最終更新日:2021/08/05

事業を営む上で、取引先とのやりとりで発生する書類に「請求書」や「納品書」があります。納品物に対する対価を受け取るために、これらの書類について正しく理解し、間違えのないように作成する必要があります。
本記事では、請求書と納品書の役割の違いや、発行するタイミングについて解説します。
目次
納品書とは
納品書とは、商品やサービスなどの納品時に発行される書類のことです。納品書は証憑書類(しょうひょうしょるい)に分類され、取引の流れの中で重要な「商品の引渡しとその後の支払い」に大きく関わる書類です。
納品書の発行は義務ではありませんが、発行することによって、取引先に安心感を与えられる・納品物に関する双方の認識のズレを防ぐといったメリットがあります。
納品書の役割
納品書は、取引先に商品やサービスが納品の際に一緒に提出する書類で、商品が本当に届いたことや内容を証明するために発行されます。発行義務はありませんが、取引をする上では、まだまだ必要性を感じている企業が多いです。
取引先への安心感と信頼を得る
電話や口頭で注文を受けた場合、いつ、どのような商品が注文されたのかがわかりにくいことがあります。納品書を商品やサービスと一緒に同封することで、取引先に注文が入っていることを確実に伝えることができ、安心感や信頼を得ることができます。
商品(サービス)の内容が確認できる
納品書は、記載されている情報を見るだけで、届いた商品やサービスの内容を正確に把握することができます。
経理作業で必要な書類
納品書は、取引の正確性や真実性を証明するために必要な取引の記録であり、企業の経理担当者は、納品書などの帳票を保管する義務があります。納品書があることで、取引で交わされた契約が口約束での合意ではなく、合意の上での決定であったことを証明することができます。
納品書の書き方

納品書作成で事前に準備する物
納品書
封筒・切手
納品書を送る際の封筒サイズに特に決まりはありませんが、納品書が無理なく収まる大きさの封筒を選ぶと良いでしょう。
納品書は、商品やサービスと一緒に同梱、もしくは直接手渡するものなので基本的には切手は必要ありません。ただし、やむを得ない事情で別送する必要がある場合は、切手を貼る必要があります。
判子(スタンプ)
納品書に印鑑を押印しなければならないという法律はなく、押印がなくても問題はありません。しかし、会社によっては確認・認証として納品書に印鑑を押印する習慣がありますので、押しておくと良いでしょう。
納品書が入っていることが一目で分かるように、封筒の表の左下に「納品書在中」のスタンプを押します。これは手書きでも構いません。
納品書の記入手順
1. 納品先の宛名を記入

納品先の会社名や個人の氏名を記入します。納品先が会社(部署など)の場合は「御中」、個人の場合は「様」を記入します。
2. 納品書番号(社内用の通し番号)を記入

社内確認用に納品書番号(通し番号)を記入します。
3. 納品書発行日を記入

納品した正確な日付を記入します。配達の場合は到着日、サービスなどは納品日を記入します。
4. 納品者の情報(会社名、住所、電話番号(FAX)、担当者名)を記入

商品やサービスを納品する会社(自社)や個人の名前、住所、電話番号等を記入します。
※見積書や請求書を事前に発行している場合は、同様の情報を記載するとトラブル防止になります。
5. 納品者の捺印

納品者の情報の右下辺りに文字に被るように会社の角印を捺印します。
6. 納品した商品名や品番を記入する

納品した商品やサービスの商品名、品番を入力します。
7. 納品した商品の数量や単位を記入する

納品した商品やサービスの数量や単位を記入します。
8. 納品した商品の単価、金額、内容を記入する

納品した商品やサービスの単価や金額、内容を記入します。単価や金額は税別で記入します。
9. 納品した商品の小計金額を記入する

納品した商品やサービスの小計金額を税別で記入します。
10. 納品した商品の消費税

納品した商品やサービスの消費税を記入します。
11. 納品した商品の合計金額


納品書は証憑書類のため、取引があったことを証明する重要な書類です。記載事項は、消費税法で定められています。
納品書への記載事項
- 書類作成者の氏名又は名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
(注2) 仕入れ先から交付された請求書等に、「軽減税率の対象品目である旨」や「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」の記載がないときは、これらの項目に限って、交付を受けた事業者自らが、その取引の事実に基づき追記することができます。
(注3) その書類に記載されている事項について、取引の相手方の確認を受けたものに限ります。
参考・引用元:国税庁「請求書等の記載事項や発行のしかた」
納品書の項目は、取り扱う商品やサービスによって異なりますが、上記のことを念頭に置いて作成しましょう。
納品書はいつ発行する?
基本的には商品やサービスを納品する際に納品書を発行します。納品書の主な目的は、取引先を安心させることです。
納品物だけでは、「誰から納品したのか」「納品物の個数があっているのか」などを知ることができません。そのため、相手の不安を取り除くためにも、納品書を作成することが大切です。
納品前に納品書を送るのはマナー違反
納品書の役割を考えれば当然なことですが、実際に商品やサービスが納品される前に納品書だけが届いてしまうと、実際の内容と照らし合わせて確認することができなくなってしまいます。
不測の事態で納品ができなかった場合、事務処理と実際の手続きに齟齬が生じ、実態の把握が難しくなってしまいます。
遅すぎる納品書の送付もマナー違反
納品書は納品と同時に発行するのが基本ですが、やむを得ない事情で納品と同時に発行できない場合は、遅くとも1週間以内に出すようにしましょう。納品書は経理においても重要な書類です。取引先の経理担当者の業務に遅れが生じてしまいます。
請求書とは
請求書とは、商品やサービスの引渡し後に、あらかじめ顧客と合意した締め日に発行される書類のことです。

請求書に記載する項目の例
- 請求先の宛名
- 請求書番号
- 請求書発行日
- 請求者の情報(会社名、住所、電話番号(FAX)、担当者名、捺印(角印))
- お支払期限
- 商品名や品番
- 商品の数量や単位
- 商品の単価、金額、内容
- 商品の小計金額
- 商品の消費税
- 商品の合計金額
- 振込先情報
1. 請求先の宛名 | 請求先の会社名や個人の氏名を記入します。請求先が会社(部署など)の場合は「御中」、個人の場合は「様」を記載します。 |
2. 納品書番号 (社内用の通し番号) |
社内確認用に納品書番号(通し番号)を記載します。 |
3. 請求書発行日 | 請求した正確な日付を記載します。 |
4. 請求者の情報 (会社名、住所、電話番号(FAX)、担当者名、捺印(角印)) |
・請求をする会社(自社)や個人の名前、住所、電話番号(FAX)、担当者等を記載します。
・記入した情報の右下辺りに文字に被るように会社の角印を捺印します。 ※見積書や納品書を事前に発行している場合は、同様の情報を記載するとトラブル防止になります。 |
5. お支払期限 | 支払期限を記載します。 |
6. 商品名や品番 | 商品やサービスなどの商品名と品番を記載します。 |
7. 商品の数量や単位 | 商品やサービスの数量や単位を記載します。 |
8. 商品の単価、金額、内容 | 商品やサービスの単価、金額、内容を記載します。 |
9. 商品の小計金額 | 商品の金額合計を記載します。 |
10. 商品の消費税 | 商品の消費税を記載します。 |
11. 商品の合計金額 | 小計と消費税を足したものを記載します。 |
12. 振込先情報 | 振込先情報を記載します。 |
請求書の役割
請求書の役割は支払をお願いをするものです。商品やサービスが納品されたとしても、請求書を発行して送らなければ代金は支払われません。そのため、納品者は請求書を発行する必要があります。
請求書を発行するタイミング
一般的に請求書の発行は、商品やサービスの納品と同時か納品後に発行します。請求書を発行するタイミングには、掛売り方式とその都度方式の2種類があります。企業間取引では、その都度方式ではなく掛売り方式が一般的です。
掛売り方式
掛売り方式は、月に1回、請求する方式です。月に複数の取引がある企業や、毎月定期的に取引がある企業に適した方法です。
その都度方式
その都度方式は、納品ごとに請求書を発行する方式です。その都度方式は代金回収が早くなるというメリットがありますが、納品のたびに請求書を作成しなければならないので、時間がかかります。
【関連記事】
請求書と伝票の違いについて
請求書と請求明細書の違いと使い分けについて
請求書と納品書の違い
納品書は、商品やサービスなどの納品時に発行される納品内容を確認する書類のことです。一方で請求書は、商品やサービスの引渡し後に、あらかじめ取引先と合意した締め日に発行する入金をお願いする書類です。
請求書と納品書の書き方の違いは、納品書には「振込先情報」が不要で、タイトルが「請求書」から「納品書」に変わることです。一般的には、月に同じ顧客からの納品が複数ある場合は、納品ごとに納品書が発行されますが、請求書は月末などの月締めで合計し、1枚の請求書で送付します。
納品書 | 請求書 | |
役割 | 納品内容を確認する書類 | 代金の支払いをお願いする書類 |
発行するタイミング | 納品と同時 | 掛売り方式とその都度方式を用いて納品と同時か納品後 |
請求書兼納品書とは
一般的には、納品ごとに納品書を発行し、月に1回請求書を発行します。請求書兼納品書は、納品書と請求書の両方を兼ねた文書として内容を一枚にまとめて発行することができます。
納品後に請求書を別で送る手間が削減できるため、物品などを持たないサービス提供で納品と請求が同時に行えるビジネスモデルの場合などで利用されています。
請求書兼納品書の発行日について
請求書兼納品書の発行日は、請求書と納品書のそれぞれの役割を機能させるために、発行日と納品日の両方を記載しましょう。
まとめ
請求書と納品書の違いについて解説をしました。納品書と請求書の違いをご理解していただけたでしょうか?納品書も請求書も目的は違いますが、取引先に安心感を与え、事業管理にも役立ちます。
取引先によっては、納品書と請求書を兼用する場合もあります。事前に必要な書類の確認をしておくと良いでしょう。
請求書や見積書・発注書の発行と管理を効率的に進める方法
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