請求書の基礎知識

請求書とは?やりとりの流れや役割、作成方法について解説

請求書とは?やりとりの流れや役割、作成方法について解説

請求書とは、提供した商品やサービスの対価を取引先に請求するための書類です。本記事では、請求書の役割、記載項目、発行から入金確認までの流れ、保存ルールを解説します。

目次

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請求書とは

請求書とは、提供したサービスや商品の対価を回収するために、売り手側が買い手側に提示する書類です。

法律上の発行義務はありませんが、金額の食い違いや請求忘れなどのトラブルを避けるため発行が推奨されます。対価が発生する取引があったことを証明し、未払いの場合の証拠にもなるため、一定期間の保存が法律で義務付けられているのです。

請求書が果たす3つの役割

請求書は、単に代金を請求するだけの書類ではなく、取引のあらゆる場面で当事者双方の認識をそろえる役割を果たします。

請求書が果たす3つの役割

  • 取引が成立した事実を客観的に示す
  • 支払金額・支払期限・振込先など支払いに必要な情報を伝達する
  • 代金未払いが発生した際の証拠として機能する

口頭やチャットだけで取引内容を取り決めると、後日「言った・言わない」のトラブルに発展しがちです。請求書を発行しておけば、取引の内容と金額が文書として残り、双方の認識違いを防ぎやすくなります。

請求書の発行義務はあるか

請求書の発行は、民法・商法上の義務として一律に定められているわけではありません。ただし、適格請求書発行事業者として登録している場合は、課税事業者である取引相手から求められた際に適格請求書を交付する義務があります。

また、2026年1月施行の「中小受託取引適正化法(取適法)」の対象となる取引では、委託事業者が受託事業者に対して発注内容を記載した書面を交付する義務があります。請求書そのものの発行義務とは異なりますが、書面化を求める法令は複数あるため、自社の取引が該当しないか確認しておきましょう。

請求書と見積書・納品書・領収書の違い

請求書は、取引のなかで発行される複数の書類のひとつです。見積書・納品書・領収書とは役割や発行タイミングが異なるため、混同しないよう整理しておきましょう。

<取引書類の比較>

書類発行タイミング目的
見積書取引前サービス内容と概算金額の事前提示
納品書納品時納品物の内訳と数量の確認
請求書納品後対価の支払いを求める
領収書入金後代金を受け取った事実の証明

見積書は発注者が内容や金額を比較検討するための材料、納品書は納品物を確認するためのもので通常は請求書と金額が一致します。

領収書は代金を受け取った後に発行し、民法上、弁済者から求められれば交付する義務があります。請求書と領収書を兼ねる場合は、記載金額に応じて収入印紙が必要になる点に注意しましょう。各書類の詳しい書き方は、それぞれの解説記事で扱っています。

請求書の記載項目

2023年10月のインボイス制度開始により、課税事業者間の取引で仕入税額控除を受けるには、適格請求書(インボイス)の必要項目を満たした請求書の発行が原則となりました。必須6項目は次のとおりです。

適格請求書の必須記載6項目

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号:売り手の法人名・氏名と「Tから始まる13桁の登録番号」を記載する。住所や電話番号は任意
  • 取引年月日:サービスや商品を提供した日付。請求書を作成した日付ではない。締め請求の場合は対象期間が分かるように記載する
  • 取引内容:商品名や品番など具体的な内容。軽減税率8%の対象品目が含まれる場合はその旨を明記する
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率:標準税率10%と軽減税率8%が混在する取引では、税率ごとに分けて示す
  • 税率ごとに区分した消費税額等:端数処理は1つの適格請求書につき税率ごとに1回まで。商品単位での都度処理はできない
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称:買い手の法人名・氏名。法人名だけなら「御中」、担当者名まで記載すれば「様」を付ける

出典:国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」

適格請求書発行事業者の登録番号

適格請求書発行事業者には「Tから始まる13桁の登録番号」が割り当てられ、登録事業者は請求書に必ず記載します。法人は「T+法人番号」、個人事業主や人格のない社団等は「T+固有の13桁の番号」です。取引先の登録番号は国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で検索・確認できます。

出典:国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」

入金してもらうために記載したい項目

必須6項目に加えて、取引先に確実に入金してもらうために記載しておきたい項目があります。

入金をスムーズにする任意項目

  • 請求書番号:社内管理用の番号。確認時の取り違えを防げる。「日付」と「順番」を組み合わせるのが一般的
  • 振込先:銀行名・支店名・口座番号など。振込手数料の負担者も明記する。民法上は振り込む側の負担が原則だが、取り決めがあればそれに従う
  • 支払期限:いつまでに入金してほしいかを明示する。金融機関の休業期間と重なる場合は、休み前か休み明けかを調整する

請求書を発行する側の流れ

請求書は納品が完了した後か、納品と同時に作成します。発行から入金確認までの流れは次のとおりです。

1. 請求金額の確定

見積もり時点の金額に間違いがないことを確認し、請求金額を確定します。月の締め日までの取引をまとめる「締め請求」は取引内容が複数になりやすいため、記入漏れに特に注意しましょう。見積もりと異なる金額を請求する場合は、発行前に必ず取引先へ伝え、了承を得ます。

2. 請求書の作成

請求書に法的な書式はありませんが、仕入税額控除を受ける場合は適格請求書の必須6項目を満たす必要があります。作成担当者の役職に決まりはなく、会社によって異なっても問題ありません。内容が正しいことを確認し、社内の承認が取れたら印刷します。

3. 請求書を送付

請求書の作成が完了したら取引先へ送付します。控えを作成して自社で保存することも忘れないようにしましょう。請求書には一定期間の保存が法律で義務付けられているからです。主な送付方法は次のとおりです。

請求書の主な送付方法

  • 郵送:印刷・送付先確認・封入など作業が多く、取引先が多い場合は封入だけでも大きなタイムロスになる
  • メール(PDF等のデータ):費用や時間がかからず、すぐに送付できる。利用する会社が増えている
  • FAX:あまり一般的ではないため、事前に了承を得ているケースに限る

4. 請求先からの入金確認

取引先から入金されたら、入金額に誤りがないか確認します。差額があれば取引先に連絡し、追加入金または返金を行います。確実に送金されたことを確認すれば、発行側の一連の業務は完了です。

請求書を受け取る側の流れ

通常、請求書は納品完了後にメールまたは郵便で担当者や経理部宛に届きます。いずれの場合も、回収・入金処理を担うのは入金作業を行う経理担当者です。

1. 請求書の内容確認

請求書を受け取ったら、支払期限・請求内容・支払金額・振込先などに漏れや誤りがないか確認します。誤りがあれば電話やメールで取引先に問い合わせ、内容が正しいことを確認してから入金ステップへ進むのが基本です。

2. 指定された振込先へ入金

内容を確認したら、支払期限までに指定された振込先へ請求額を入金します。受領した請求書の原本は、事業年度の確定申告期限の翌日から7年間の保存が法人税法で定められています。事業開始年度に欠損金が生じた場合の保存期間は10年間です。

請求書を発行する際の注意点

請求書を発行する側は、やりとりでのトラブルを避けるために次の点に注意しましょう。

取引完了後すぐに発行する

都度請求の場合、取引が完了したらすぐに請求書を発行しましょう。請求書が届かなければ取引先は支払いができないからです。締め請求の場合は締め日の直後に発行します。複数の取引があるなら、請求に必要な情報をこまめにまとめておくとスムーズです。

支払いに関する必要事項が記載されているか確認する

取引先に送付する前に、支払いで必要になる以下の情報がきちんと記載されているかを改めて確認しましょう。

送付前に確認したい支払い情報

  • 請求金額
  • 振込先の口座情報
  • 振込手数料の負担者
  • 支払期限

特に「振込手数料の負担者」と「支払期限」は、取引先との事前の取り決めが必要な項目です。トラブルを避けるためにも、取り決めに沿った内容を明記してください。

印鑑・書式・桁区切りなどの慣習

請求書には、法令ではなく商慣習として取り入れられている要素もあります。押印は法的義務ではありませんが、発行者を示す目的で法人は社名横に角印、個人事業主は氏名横に認印を押す慣習が残っており、電子請求書では電子印鑑も増えてきました。金額は「1,000円」「¥1,000-」のいずれかで記載し、桁区切りのカンマを必ず入れます。

なお、原稿料・講演料・弁護士報酬など所得税の源泉徴収対象となる報酬を個人事業主が請求する場合は、請求書に源泉徴収税額を明記します。税率は100万円以下の部分が10.21%、100万円超の部分が20.42%です。印鑑や源泉徴収の細かなルールは、それぞれの個別記事で解説しています。

出典:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

請求書は一定期間保存が必要

請求書は受領側・発行側それぞれに保存が義務付けられています。受領した側は原本を保存します。発行した側に原本の保存義務はありませんが、控えを作成している場合は「証憑書類」として保管義務がある点に注意しましょう。

法人の保存期間は、確定申告期限の翌日から原則7年間です。青色繰越欠損金が生じた事業年度などは10年間となります。個人事業主・フリーランスは原則5年間ですが、消費税の課税事業者は7年間です。

<請求書の保存期間>

原則例外
法人7年間10年間
個人事業主・フリーランス5年間7年間(消費税課税事業者など)

保存期間は、発行日や入金日からではなく、確定申告期限の翌日から起算する点に注意しましょう。なお、国税関係帳簿書類を電子データで保存する場合、かつては事前に税務署長の承認が必要でしたが、2022年1月1日以降に保存する分は事前承認が不要になっています。

出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

電子帳簿保存法による電子取引データの保存

電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日以降に行う電子取引は、授受したデータを電子のまま保存することが原則として義務化されました。メール添付のPDF請求書、WebサービスからダウンロードしたデータやEDI取引などが対象です。

紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にし、タイムスタンプ付与・訂正削除履歴の保存・事務処理規程の整備などの改ざん防止措置を行います。

電子データ自体の保存は必要で、税務調査ではダウンロードできる形での提示を求められる点にも注意しましょう。

出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」

請求書を発行しても入金されない場合はどうする?

支払いが行われない場合は、取引先への催促が必要になることがあります。一般的な手順は、まずメールや電話で支払いを求め、応じなければ催促状、さらに応じなければ督促状を送付するという流れです。督促状を送っても支払いがなければ、最終的に内容証明郵便の送付や法的措置をとることもあります。

インボイス制度下における請求書の取り扱い

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は2023年10月1日に開始されました。課税事業者が仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書発行事業者から交付された適格請求書の保存が必要です。

適格請求書を交付できるのは、税務署長から登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。登録は課税事業者しか申請できないため、免税事業者は登録しない限り適格請求書を発行できません。

適格請求書として記載すべき6項目

適格請求書として認められる請求書には、以下の6項目を漏れなく記載する必要があります。

適格請求書として記載すべき6項目

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

これらの項目は受領者側で追記できないため、発行する側があらかじめ必要項目を満たした書式を整えておく必要があります。

免税事業者からの仕入に係る経過措置

免税事業者やインボイス未登録事業者から仕入を行った場合、原則として仕入税額控除は認められません。ただし急激な負担増を避けるため、控除割合を段階的に縮小する経過措置が設けられています。令和8年度(2026年度)税制改正で当初より2年間延長され、控除割合は次のスケジュールとなりました。

<免税事業者等からの仕入に係る経過措置の控除割合>

期間控除割合
2023年10月1日〜2026年9月30日 80%
2026年10月1日〜2028年9月30日 70%
2028年10月1日〜2030年9月30日 50%
2030年10月1日〜2031年9月30日 30%
2031年10月1日以降 控除不可

2026年10月1日からは控除割合が80%から70%に縮小します。あわせて、同一の未登録事業者からの年間課税仕入(税込)が1億円を超える場合、その超過部分を経過措置の対象外とする見直しも導入されました。免税事業者との取引が多い場合は、価格交渉や登録要請など対応方針の見直しが必要です。

出典:国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度の経過措置の見直し)」

請求書をペーパーレス化するメリット

インボイス制度と電子帳簿保存法への対応により、請求書の電子化は事実上の前提になりつつあります。電子請求書には次のようなメリットがあります。

請求書をペーパーレス化するメリット

  • 印刷・封入・郵送の手間と費用が不要になる
  • 検索性が高く、取引年月日・金額・取引先からすぐ参照できる
  • 電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムを使えば、保存対応がそのまま完結する
  • 適格請求書の必須項目をテンプレートで標準化でき、記載漏れを防げる

特に取引先数が多い事業者ほど、紙運用は工数とミスの温床になりがちです。発行・送付・保存からインボイス制度・電子帳簿保存法対応までを一貫してカバーする電子請求書発行システム(freee請求書など)を使う選択肢もあります。

まとめ

請求書は取引の事実を証明し、未払い時の証拠となり、仕入税額控除の根拠にもなる重要な証憑です。基本は、適格請求書の必須6項目を満たした書式に統一し、電子取引データは電子のまま保存できる体制を整えること。

免税事業者との取引が多い場合は、2026年10月からの控除割合縮小など経過措置のスケジュールも踏まえて方針を見直しましょう。運用に迷う場合は顧問税理士への相談も検討してください。

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請求書送付はシステム経由のクリックで一括送信で手軽に行えます。送付方法は、取引先に電子/郵送のどちらも選べます。
取引先によっては電子化対応が難しい場合もあるため、柔軟に出し分けることで電子化を進められます。郵送代行も可能なので、ご利用いただくと自社での印刷・封入・投函の手間がゼロになります。

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よくある質問

請求書はどんなときに必要ですか?

請求書は、提供したサービスや商品の対価の支払いを取引先に求める際に必要です。そのほか、対価の未払いが発生した際の証拠の1つとしても使われます。

詳しくは「請求書が果たす3つの役割」で解説しています。

請求書発行における注意点は何ですか?

請求書を発行する際には、取引完了後あるいは締め日過ぎにすぐ発行すること、支払いに関する必要事項が記載されているか確認することの2点に注意が必要です。

詳しくは「請求書を発行する際の注意点」で解説しています。

請求書がない場合に代わりとなる書類はありますか?

請求書がない場合でも、領収書や業務完了報告書、銀行振込の控えなどが取引内容を示す書類として使える場合があります。ただし、仕入税額控除を受ける場合は適格請求書または適格簡易請求書が必要です。

詳しくは「請求書の記載項目」で解説しています。

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