請求書の基礎知識

見積書とは?役割や書き方、見積もりの精度を上げるポイントについて解説

最終更新日:2022/08/01

監修 アトラス総合事務所

見積書とは?役割や書き方、見積もりの精度を上げるポイントについて解説

見積書とは、受注者が発注者に対して金額・数量・工程・期間などの取引内容をあらかじめ提示する文書のことです。発注側は、提示された見積書の内容を検討し、発注の可否や価格交渉をします。

この記事では、見積書の基礎知識や具体的な書き方、保存のルールについて詳しく解説します。また、精度の高い見積もりをとるポイントについてもまとめていますので、これから見積書を初めて作成される方は参考にしてください。

目次

見積書とは

見積書とは、提供する製品の価格やサービス範囲などの条件を発注者に提示するための文書で、取引の初期段階で取り交わされます。

発注者は見積書の内容を確認した上で、取引をすすめるかどうか判断します。また、士業やホームページ制作などのクリエイティブ業などの請負業、物販業などで価格交渉を行う場合にも見積書が利用されます。

見積書は依頼主から口頭やメールで依頼を受けて作成するケースが多いですが、「見積依頼書」といった書面を受け取って作成するケースもあります。

見積もりのタイミング

掛取引、見積もりから納品・取り引き完了までのフローチャート

一般的な商的な取引の流れは、見積もり→注文→納品→検収→請求書の発行→代金支払い→領収書の発行の流れで進みます。見積書は商的な取引の中で一番最初に提示される証憑であり、取引先が発注を行う上で重要な書類です。

相見積もりとは

相見積もり(あいみつもり)とは、複数の業者から見積もりをとることをいい、「あいみつ」と略称で呼ばれることもあります。

相見積もりを取ることで、依頼主側は複数の選択肢の中から適正価格を判断しやすくなるだけでなく、業者間で競争環境が構築されるため、より踏み込んだ価格交渉がしやすくなります。

見積書の作成から送付までの流れ

見積書の作成から送付までの業務フロー

見積書の作成から送付までの流れは大きく分けて以下の3ステップです。

  1. 概算金額の算出
  2. 商品内容の確認
  3. 見積金額の確定と見積書の作成と送付
それぞれについて詳しくみていきましょう。

1. 概算金額の算出

見積書に記載する商品やサービスにかかる金額を算出し、依頼主に提示し確認をとります。相見積もりによって価格が改定された場合には、この時点で反映します。

2. 商品内容の確認

依頼主と製品・内容に齟齬がないよう、提案書や仕様書を作成し、内容のすり合わせを行います。特に費用面で問題がないこと、工数や調達費用に間違いがないことを双方で確認する必要があります。

3. 見積金額の確定と見積書の作成と送付

商品内容に齟齬がないことが確認されたら、見積金額を確定し、正式に見積書を作成して送付します。

見積書の送付方法や同封する送付状の書き方について知りたい方は「見積書をメールで送るときのマナーは?郵送やFAXで送る場合は送付状が必須!」をご覧ください。

見積書の書き方

見積書の記載事項やフォーマットに法的な決まりはありません。見積書の目的は取引条件を検討し、発注するかどうかを決めることです。将来の取引先となる可能性のある依頼主が一目で内容を理解できるように、丁寧に記入しましょう。

ここからはfreee会計で出力した見積書のテンプレートを参考に、具体的な書き方を紹介します。

見積書のテンプレート

① タイトル

見積書のタイトルを記入します。見積書の表記は正式な名称はありませんので、「見積書」、「お見積書」、「御見積書」、どちらを記入しても問題ありません。

② 宛名・依頼者情報

見積書を依頼してきた取引先の会社名・個人名を記入します。依頼者が会社の場合は会社名の後に「御中」、個人の場合は名前の後に「様」と敬称を記入します。会社宛ではなく、部署宛や担当者宛と指定されている場合などは、部署名や担当者名も記入します。続いて郵便番号と住所を記入します。

また、親会社が子会社に見積もりを依頼する場合もあり、見積もりの依頼主と見積もりの提出先の名称が異なるケースがあるので、宛先についても依頼者に失礼がないように事前に確認しておきましょう。

③ 見積日・見積番号(通番)

実際に見積もりを行った日を見積日として記入します。

見積番号(通番)の記入は必須ではありませんが、見積番号をつけることで見積書の検索や再発行など、社内管理が楽になります。番号をつける場合は、同じ契約で発行されたほかの書類(請求書や納品書など)と共通の番号を振りましょう。

④ 会社・担当者情報と押印

見積書の発行者となる会社名(個人名)や住所、電話番号などの情報を記入します。担当者の情報は窓口となる者の情報を記入しましょう。

前述したように、見積書に法的な記載事項やフォーマットに決まりはないので、押印も必須ではありません。しかし、改ざん防止や取引先との信頼、安心感の観点から押印する企業が多い傾向にあります。

押印する場合は、一般的には会社・担当者情報に少し重なるように会社の角印を押します。また、依頼者によっては印鑑の種類や位置の指定がある場合がありますので、事前に依頼者に確認しておくとよいでしょう。

⑤ 納期・支払条件・有効期限

納期・支払条件・見積書の有効期限を記入します。これらを記入することで、価格の変更や期限を過ぎてからの申込などのトラブルを未然に防ぐことができます。

有効期限の設定に法的な義務はなく、業界によって異なりますが、一般的には2週間から6ヶ月の間に設定されます。

⑥ 商品情報

商品名(詳細)、数量、単価、金額をそれぞれ記入します。商品名(詳細)には、取引先がわかりやすいように具体的な内容を記入します。

⑦ 小計・消費税・合計金額

小計・消費税・合計額をそれぞれ記入します。会計ソフトなどを利用していれば、商品情報の単価と金額を入力することで自動で合計金額の入力がされるものもあります。

⑧ 備考

特筆すべき事項がある場合は備考欄に記入します。見積書を作成する際の前提条件や見積金額に変更が生じた場合には、その点についても必ず記載するようにしましょう。

備考欄の記載例①

本見積書は、弊社が完成期限までに制作物の納品をさせて頂く前提として、発注者からの素材の提供、必要な承認、その他一切の発注者の信義則に基づく協力があった場合のみとさせて頂きます。

備考欄の記載例②

記載なき事項、及び仕様・条件の変更の際には、再見積もりとさせて頂きます。

見積もりの精度を上げるポイント

上述したように、見積もりとは金額・量・期間・工程を概算することを指します。おおよその金額を提示するものではあるものの、発注後、実際の請求額や納期に差があると取引先への信頼を失いかねません。

精度の高い見積書を作成することは取引先への信頼度を高め、継続した取引につながります。見積もりの精度を上げるポイントをみていきましょう。

正確な工数の見積もり

ビジネスにおいて納期を守ることは最も重要なことの一つです。期限内に完成させることで、取引先からの信頼を得ることにもつながります。

正確な工数の見積もりをとるには、業務を担当する人の実績だけでなく、同期間内に並行するタスクや体調不良などによる休みも考慮する必要があります。会社として過去に受注している案件だとしても、担当者や時期によって実際にかかる工数や納期までの日数も変わってきます。過去の実績にとらわれず、担当者に確認するようにしましょう。

また、やむを得ない事情で工数や納期までの日数が多くなる場合には、追加にかかる費用についても事前に依頼者と合意しておきましょう。

採算性の検討

依頼の条件や相見積もりの結果に基づいて算出された見積金額が採算に合うかどうかを検討します。

採算性の取れる製品、値引きや工数、パッケージ化されたサービスを含まない製品については見積もりは不要ですが、新製品や提案製品については採算が取れるかどうかが重要なポイントです。

見積もりが赤字では意味がないので、担当者の判断だけでなく条件や金額などを社内で決済した上で作成しましょう。また、会社によっては新規取引先について信用調査などの社内手続きが必要な場合があります。

取引先情報と過去の見積もり情報の蓄積

同じ依頼者や取引先からの受注が多い場合は、過去の見積もり内容が判断材料になる場合もあるので、見積もりごとの情報を蓄積しておくことが重要です。

担当者が変わったり、不在の場合でも対応できるように、依頼者の基本情報や過去の見積もりに関する情報は関係者が閲覧できるように設定しておきましょう。

見積書の保存義務

見積書をはじめ、請求書や納品書などの書類は証憑(しょうひょう)書類と呼ばれ、法律で保存が義務付けられています。保存対象となる見積書は、「取引先が発行した見積書」と「会社が発行した見積書の写し」の両方が含まれます。

見積書の保存期間

見積書の保存期間は、法人か個人事業主か、決算内容や事業状況に応じて、5年から10年の保存期間が定められています。

見積書の保存期間

  • 法人:原則7年保存
  • 法人(赤字決算):10年保存
  • 個人事業主:5年または7年保存

見積書の作成方法

見積書には法的な書式がないため、必要事項が記載されていればどのような方法で作成しても問題ありません。

一般的な見積書の作成方法としては以下の3つが挙げられます。

ExcelやWordで作成

インターネット上には、ExcelやWordで作成された無料の見積書テンプレートを配布しているサイトがありますので、ダウンロードして利用することも可能です。

ExcelやWordで作成した見積書をメールで送信する場合は、改ざんされないようにPDFや画像で保存したものを送るようにしましょう。電子印鑑を利用するとセキュリティ面をより強化できます。

市販の見積書用紙を購入して手書きで作成

見積書の用紙は一般的な文房具屋や100円均一ショップ、ネット通販などでも購入できます。

市販のソフトやクラウド会計ソフトを使って作成

会計ソフトを利用すると、見積書以外にも請求書や納品書などの書類をまとめて作成できます。クラウド会計ソフトはソフトウェアそのものを購入するのではなく、サービス提供会社に対して月額もしくは年額の使用料を支払うことで、インターネット経由で利用します。

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インボイス制度導入で見積書の書き方は変わる?

2023年10月1日からインボイス制度が導入されます。それにより、見積書の書き方について大きな変更はありませんが、課税期間の末日までに支払対価の額が確定しない課税仕入れの見積もりはより正確に行うことが求められます。

現在、検針に一定の期間を要する水道光熱費などの課税仕入れで、実際に仕入れを行った課税期間の末日までに支払うべき対価の額が確定しない場合、課税仕入れを行った事業者が課税期間の末日時点の状況に基づいて対価の額を適切に見積もることにより、仕入税額控除を受けることができます。


健診に一定の期間を要する課税仕入れの支払いスケジュール

たとえば、1月1日から12月31日が課税期間の事業者で、2カ月ごとに水道の使用量の検針が行われ、その1カ月後に請求書が発送される地域に会社(事務所)が所在したとします。

この場合、実際に請求書が送付され、支払いを行うのは課税期間の翌月である1月となります。したがって、水道料金を仕入税額控除するためには、12月31日現在の状況に基づいた課税仕入れを事業者が見積もりをします。

また、その後に確定した実際の請求額が見積額と異なる場合、その差額を1月の課税仕入れに係る支払対価の額に加算、もしくは課税仕入れに係る支払対価の額から減額します。

インボイス制度導入後、課税期間の末日までに支払対価の額が確定せず、見積額に基づいて仕入税額控除を行う場合は適格請求書の保存が必要です。

① 見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合

取引先から見積額が記載された適格請求書の交付を受ける場合、これを保存することで見積額による仕入税額控除が認められます。その後、確定した金額と見積額が異なる場合には、確定した金額が記載された適格請求書(対価の額を修正した適格請求書)の交付を受けた上で、これを保存する必要があります。

見積額を記載した仕入明細書を自ら作成し、取引先の確認を得た場合、その仕入明細書を保存することにより、見積額に基づく仕入税額控除が認められます。

② 見積額が記載された適格請求書の交付を受けられない場合

電気・ガス・水道の供給のような継続的な取引に係る課税仕入れについては、見積額を記載した適格請求書や仕入明細書を保存していなくても、その後の金額が確定した際に発行された適格請求書を保存していれば、仕入税額控除を受けることができます。

また、金額が確定した際に発行された適格請求書を保存していれば、課税仕入れを行う事業者は課税期間の末日の現況に即して適正に見積もった金額で仕入税額控除が適用されます。

このほかに、機械等の保守点検や弁護士顧問契約など、契約等に基づき課税資産の譲渡等が継続的に行われ、金額が確定した際に適格請求書が発行される可能性が高い取引についても上記と同様です。

①または②のいずれかの場合において、その後に確定した対価の額が見積額と異なるときは、その差額を確定した日の属する課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に加算または減額します。

水道の検針日や請求日は、管轄する水道局や市町村によって異なります。お住まいの市町村役所(場)にご確認ください。

インボイス制度の概要や適格請求書の書き方については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

【関連記事】
インボイス制度とは?2023年10月導入までに必要な対応をわかりやすく解説
適格請求書とは?書き方や保存方式、発行事業者への登録方法について解説

まとめ

見積書は、法的に発行義務はありませんが、正式に仕事を受注する前に発行する証憑書類であり、依頼者との取引を円滑に進めるために重要な書類です。書面に残すことで、依頼者の信頼を得るだけでなく、トラブルの抑止が期待できます。見積書に記載すべき内容は正確に記載し、作成するようにしましょう。

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