請求書の基礎知識

請求書と領収書の違いとは?役割や収入印紙の取り扱いについて解説

請求書と領収書の違いとは?役割や収入印紙の取り扱いについて解説

請求書と領収書は、どちらも取引に関わる重要な書類ですが、役割や使い方には明確な違いがあります。請求書は代金の支払いを依頼するための書類であるのに対し、領収書は支払いが完了したことを証明する書類です。

それぞれの違いを正しく理解していないと、経費精算や税務処理の場面で証憑として認められない、必要な書類が不足するなどのトラブルにつながる可能性があります。また、支払方法によっては領収書の代わりに別の書類で対応できるケースがある点や、収入印紙の要否が変わる点にも注意が必要です。

本記事では、請求書と領収書の役割や使い分け、収入印紙の取り扱いについて解説します。

目次

請求書と領収書の違い

請求書と領収書の違いは、「支払い前か後か」と「役割」にあります。請求書は代金の支払いを依頼する書類、領収書は支払いが完了したことを証明する書類です。

主な違いは以下のとおりです。

項目請求書領収書
発行目的支払いの依頼支払いの証明
発行タイミング原則として支払い前支払い後
証憑としての役割取引内容・請求条件の提示金銭授受の証明
収入印紙原則不要条件により必要
(例:5万円以上の現金取引)

このように、両者は似た書類ですが役割が異なるため、正しく使い分けることが重要です。

請求書とは|支払いを依頼するための書類

請求書とは、商品やサービスを提供したあとに、取引先へ代金の支払いを求めるために発行する書類です。請求書の記載項目は、消費税の仕入税額控除に関わるものと、実務上の利便性を高めるものに分けられます。

まず、法令上(国税庁の基準)で重要とされる主な記載項目は、下記のとおりです。

法令上重要とされる請求書の記載項目

  • 請求書作成者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨を含む)
  • 税率ごとに区分した対価の額(税込)
  • 請求書の交付を受ける事業者の氏名または名称

出典:国税庁「No.6625適格請求書等の記載事項」

これらは、消費税の仕入税額控除を受けるために必要な項目であり、正確に記載することが求められます。
また、入金や管理をスムーズに行うために記載しておくとよい項目は、下記のとおりです。

請求書に記載しておくとよい項目

  • 請求書番号
  • 支払期限
  • 振込先(銀行口座など)

これらを明示することで取引条件を正確に伝え、「この内容・金額で支払いをお願いします」と依頼する役割を果たします。金額や支払期日を事前に共有することで、認識のズレや未回収といったトラブルを防ぐ役割もあります。

請求書は原則として支払い前に発行されるため、金銭の授受そのものを証明する書類ではありません。

請求書のルールについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

領収書とは|支払い完了を証明する書類

領収書とは、商品やサービスの代金を受け取った事実を証明するために発行する書類です。取引が成立し、金銭の授受が完了したことを示す「証憑」として扱われます。

領収書の主な記載項目は、下記のとおりです。

領収書の主な記載項目

  • 受領者(発行者)の氏名または名称
  • 支払者(宛名)の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 受領金額
  • 取引内容(但し書き)

これらの情報を記載することで「誰が・いつ・いくら・何に対して支払ったか」を明確にし、支払いの事実を証明する役割を果たします。

支払い完了後に発行されるのが特徴で、現金取引では支払いの証拠として重要です。企業においても、経費精算や会計処理の際に必要となることが多く、税務上の証憑としても重要な位置づけです。

また、一定の要件を満たす場合には、領収書を適格請求書(インボイス)としても扱えます。その場合は、登録番号や税率ごとの消費税額など、追加の記載項目が必要です。

請求書や領収書が必要になる場面

請求書と領収書はどちらも取引に関わる重要な書類ですが、役割と発行されるタイミングが異なります。請求書は原則として支払い前、領収書は支払い後に発行される書類であり、取引の流れに応じて使い分けることが必要です。

請求書を発行するケース

請求書は、商品やサービスを提供した後に、代金の支払いを依頼する場面で発行されます。

企業間取引では、納品後に後日支払う「掛け取引」が一般的であり、請求書を発行するケースが多い傾向があります。また、一定期間の取引をまとめて請求する場合にも利用されます。

請求書を発行する主なケースは、以下のとおりです。

請求書を発行する主なケース

  • 納品後に後日支払う場合
  • 月末締めなどで取引をまとめて請求する場合
  • 取引条件や請求内容を明確にする必要がある場合

請求書は、金額や支払期限を事前に共有することで、未回収や認識違いといったトラブルを防ぐ役割をもちます。

領収書を発行するケース

領収書は、代金の支払いが完了したあとに発行される書類です。

とくに現金での支払いでは取引記録が残りにくいため、支払いの事実を証明する書類として重要な役割をもちます。一方で、銀行振込やクレジットカード決済の場合は、明細書などで支払いを確認できるため、発行が必要とは限りません。

なお、民法第486条では、支払者は弁済と引き換えに受取証書(領収書)の交付を請求できると定められており、求められた場合には発行が必要になります。

領収書を発行する主なケースは、下記のとおりです。

領収書を発行する主なケース

  • 現金で支払った場合
  • 店頭やサービス利用時にその場で支払った場合
  • 経費精算などで支払証明が必要な場合

領収書は、支払いが完了していることを示す証憑として、会計・税務の両面で重要な役割をもちます。

領収書をもらう意味や取り扱いについて、詳しく知りたい方は以下の記事もご確認ください。

出典:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」

両方が必要になるケース

請求書と領収書の両方が必要になるのは、「請求」と「支払い」が別のタイミングで行われる場合です。

企業間取引では、請求書で支払条件を提示し、入金後に領収書を発行するのが一般的です。ただし、振込明細などで支払いを確認できる場合は、領収書を発行しないケースもあります。

また、請求と支払いが同時に行われる場合には「請求書兼領収書」として1枚にまとめることもあります。ただし、これは主に個人向けの取引で利用され、法人間取引では一般的ではありません。

取引の形態や支払方法によって必要な書類は異なるため、それぞれの役割を理解して適切に使い分けることが重要です。

請求書と領収書は代わりに使える?

請求書と領収書は役割が異なるため、原則として互いに代わりとして使えません。ただし、支払いの事実を客観的に証明できる場合には、例外的に代替書類として扱われることもあります。

請求書だけでは支払証明にならない

請求書は「支払いを依頼する書類」であり、支払いが完了したことを証明するものではありません。そのため、請求書だけで領収書の代わりとすることは原則できません。

現金で支払った場合は取引記録が残りにくいため、領収書やレシートがなければ支払いの事実を証明することが難しくなります。請求書には取引内容や金額は記載されていますが、「実際に支払われたかどうか」は確認できないためです。

このように、請求書単体では証憑として不十分であり、支払証明には別の書類が必要になります。

銀行振込明細で代わりになる場合

銀行振込で支払った場合は、振込明細や口座の取引履歴と請求書を組み合わせることで、領収書の代わりとして扱われることがあります。

振込明細には支払いの事実が記録されており、請求書には取引内容や金額が記載されています。この2つを対応させることで、取引の内容と支払いの両方を確認できるためです。

ただし、インボイス制度や社内規定によっては領収書の提出が求められる場合もあるため、実務上は領収書を受領しておくのが一般的です。

請求書兼領収書として発行する場合

請求と支払いが同時に行われる場合には、「請求書兼領収書」として1枚の書類にまとめて発行することがあります。

この書類は、請求書と領収書の両方の役割をもち、代金の請求と受領を同時に証明できる点が特徴です。医療機関や対個人の取引など、その場で支払いが完了するケースで利用されることがあります。

ただし、企業間の掛け取引では請求と支払いのタイミングが異なるため、通常は別々に発行されます。また、領収書としての機能をもつため、一定条件(5万円以上の現金取引など)では収入印紙が必要になる点にも注意が必要です。

収入印紙の取り扱い

請求書と領収書は、どちらも取引に関わる書類ですが、収入印紙の扱いには明確な違いがあります。請求書には原則不要、領収書は条件によって必要になります。

請求書に収入印紙が不要な理由

請求書には、原則として収入印紙は必要ありません。請求書は「支払いを依頼する書類」であり、発行時点では金銭の受領は発生していません。

一方、印紙税は、金銭の受領を証明する書類など、一定の課税文書に対して課されます。このような性質の違いから、通常の請求書は印紙税の対象外とされています。

ただし「請求書兼領収書」のように、支払済みであることを示す内容が含まれる場合は、収入印紙が必要になるため注意しましょう。

請求書に収入印紙が不要かどうかについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

領収書に収入印紙が必要になる条件

領収書は金銭や有価証券を受け取った事実を証明する書類であり、印紙税法上は「受取書(第17号文書)」に該当するため、一定の条件に当てはまる場合は収入印紙の貼付が必要です。

収入印紙の要否は、主に「金額・支払方法・発行形式」によって判断されます。

項目必要になるケース不要になるケース
金額5万円以上(税抜)5万円未満
支払方法現金・有価証券(商品券など)クレジットカード・電子マネー・振り込み
発行形式紙で発行PDF・メール・Web発行

※金額は、消費税が区分記載されている場合は税抜で判定します。

出典:国税庁「No.7105金銭又は有価証券の受取書、領収書」

領収書が「課税文書」に該当し、かつ非課税条件に当てはまらない場合に収入印紙が必要になります。とくに、5万円以上の現金取引で紙の領収書を発行するケースでは、印紙が必要になる可能性が高いため注意が必要です。

一方で、クレジットカード決済や電子発行の場合は、そもそも印紙税の対象外となるため、収入印紙は不要です。

請求書・領収書の電子化と保存ルール

請求書や領収書は、紙だけでなく電子データとして発行・保存が可能です。電子データとして保存する場合は、「電子帳簿保存法」に基づく要件を満たす必要があります。

PDFで保存するだけでは不十分な場合もあるため、適切なルールに沿って管理することが重要です。

電子帳簿保存法の要件

電子帳簿保存法では、請求書や領収書を電子データで保存する場合、「真実性」と「可視性」を確保することが求められます。

主な要件は、下記のとおりです。

電子帳簿保存法の要件

  • 真実性の確保:タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴が残る仕組み、事務処理規程の整備など
  • 可視性の確保:必要なときにすぐ確認できる閲覧環境の整備
  • 検索機能の確保:日付・取引先・金額などで検索できること

これらの要件を満たすことで、電子データでも紙と同様に証憑として認められます。

電子化する場合の実務上の注意点

電子化を進める際は、データ化だけでなく運用ルールの整備が欠かせません。重要なポイントは、下記のとおりです。

電子化する場合の実務上の注意点

  • 発行・受領・保存のルールを社内で統一する
  • 訂正や削除の履歴が確認できる状態で保存する
  • 検索しやすいファイル名や管理方法を決める
  • 紙と電子データが混在する場合は、それぞれ適切に管理する

また、メールやチャットで受け取った請求書は「電子取引」に該当するため、紙に印刷せず電子データのまま保存する必要があります。

電子化は業務効率化に有効ですが、運用が曖昧だと管理負担が増える原因になります。あらかじめルールと仕組みを整えたうえで導入することが重要です。

まとめ

請求書と領収書は、どちらも取引に関わる重要な書類ですが、役割と使い方には明確な違いがあります。

請求書は「支払いを依頼する書類」、領収書は「支払いが完了したことを証明する書類」です。発行タイミングや証憑としての位置づけも異なるため、正しく理解して使い分けることが重要です。

請求書と領収書の違いを把握し、取引内容や支払方法に応じて適切に運用することで、経理業務の正確性と効率化につながります。

また、帳票の発行・管理や保存ルールへの対応は、手作業では負担が大きくなりがちです。freee会計のようなクラウド会計ソフトを活用すれば、請求書の作成から入金管理、仕訳・帳簿作成までを一元化が可能です。これにより、経理業務をスムーズに進めやすくなります。

日々の帳票管理を効率化しながら、法令対応まで無理なく行える環境を整えましょう。

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請求書や見積書の作成は、お金が絡む業務なので少しのミスが重大な問題に発展する場合もあります。請求・見積業務を負担に感じる方には、無料で請求書・見積書を発行できるfreee請求書の利用がおすすめです。

ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。

フォーム入力で誰でも簡単に作成できる

freee請求書は見積書や発注書など、請求書以外にもさまざまな書類を簡単に作成することが可能です。

またフォームに沿って入力した内容がリアルタイムで書類上に反映されるため、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できます。入力が必要な項目はあらかじめ設定されており、消費税(内税・外税)や源泉税なども自動計算されます。

freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。


freee請求書利用画面のイメージ1

2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。

freee請求書では、金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。

また、作成した請求書は電子保存されるため、インボイスの写しの保存義務化にも対応できます。

テンプレートは40種類以上!自分にあった請求書・見積書を作成可能

freee請求書には40種類以上のテンプレートが用意されています。その中から自分にあったテンプレートを選択して書類を作成できます。書類に記載する項目はテンプレートから変更を行うことも可能です。


freee請求書利用画面のイメージ2

請求書や見積書の作成から管理までを効率化できるfreee請求書の使い方は動画でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。ぜひ参考にしてみてください。

会員登録不要で請求書のテンプレートを無料ダウンロードできるサービスも

freee請求書のほかにも、freeeでは請求書を無料で作成できるサービスを新たにご提供しています。会員登録不要で誰でも無料で請求書のテンプレートをダウンロードすることができます。

具体的に、freeeの無料テンプレート集でダウンロードできる書類には以下のようなものがあります。

<会計>
・請求書(インボイス制度対応)
・発注書
・納品書
・領収書

<人事労務>
・内定通知書
・在籍証明書
・顛末書 など

freeeの無料テンプレート集では、上記のほかにも無料でダウンロードできる書類を準備中です。ぜひこちらもご活用ください。

よくある質問

請求書は領収書の代わりとして使えますか?

原則として請求書は領収書の代わりにはなりません。請求書は支払いを依頼する書類であり、支払い完了を証明するものではないためです。

ただし、銀行振込やクレジットカード決済などで支払記録が残る場合は、請求書と明細を組み合わせることで支払いの証明として扱えるケースがあります。

一方、現金取引では記録が残らないため、領収書やレシートが必要です。

詳しくは、記事内「請求書と領収書は代わりに使える?」をご覧ください。

請求書や領収書に収入印紙は必要ですか?

請求書は原則不要ですが、領収書は5万円以上(税抜)の現金取引など、条件により収入印紙が必要です。なお、クレジットカード払いや銀行振込、電子発行(PDFなど)の領収書は、金額にかかわらず印紙は不要です。

詳しくは、記事内「収入印紙の取り扱い」をご覧ください。

請求書と領収書は両方必要になることがありますか?

請求と支払いのタイミングが異なる取引では、請求書と領収書の両方が必要になるケースがあります。たとえば企業間取引では、請求書で支払条件を提示し、入金後に領収書を発行する流れが一般的です。

一方で、支払いがその場で完了する場合は、請求書兼領収書として1枚にまとめることもあります。

詳しくは、記事内「請求書や領収書が必要になる場面」をご覧ください。

参考文献

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