人事労務の基礎知識

年末調整の追徴税額の仕組みと対応方法について解説します

最終更新日:2021/10/25

年末調整の追徴税額

年末調整では多くの場合、還付金が発生しますが、何らかの要因で予想以上に多くの税金を支払わなければならない状況もあり、年末にその差額分を追加で徴収(追徴)されることもあります。

本記事では、年末調整の際に所得税を追徴されたときの対応法と、経理上のミスがあった場合の対処方法をご紹介します。

目次

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年末調整で追加で所得税を徴収される仕組み

多くの場合、年末調整で税金が還付されますが、場合によっては年末調整で納税した金額よりも実際に必要だった納税額が高くなり、追加で差額分を徴収されることもあります。

年末調整とは、その年の1月から12月までの給与や賞与を集計し、各種控除額を差し引いた額を納税する制度のことです。サラリーマンの場合、1年を通して給料が大幅に変動することは少ないため、毎月の源泉徴収により、ほぼ同額の税金を支払っています。

しかし、給料が急に上がったり、控除の対象が変更になり控除額が変わり、実際の納税額が増えることがあります。このような場合は、年末調整の際に、源泉徴収税額の合計額が年調年税額を下回るため、当初予定していた納税額よりも納税額が多くなり、追加で税金を徴収されることになります。

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年末調整の過不足金の計算と精算の流れ

本年分の毎月の徴収税額の合計額を計算します。次に、本年分の給与所得に対する年調年税額の計算をします。年調年税額と、本年分の毎月の徴収税額の合計額を比較し過不足額を求め、精算を行います。

具体的には次の手順で行います。

1. 各種控除額の確認

  • 扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認
  • 基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書の受理と内容の確認
  • 保険料控除申告書の受理と内容の確認
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の受理と内容の確認

2. 年税額の計算
  • 給与と徴収税額の集計
  • 給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)の計算
  • 課税給与所得金額の計算
  • 年調年税額の計算

3. 税額の徴収、納付又は還付

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年末調整の計算の流れ【計算例つき】

年末調整の追徴税額の計算方法と源泉徴収簿の記入方法

年末調整の追徴税額の計算方法は、年間納税額と毎月の徴収税額の合計額との差を計算し、徴収税額の合計額が年間納税額を下回った額が追徴税額となります。また、徴収税額の合計額が年調年税額よりも上回った場合は、その還付金となります。

<差引超過額又は不足額の計算式>
年間納税額 ー 毎月の徴収税額の合計額 = 差引超過額又は不足額

源泉徴収簿の差引超過額又は過不足額の計算と記入方法

源泉徴収簿の過不足額の計算と記入は、源泉徴収簿の「年末調整」欄を使って行います。

令和3年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿

画像引用元:国税庁「令和3年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿

「年調年税額(25)」欄の金額と毎月の徴収税額の合計額「(8)」欄の金額との差額を求めます。
源泉徴収簿の差引超過額又は過不足額の計算と記入方法①


(25)欄の金額の方が大きい場合は不足額(税金を納付)、(8)欄の金額の方が大きい場合は超過額(税金を還付)が生じたことになります。
源泉徴収簿の差引超過額又は過不足額の計算と記入方法②


このような過不足額は、源泉徴収簿の「差引超過額又は不足額(26)」欄に「超過額」か「不足額」かを表示した上、記入します。

参考・引用元:国税庁「過不足額の精算

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年末調整の還付金の計算方法

年末調整で追徴されるケースとは?

年末調整の段階で追加の源泉徴収が必要になるケースは、主に2つあります。

ボーナスの支給額が通常より多い場合

会社の業績が好調で、予想以上のボーナスを受け取った場合、年末調整の段階で追加で税金を支払う必要がある場合があります。

通常は、毎月一定額の所得税を源泉徴収により支払っています。

しかし、年末に予想以上のボーナスを受け取った場合には、今まで納税していた金額では足りなくなり、年末調整の段階で差額となる所得税を大幅に差し引かれるようになります。賞与の額によっては、数万円ほど追徴される可能性があります。

また、転職や人事異動で給与が大きく変わった場合も、同様に追徴される可能性があります。

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【最新版】所得税とは?毎月の給与における源泉所得税の計算方法「賞与の源泉所得税の計算方法」

扶養家族が減った場合

扶養家族がいる場合、扶養控除により納税額が軽減されます。ただし、配偶者や扶養家族の方が、扶養控除の対象者から外れた場合、扶養控除もなくなるので、追加の源泉徴収が必要となる場合があります。

具体的には、配偶者や扶養家族が年収103万円を超えた場合、扶養控除の対象外となります。扶養控除は、12月31日時点で判断されます。そのため、12月末時点で扶養家族が減った場合でも。1年を通して扶養家族がいなかったものとして所得税を計算され、追徴となる可能性があります。

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年末調整で追加で徴収が必要な場合の対応

年末調整で追加徴収される所得税は、予想以上に納税額が高く、12月の給与から一度に差し引かれることが多いため、従業員は損をした気分になってしまいます。

しかし、年単位でみると12ヶ月分に分けて納税していることと同じです。毎月数千円の所得税を追加で払うのと、年末調整の時に差額を払うのかの、タイミングの違いですので、損をしているわけではありません。

担当者は、通常であれば従業員に還付されるものが逆に追加で所得税を徴収されたことについて、苦情を受ける可能性があります。従業員に敬意や仕組みを説明し、理解してもらうようにしましょう。

従業員への追加徴収の方法

通常は年末調整を行う月の給与から徴収します。徴収額が多い場合には、翌月以降の給与から順次徴収します。

翌月以降の給与から順次徴収する年末調整を行う月の税引き後の純給与額が、1月から年末調整を行う月の前月までの平均的な純給与額(税抜き)の70%に満たない従業員については、所轄税務署長に「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を申提出して承認を受けることにより、その不足額を翌年の1月および2月に繰り延べることができます。不足分の金額を翌年の1月、2月に繰り延べることができます。

年末調整による不足額徴収繰延承認申請書とは

その年の最後の給与支払いにより、12月の税引き後の給与が通常の月例額の平均の70%に満たない場合、年末調整で不足した分の徴収を延期するために用いられます。

[手続根拠]
所得税法第192条2項、所得税法施行令第315条、第316条

年末調整による不足額徴収繰延承認申請書

画像引用元:国税庁「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書

対象者 不足額の全額を本年最後に支払う給与から徴収すると12月分の税引後の給与の金額が本年1月から11月までの税引後の給与の平均月割額の70%未満となる人で、繰延べの承認を受けようとする人
提出時期 承認を受けようとする年度の最後の給与の支払を受ける日の前日までに提出してください。
提出方法 申請書を作成の上、給与の支払者を経由してその給与の支払者の所轄税務署へ提出してください。
手数料 不要
申請書様式・記載要領 年末調整による不足額徴収繰延承認申請書(PDF/278KB)
提出先 給与の支払者を経由して、その支払者の所得税の納税地の所轄税務署長に提出してください(税務署の所在地については、国税庁ホームページの「組織(国税局・税務署等)」の「税務署の所在地などを知りたい方」をご覧下さい。)。
受付時間 8時30分から17時まで
相談窓口 最寄りの税務署(源泉所得税担当)
不服申立方法 処分の通知を受けた日の翌日から起算して3月以内に、その処分をした税務署長に対して再調査の請求又は国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。

参考・引用元:国税庁「年末調整による不足額徴収繰延の承認申請

年末調整の金額に間違いがあった場合

年末調整の金額に間違いがある場合は、修正や別途対応が必要となります。源泉徴収票の発行前と発行後で、それぞれ最適な対処方法をご紹介します。

源泉徴収票発行前に間違いが発覚した場合

源泉徴収表の発行前に金額の間違いが発覚した場合は、会社側で修正対応を行うことができます。単純な計算ミスは二重線で消して、正しい金額を記入します。

扶養家族の変更や生命保険などの記入漏れがあった場合は、従業員から証明書類を回収して訂正します。

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翌年1月31日までなら修正可能

1月中にミスが発覚した場合、修正する時間は十分にあります。法定調書合計表は1月31日までに税務署に提出することになってますので、それまでに修正すれば問題ありません。

対象となる従業員に説明した上で、源泉徴収税額を修正すれば、通常の年末調整と同様に行うことができます。

【関連記事】
年末調整の法定調書合計表・支払調書の書き方

翌年の1月31日を超えてしまった場合

法定調書合計表などの書類を税務署に提出する期限は、対象となる年度の翌年の1月31日です。そのため、源泉徴収票は必ずこの日までに発行されます。

また、1月31日以降に金額の誤りが発覚しても。会社が勝手に修正することはできません。源泉徴収票だけでなく、税務署に提出した法定調書合計表などの書類を修正する手続きが必要となります。

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源泉徴収の対象期間とは

まとめ

年末調整において、給与や賞与(ボーナス)が予想以上に多い場合や、扶養家族が減って控除から外れたりした場合には、追加で源泉徴収税を徴収されることがあります。

多くの場合、年末に支払われる給与から差し引かれますが、中には経理上のミスによるものもあります。その際には、必ず翌年1月31日までに修正し、不備のないように対応しましょう。

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