請求書の基礎知識

インボイス制度導入前後に個人の免税事業者が対応すべきこととは?

最終更新日:2022/06/23

インボイス制度導入前後に個人の免税事業者が対応すべきこととは?

2023年10月1日に導入される「インボイス制度」に対する注目が集まっています。特に現在、消費税が免税となっている個人事業主やフリーランス、小規模事業者の多くは売上への影響や税負担の増加を懸念しています。インボイス制度は免税事業者だけでなく、仕入税額控除を受ける課税事業者にも影響するので、事業者なら誰でも知っておきたい制度です。

しかし、インボイス制度は消費税や請求書に関する仕入側と販売側両方の知識が必要なため、これまでの制度と何が違うのか、具遺体的に何を準備すればいいのか、わかりづらいという問題があります。

そこでこの記事では、インボイス制度の導入に悩む個人事業主の方に向けて、インボイス制度の全体像と導入時期、買い手側・売り手側それぞれに必要な準備について、わかりやすく解説します。

目次

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは

インボイス制度とは、請求書の発行や保存に関する新しい制度のことで、正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。

インボイス制度は、一定の要件を満たした「適格請求書(インボイス)」に基づき、消費税の「仕入税額控除」を計算し、証拠資料として保存する仕組みです。

これまでの「区分記載請求書保存方式」では、取引の相手が発行した請求書等があれば、「仕入税額控除」の手続きをすることができましたが、インボイス制度の導入後は、適格請求書でなければ仕入税額控除を受けることができなくなります。

【関連記事】
インボイス制度とは?2023年10月導入までに必要な対応をわかりやすく解説

適格請求書(インボイス)とは

インボイス制度導入後、仕入税額控除を受けるために必要な適格請求書とは、どのようなものでしょうか。ここでは適格請求書について解説します。

適格請求書(インボイス)の要件

適格請求書とは、以下の要件が記載された請求書を指します。

適格請求書(インボイス)の要件

  1. 適格請求書発行事業者の、氏名または名称および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
  4. 税率ごとに合計した対価の額および適用税率
  5. 消費税額
  6. 書類の発行交付を受ける事業者の氏名または名称

現在、消費税率は原則10%ですが、食料品や新聞の定期購読料などについては8%の軽減税率が適用されています。つまり、10%と8%という2つの税率が混在しているのです。

そこで、請求書に記載された商品に課される消費税率と消費税額を明確にするために採用されたのが「適格請求書(インボイス)」です。

適格請求書(インボイス)発行には事前に登録が必要

仕入税額控除を受けるために必要な適格請求書は、請求書を発行するすべての人が発行できるわけではありません。

適格請求書を発行するには、事前に申請書を税務署に提出し、税務署長の審査を受けた「適格請求書事業者」になる必要があります。また、登録できるのは課税事業者のみで免税事業者は対象外です。

商取引には一部を除いて消費税が課税されています。消費税は「消費者から預かった税金」で、国に納税する義務があります。ただし、現在「1年間の課税売上高が1,000万円未満の事業者」については納税が免除されています。これが消費税の免税事業者です。消費税を納めていない事業者である免税事業者はインボイス制度から除外され、適格請求書を発行することができません。

現在、免税事業者の人が適格請求書発行事業者となるためには、「課税事業者選択届出書」を税務署に提出し、課税事業者になる必要があります。課税事業者になるべきかどうかは自身が取引している企業などによって変わってきます。

【関連記事】
適格請求書とは?書き方や保存方式、発行事業者への登録方法について解説

なお、課税事業者選択届出書はe-Taxから作成・提出が可能で、個人事業者の場合はスマートフォンからでも申請ができますので、自身の提出しやすい方法で登録しましょう。

仕入税額控除とは

仕入税額控除とは、売上時に受け取った消費税額から仕入れや経費にかかった消費税額が、納税額から控除される制度です。


仕入税額控除の仕組み

インボイス制度導入後は、適格請求書が発行された取引のみ仕入税額控除の対象となります。適格請求書の発行がないと買い手側は仕入税額控除を受けることができないため、仕入れや経費にかかった消費税額を差し引くことができず、事業主は売上時に受け取った消費税額をそのまま支払わなければなりません。

そのためインボイス制度導入後は、個人事業主も課税事業者である取引先からの求めに対し、適格請求書を発行できる課税事業者(適格請求書事業者)にならないと取引が継続できない可能性があります。


インボイスを発行したケースと発行していないケースの違い

インボイス制度導入で個人事業主が受ける影響とは

インボイス制度は買い手側と売り手側の双方に関係する仕組みであるため、個人事業主の場合であっても必ず影響を受ける制度となります。

では、具体的に個人事業主はインボイス制度の導入によってどのような影響を受ける可能性があるかみていきましょう。

売上1,000万円以下の免税事業者への影響

これまで取引していた企業と取引できなくなる可能性がある

免税事業者である個人事業主の場合、取引先に「適格請求書」の発行を頼まれても発行することができないため、取引先の税負担が増えることになるため、取引ができなくなる可能性があります。

消費税納税の義務が発生する

適格請求書を発行できない免税事業者との取引を避ける課税事業者が増えることが予想される一方、免税事業者は課税事業者に転換しなければ売上が減少するリスクがあり、インボイス制度の導入は両者に少なからず影響があるでしょう。

「課税事業者選択届出書」を税務署に提出し、課税事業者になった場合、例え基準期間と特定期間で売上1,000万円を超えていなくても消費税申告と納税、帳簿付けの義務が発生します。そのため、課税事業者になったことによる労力の増加や、益税分の利益低下が予想されます。

売上1,000万円超の課税事業者への影響

適格請求書発行事業者の登録が必要となる

年間課税売上1,000万円を超えている課税事業者が、インボイス制度導入後に適格請求書を発行するためには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。

課税事業者であろうと、上記の登録申請書を提出して税務署から承認されなければ適格請求書を発行することができないため、早めに申請するようにしましょう。

経理処理が煩雑化する可能性がある

インボイス制度では、適格請求書に記載された消費税額から最終的に納付すべき税額を計算する必要があります。そこで、免税事業者と課税事業者の両方から仕入れを行う場合は、両者の消費税額を別々に計算する必要があるため経理処理の労力が増える可能性があります。

納税額の増加

たとえば、課税事業者の取引先が免税事業者の場合、取引先は適格請求書を発行できないため、仕入商品にかかった消費税は仕入税額控除の対象外となります。そのため、インボイス制度導入前に比べ、非課税事業者との取引ごとに納付税額が増加する可能性があります。

個人事業主がインボイス制度導入までに準備すべきこと

インボイス制度の導入は2023年10月1日からですが、インボイス制度の適用を受けるためには2023年3月31日までの登録申請に間に合うように準備しなくてはなりません。期限間際には多数の提出者が殺到することが予想されるため、早めに準備しましょう。

免税事業者が準備しておくこと

まず、免税事業者はインボイス制度導入前に、メインの取引先自身の主要顧客が課税事業者なのか、それとも免税事業者や消費者なのか確認しておきましょう。取引先に免税事業者や消費者が多いのであれば、インボイス制度導入後も免税事業者のままでいることに大きな問題はないと考えられます。

しかし、取引先に課税事業者が多い場合は、上述したように適格請求書を発行できない免税事業者との取引を避けることが予想されます。

現状と変わらず商取引を行うためには、インボイス制度の導入とあわせて自ら課税事業者にならなければなりません。課税事業者になるには、「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

また、課税事業者になっても、インボイス制度が導入される2023年10月1日から適格請求書を発行するためには、2023年3月31日までに税務署へ「適格請求書事業者」の登録申請書を提出する必要があるため、忘れずに提出しましょう。

課税事業者(適格請求書発行事業者)が準備しておくこと

適格請求書等の記載項目を理解して、制度導入までに帳簿や請求書等の記載内容やフォーマットの変更が必要です。この場合、取引先と記載事項の確認や交渉が発生する可能性があるので、こちらも制度開始前に余裕を持って対応すべきと言えます。

また、インボイス制度の適格請求書等を受け取った際、その内容を正確に記帳できるようツールを導入したり、インボイスの記載事項の詳細を把握しておくべきでしょう。準備期間が十分にありますが、今のうちからインボイス制度導入後を意識しながら、自社や個人の管理方法を検討しておくことが大切です。

課税事業者として消費税の確定申告が必要となる期間

免税事業者がインボイス制度導入前に課税事業者となった場合、消費税の確定申告の対象となる期間についても把握しておきましょう。

免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合は、先ほど紹介したとおり、原則として消費税課税事業者選択届出書適格請求書発行事業者登録申請書の2つを提出しなければなりません。

ただし特例として2023年10月1日を含む課税期間中(1月1日から12月31日)であれば、適格請求書発行事業者登録申請書の提出のみで、登録日から課税事業者になることが可能となっています。


2023年10月1日から適格請求書発行事業者となる場合の特例

この場合、2023年10月1日以降から課税事業者となり、2023年10月1日から2023年12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、2023年分の消費税の申告が必要となります。

2023年10月1日前に登録の通知がきたとしても、登録の効力は登録日である2023年10月1日から生じますので注意が必要です

なお、2023年分を適用開始課税期間とする場合は、2022年12月31日までに「消費税課税事業者選択届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

まとめ

インボイス制度は課税・免税事業者問わず、全事業主に関係のある新しい制度です。課税事業者であれば登録申請手続きや事務管理の面で影響を受けるでしょう。

免税事業者であれば課税事業者になるか否かを選択することになると同時に、収入や案件数への影響を鑑みて、働き方や事業の計画を立てる必要が出てきます。インボイス制度導入までにルールや変更点を理解し、ゆとりを持って各種申請や準備を進めておきましょう。

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