人事労務の基礎知識

年収とは?会社員と個人事業主の違いや手取り・確認方法を解説

年収とは?会社員と個人事業主の違いや手取り・確認方法を解説

年収とは、その年1年間に得た収入の合計額を指し、一般的には税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額を意味します。転職活動やローン審査など、さまざまな場面で確認が求められる数字ですが、「手取り」や「所得」と混同されがちです。

また、個人事業主は売上や経費との関係もあり、会社員とは年収の考え方が異なります。

本記事では、年収の基本的な意味から含まれる項目・含まれない項目、似た言葉との違いまで、わかりやすく解説します。

目次

年収とは?基本的な意味と集計期間を解説

年収とは、一般的に1月1日から12月31日までのその年1年間に会社から支給された給与・賞与の合計額のことです。税金や社会保険料を引く前の金額を指し、正式には「額面の年間総支給額」ともいわれます。転職活動やローン審査などでは、この年収を基準に収入状況が判断されます。

年収に含まれるものと含まれないもの

年収に含まれるものと含まれないものについては、以下のとおりです。


年収に含まれるもの年収に含まれないもの
・基本給・残業代などの各種手当
・賞与(ボーナス)
・インセンティブ(歩合給)
・住宅手当・家族手当
など
・交通費
・出張旅費の実費精算
・社宅の現物支給
・慶弔見舞金
など

会社から支払われる給与に含まれている基本給や残業代・賞与(ボーナス)・インセンティブ・住宅手当・家族手当などは、すべて給与の一部として支給され、合計した金額が年収として扱われます。

ただし、すべての支給額が年収に含まれるわけではありません。たとえば、通勤交通費は一定額まで非課税とされており、年収に含めないケースが一般的です。


出典:国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」

所得や手取りとの違い

年収と混同されやすい言葉に「所得」や「手取り」があります。それぞれの言葉の違いは以下のとおりです。


用語意味主な用途
年収1年間に得た収入の合計額転職活動時の年収申告やローン審査など
所得年収から給与所得控除を差し引いた金額税金計算時や扶養判定・各種控除の適用判断時など
手取り年収から税金・社会保険料を差し引いた実際の受取額生活費・家計管理など

年収は収入の総額を指しますが、所得はそこから給与所得控除を差し引いた後の金額です。会社員の場合、この控除は収入に応じて自動的に適用されます。さらに、所得から基礎控除や扶養控除などを差し引いた「課税所得」をもとに、所得税や住民税が計算されます。

一方、手取りは、年収から所得税・住民税・社会保険料をすべて差し引いた後、実際に受け取る金額のことです。一般的に手取りは年収の7〜8割程度になることが多く、年収が高くなるほど控除額が増えるため比率が下がる傾向にあります。

「年収>所得>手取り」の順に金額が小さくなる関係を押さえておくと、収入の仕組みを理解しやすくなります。


【関連記事】
課税所得とは?課税所得の計算の仕方から税率の求め方まで解説

年収の確認方法

自分の年収を正確に把握するには、以下の3つの書類を使う方法があります。

それぞれ確認できる内容や取得方法が異なるため、目的に合わせて使い分けると便利です。

源泉徴収票で確認する

源泉徴収票は、毎年の年末調整後に会社から交付される書類で、その年の1月〜12月分の収入と税額が1枚にまとめられています。「支払金額」の欄がその年に会社から支払われた給与の合計額で、一般的に年収にあたります。

転職活動やローン審査など年収の証明を求められる場面では、源泉徴収票が使用されます。紛失した場合でも、勤務先の総務や人事部に依頼すれば再発行が可能です。退職後であっても、以前の勤務先に依頼すれば源泉徴収票の再発行を受けられます。


【関連記事】
源泉徴収票とは?見方やいつ発行されるのかなどについてわかりやすく解説【2025年(令和7年)最新】

給与明細から計算する

源泉徴収票が手元にない場合は、毎月の給与明細をもとに年収を計算可能です。給与明細の「総支給額」(または支給合計)欄に記載されている金額を毎月分合計し、賞与がある場合はその金額を加えることで年収の概算を把握できます。手取りではなく控除前の金額を使う点に注意しましょう。

残業代やインセンティブが変動する場合は月ごとに金額が異なるため、すべての月の明細をそろえてから合計してください。

所得証明書で確認する

所得証明書は、市区町村の窓口やマイナンバーカードを使えばコンビニ交付で取得できる公的な証明書です。正式名称は「課税証明書」や「所得・課税証明書」とも呼ばれ、前年1〜12月の所得金額を確認できます。

ただし、この書類に記載されているのは年収ではなく所得金額(年収から給与所得控除を差し引いた後の数字)です。

会社員と個人事業主で年収の考え方はどう違う?

会社員と個人事業主では収入の成り立ちが異なるため、「年収」という言葉は同じでも、確認する金額や見方、計算方法に違いがあります。会社員は給与をもとに年収を把握しやすい一方、個人事業主は売上や経費との関係も踏まえて収入を考えなければなりません。

会社員の年収の定義・考え方

会社員の年収は、1年間に会社から支払われた給与・賞与の合計額です。基本給に加え、残業代・各種手当・ボーナスなども含まれ、税金や社会保険料を引く前の金額で考えます。源泉徴収票の「支払金額」欄で確認できます。

ただし、年俸制やインセンティブがある場合は想定年収と実際の支給額にズレが生じることがあります。また、途中入社や退職があった年は1年分の収入がそろわないため、前年との単純比較は難しいといえます。

個人事業主の年収の定義・考え方

個人事業主には給与がないため、1年間の売上から仕入れ費・交通費・通信費などの必要経費を差し引いた「事業所得」が、実質的な年収にあたります。

事業所得は確定申告の収支内訳書や青色申告決算書で確認できます。ローン審査や賃貸契約では確定申告書の控えや所得証明書の提出を求められることが多く、申告内容がそのまま収入証明になります。経費の計上方法によって所得額が変わるため、日々の取引を正確に記録しておくことが大切です。


【関連記事】
個人事業主の年収とは?定義や確定申告書の見方・計算方法を解説

年収の提示が求められるケース例

年収は、転職活動や各種審査など、日常のさまざまな場面で提示を求められますが、場面によって年収の考え方や基準が異なります。

転職活動

転職活動では、現在の年収をもとに給与条件が検討されるため、正確な金額を伝える必要があります。ここでの年収は、税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額を指し、手取りではありません。源泉徴収票の「支払金額」を基準にすると、ブレなく説明できます。

手取り額を年収として伝えてしまうと、実際より低い金額になるため、オファー額が本来より低く設定されてしまう可能性があります。また、前年と当年で収入に大きな差がある場合(昇給・降格・産休など)は、その背景もあわせて説明できるよう準備しておくと、より正確な情報を伝えられるでしょう。

住宅ローンやカードローンの審査

住宅ローンやカードローンの審査では、返済能力を確認するために年収の申告が求められます。この場合も、基準となるのは税引き前の額面年収です。金融機関は申告された年収に加え、勤務先や勤続年数なども含めて「年収の何倍まで融資するか」を判断するため、正確な数字の申告が求められます。

また、審査には源泉徴収票や確定申告書など、年収を公的に証明できる書類の提出が必要になるのが一般的です。副業や複数の収入源がある場合は、合算した金額を申告できるケースもありますが、金融機関によって扱いが異なります。そのため、事前に担当者や公式サイトで確認しておくと安心です。

扶養・社会保険の手続き

家族を扶養に入れる手続きや、社会保険の加入・脱退の判断においても、年収が基準として使われます。たとえば、配偶者や親族を健康保険の扶養に入れる場合、被扶養者の「今後1年間の見込み収入が130万円未満」(60歳以上や障害者の場合は180万円未満)であることが条件のひとつです。

この場面で使われる「年収」は、過去1年間の実績ではなく、将来の見込み収入であることが多く、過去の実績だけでなく今後の収入状況も考慮されます。

また、パートやアルバイトで働いている家族を扶養に入れる際は、交通費を含めた総支給額が基準になる場合もあるため、加入している健康保険組合のルールを事前に確認しておきましょう。


出典:厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」

まとめ

年収とは、その年1年間に得た収入の合計額を指し、一般的には税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額で考えられます。給与や賞与、各種手当が含まれる一方で、非課税の交通費などは含まれないケースがあるため、内訳を理解しておくことが重要です。

源泉徴収票や給与明細などを活用すれば、自分の年収は正確に把握できます。転職や各種手続きで求められる場面に備え、年収の定義や確認方法を押さえておくことで、迷わず対応できるでしょう。

個人事業主にとっては、売上から経費を差し引いた事業所得が実質的な年収にあたります。日々の収支を整理しておくことで、年収や所得の理解が深まります。

よくある質問

年収とは手取りのことですか?

年収は、手取りの金額を指すものではありません。一般的に年収とは、税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額を意味します。一方で手取りは、そこから所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれた後に実際に受け取る金額です。

詳しくは記事内「所得や手取りとの違い」をご覧ください。

年収はどこで確認できますか?

年収は複数の方法で確認できますが、一般的なのは源泉徴収票を確認する方法です。

会社員の場合、年末調整後に配布される源泉徴収票の「支払金額」の欄を見ることで、その年の年収を把握できます。手元にない場合は、他の書類を参照する方法や、自分で計算する方法もあります。用途に応じて適切な方法を選び、正確に把握するようにしましょう。

詳しくは記事内「年収の確認方法」をご覧ください。

ふるさと納税をやらないほうがよい年収は?

ふるさと納税は、寄附した金額のうち2,000円を超える部分が住民税・所得税から控除される制度です。ただし、控除を受けるには一定額以上の税負担があることが条件となるため、年収が低く所得税・住民税をほとんど納めていない場合は、十分なメリットを受けられない可能性があります。

ただし、特定の年収で一律に判断できるものではありません。メリットを享受するための控除の上限額は、年収だけでなく家族構成や各種控除によって変わるため、事前にシミュレーションで確認しておくと安心です。

年収を聞かれたら手取り額と総支給額のどちらを答えるべきですか?

年収を聞かれた場合は、手取りではなく総支給額で答えるのが一般的です。企業の採用面接や金融機関の審査では、税金や社会保険料が差し引かれる前の年収が基準として扱われます。

手取り額で回答してしまうと、実際の年収より低く伝わる可能性があり、条件交渉や審査に影響することもあります。正確な金額を伝えるためにも、源泉徴収票の支払金額を確認し、その数値を基準に回答するようにしましょう。

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