請求書の基礎知識

請求しても払ってくれない取引先への対処法と回収手順

請求しても払ってくれない取引先への対処法と回収手順

請求書を送っても支払いがない場合は、まず原因を確認し、段階的に催促します。売掛金などの債権は消滅時効が原則5年とされ、放置するほど資金繰りや回収可能性に影響するため、どの段階で何をすべきか判断に迷う担当者も少なくありません。本記事では、未払いが起きたときの確認方法、催促状・督促状の送り方、回収が難しい場合の対応を解説します。

目次

請求書の支払いが行われない原因とは

請求書を発行したのに支払いが行われない場合、どのような原因が考えられるのかを紹介します。

自分のミスによって支払いが行われない場合

発行した請求書がクライアントへ届いているかを確認しましょう。届いていない場合、次のような原因が考えられます。

自社側の原因として考えられること

  • 送り先の住所や部署名などに誤りがある
  • 請求書が社内で受理されず発行できていない

まずは社内で確認し、問題がなさそうであればクライアントへ連絡してみましょう。

クライアントのミスによって支払いが行われない場合

請求書に不備がなくクライアントに届いているのに振り込みがされていない場合は、次のようなことが考えられます。

クライアント側の原因として考えられること

  • 請求書の入金日を忘れていた
  • 担当者が経理担当に請求書を回すのを忘れていた

これを防ぐには、請求書を送付する際に入金日をメールや別紙で記載しておくと良いでしょう。それでもミスは起こり得るため、最短でいつ振り込めるかを確認し、その日に入金されたかを確かめることが大切です。

クライアントが意図的に支払わない場合

ケースは多くないものの、貸し倒れなどにより意図的に支払わないこともあります。この場合は、督促などを利用して相手側に入金を求めていく必要が生じます。

請求書の入金がない場合は、まずメールなどで確認をする

入金が遅れていても、高圧的に責めたり入金を指示したりするのは避けましょう。会社の印象にも悪影響を与えかねません。

入金がない場合は、まず社内で請求書に不備がないかを確認し、問題がなければクライアントに連絡します。未入金の旨をメールで送り、その後に担当者へ電話などで伝えましょう。その際、請求書番号や送付日を伝えると親切です。

それでも振り込まれない場合は、催促状・督促状の送付や話し合いを検討します。

催促状と督促状の違いは

似たような意味合いをもつ催促状と督促状ですが、下記のような違いがあります。

<催促状と督促状の違い>

催促状督促状
内容支払い期日に入金確認が取れなかった初期段階に送る書状。強い表現を控えた内容で送る場合が多いです。支払い期日に入金確認が取れなかった場合に、速やかに入金をクライアントに促すために送る書状。

どちらも未入金分の振り込みを促す書面ですが、法律用語にも使われる督促のほうが要求の度合いが強くなります。催促状は支払期日直後の柔らかい通知、督促状はその後に送る強めの通知という段階性があり、いずれも法的拘束力はありません。

催促状の書き方と例文

催促状は、支払期日を過ぎても入金が確認できないときに最初に送る書面です。督促状より穏やかな表現で、「お支払いのお願い」という体裁で作成します。

催促状の基本項目

  • 発行日
  • 表題(「お支払いのお願い」「催促状」など)
  • 宛先(取引先の会社名・部署名・担当者名)
  • 差出人(自社の会社名・部署名・担当者名)
  • 請求内容(請求日・請求書番号・金額・本来の支払期日)
  • 支払いの依頼(再度の支払期日と振込先口座)
  • 行き違いの場合の断り書き

以下は支払期日後1週間程度で送る、最初の催促状の文面例です。封書での郵送かPDF添付メールでの送付が一般的です。

<催促状の文面例>
令和◯年◯月◯日
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様
お支払いのお願い
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日付で弊社よりご請求いたしました◯◯(請求書番号:第◯◯号)の代金◯◯円(税込)につきまして、お支払い期日である令和◯年◯月◯日を過ぎた本日もお振込みの確認ができておりません。
ご多用のところ恐れ入りますが、令和◯年◯月◯日までに下記口座へお振込みいただきますようお願い申し上げます。なお、本状と行き違いでお振込みいただいておりました場合は、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
敬具

催促状を送る際は、送付日付と内容を記録し、コピーを保管しておきましょう。後に法的手段へ進んだ場合、段階的に対応した記録は重要な証拠となります。

督促状の書き方

督促状に記載する内容を紹介します。

1:発行日

督促状の発行日か、提出日を記載してください。

2:表題

表題には『督促状』と記載しましょう。督促状は担当者の判断で発行するのではなく、会社の決定があってから発行するようにしましょう。

3:宛先

担当者が分かる場合は、会社名・部署名・役職名・担当者名を記載しましょう。もし担当者がいない場合は、「株式会社〇〇御中」のように、会社名に御中をつけて記載します。

4:差出人

所属している会社名・担当部署・担当者名に上役の名前を記載し、捺印が必要です。

5:支払いの要求

支払い要求の内容を記載します。下記の例文を参考にしてください。

令和◯年◯月◯日付けで弊社よりご請求させていただきました◯◯の代金◯◯円(税込)が、お支払い期日の令和◯年◯月◯日より1週間が経過した本日になってもまだお振込いただけておりません。令和◯年◯月◯日までに、下記の口座までお振込くださいますようお願い申し上げます。

6:法的手段の告知

督促状を送付しても入金の確認が取れない場合は、法的措置を取ることを検討する必要があり、それを告知する必要があります。記載する内容は下記を参考にしてください。

つきましては、令和◯年◯月◯日までに入金の確認が取れなかった場合は、やむを得ず法的手段を取るほかに、遅延損害金・延滞利息・請求手数料を加算させていただくこともご了承ください。

督促状を送付しても回収が困難な場合は内容証明を送ることも考える

それでも先方が対応しない場合は、内容証明郵便を送ります。これは送付文書の内容・差出人・宛先・差出日付を日本郵便が公的に証明する制度で、配達証明を併用すれば到達日付も記録できます。送付の事実を証拠に残せるうえ、相手に法的手段も辞さない意思が伝わる効果もあるのです。

さらに、債権の消滅時効に関して「催告」としての効果があります。改正民法(2020年4月1日施行)により、売掛金などの一般的な債権の消滅時効は、「権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早い方とされました。

内容証明郵便で催告すると、その時から6ヶ月間は時効が完成しません。ただし催告だけでは時効の更新に至らず、6ヶ月以内に裁判上の請求や支払督促などの手続きが必要です。

出典:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第150条・第166条 出典:日本郵便「内容証明」

内容証明郵便でも入金がないときの法的手段

内容証明郵便を送っても支払いがない場合は、裁判所の手続きを通じて回収を図ります。請求額や相手の対応姿勢、回収にかけられる時間とコストに応じて適切な手段を選びます。

支払督促とは

支払督促は、債権者の申立てに基づき、簡易裁判所の書記官が相手方に支払いを命じる手続きです。書類審査のみで進むため、通常訴訟より手間とコストが少なく済みます。

相手方が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなかった場合、債権者は仮執行宣言を申し立て、強制執行へ進めます。相手方が異議を申し立てれば、自動的に通常の民事訴訟へ移行する流れです。申立ては相手方の住所地を管轄する簡易裁判所へ行います。

出典:裁判所「支払督促」

少額訴訟とは

少額訴訟は、請求額60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる、簡易裁判所の特別な訴訟手続きです。原則1回の期日で審理を終え、その日のうちに判決が言い渡されるため、迅速な解決を望むケースに向いています。

ただし、同一の簡易裁判所で利用できる回数は年10回までで、相手方が通常訴訟への移行を求めた場合は通常訴訟に移ります。請求額が60万円を超える場合や争点が複雑な場合は通常訴訟を選択します。

出典:裁判所「少額訴訟」

民事調停

民事調停は、簡易裁判所で調停委員が当事者の間に入り、話し合いで解決を目指す手続きです。判決のように結論を強制するのではなく、双方が納得する形で合意の成立を目指します。

調停が成立すると、内容を記載した調停調書は確定判決と同じ効力を持ちます。相手方に支払う意思はあるが分割を希望する場合や、取引関係を継続したい場合に向いています。

出典:裁判所「民事調停」

通常訴訟と強制執行

請求額が大きい場合や争点が複雑な場合は、地方裁判所または簡易裁判所へ通常訴訟を提起します。判決が確定しても相手方が任意に支払わない場合は、判決を債務名義として強制執行を申し立てます。

強制執行の対象には相手方の預貯金・売掛金・不動産・動産などがあり、債権者は事前に財産情報を把握しておく必要があります。不明な場合は、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を活用する方法もあります。

出典:裁判所「民事執行」

弁護士・債権回収会社への依頼

自社内での対応が難しい場合は、弁護士や債権回収会社(サービサー)への依頼も選択肢です。弁護士に依頼すれば、内容証明郵便の送付から訴訟手続きまで一貫して対応できます。債権回収会社は法務大臣の許可を受けた専門業者で、特定の金銭債権の回収業務を委託できます。

依頼時は、着手金や成功報酬などの費用体系を事前に確認し、回収見込み額と費用のバランスを検討しましょう。

出典:法務省「債権回収会社(サービサー)制度」

法的手段は、請求額60万円以下なら少額訴訟、争いが少ないなら支払督促、分割支払いの合意を目指すなら民事調停と、状況に応じて使い分けます。

請求書の未払いリスクを軽減する方法

未払いが発生すると、回収にかかる時間・コスト・取引関係への影響が大きいため、事前のリスク管理が重要です。代表的な予防策は次の3つです。なお消滅時効は原則5年のため、放置せず早めに動くことも欠かせません。

取引先の与信管理を行う

新規取引の開始前や取引額が大きくなる際には、取引先の支払能力や信用状況を確認します。手段としては、登記情報の確認、決算書の開示依頼、信用調査会社のレポート活用などがあります。

与信管理は新規取引時だけでなく、継続取引のなかでも定期的に見直しましょう。経営状況は変化するため、過去の実績だけで安全と判断するのは避けるべきです。

請求から入金までの業務フローを整える

自社のミスによる未払いを防ぐには、請求書の作成・送付・入金確認の業務フローをマニュアル化し、ダブルチェックの仕組みを導入することが効果的です。送付先・金額・支払期日の確認漏れは、請求書発行時に頻発するポイントです。

入金確認後の消込作業や、未入金時の社内エスカレーションのルールもあらかじめ決めておきます。担当者ごとの裁量で動くと、対応の遅れや漏れが起きやすくなります。

請求業務の効率化ツールを導入する

請求書の作成・送付から入金管理まで一元管理できるクラウドサービスを導入する方法もあります。送付先や支払期日の管理、入金消込、未入金アラート、自動催促メールなどの機能を活用すれば、ヒューマンエラーと未入金の見落としを大きく減らせます。

freee請求書のようなクラウドサービスなら、入金ステータスを一覧で把握でき、未払いの早期発見に役立ちます。与信管理・業務フローの整備・ツール活用は、どれか一つではなく組み合わせて多層的に備えることでリスクを下げられます。

まとめ

請求書を送っても支払いがない場合は、いきなり強硬手段に出ず、社内確認・連絡・催促状・督促状・内容証明郵便・法的手段と段階を踏み、各段階で証拠を残していくのが基本です。消滅時効は原則5年のため、長期間放置せず状況が動かないなら早めに次の段階へ進みましょう。

対応コストは大きいため、与信管理・業務フロー整備・請求業務のクラウド化といった予防策も並行して進めることが有効です。

無料で請求書・見積書を発行したいならfreee請求書がおすすめ

請求書や見積書の作成は、お金が絡む業務なので少しのミスが重大な問題に発展する場合もあります。請求・見積業務を負担に感じる方には、無料で請求書・見積書を発行できるfreee請求書の利用がおすすめです。

ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。

フォーム入力で誰でも簡単に作成できる

freee請求書は見積書や発注書など、請求書以外にもさまざまな書類を簡単に作成することが可能です。

またフォームに沿って入力した内容がリアルタイムで書類上に反映されるため、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できます。入力が必要な項目はあらかじめ設定されており、消費税(内税・外税)や源泉税なども自動計算されます。

freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。


freee請求書利用画面のイメージ1

2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。

freee請求書では、金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。

また、作成した請求書は電子保存されるため、インボイスの写しの保存義務化にも対応できます。

テンプレートは40種類以上!自分にあった請求書・見積書を作成可能

freee請求書には40種類以上のテンプレートが用意されています。その中から自分にあったテンプレートを選択して書類を作成できます。書類に記載する項目はテンプレートから変更を行うことも可能です。


freee請求書利用画面のイメージ2

請求書や見積書の作成から管理までを効率化できるfreee請求書の使い方は動画でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。ぜひ参考にしてみてください。

会員登録不要で請求書のテンプレートを無料ダウンロードできるサービスも

freee請求書のほかにも、freeeでは請求書を無料で作成できるサービスを新たにご提供しています。会員登録不要で誰でも無料で請求書のテンプレートをダウンロードすることができます。

具体的に、freeeの無料テンプレート集でダウンロードできる書類には以下のようなものがあります。

<会計>
・請求書(インボイス制度対応)
・発注書
・納品書
・領収書

<人事労務>
・内定通知書
・在籍証明書
・顛末書 など

freeeの無料テンプレート集では、上記のほかにも無料でダウンロードできる書類を準備中です。ぜひこちらもご活用ください。

freee請求書で請求業務と入金管理を効率化

よくある質問

お金を払ってくれない取引先はどうすればいいですか?

まずは社内で請求書に不備がないかを確認し、問題がなければメールや電話で取引先に連絡します。それでも入金がない場合は催促状・督促状の送付、内容証明郵便、最終的には支払督促や少額訴訟などの法的手段へと段階的に進めます。

詳しくは「請求書の入金がない場合は、まずメールなどで確認をする」で解説しています。

請求書を送っても払ってもらえない場合どうすればいいですか?

いきなり再発行や強い催促をするのではなく、送付先・金額・支払期日の誤りなど自社側のミスの有無を先に確認します。問題がなければ取引先の担当者に連絡し、状況を確認したうえで催促状・督促状を順に送ります。

詳しくは「請求書の支払いが行われない原因とは」で解説しています。

勝訴しても支払ってくれないときはどうすればいいですか?

判決を得ても任意に支払いがない場合は、判決を債務名義として強制執行を申し立てます。差押えの対象は預貯金・売掛金・不動産・動産などで、相手方の財産情報を把握しておく必要があります。財産情報が不明な場合は、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を活用する方法があります。

詳しくは「通常訴訟と強制執行」で解説しています。

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