請求書の基礎知識

請求書の発行日はいつになる?発行のタイミングとあわせて解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一

請求書の発行日はいつになる?発行のタイミングとあわせて解説

請求書を作成する際は、発行日を記載しておくのが望ましいといえます。

請求書に記載する発行日は、定期的に発生する仕事に対しての請求「掛売方式」と、商品やサービスのやり取りごとに行う請求「都度方式」によって決め方が異なります。

本記事では、請求書の発行日の決め方や発行するタイミングに加え、発行された請求書の保存義務や保存方法も解説します。

目次

請求書に発行日は必要?

請求書の発行日は、取引先にとって「債務が確定した日」を意味するため、記載するのが一般的です。

そして、請求書の発行日は、「掛売方式」「都度方式」のどちらの取引を行っているかによって変わります。

  • 掛売方式:ひと月単位など定期的に請求・支払いが行われる
  • 都度方式:商品・サービスの納品が発生するごとに請求・支払いが行われる

掛売方式の場合、請求書発行日は「決められた締め日」に合わせられ、都度方式の場合は「商品やサービスの納品が完了した日」に合わせられます。

なお、請求書を受領する側(買い手)によっては、「決められた締め日」でも「納品が完了した日」でもない請求書発行日が指定されるケースがあります。

その場合は、支払いに関する条件について買い手の指定のとおりに契約書に規定されているかを確認しましょう。

請求書の発行日の決め方

請求書の発行日は、実際に請求書が作成された日付ではなく、先方の締め日や商品・サービスを実際に納品し終わった日に合わせるのが一般的です。

締め日を設定して請求を行う場合、業務の効率化や企業間の信用に基づいて、締め日・支払日ともに「月末締め、翌月払い」や「月末締め、翌々月10日払い」などと決まっていることが多いため、取引先に確認しておきましょう。

たとえば、1月20日に納品した商品の請求書を2月以降に送る場合、先方が「月末締め」であれば、請求書の発行日は1月31日と記載します。

請求書を発行するタイミング

請求書はサービスや商品の納品に応じて作成するため、通常は納品前に発行することはありません。したがって、請求書を発行するタイミングは納品と同時、または納品後になります。

ただし例外として、「前払金や着手金を受領する契約」の場合、納品前に請求書を発行することがあります。

なお、請求書をいつまでに発行すべきかに関しては、取引先ごとに異なります。事前に確認し、必ず指定された日までに請求書を送付するようにしましょう。

再発行する場合も発行日は変更しない

「紛失した」「届いていない」などの理由で請求書を再発行する場合、発行日は変更しないほうがよいでしょう。

日付を変更した請求書を発行したあとで元の請求書が見つかったとしたら、買い手側が別の請求書と認識して二重支払いを行うリスクがあるためです。

また、場合によっては、請求書の発行日を変更したことによって内容の改ざんや架空取引などが疑われる可能性も考えられます。

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請求書の発行方法

上述したように、請求書の発行方法には2種類あります。取引ごとに請求書を発行する「都度方式」と、請求書を一括して送付する「掛売方式」が挙げられます。

毎月請求が発生している企業間では、掛売方式のほうが負担が少ないというメリットがあります。掛売方式は「請求書払い」や「後払い」とも呼ばれ、商品の購入と同時に支払いが行われるわけではないため、取引先との関係性が重要です。

<掛売方式の請求書発行の流れ>

掛売方式の流れ

発行後の請求書は保存義務がある

請求書の発行者および受領者は下表のとおり、発行後の請求書を一定期間保存しなければなりません。

<法人と個人事業主の請求書の保存期間>

法人個人事業主
7年
(欠損金の繰越控除適用は10年)
5年
(消費税課税事業者は7年)

請求書の保存期間の起算日は、以下のように定められています。

  • 法人:事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から
  • 個人事業主:確定申告書の提出期限の翌日から

なお、請求書以外にも税法で定められている保存義務のある書類として、見積書や契約書、納品書、送り状などが挙げられます。これらの書類についても、上記の期間保存しなければなりません。

電子請求書の保存方法

原則、請求書は紙での保存が義務付けられています。ただし、2022年1月1日以降に保存する国税関係帳簿書類については、該当する請求書のコピーやスキャナ保存について、事業者の事務負担軽減のため、事前承認がなくとも国税関係帳簿を電磁的記録(電子データ)で保存することが可能になりました。

請求書の保存方法は従来、電子帳簿保存法によって以下のように定められていました。いずれの場合も保存期間は変わりません。

  • 国税関係書類を作成ソフトなどで電子的に作成:電子データのまま保存可能
  • 紙で発行:スキャナ保存が可能

注意点として、2024年1月1日以降は電子的な取引が行われた請求書は紙での保存が認められず、データによる保存が完全に義務化されます。

2023年12月31日までは猶予期間となっているため、2024年を迎えるまでに電子データによる保存を習慣化しておきましょう。


出典:国税庁「帳簿書類等の保存期間」
出典:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」

インボイス制度導入後の請求書発行はどう変わる?

2023年10月からのインボイス制度導入に伴い、仕入税額控除の適用を受けるには適格請求書(インボイス)の発行・保存が必須となります。インボイス制度の主な注目ポイントは以下のとおりです。

  • 請求書の記載項目が増える
  • 免税事業者は適格請求書(インボイス)を発行できない
  • 適格請求書(インボイス)を発行できないと取引先は仕入税額控除ができない

インボイス制度の導入によって、場合によっては取引内容が見直しされる可能性が考えられます。なお、請求書の発行日は適格請求書に記載する義務はないものの、現状と同様に発行日を記載しておくのが望ましいといえます。

インボイス制度や適格請求書に関して詳しく知りたい方は、別記事「2023年10月から始まるインボイス制度とは?図解でわかりやすく解説!」をあわせてご確認ください。

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まとめ

請求書を作成する際は、請求書の発行日を記載しておくことが望ましいといえます。

ひと月単位など定期的に請求・支払いを行う「掛売方式」と、商品・サービスの納品が発生するごとに請求・支払いを行う「都度方式」、それぞれで設定すべき請求書発行日は異なります。取引先の要望も加味しつつ、双方で話し合って請求タイミングを決めましょう。

なお、発行された請求書は法人なら7年、個人事業主の場合は5年間は保存する必要があります。2024年1月1日以降、請求書は紙での保存が認められず、データによる保存が完全に義務化される点も理解しておきましょう。

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freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。


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2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。

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・請求書(インボイス制度対応)
・発注書
・納品書
・領収書

<人事労務>
・内定通知書
・在籍証明書
・顛末書 など

freeeの無料テンプレート集では、上記のほかにも無料でダウンロードできる書類を準備中です。ぜひこちらもご活用ください。

よくある質問

請求書の発行日はいつですか?

請求書の発行日は、実際に請求書が作成された日付ではなく、「掛売方式」であれば決められた締め日、「都度方式」であれば納品が完了した日に合わせるケースが一般的です。

詳しくは記事内「請求書に発行日は必要?」「請求書の発行日の決め方」をご覧ください。

請求書を再発行する場合、発行日は変更する?

請求書を再発行する場合、発行日は変更しないのが一般的です。

詳細は記事内「再発行する場合も発行日は変更しない」で解説しています。

請求日と締め日の違いはなんですか?

請求日は請求書を発行する日、締め日は取引先が定める請求期間の最終日を指します。締め日が請求書の発行日になるケースが一般的です。

監修者名 税理士・CFP® 宮川真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。

税理士・CFP® 宮川真一

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