請求書の基礎知識

請求書の振込先の書き方は?注意点や振込手数料の取扱いについても解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

請求書の振込先の書き方は?注意点や振込手数料の取扱いについても解説

請求書に記載する振込先は、取引先で誤入金を起こさないように、正確な情報をよく確認しながら書かなければなりません。また、振込手数料の負担についても注意する必要があります。

本記事では、請求書における振込先の書き方と書き方の例、振込先を記載する際の注意点、振込先以外に請求書へ書くべき内容を解説します。

目次

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請求書に記載する振込先の必要情報

請求書の振込先欄には、取引先が誤入金をしないように以下の情報をすべて記載します。

請求書に記載する振込先の必要情報

  • 金融機関名・支店名
  • 口座番号
  • 口座の種類
  • 口座名義

名称間違いや数字の記載ミスがひとつでもあると、正しく振込がされない恐れがあります。双方でのやりとりが二度手間にならないよう、請求書発行の時点で記載間違いがないかしっかりチェックしましょう。

それぞれの項目について、以下で解説します。

金融機関名・支店名

請求書には、振込先の金融機関名(〇〇銀行、〇〇信用金庫など)と、金融機関の支店名(品川支店、梅田支店など)を記載します。

メガバンクや地方銀行の支店名は、原則として通帳に記載されています。手元に通帳がない場合も、キャッシュカードに支店コードが書いてあれば、利用している金融機関の公式ホームページなどから検索できます。

ただし、「ゆうちょ銀行」の場合は通帳に支店名ではなく5桁の通帳記号が記載されています。5桁の番号の2〜3桁目の数字に8を付け、その数字を漢数字に直したものが支店名です。たとえば「12345」なら、23を抜き出して8を足した「二三八」が支店名を表す数字です。メガバンクや地方銀行などと異なり、具体的な店舗名や住所ではなく漢数字が支店名扱いとなります。

請求書には金融機関名と支店名に加えて、金融機関コードと支店コードもあわせて記載することを推奨します。


金融機関コード
(統一金融機関コード)
金融機関を表す4桁のコード
みずほ銀行なら「0001」、三井住友銀行なら「0009」
支店コード
(支店番号、店番号、店舗番号)
金融機関の本支店ごとに割り当てられる3桁のコード

金融機関コードや支店コードがなくても、振込は可能です。しかし、コードを記載しておくと、取引先によるインターネットバンキングや窓口での振込作業がスムーズになります。取引先の手間が減れば、誤入力のリスクの低減にもつながるでしょう。

出典:ゆうちょ銀行「記号・番号から振込用の店名・預金種目・口座番号への変換の公式」
出典:ゆうちょ銀行「記号番号から振込用の店名・預金種目・口座番号を調べる」

口座の種類

振込先として使う口座は、一般的に「普通預金口座」または「当座預金口座」の2種類です。

当座預金口座とは、個人事業主や企業が手形・小切手を決済するために使う決済用口座です。利息が発生しない代わりに、金融機関が破綻したときの全額保護や、取引先からの信頼度向上といったメリットがあります。

ただし、2026年までに手形・小切手を廃止するため当座預金口座の新規開設ができなくなっている銀行が増えている点に注意しましょう。

請求書へ口座の種類を記載するときは、口座番号の前に付けて1列表記にします。

振込先が普通預金口座のときの記載例

  • 普通 1234567
  • 普通)1234567
  • 普通口座 1234567

口座番号

振込先となる口座番号は、7桁の数字で構成されているのが一般的です。もし口座番号が5桁または6桁のときは、口座番号の前に0を入力して7桁に合わせます。

メガバンクや地方銀行の場合

  • (5桁)口座番号12345→「0012345」
  • (6桁)口座番号123456→「0123456」

振込先がゆうちょ銀行で口座番号が8桁あるときは、口座番号最後の1の数字を取った数字を、口座番号として請求書に記載しましょう。

ゆうちょ銀行の場合

  • (8桁)口座番号12345671→「1234567」

口座番号は数字が多い分、見間違いや入力間違いによる記載ミスが発生しやすい項目です。1桁でも間違えると正しく振込ができないので、数字一つひとつをよく確認し間違えないように記載します。

口座名義

金融機関に登録されている口座名義を請求書に書くときは、わかりやすいように通常の名義(漢字)を書き、その名義に付記する形でカタカナを記載するのが親切です。

口座を屋号で開設しているときは、口座名義のとおり、屋号または屋号と個人名を記載します。振込時には、振込時にフリガナ入力を求められるため、請求書への記載が漢字の名義のみだと、取引先が正しく名義を入力できない可能性があるためです。

個人名義の場合は、姓と名の間にスペースを入れてください。法人名義の場合、株式会社や社団法人、組合などは略語で表します。たとえば株式会社で前株ならカ)、後株なら(カ、間に入るなら(カ)です。

取引先が金融機関の窓口から振り込む場合、口座名義が異なると振り込みができません。インターネットバンキングやATMから振り込む場合、画面に表示される口座名義と、請求書に記載した口座番号の照らし合わせができます。ただし、違う金融機関で総合振込の場合、照らし合わせはできないため注意してください。

振込先の書き方の例

ここからは実際に、メガバンク・地方銀行へ振り込む場合と、ゆうちょ銀行に振り込む場合に分けて、請求書に記載する振込先の書き方の例を解説します。

都市銀行や地方銀行の場合

使用口座が都市銀行・地方銀行で、個人の人が請求書に振込先を書くときの例は次のとおりです。

都市銀行や地方銀行の記載例

freee銀行 金融機関コード0000
東京支店 支店コード111
普通口座 1234567
燕 太郎(ツバメ タロウ)

ゆうちょ銀行の場合

使用口座がゆうちょ銀行で、法人として開設した振込先を請求書に書くときの例は、次のとおりです。

ゆうちょ銀行の記載例

ゆうちょ銀行 金融機関コード9900
四一八 支店 支店コード418
普通口座 7654321
freee株式会社 大空営業所 フリー(カ)オオゾラ(エイ

振込先を記載する際の注意事項

請求書に振込先を記載する際には、振込にまつわる以下2つの注意事項も一緒に確認しましょう。

振込手数料の扱いについて記載するようにする

お金を金融機関の口座に振り込む際には、原則として振込手数料が発生します。振込手数料の金額は、利用している金融機関・支店、振込金額、振込方法、利用サービス(月額プランなど)によって変わります。

1回あたりの振込手数料は、無料〜1,000円程度とそこまで高額ではありません。しかし、1年に何度も振込があるときや複数の取引先がいるときは、合計すると数万円以上の高額出費になるかもしれません。どちらが振込手数料を負担するかを決めるのは、商取引において重要といえるでしょう。

民法上、振込手数料を負担するのはお金を振り込む側(請求書を受け取った側)です。集金に行く手間賃がなくなる代わりに振込手数料を振り込まれる側が負担する昔の集金の名残りも残っていましたが、インボイス制度が始まり振り込む側負担が大勢となりました。

もし相手に振り込み手数料を負担してもらうなら、請求書の下部にある備考欄などに分かりやすくその旨を明記しておきましょう。振込手数料の負担については、記事内「振込手数料は誰が負担するべきなのか」にて詳しく解説しています。

法人の口座名義には略称を使用する

振込先となる口座番号が法人名義の場合、〇〇会社や一般〇〇法人といった法人格や団体名については、略称を入力して振込が行われます。たとえば振込先が「会計ソフト株式会社」だと、「カイケイソフト(カ」となります。

法人の口座名義でよく使う略称を、以下にまとめました。


団体名略語(前、中間、後)
株式会社カ)、(カ)、(カ
有限会社ユ)、(ユ)、(ユ
合名会社メ)、(メ)、(メ
合資会社シ)、(シ)、(シ
合同会社ド)、(ド)、(ド
学校法人ガク)、(ガク)、(ガク
社団法人シヤ)、(シヤ)、(シヤ
財団法人ザイ)、(ザイ)、(ザイ
医療法人・医療法人社団・医療法人財団・社会医療法人イ)、(イ)、(イ
生命保険セイメイ)、(セイメイ)、(セイメイ
営業所エイ)、(エイ)、(エイ

そのほかの略称は、各金融機関の公式ホームページに一覧が載っていることが一般的です。

振込手数料は誰が負担するべきなのか

振込手数料の負担に関しては、支払う側が負担することが一般的です。その根拠としては、民法第485条が該当します。

(弁済の費用)
第四百八十五条 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。

出典:e-Gov法令検索「民法|第四百八十五条」

つまり民法上は、手数料は債務者(請求された金額を振り込む側)が負担しなければなりません。

しかし、企業によっては請求書の発行側に振込手数料を求めるケースもあります。契約を行う際にはトラブルを避けるためにも、どちらが振込手数料を負担するのかを決めておく必要があるでしょう。

また、取引先側の契約した担当者と振込担当者の間で認識のズレが発生する可能性もあります。前述のとおり、相手に振り込み手数料を負担してもらうなら、契約書の備考欄に「お振込手数料は貴社負担にてお願いします」などの一言を添えておくと、トラブルを未然に防ぎやすくなります。

【関連記事】
インボイス制度における振込手数料は誰が負担すべき?仕訳処理の方法についても解説

振込先以外に請求書に書くべき内容

振込先の書き方に正式なルールがないように、請求書には法的に決められたフォーマットが存在しません。取引先とこちらが内容を把握できるのであれば、請求書は自由な形式で作成できます。

とはいえ、取引の円滑な進行やトラブル対応を行うには、一般的な商取引の慣習に則った請求書の作成が必要です。振込先以外に請求書に書くべき項目は次のとおりです。

  • 宛名
  • 請求書番号
  • 発行日
  • 支払期限
  • 請求書作成者の情報
  • 取引内容
  • 取引金額
  • 軽減税率の対象品目である旨(軽減税率の品目がある場合)

請求書の書き方については、「請求書の書き方を徹底解説|作成方法や注意点についてもまとめました」にて詳しく解説しています。

ただし、請求書を受領する側が仕入税額控除(売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を差し引ける制度)を適用したいときは、適格請求書(インボイス)の発行が必要です。適格請求書として認められるには、以下の項目を請求書に必ず記載しなければなりません。

適格請求書の必要項目

  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

適格請求書やインボイス制度については、「適格請求書とは?書き方や保存期間、簡単に作成する方法について解説」にて詳しく解説しています。

まとめ

請求書に記載する振込先は、「金融機関名・支店名」「口座の種類」「口座番号」「口座名義」の4つが必要です。振込先の情報を正確に伝えて、誤入金・振込不能を防ぐ必要があります。

振込先を記載するときは、振込手数料の負担や法人の口座名義の略称についても注意しましょう。なお、請求書は振込先以外にも、請求金額や請求日といった間違ってはならない項目があります。請求書に書くべきほかの項目も、事前に確認しておきましょう。

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2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。

freee請求書では、金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。

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よくある質問

請求書の振込先には何を記載すればよい?

請求書に記載する振込先としては、「金融機関名・支店名」「口座番号」「口座の種類」「口座名義」の4つを書くとよいでしょう。

詳細は記事内「請求書に記載する振込先の必要情報」をご覧ください。

振込先を請求書に書くときの注意点は?

振込先を請求書に書くときには、振込先以外にも「振込手数料はどちらが負担するのか」を確認しておきましょう。また、振込先が法人名義のときは、株式会社は「カ)や(カ」、営業所は「エイ)や(エイ」といった略称を使用します。

詳細は記事内「振込先を記載する際の注意事項」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。

税理士・CFP® 宮川真一

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