取り額が減少する点です。

月額賃金が8.8万円以上になって社会保険に加入すると、社会保険料が給料から天引きされるため、社会保険に加入する前より手取りが減る場合があります。

手取りの減少で生じる生活への影響を避けたい場合は、週の労働時間を短くしたり月に稼ぐ金額を減らしたりするなど、社会保険の加入条件を満たさないように調整すれば加入せずに済みます。

【事業所側】社会保険の加入条件(適用事業所)

【事業所側】社会保険の加入条件(適用事業所)

すべての法人には国が定めた保険に加入する義務があり、保険適用は事業所単位で行われます。

社会保険の適用対象となる事業所を「適用事業所」といい、適用事業所は「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。

強制適用事業所

強制適用事業所とは、事業主や従業員の意思・従業員数・事業の規模・業種などに関係なく、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務となっている事業所のことです。

以下のどちらかに該当する場合は、強制適用事業所となります。

強制適用事業所に該当する条件

  • 常時5人以上の従業員を使用する個人事業所
    ※サービス業、農林漁業などの場合を除く
  • 株式会社などの法人の事業所(事業主1人の場合も含む)

任意適用事業所

任意適用事業所とは、厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けることによって社会保険に加入できる、強制適用事業所に該当しない事業所を指します。

従業員の半数以上が適用事業所になることに同意し、事業主が事務センターまたは管轄の年金事務所で申請を行うことが条件です。

申請が受理され厚生労働大臣の認可を受けると適用事業所になることができ、健康保険・厚生年金保険への加入が可能になる仕組みです。

なお、任意適用事業所の場合は、健康保険と厚生年金保険のどちらか一方だけに加入することも可能です。保険給付や保険料は、強制適用事業所と同じ扱いになります。

被保険者の4分の3以上が適用事業所の脱退に同意した場合は、事業主が申請し、厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けることで適用事業所から脱退できます。

【事業所側】社会保険の加入手続き

事業所の社会保険への加入手続きは、日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)でまとめて実施できます。加入手続きの提出期日と提出書類は以下をご覧ください。

事業所提出期日提出書類提出先
強制適用事業所会社設立から5日以内・健康保険、厚生年金保険、新規適用届
・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届
・健康保険、被扶養者(異動)届
・健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書
・各種添付書類
日本年金機構
(事務センターまたは年金事務所)
任意適用事業所従業員の半数以上の同意を得た後・健康保険、厚生年金保険、任意適用申請書、同意書
・健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届
・健康保険、被扶養者(異動)届
・健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書
・各種添付書類
日本年金機構
(事務センターまたは年金事務所)

社会保険の手続きは事務センターまたは管轄の年金事務所に提出する形が一般的ですが、オンラインによる電子申請での加入手続きも可能です。

なお2020年4月より、資本金等の額が1億円を超える特定の法人・相互会社・投資法人・特定目的会社は、電子申請での手続きが義務化されています。詳しい電子申請の方法は、「e-Govポータル」で確認できます。

加入に必要な書類

社会保険の加入には、以下の書類が必要です。なお、添付書類は強制適用事業所なのか任意適用事業所なのかによって異なるので、該当する物にあわせて書類の用意をしましょう。

強制適用事業所の場合に必要な書類

  • 健康保険、厚生年金保険、新規適用届
  • 健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届
  • 健康保険、被扶養者(異動)届
  • 健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書
  • 各種添付書類(下記の表を参照)

任意適用事務所の場合に必要な書類

  • 健康保険、厚生年金保険、任意適用申請書、同意書
  • 健康保険、厚生年金保険、被保険者資格取得届
  • 健康保険、被扶養者(異動)届
  • 健康保険、厚生年金保険、保険料口座振替納付申出書
  • 各種添付書類(下記の表を参照)

健康保険・厚生年金保険新規適用届には以下の添付書類も必要です。

事業所添付書類
法人事業所の場合・法人(商業)登記簿謄本
法務局のホームページからオンラインによる交付請求が可能
事業主が「国」「地方公共団体」「法人」の場合・法人番号指定通知書のコピー
国税庁法人番号公表サイトで確認した法人情報のコピーでも可
強制適用事業所となる個人事業所の場合・事業主の世帯全員の住民票(原本)

加入手続き期限と提出先

社会保険への加入手続きの期限は、会社設立の事実が発生してから5日以内に行わなくてはなりません。

手続きは電子申請・郵送・窓口の3つの方法から選択でき、先述した必要書類を年金事務所に提出することで完了します。

社会保険加入手続きの書類提出先

  • 【電子申請】提出先欄で事業所の所在地を管轄する年金事務所を選択
  • 【郵送】事業所の所在地を管轄する年金事務所・事務センター
  • 【窓口】事業所の所在地を管轄する年金事務所

なお、前述のとおり、資本金等の額が1億円を超える特定の法人・相互会社・投資法人・特定目的会社は、オンラインによる電子申請での手続きが義務化されています。

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まとめ

社会保険はすべての法人に加入する義務があり、また一定の条件を満たした事業所も加入が必須です。2024年10月以降、従業員が51人以上在籍する事業所は社会保険の加入が義務化されています。

加入手続きは、法人や事業所によって用意する必要書類が異なり、提出・申請方法にも条件があります。法人は会社設立から5日以内の加入が必須であるため、加入手続きに関する漏れがないよう十分注意しましょう。

よくある質問

社会保険に入らなければならない人の条件は?

社会保険への加入が義務付けられている人の条件は、以下のとおりです。


  • 75歳未満の正社員や会社の代表者、役員など
  • 70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である人
  • 以下のすべてに該当する短時間労働者
    • 従業員数51人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している
    • 1週間の所定労働時間が20時間以上
    • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
    • 学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
    • 月額の賃金が8.8万円を超える

なお、健康保険は75歳、厚生年金保険は70歳で被保険者資格が喪失します。

詳しくは、記事内の「【従業員側】社会保険の加入条件」で解説しています。

アルバイト・パートで何日以上出勤したら社会保険の対象となる?

アルバイト・パートは、月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上である場合に社会保険の対象となります。また、上記を満たしていなくても、以下に該当する場合は社会保険の加入が必要です。


  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
  • 学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
  • 月額の賃金が8.8万円を超える

詳しくは、記事内の「【従業員側】社会保険の加入条件」で解説しています。

事業所が社会保険に加入しなければならない条件は?

社会保険の加入が義務付けられている事業所は、すべての法人と以下に該当する場合です。

  • 常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(サービス業、農林漁業などの場合を除く)
  • 株式会社などの法人の事業所(事業主1人の場合も含む)

上記に該当する事業所を、強制適用事業所といいます。また、任意適用事業所は従業員の半数以上が適用事業所になることに同意し、厚生労働大臣の認可が得られれば社会保険への加入が可能になります。

詳しくは、記事内の「【事業所側】社会保険の加入条件(適用事業所)」で解説しています。

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