請求書の基礎知識

請求書のやりとりの流れ|発行側・受領側の手順とインボイス制度対応を解説

請求書のやりとりの流れ|発行側・受領側の手順とインボイス制度対応を解説

請求書とは、提供した商品やサービスの代金を取引相手に請求するための書類です。法律上の発行義務はありませんが、入金漏れや金額トラブルを防ぐため、ビジネス上の慣行として広く使われています。請求書のやりとりは、発行側(売り手)と受領側(買い手)で進めるべき手順が異なります。

さらに2023年10月のインボイス制度開始、2024年1月の電子帳簿保存法の本格施行により、記載事項や保存方法のルールも変わりました。本記事では、見積書から請求書までの取引全体の流れ、発行側・受領側それぞれの実務手順、必須記載項目、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応、保存期間までを解説します。

目次

請求書を含む取引全体の流れ

請求書は単独で発行されるのではなく、見積書・注文書・納品書とセットで取引のプロセスを構成します。書類の発行順序を理解しておくと、自社が今どの段階にいるかを把握しやすくなります。

見積書は取引の出発点で、価格・納期・取引条件を明示します。買い手が見積内容を承認した段階で注文書が発行されて発注内容が確定し、納品が完了した時点で納品書を発行します。最終的に請求書を発行して代金支払いを依頼するという流れです。4つの書類は、発行タイミングと法的な役割がそれぞれ異なります。

<取引で発生する4つの書類と発行順序>

書類発行タイミング主な役割
見積書取引前価格・条件の提示
注文書見積承認後発注内容の確定
納品書納品時引き渡し完了の証明
請求書取引完了後代金支払いの依頼

なお、定期的・継続的な取引では見積書や注文書を省略し、契約書ベースで請求書のみをやりとりするケースもあります。書類の発行範囲は取引先との合意で決めます。

請求書に必ず記入すべき項目

請求書のフォーマットや書き方に法定のルールはありませんが、書類として最低限備えるべき項目は決まっています。請求書を送る目的は「入金してもらうこと」であるため、取引相手が理解しやすい内容に整えることが重要です。

基本の必須5項目と任意の追加項目

国税庁が示す記載要件を参考にすると、請求書に必ず記入すべき項目は次の5つです。これらを満たしていれば、書類としては問題ありません。

請求書に必ず記入すべき5項目

  • 請求書作成者の氏名もしくは名称(法人名など)
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 取引金額(税込で記載)
  • 取引先の氏名もしくは名称(法人名など)

ただし、入金をスムーズに進めるには、宛名(敬称付き)・請求書番号・発行日・合計請求額・商品名(数量・単価・消費税)・振込手数料の負担者・振込先・支払期限などの任意項目を補っておくと完成度が高まります。発行日は取引相手の締め日・支払い日に合わせ、送付方法とあわせて事前に確認しておきます。

インボイス制度における追加の必須記載項目

2023年10月のインボイス制度開始により、適格請求書発行事業者が交付する請求書には、従来の項目に加えて以下の3項目の記載が必要になりました。買い手は、これらを満たした適格請求書を保存していないと、原則として消費税の仕入税額控除を受けられません。

インボイスで追加された必須記載項目

  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 軽減税率の対象品目である旨と適用税率(10%・8%)
  • 税率ごとに区分した消費税額

適格請求書を発行できるのは、税務署に登録申請をして適格請求書発行事業者になった課税事業者のみです。免税事業者は適格請求書を発行できないため、取引先が仕入税額控除を行えなくなる点に注意が必要です。発行側は、登録番号や税率ごとの区分記載の漏れがないよう運用を整えます。

出典:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」

請求書を発行する側の流れ

発行側(売り手)の業務は、請求金額の確定から入金確認・消込までの4ステップで進みます。各ステップでミスや漏れが生じると、入金遅延や取引先との信用問題につながります。

ステップ1 請求金額の確定

最初のステップは、見積書や納品書に基づいて請求金額を確定させる作業です。請求方式には、締め日までの取引をまとめて1枚で請求する「締め請求」と、取引ごとに発行する「都度請求」の2種類があり、継続取引では締め請求が一般的です。

見積金額と最終的な請求金額が異なる場合は、請求書発行前に必ず取引先へ理由を共有し、了承を得ます。事後の金額変更は信用問題に直結するため、社内承認も含めて確定までのプロセスを明確にしておきます。

ステップ2 請求書の作成

確定した金額をもとに請求書を作成します。記載するのは前章で解説した必須項目(インボイス制度に対応した記載事項)と、請求書番号・支払期限・振込先などの任意項目です。

請求日と支払期限は、取引先と事前に取り決めた日付を正確に記載します。請求書作成日と請求日は別物で、取引先の締め日に合わせるのが一般的です。振込先口座と振込手数料の負担者の表記漏れは入金トラブルにつながりやすいため、社内の承認フローで誤記や金額誤りがないかをチェックしてから送付に進みます。

ステップ3 請求書の送付

承認後の請求書を取引先に送付します。送付方法は郵送・メール添付・請求書発行システム経由の3つが主流で、それぞれ手間や法令対応の点で特徴が異なります。

<請求書の主な送付方法>

送付方法主な特徴留意点
郵送取引慣行として広く使われる印刷・封入・投函の手間がかかる
メール添付PDF添付で即日送付可能電子帳簿保存法の電子取引要件に従う
請求書発行システム自動送付・受領管理が可能取引先側の対応可否の確認が必要

郵送の際は、ビジネスマナーの観点から送付状を添えるのが無難です。メールでPDFを送付する場合、原本を別途郵送する法的義務はありませんが、必要か否かは取引先に確認します。メールやシステム経由で電子送付した請求書には、後述する電子帳簿保存法の電子取引データ保存ルールが適用される点に注意し、送付方法は取引開始時に取り決めて勝手に切り替えないのが原則です。

ステップ4 入金確認と消込処理

支払期限を経過したら、振込口座への入金状況を確認します。入金が確認できたら、未入金として計上していた売掛金の残高を実際の入金に対応させて消していく「消込(しょうこみ)」を行います。請求書の控えと入金記録を1件ずつ照合し、金額・取引先・取引日に齟齬がないかを確認します。

入金が遅延している場合は、まずメールや電話で支払予定を確認し、自社の送付ミスや取引先の処理遅延がないかを切り分けてから督促に進みます。

請求書を受け取る側の流れ

受領側(買い手)の業務は、内容確認から保管までの流れで進みます。受領側でのチェックを怠ると、過剰支払いや支払漏れ、仕入税額控除の不適用といった経理上のリスクが生じます。

ステップ1 請求書の内容確認

請求書を受領したら、発注書・納品書と突き合わせて内容を確認します。誤りがあれば、振込前に発行側へ連絡して訂正請求書の再発行を依頼します。

受領時に確認する主な項目

  • 宛名が自社になっているか
  • 発行者が想定する取引相手か
  • 取引年月日と取引内容が発注内容と一致しているか
  • 請求金額が合意済みの金額か
  • 消費税額と適用税率が正しいか
  • 適格請求書の場合、登録番号の記載があるか
  • 振込先口座と支払期限が明記されているか

ステップ2 社内承認と支払依頼書の作成

請求書の内容に問題がなければ、社内の支払承認フローに乗せます。多くの企業では、依頼部署が支払依頼書を作成し、請求書とあわせて経理部門に提出する運用です。

支払依頼書には、申請者・所属部署・支払金額・支払期限・振込先・勘定科目などを記載します。納品書や発注書を添付しておくと、経理部門での承認判断がスムーズになります。

ステップ3 経理での記帳

経理部門は、支払依頼書と請求書をもとに会計システムへ仕訳を入力します。買掛金として一旦計上し、支払日に普通預金などから振り替える二段階の仕訳が一般的です。

入力の際は、勘定科目の選択と消費税の税区分(課税仕入10%・軽減税率8%・非課税など)を取り違えないよう注意します。記帳担当者と確認担当者を分けるダブルチェック体制を敷くと、ヒューマンエラーを減らせます。

ステップ4 支払いの実行と消込・保管

経理責任者の承認を得たうえで、指定の振込先へ支払いを実行します。不正防止の観点から、記帳担当者と支払実行担当者を分ける運用が推奨されます。振込完了後は、振込明細や支払証明を保管し、後日の照合に備えます。

支払完了後は、買掛金の残高を消込し、原本(または電子データ)を所定の方法で保管します。保管期間や保管要件は法令で定められており、後述する保存ルールに従います。

インボイス制度・電子帳簿保存法への対応

請求書のやりとりに関する近年の制度変更で実務に影響が大きいのは、2023年10月開始のインボイス制度と、2024年1月本格施行の改正電子帳簿保存法の2つです。

インボイス制度で変わった請求書の記載事項

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」です。買い手が消費税の仕入税額控除を受けるためには、売り手が交付する適格請求書(インボイス)の保存が必要になりました。買い手側では、受領した請求書が適格請求書か(登録番号の有無)を確認し、適格請求書とそれ以外を区分して保存します。

免税事業者からの仕入については、経過措置として仕入税額相当額の一定割合を控除できます。令和8年度税制改正で経過措置の適用期限が2年延長され、控除割合のスケジュールが見直されました。2026年10月以降の控除割合は次のとおりです。

<免税事業者からの仕入れに係る経過措置(控除割合)>

期間控除割合
2023年10月〜2026年9月80%
2026年10月〜2028年9月70%
2028年10月〜2030年9月50%
2030年10月〜2031年9月30%
2031年10月以降控除不可

売り手側は、自社が適格請求書発行事業者として登録されているかを確認し、登録番号と税率ごとの区分記載を漏らさない運用を整えます。

出典:国税庁「インボイス制度の経過措置について(令和8年度税制改正特集)」

電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務

改正電子帳簿保存法では、2024年1月1日以降、メールやクラウドで授受した請求書などの電子取引データを電子のまま保存することが義務化されました。紙に印刷して保存する運用は原則として認められません。

電子取引データの保存要件

  • 真実性の確保(タイムスタンプ付与・訂正削除履歴が残るシステム利用・事務処理規程の整備のいずれか)
  • 可視性の確保(モニター・操作説明書の備付け、取引年月日・取引金額・取引先での検索機能)

なお、相当の理由があると所轄税務署長が認めた事業者には猶予措置が設けられていますが、要件を満たせる体制整備は早期に進めるのが安全です。

出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」

請求書の保存期間と保存方法

請求書の保存期間は、発行側・受領側ともに法令で定められています。法人と個人事業主で原則の期間が異なり、欠損金がある事業年度には例外があります。

<請求書の保存期間>

区分原則の保存期間欠損金がある事業年度の例外
法人7年間10年間
個人事業主5年間7年間

保存期間の起算点は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日です。発行日や入金日からではない点に注意します。紙で受領した請求書は紙のまま保存するか、スキャナ保存要件を満たして電子化保存します。電子取引で受領したデータは、前述のとおり電子のまま保存します。

出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

無料で請求書・見積書を発行したいならfreee請求書がおすすめ

請求書や見積書の作成は、お金が絡む業務なので少しのミスが重大な問題に発展する場合もあります。請求・見積業務を負担に感じる方には、無料で請求書・見積書を発行できるfreee請求書の利用がおすすめです。

ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。

フォーム入力で誰でも簡単に作成できる

freee請求書は見積書や発注書など、請求書以外にもさまざまな書類を簡単に作成することが可能です。

またフォームに沿って入力した内容がリアルタイムで書類上に反映されるため、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できます。入力が必要な項目はあらかじめ設定されており、消費税(内税・外税)や源泉税なども自動計算されます。

freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。


freee請求書利用画面のイメージ1

2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。

freee請求書では、金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。

また、作成した請求書は電子保存されるため、インボイスの写しの保存義務化にも対応できます。

テンプレートは40種類以上!自分にあった請求書・見積書を作成可能

freee請求書には40種類以上のテンプレートが用意されています。その中から自分にあったテンプレートを選択して書類を作成できます。書類に記載する項目はテンプレートから変更を行うことも可能です。


freee請求書利用画面のイメージ2

請求書や見積書の作成から管理までを効率化できるfreee請求書の使い方は動画でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。ぜひ参考にしてみてください。

会員登録不要で請求書のテンプレートを無料ダウンロードできるサービスも

freee請求書のほかにも、freeeでは請求書を無料で作成できるサービスを新たにご提供しています。会員登録不要で誰でも無料で請求書のテンプレートをダウンロードすることができます。

具体的に、freeeの無料テンプレート集でダウンロードできる書類には以下のようなものがあります。

<会計>
・請求書(インボイス制度対応)
・発注書
・納品書
・領収書

<人事労務>
・内定通知書
・在籍証明書
・顛末書 など

freeeの無料テンプレート集では、上記のほかにも無料でダウンロードできる書類を準備中です。ぜひこちらもご活用ください。

よくある質問

請求書の処理手順は?

請求書の処理手順は、発行側と受領側で異なります。発行側は請求金額の確定→請求書の作成→送付→入金確認・消込の4ステップ、受領側は内容確認→社内承認・支払依頼書の作成→経理での記帳→支払いの実行・消込・保管の流れで進めます。

詳しくは「請求書を発行する側の流れ」「請求書を受け取る側の流れ」で解説しています。

請求書を作成するときのルールは?

請求書の様式に法定のフォーマットはありませんが、取引先が消費税の仕入税額控除を受けるためには、インボイス制度で定められた記載事項(発行者の氏名・登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額・適用税率、税率ごとの消費税額、交付を受ける事業者の氏名)が必要です。詳しくは「請求書に必ず記入すべき項目」で解説しています。

請求書と納品書の順番は?

通常は納品書が先、請求書が後です。納品書は商品の引き渡しやサービス提供の完了時点で発行し、請求書はその後の代金支払いを依頼する段階で発行します。継続取引で複数の納品をまとめて月末に請求する場合も、各納品の納品書を先に出し、最後に締め請求書を発行する流れになります。

詳しくは「請求書を含む取引全体の流れ」で解説しています。

電子データで受け取った請求書を紙で保管してもよいですか?

2024年1月以降、電子取引で受け取った請求書は原則として電子のまま保存することが義務化され、紙に印刷しての保存は認められません。電子保存にあたっては、改ざん防止のための措置(タイムスタンプ付与等)と検索要件(取引年月日・取引金額・取引先での検索)を満たす必要があります。

詳しくは「電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務」で解説しています。

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