公開日:2020/02/21
最終更新日:2020/02/21

2018年に制定された働き方改革関連法、戦後の労働基準法制定以来70年ぶりの大改革と呼ばれています。働き方改革の中でも中小企業に影響が大きい労働時間の客観的把握義務。この記事では労働時間の客観的把握義務が必要になった背景を詳しく説明するとともに、労働時間の客観的把握義務の対象や適用時期についてご紹介します。
また記事の内容は動画でもご紹介しております。文字ではなく音声で聞きたいという方は下記の動画をご覧ください。
目次
労働時間の客観的把握義務化とは
2019年4月より、自己申告型での労働時間の把握が禁止され、労働時間は客観的に把握しなければいけなくなりました。適切な労働時間の把握は従業員の長時間労働の対策の1つであり、心と体の健康守ることにも繋がります。
従業員の労働時間をきちんと把握できていないと、出社の有無や残業代の計算などの証拠がないということになります。これはさまざまなトラブルを起こす原因になりかねません。
紙の出勤簿やエクセルの勤怠管理はNG?
自己申告型での労働時間の把握の例として、紙の出勤簿やマクロを組んだ一括入力が可能なエクセルでの勤怠管理の方法があります。それらの自己申告型での労働時間の把握は2019年4月より禁止されました。
もしタイムカードやエクセルなどの勤怠管理を続ける、つまり主観的な勤怠管理の手法を用いる場合は以下の4項目を満たさなければなりません。
- 従業員と管理者への十分な説明
自己申告制の対象となる労働者と実際に労働時間の状況を管理する両者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適切に自己申告を行うことについて十分な説明を行うこと。 - 実態調査
自己申告により把握した労働時間が実際と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所用の労働時間の補正を行うこと。 - 自己申告との乖離がある場合の報告・確認
自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間または、事業外において業務を行った時間について、その理由などの報告が適切に行われているか確認すること。 - 労働時間の適切な申告を阻害してはならない
使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の上限を設け、上限を超える申告を認めないなど、労働者が適正な申告を阻害するようなことはしてはならないこと。
特にハードルが高いのが2番の実態調査です。実態調査の例として、紙で書いたタイムカードと、パソコンの使用時間の実績を比べて、相違点があれば随時変更をしなければなりません。
客観的勤怠の例
客観的な勤怠の例は厚生労働省で定められ、ICカードによる記録や、パソコンなどの使用時間の記録があげられます。

企業により適切な打刻方法は異なります。自社に適した打刻方法で、適切な労働時間の把握をしましょう。
労働時間の客観的把握義務の背景
労働時間の客観的把握義務の背景には、精神障害に係る労災請求件数の増加があります。下記のグラフが、精神障害に係る労災請求件数の推移です。

働き手の減少による、働き手を埋めるために、長時間労働が蔓延していると言われています。労働時間の把握は、残業代未払い防止の観点だけでなく、健康管理の観点でも非常に重要です。
これまで、会社は従業員の勤怠を正確に管理しなければならない法的根拠は曖昧でした。しかし、長時間労働の蔓延による過労死や、精神疾患の問題は社会問題にまで発展し、労働時間の適切な把握は、健康管理の点でも問題として扱われ、働き方改革の一部として制定されたのです。医師の長時間労働に対する面接指導を実施するために、全ての労働者の労働時間を客観的に把握することになりました。
そのため「誰もが納得できる事実に基づいた勤怠管理を行うこと」が義務づけられたのです。
労働時間の客観的把握義務の対象者や適用時期
労働時間の客観的把握義務の対象者は、
- アルバイト
- 一般社員
- デザイナーなどの裁量労働制の労働者
- 管理職などの管理監督者
まで含み、従業員の労働時間は「客観的な方法」によって把握・記録し、3年間保存する必要があります。
労働時間の客観的把握義務化は、労働安全衛生法の範囲の内容になります。「労働安全衛生法は労働者の安全と健康を守るための法律」なので、全ての労働者が対象になります。
客観的把握義務は、2019年4月から適用されています。紙のタイムカードや、エクセルを使っている場合は、自社にあった適切な勤怠管理を選択しましょう。
まとめ
労働時間の客観的把握義務は、時間外労働の上限違反の防止はもちろん、従業員の健康を維持するためにも重要な規制です。働き方改革を契機に、自社に適した勤怠ツールなどを活用して、労働時間状況を管理し、従業員が働きやすく、そしてよりかがやける組織作りをしていきましょう。
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