請求書の基礎知識

請求書払いとは?基本知識や支払いの流れ、メリット・デメリットを解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

請求書払いとは?基本知識や支払いの流れ、メリット・デメリットを解説

請求書払いとは、商品やサービスなどの取引に関する代金を、請求書に基づいて後払いで支払う決済方法です。とくに企業間取引(BtoB)で広く利用されており、「掛け払い」とも呼ばれます。

本記事では、請求書払いの基本的な仕組みから、具体的な流れ、メリット・デメリット、導入時の注意点までをわかりやすく解説します。

目次

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請求書払いとは

請求書払いとは、商品やサービスなどの取引に関する代金を請求書に基づいて支払う、後払いの決済方法です。「掛け払い」や「後払い」と呼ばれることもあり、主に企業間取引(BtoB)で広く利用されています。

請求書払いでは、支払いが取引の完了後になるため、支払う側に十分な決済能力があるかどうかを事前に確認しなければなりません。そのため、請求書払いを導入する際には、請求側が相手企業の信用情報をもとに与信審査を行い、取引の可否を判断します。

掛売方式

請求書払いの主要な請求方法のひとつに「掛売方式」があります。これは毎月の取引をまとめて一括で請求する支払い方法です。「一括請求」や「締め請求」と呼ばれることもあります。

取引のたびに請求書を発行するのは手間がかかり非効率なため、掛売方式では特定の「締め日」を設け、その期間内の取引を集計して請求します。たとえば「月末締め翌月末払い」のケースの場合、1月分の取引は1月末に締められ、請求金額を翌月末までに支払うという流れになります。

企業間取引では、取引先とあらかじめ締め日や支払期日をすり合わせておくことが重要です。期日の決定をきちんと行わないと、売上計上はされているのに入金がなく、キャッシュフローが悪化するリスクがあります。そのため、契約書や注文書などの書面で詳細を明記し、トラブルを防ぐことが大切です。

都度方式

都度方式は、取引が発生するたびに請求書を発行する支払い方法です。新規取引先や継続性が不透明な取引先、具体的にはスポットでの仕入れ取引や単発での業務委託などで用いられます。

支払条件や請求のタイミングは個別の取引ごとに決められるため、取引先の与信評価にかかわらず対応しやすい点が特徴です。

請求書払いの流れ

請求書払いは、取引先との与信評価から始まり、請求書の発行、入金確認、そして必要に応じて督促・回収といった一連のプロセスを経て進行します。ここでは、請求書払いにおける代表的な流れを詳しく解説します。

1.与信審査・与信管理の実施

請求書払いは後払いの仕組みであるため、取引先に確実な支払い能力があるかを事前に確認する「与信審査」が必要です。

与信審査では、自社に蓄積された取引先の情報だけでなく、外部の企業信用情報も活用しながら、経営状況や倒産リスクを総合的に判断します。審査の結果に基づいて、取引先ごとに与信限度額を設定するのが一般的です。

その後、締め日・支払期日・請求書の送付方法などを明確に決めて契約を締結します。

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2.請求書の発行・送付

請求書は、あらかじめ設定した締め日に基づいて月に一度などの頻度で発行されます。たとえば、「2025年〇月分」のように当月の取引額を合算して請求するのが一般的です。

近年では紙の請求書に加え、PDFやクラウドを用いた電子請求書の活用も進んでいます。送付手段も郵送やメール、オンラインサービスなど多様化しており、業務効率化が図られています。

なお、電子請求書を利用する場合は、電子印鑑や電子署名を用いることで法的な信頼性を担保し、トラブルを防ぎましょう。

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3.入金確認・入金消込処理

請求書で指定した支払期日を迎えたら、指定の銀行口座に正しく入金されているかを確認します。入金が確認できたら、請求データと入金内容を照合して「入金消込」を行います。

入金消込とは、請求情報(会計システム上の売掛データ)と実際の入金情報を照合して、入金予定の債権を帳簿から消す処理のことです。件数が多い場合でも、入金有無や金額、取引先を1件ずつ正確にチェックする必要があります。

ただし、会計ソフトやクラウドサービスによっては、これらの確認作業を自動で行ってくれる機能もあります。

4.取引先への督促・回収

支払期日を過ぎても入金が確認できない場合は、まず自社側に請求漏れなどの不備がないかを確認しましょう。請求漏れが原因であれば、取引先に請求する旨を伝えて、支払期日の再設定を行います。

一方、取引先の事情による入金漏れであれば、速やかに連絡を取り、支払いの意思や状況を確認します。支払いが困難な場合には、督促状を送付し、必要に応じて法的手続きについても明示することが重要です。

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請求書払いのメリット・デメリット

請求書払いは、取引の柔軟性や効率性の観点から、請求する側・支払う側の双方にメリットがあります。一方で、管理体制の整備やリスクへの対応が求められる側面もある点に注意が必要です。

ここでは、それぞれの立場から見たメリット・デメリットを解説します。

請求する側の場合

請求する側にとっての最大のメリットは、取引先とのスムーズな取引が可能になる点です。掛売方式であれば、請求書の発行や入金管理など一連の経理業務を月ごとにまとめて行えるため、経理業務の負担を軽減できます。

また、現金決済と比較して高額な取引にも対応しやすくなるため、売上拡大につながる可能性が高くなります。

一方で、入金までに時間差があるため、資金繰りに影響が出るリスクがあります。さらに、取引先の経営悪化や倒産による未回収リスクも考慮しなければなりません。

これらのリスクに備えるためには、適切な与信審査と継続的な与信管理、効率的な請求書管理体制の構築が重要です。

支払う側の場合

支払う側にとっては、商品やサービスの利用から支払いまで猶予期間があるため、資金計画に余裕をもたせることが可能です。

掛売方式を採用すれば、複数の取引に対する支払いを月単位でまとめられ、支払業務の効率化につながりやすくなります。あわせて、取引履歴の管理が用意になり、支出の可視化や経理精度の向上といった効果も期待できます。

一方、取引先からの与信審査に際して、財務情報の開示を求められることがあり、これが手間や心理的ハードルとなる場合もあります。また、支払い遅延が発生すると信用を損なう恐れがあり、今後の取引に悪影響を及ぼす可能性も否めません。

そのため、支払い漏れが発生しないよう複数の取引先からの請求書を適切に管理し、期日までに確実な資金準備を行うことが不可欠です。

請求書払いを導入する際の注意点

請求書払いを導入する際は、請求する側がいくつかの重要なポイントに留意する必要があります。ここでは、とくに押さえておきたい5つの注意点を紹介します。

与信管理を継続して行う

一度与信審査を行って問題がなかった取引先でも、その後の経営状況が変化する可能性はあります。そのため、取引先の経営状況の変化に応じて、設定した与信枠の見直しや取引条件の調整を定期的に行うことが重要です。

たとえば年に1回など、定期的に与信管理を実施することで、未回収リスクの早期発見と対策につながります。安定した取引関係を維持するには、継続的な情報収集と管理体制が欠かせません。

内税か外税かを確認しておく

請求書を作成する際は、支払い側を混乱させないために、金額表記が「内税」か「外税」かを明確に記載しましょう。とくに税率変更時には、商品・サービスが値上がりしたと誤解させないためにも、内税・外税の表示が有効です。

また、請求書に消費税額の内訳を明記しておくことで、支払う側の会計処理もスムーズになります。

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支払期日をすり合わせる

取引先と契約を締結する際は、必ず支払期日をすり合わせておきましょう。一般的には「月末締め翌月(翌々月)末払い」と設定する企業が多い傾向にありますが、取引先によって異なるため、事前の確認が欠かせません。

支払期日の確認が不十分だと、入金遅延や誤入金などのトラブルにつながる可能性があります。請求書には取り決めた期日を正確に記載し、相互の認識齟齬を防ぐことが大切です。

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振込手数料の負担を取り決めておく

銀行振込での支払い時には、振込手数料が発生する場合があります。この手数料をどちらが負担するのか、あらかじめ合意を取っておく必要があります。

取り決めた内容は、請求書に明記しておくとより確実です。

印鑑の押印を行う

請求書に印鑑を押すことは法的に義務付けられているわけではありませんが、信頼性を高める目的で、多くの企業が社印(通常は角印)を押印しています。

押印により、請求書の偽造や改ざんを防ぐ効果も期待でき、請求書自体の信頼度も高まるため、社内の発行フローに押印のプロセスを含めておくと安心です。

近年では、請求書のやり取りが電子化・クラウド化されるケースが増えており、それに伴い電子印鑑を活用する企業も増えています。これらを導入することで、紙への印刷や郵送の手間が省け、オンラインでのやり取りが可能になり、業務の効率化にもつながります。

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まとめ

請求書払いは、請求側・支払い側の双方にとって、業務効率化や取引拡大につながる有効な決済手段です。一方で、与信管理や支払期日の確認、振込手数料の取り決めなど、注意すべきポイントも多く存在します。

円滑な運用のためには、事前のすり合わせと社内での管理体制の整備が不可欠です。適切なルールと体制を整えたうえで、請求書払いを有効に活用していきましょう。

受け取った請求書処理でよくある課題を解決する方法

企業の経理担当者にとって、受け取った請求書の管理は、お金の流れをスムーズにし、経営を支える重要な役割を担っているため負荷の高い業務になります。
ただし担当者は、それ以外にも業務を抱えていることが多く、定型業務を効率化し、他の重要な業務に時間を割けるようにすることが重要です。

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よくある質問

請求書払いとは?

請求書払いとは、商品やサービスなどの取引に関する代金を、請求書に基づいて後払いで支払う決済方法のことです。

詳しくは記事内「請求書払いとは」をご覧ください。

請求書払いのメリットって何?

請求する側にとっては、顧客との取引を円滑に進められる点、支払う側にとっては、商品やサービスの利用後から支払いまで猶予期間があるため、柔軟な資金計画が可能になるという点がメリットといえます。

詳しくは記事内「請求書払いのメリット・デメリット」をご覧ください。

請求書払いの基本的な流れは?

請求書払いの基本的な流れは、「与信審査・与信管理の実施」「請求書の発行・送付」「入金確認・入金消込処理」の順に行います。期日までに入金が確認できない場合は、取引先への督促・回収を行うことが大切です。

詳しくは記事内「請求書払いの流れ」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

税理士・CFP® 宮川真一

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