監修 好川寛 プロゴ税理士事務所
請求書の控えとは、売り手側が最初に発行した請求書原本(原紙)のコピー・写しを指します。
請求書の管理・保存において控え(コピー)を用いることができるのは、発行者である売り手側のみで、買い手側は受け取った請求書について原則として原本を保管することが求められます。また発行者が請求書の控えを作成・保存するにあたっては、各種法令に則った対応が必要となるため注意が必要です。
今回は、請求書の控え(コピー)の管理方法について詳しく解説します。
目次
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受け取った請求書はAIによる自動処理が可能
インボイス登録番号の確認、受取方法がバラバラで煩雑、回収モレや記入ミス、消費税率の区別、電子帳簿保存法など、受け取った請求書の業務は煩雑で負荷が高くなりがちです。freee受取請求書で、請求書の受取業務をまるごと効率化しませんか?
受け取った請求書の管理に控え・コピーは有効?
請求書を受け取った場合、法律に定められた期間保存することが義務づけられていますが、このとき保存する請求書は原則として控え(コピー)ではなく原本でなければなりません。これは、請求書の偽造など不正な取り扱いを防止するためです。
紙で受け取った請求書は紙の原本のまま、PDFファイルなどの電子データで受け取った場合は電子データ原本のまま、以下のとおりの期間保存するのが原則です。
受け取った請求書原本の保存期間
【法人】
- 原則として、起算日(※)から7年間
(※作成日または受領日が属する事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過した日) - 欠損金が生じた事業年度においては10年間
【個人事業主】
- 原則として、確定申告の種類を問わず起算日(※)から5年間
(※作成日または受領日の属する年の翌年3月15日の翌日) - 消費税の課税事業者となっている場合、仕入税額控除を受けるための適格請求書は7年間
出典:e-Gov法令検索「法人税法|第六十七条第二項」 出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」 出典:e-Gov法令検索「所得税法施行規則|第六十三条」 出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
電子データとして受け取った請求書を保存するにあたっては、電子帳簿保存法が定める保存要件を満たす必要があります。
また紙で受け取った請求書についても、電子帳簿保存法が定める要件を満たせば電子データ化して保存すること(スキャナ保存)が認められます。紙の請求書の管理にお困りの場合はスキャナ保存を検討するとよいでしょう。
受け取った請求書原本の保存方法について詳しくは、別記事「請求書の原本(原紙)の取り扱い|発行・送付・保存・破棄について解説」をご確認ください。
発行した請求書の保存に控え・コピーは有効?
自社で発行した請求書に関しては、基本的には控え(コピー)を作成して保管する義務はありません。ただし、控えを手元に作成しておくと、入金の有無など取引の状況を把握・管理するのに役立ちます。
なおインボイス制度のもと、適格請求書発行事業者としての登録を受けている場合は、買い手側からの求めに応じて適格請求書(インボイス)を発行・交付すること、その控えを作成・保存することが義務づけられています。
適格請求書発行事業者以外が任意で請求書の控えを作成した場合・適格請求書発行事業者としてインボイスの控えを作成した場合のいずれも、作成した請求書の控えは以下のとおりの期間保存する必要があります。
請求書の控えを作成した場合の保存期間
【法人】
- 原則として、起算日(※)から7年間
(※作成日または受領日が属する事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過した日) - 欠損金が生じた事業年度においては10年間
【個人事業主】
- 原則として、確定申告の種類を問わず起算日(※)から5年間
(※作成日または受領日の属する年の翌年3月15日の翌日) - 消費税の課税事業者となっている場合、仕入税額控除を受けるための適格請求書は7年間
出典:e-Gov法令検索「法人税法|第六十七条第二項」 出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」 出典:e-Gov法令検索「所得税法施行規則|第六十三条」 出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
請求書の控え・コピーの管理方法
自社で発行した請求書の控えの保存方法を、紙で作成した場合と電子データで作成した場合のそれぞれについて解説します。
紙で作成した請求書の控えを保存する場合
紙で作成した請求書の控えは、ファイリングして保存するのが一般的です。
未入金のものと入金済みのものを分けておき、未入金のものに関しては支払い期日順に並べておくとよいでしょう。入金済みの請求書控えは、取引月ごと、または取引先別にファイリングして保存します。
なお、一定の要件を満たせば、紙で作成した請求書控えをスキャナで読み取って電子データとして保存(スキャナ保存)することも可能です。電子データで保存する場合は、「作成してからおおむね7営業日以内」または「あらかじめ定めた事務処理規定にもとづく業務処理サイクル(最長2ヶ月以内)の経過後おおむね7営業日以内」に、以下の要件を満たしてスキャナ保存を行いましょう。
紙で作成した請求書の控えをスキャナ保存する場合の要件
- 読み取り要件を満たす
(解像度200dpi相当以上、赤色・緑色・青色の階調がそれぞれ256階調以上) - 入力期間内に、総務大臣が認定する業務にかかわるタイムスタンプをスキャナデータに付与する
- 訂正・削除の事実やその内容を確認できるシステム、または訂正・削除ができないシステムを使用する
- スキャナデータとそれに関連する帳簿の記録事項について、関連性(重要書類に限る)を確認できるようにしておく
- スキャナデータについて、以下の要件を満たす状態で速やかに出力できるようにする
(整然とした形式、書類と同程度に明瞭、拡大または縮小できる、4ポイント大の文字を認識できる) - スキャナ保存するシステムなどの概要書・仕様書・操作説明書と、スキャナ保存する手順や担当部署を明らかにした書類を備え付ける
- 以下の要件による検索ができるようにする(※)
(①取引年⽉日その他の日付、取引金額および取引先での検索、②日付または金額にかかる項目について範囲を指定しての検索、③2つ以上の任意の項目を組み合わせての検索)
(※税務職員によるスキャナデータのダウンロードの求めに応じられる場合は②③は不要)
出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」
電子データで作成した請求書の控えを保存する場合
電子データで作成した請求書の控えは、以下の要件を満たす形であれば電子データのまま保存(電子帳簿等保存)できます。
電子データで作成した請求書の控えを電子的に保存する場合の要件
- システム関係書類(システム概要書・システム仕様書・操作説明書・事務処理マニュアルなど)を備え付ける
- 保存場所に、電子計算機・プログラム・ディスプレイ・プリンタとこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式・明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておく
- 「取引年月日その他の日付によって検索ができる機能・その範囲を指定して条件を設定できる機能を確保する」または「税務職員による電子データのダウンロードの求めに応じられるようにする」
出典:国税庁「はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)」
出典:国税庁「電子帳簿保存法の概要」
まとめ
自社で発行した請求書の控え(コピー)を作成した場合、原則として法人は7年間・個人事業主は5年間保存しておくことが求められます。
基本的には請求書控えの作成・保存は任意ですが、インボイス制度のもと適格請求書発行事業者としての登録を受けている場合、適格請求書(インボイス)を交付した際には控えの作成と保存を行わなければなりません。
また、紙で作成した請求書の控えを電子データで保存する場合や、電子データで作成した請求書の控えを電子的に保存する場合には、電子帳簿保存法の定める保存要件に則る必要があります。
関連法の内容を押さえて、正しく請求書控えの管理を行いましょう。
よくある質問
請求書は原本と控えのどちらを渡すべきですか?
請求書は原本(最初に作成・発行したオリジナルの請求書)を取引先に送り、控え(写し・コピー)を自社で保管します。
控えの保管方法について詳しくは、記事内「請求書の控え・コピーの管理方法」で解説しています。
請求書控えの原本は必要ですか?
請求書控えとは、最初に発行した請求書原本(原紙)のコピー・写しを指します。請求書控えを保存しておくことは基本的には義務ではありませんが、取引の状況を把握・管理するのに役立ちます。
ただし、インボイス制度において適格請求書発行事業者としての登録を受けている場合は、適格請求書(インボイス)を発行・交付した際に控えを作成・保存する必要があります。
監修 好川寛(よしかわひろし)
元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。
