年末調整とは、従業員がその年に支払うべき所得税額を算出し、給与からすでに天引きされた源泉徴収税額と比較して、年末に過不足を調整(精算)する手続きのことです。
本記事では、年末調整ソフトを提供するfreeeが、年末調整の提出書類や書き方についてわかりやすく解説します。
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目次
- 年末調整とは
- 年末調整と確定申告の違い
- 年末調整の対象者
- 年末調整の提出スケジュール・期限
- 2026年の年末調整で変更される3つのポイント
- 1. 基礎控除引き上げ(最大178万円の壁対応)
- 2. 給与所得控除の最低保障額引き上げ
- 3. 新しい源泉徴収税額表・申告書様式への対応
- 年末調整で提出する申告書の種類
- 1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の概要
- 2.給与所得者の基礎控除申告書の概要
- 3.給与所得者の配偶者控除等申告書の概要
- 4.給与所得者の特定親族特別控除申告書の概要
- 5.所得金額調整控除申告書の概要
- 6.給与所得者の保険料控除申告書の概要
- 7.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の概要
- 年末調整の各申告書の書き方(記入例・見本付き)
- 1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
- 2.給与所得者の基礎控除申告書の書き方
- 3.給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方
- 4.給与所得者の特定親族特別控除申告書の書き方
- 5.所得金額調整控除申告書の書き方
- 6.給与所得者の保険料控除申告書の書き方
- 7.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の書き方
- まとめ
- 2025年の年末調整を簡単に行う方法
- よくある質問
年末調整とは
年末調整とは、給与所得者の毎月の給与や賞与から差し引かれた源泉徴収税額と、その年に本来納めるべき所得税額の差分を精算する手続きです。上の解説動画でも、イラストと共にわかりやすく48秒にまとめて紹介しています。
源泉徴収税額は概算で計算されるため、扶養家族の増減や保険料控除などを反映すると、実際の税額と差が生じることがあります。年末調整では、企業がその差額を再計算するため、税金を多く納めていた場合は還付され、不足していた場合は追加徴収が行われます。12月または翌年1月の給与支給時に生産されるのが一般的です。
また、従業員は10月下旬頃から12月上旬頃にかけて申告書に必要事項を記入し、勤務先へ提出する必要があります。書類の作成時期は会社によって異なるため、詳細な時期は勤務先に確認しましょう。
年末調整の対象者
年末調整の対象となるのは、原則として勤務先へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している給与所得者です。正社員だけでなく、パート・アルバイトであっても、扶養控除等申告書を提出し、一定の要件を満たしていれば対象になります。
具体的には、以下に当てはまる人が年末調整の対象者です。
年末調整の対象者
- 1年を通じて勤務している人
- 年の途中で就職(転職)し、年末まで勤務している人
- 年の途中で海外勤務などにより非居住者となった人
- 年の途中で退職し、かつ次の4つのケースにあてはまる人
・死亡により、退職した人
・著しい心身障害により退職した人で、本年中に再就職できないと見込まれる人
・12月中の給与の支払いを受けたあとに退職した人
・パートタイム労働者が退職した場合で、その年の給与総額が123万円以下の人
※退職後、その年の間に他の勤務先から給与を受け取る見込みがない場合
一方で、給与収入が2,000万円を超える人や、災害減免法による徴収猶予・還付を受けている人などは、年末調整の対象外です。
年末調整の提出スケジュール・期限
年末調整は、一般的に10月下旬から翌年1月にかけて実施されます。企業は従業員へ申告書を配布・回収し、内容確認や税額計算を行ったうえで、税務署や市区町村へ必要書類を提出します。
主なスケジュールは以下のとおりです。
| 時期 | 主な対応内容 |
|---|---|
| 10月下旬 ~ 11月上旬 | 企業が従業員へ年末調整書類を配布 |
| 11月 ~ 12月上旬 | 従業員が申告書・控除証明書を提出 |
| 11月 ~ 12月中旬 | 企業が書類回収・内容確認・不備対応を実施 |
| 12月 ~ 翌年1月 | 年末調整を反映した給与計算・還付または追加徴収を実施 |
| 翌年1月31日まで | 税務署へ法定調書を提出 |
| 翌年1月31日まで | 市区町村へ給与支払報告書を提出 |
年末調整と確定申告の違い
年末調整と確定申告は、どちらも所得税額を確定するための手続きですが、手続きの主体や対象者が異なります。
年末調整は、会社員やアルバイトなどの給与所得者を対象に、勤務先が従業員に代わって所得税を精算する手続きです。一方、確定申告は、個人事業主やフリーランスのほか、年末調整の対象外となる人が自ら税務署へ申告を行います。
たとえば、給与収入が2,000万円を超える人、副業収入が一定額を超える人、医療費控除や初年度の住宅ローン控除を受ける人などは、年末調整後に確定申告が必要になる場合があります。
確定申告について詳しく確認したい方は、別記事「確定申告とは?全くわからない人向けにやり方・対象者をわかりやすく解説!」をご覧ください。
2026年の年末調整で変更される3つのポイント
2026年の年末調整は、2025年度税制改正の施行に加え、2026年度税制改正の内容も関係するため、例年以上に制度変更が多い年となります。
とくに、基礎控除や給与所得控除の見直しによる「年収の壁」への対応や、源泉徴収税額表・申告書様式の変更は、企業の給与計算や年末調整業務へ大きな影響を与える可能性があります。
ここでは、2026年の年末調整で押さえておきたい主な変更点を解説します。
1. 基礎控除引き上げ(最大178万円の壁対応)
2026年度税制改正によって、合計所得金額2,350万円以下の人を対象に、基礎控除額を恒久的に62万円へ引き上げる方針が示されました。
さらに、2026年・2027年には、中低所得者向けの時限措置として、最大42万円の特例加算が予定されています。これにより、対象者は実質的に最大104万円の基礎控除を受けられる見込みです。
| 合計所得金額 | 基礎控除額 2026~2027年(時限的特例) | 2028年以降 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 104万円(特例加算42万円) | 99万円 |
| 132万円超~336万円以下 | 67万円(特例加算5万円) | 62万円 |
| 336万円超~489万円以下 | ||
| 489万円超~655万円以下 | ||
| 655万円超~2,350万円以下 | 62万円 |
※2028年以降は特例措置が見直され、原則は62万円となりますが、合計所得132万円以下の場合は特例加算が維持され99万円となる予定です
2. 給与所得控除の最低保障額引き上げ
給与所得控除の最低保障額も見直しが予定されています。2026年度税制改正では、本則69万円に特例5万円を加え、最低保障額を74万円へ引き上げる方針が示されています。
基礎控除の見直しとあわせることで、課税最低限は178万円まで引き上げられる想定です。
| 項目 | 改正前 | 改正後(予定) |
|---|---|---|
| 給与所得控除最低保証額 | 65万円 | 74万円 |
| 内訳 | ー | ・本則:69万円 ・特例:5万円 |
この改正は、年末調整だけでなく毎月の給与計算にも影響します。とくに、給与計算システムを利用している企業では、制度改正への対応状況を事前に確認しておくことが重要です。
3. 新しい源泉徴収税額表・申告書様式への対応
基礎控除や給与所得控除の見直しに伴い、「令和8年分 源泉徴収税額表」が新たに適用される予定です。
旧税額表を使用したまま給与計算を行うと、源泉徴収税額が過大になる可能性があるため、給与計算システムのアップデートや税額表の差し替えが必要になります。
また、扶養控除等申告書の様式も変更予定です。詳しくは、記事内「令和8年分扶養控除等(異動)申告書の注意点」にて解説しています。
年末調整で提出する申告書の種類
年末調整では、従業員の扶養状況や保険料控除などを正しく反映するため、複数の申告書を提出します。年末調整で提出する申告書は以下の7種類です。年末調整で使用する申告書の概要を事前に把握し、提出する際にミスがないようにしましょう。
年末調整で提出する申告書の種類
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の特定親族特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
なお、上記のうち2〜5は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 」として一枚の書類にまとめられています。
ここからはそれぞれの書類を解説します。年末調整の書き方をすぐ確認したい方は、記事内「年末調整の各申告書の書き方(記入例・見本付き)」からご覧ください。
1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の概要
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、申告者が扶養する配偶者や親族に関する情報をまとめるための書類です。年末調整時に勤務先に提出することで適用できる控除は以下の5つになります。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書で申告できる控除
- 扶養控除
- 障害者控除
- 勤労学生控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
なお、本申告書は扶養控除などの適用の有無にかかわらず、原則として年末調整を受けるすべての給与所得者が勤務先に提出する必要があります。
具体的な書き方については記事内「1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方」を参照してください。
2.給与所得者の基礎控除申告書の概要
「給与所得者の基礎控除申告書」は、基礎控除を適用するために提出する書類です。
統合様式である「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の中に記入欄があります。
給与所得者の基礎控除申告書で申告できる控除
- 基礎控除
基礎控除はほとんどの給与所得者が受けられる所得控除のため、基本的にすべての給与所得者が提出します。ただし、年間の合計所得金額が2,500万円を超える人は基礎控除を受けられません。
具体的な書き方は記事内「2.給与所得者の基礎控除申告書の書き方」で解説しています。
3.給与所得者の配偶者控除等申告書の概要
「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書兼 所得金額調整控除申告書」 に記入欄が設けられています。給与所得者が配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用を申告する際に記入・提出します。
給与所得者の配偶者控除等申告書で申告できる控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
上記の控除は配偶者の年間所得見積額によって、適用可否や控除額が変わります。とくに、パート収入がある配偶者については、給与収入と所得金額を混同しやすいため注意が必要です。
具体的な書き方は記事内「3.給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方」で詳しく解説しています。
4.給与所得者の特定親族特別控除申告書の概要
「給与所得者の特定親族特別控除申告書」は、2025年に新設された「特定親族特別控除」を受けるための書類です。
特定親族特別控除とは、年齢が19歳以上23歳未満で、所得金額が58万円超(収入123万円超)123 万円以下(収入188万円以下)の扶養親族がいる場合に適用されます。
所得金額が85万円(収入150万円)までは特定扶養親族の控除額と同様に63万円の控除が受けられますが、所得金額が85万円(収入150万円)を超えてから段階的に控除額が減額される仕組みです。
「給与所得者の特定親族特別控除申告書」も「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に記入欄があります。
給与所得者の特定親族特別控除申告書で申告できる控除
- 特定親族特別控除
具体的な書き方は記事内「4.給与所得者の特定親族特別控除申告書の書き方」を参考にしてください。
5.所得金額調整控除申告書の概要
「所得金額調整控除申告書」は、所得金額調整控除を受けるために提出する書類であり、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に記入欄があります。
所得金額調整控除申告書で申告できる控除
- 所得金額調整控除
所得金額調整控除には、以下の2種類があります。
- 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除
- 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除
このうち、年末調整で申告できるのは「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」です。その年の収入が850万円を超える給与所得者で、本人や扶養親族・配偶者が特別障害者である場合もしくは23歳未満の扶養親族がいる場合に適用されます。
具体的な書き方は記事内「5.所得金額調整控除申告書の書き方」を参考にしてください。
6.給与所得者の保険料控除申告書の概要
「給与所得者の保険料控除申告書」は、給与所得者が生命保険料や地震保険料などの保険料控除を受けるために提出する書類です。本申告書で申告できる所得控除は、以下のとおりです。
給与所得者の保険料控除申告書で申告できる所得控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
なお給与所得者の場合、会社から支払われる給与や賞与から社会保険料が天引きされています。ですがこの天引きされた社会保険料については、会社が把握しているため、年末調整での申告は不要です。
本申告書の社会保険料控除の欄には、給与等から天引きされた社会保険料以外に個人で社会保険料を支払っていたり、申告者が生計を一にする親族の社会保険料を支払っていたりする場合のみ記入します。
とくにiDeCoに加入している場合には、上記のうち「小規模企業共済等掛金控除」に記入する必要があるため、控除証明書の添付漏れに注意しましょう。
具体的な書き方は記事内「6.給与所得者の保険料控除申告書の書き方」を参考にしてください。
7.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の概要
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、住宅ローンなどを利用してマイホームの新築や取得、増改築などを行った人が、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるために必要な書類です。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書で申告できる控除
- 住宅借入金等特別控除
給与所得者の場合、住宅ローン控除は1年目のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で申告できます。
また、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は税務署から納税者本人に送られてくるため、勤務先から用紙は配布されません。年末調整時には、必要事項を記入し、以下の書類を勤務先へ提出しましょう。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
具体的な書き方は記事内「7.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の書き方」を参考にしてください。
年末調整の各申告書の書き方(記入例・見本付き)
年末調整に使用する申告書について、それぞれ記入例とともに書き方を解説します。
使用する申告書は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の基礎控除申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」「給与所得者の特定親族特別控除申告書」「所得金額調整控除申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が存在します。
記入箇所に間違いないように、提出期限までにゆとりを持ち各申告書を作成しましょう。
1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
扶養控除等(異動)申告書は、配偶者や扶養親族の有無にかかわらず、すべての給与所得者が勤務先へ提出する年末調整書類です。なお、2ヶ所以上の会社に勤めている人は、メインの勤務先にしか提出できません。
なお、2025年度・2026年度の税制改正の基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、扶養親族の所得基準が引き上げられました。変更点は以下のとおりです。
| 改正後の所得(収入) | 改正前の所得(収入) | |
|---|---|---|
| 源泉控除対象配偶者 | 95万円(160万円) | 95万円(150万円) |
| 控除対象扶養親族 | 58万円(123万円) | 48万円(103万円) |
| ひとり親の子 | 58万円(123万円) | 48万円(103万円) |
| 勤労学生 | 85万円以下(150万円) | 75万円(130万円) |
従来とは所得基準が異なるため、これまで扶養対象外だった親族が新たに扶養対象となる可能性があります。回収時には、収入見積額を慎重に確認しましょう。
(1)基本情報を記入する
申告書最上部の基本情報は、扶養する配偶者や親族の有無にかかわらず、年末調整を受けるすべての給与所得者が記入します。扶養親族や配偶者がいない場合、勤労学生控除や障害者控除など本申告書で申告する所得控除がない場合には、基本情報のみを記入し勤務先に提出します。
「所轄税務署長等」「給与の支払者の名称・法人(個人)番号・所在地(住所)」は勤務先が記載するため、空欄のままで問題ありません。記入が必要なのは以下の項目です。
基本情報の記入内容
- 氏名
- 個人番号(マイナンバー)
- 住所または居所
- 生年月日
- 世帯主の氏名
- 世帯主と申告者の続柄
- 配偶者の有無
個人番号(マイナンバー)は、記入を不要としている会社もありますので、記入の要不要は勤務先に確認してください。
ダブルワークなどで2ヶ所以上から給与を受け取っており、すでに他の勤務先に「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している場合は、「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」の欄に◯を付けます。
(2)「A 源泉控除対象配偶者」を記入する
源泉控除対象配偶者に該当する配偶者がいる場合には、記入例のとおり、配偶者の情報を記入します。
- ①氏名など基本情報
- ②2026年中の所得の見積額
- ③非居住者である親族(該当の場合はチェック)
- ④住所又は居所
- ⑤異動月日及び事由
源泉控除対象配偶者とは、以下の要件をすべて満たす配偶者を指します。
源泉控除対象配偶者の対象
- 申告者の所得金額が900万円以下であること
- 申告者と生計を一にしていること
- 配偶者の合計所得金額が95万円以下であること
- 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でないこと
源泉控除対象配偶者に記載した配偶者のほとんどは、配偶者控除もしくは配偶者特別控除の対象となります。年末調整で配偶者(特別)控除を申告する場合は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要です。
なお、配偶者の所得基準自体は変更ありませんが、給与所得控除の引き上げにより、給与収入換算では「160万円以下」が基準となっています。
(3)「B 控除対象扶養親族」を記入する
「B 控除対象扶養親族」には、満16歳以上(2010年1月1日以前生まれ)の扶養親族がいる場合、その扶養親族の以下の情報を記入します。
- ①氏名など基本情報
- ②老人扶養親族または特定扶養親族
- ③2026年中の所得の見積額
- ④非居住者である親族と生計を一にする事実
- ⑤住所又は居所
- ⑥異動月日及び事由
また、2026年からは「特定親族」の判定も必要になります。詳しくは、後述の「令和8年分扶養控除等(異動)申告書の注意点」で解説します。
なお、非居住者である16歳以上の扶養親族については、以下のいずれかに当てはまる場合に扶養控除の対象となります。この場合、④の該当する欄にチェックを入れてください。
- 16歳以上30歳未満または70歳以上である
- 30歳以上70歳未満かつ、留学している
- 30歳以上70歳未満かつ、障害者である
- 30歳以上70歳未満かつ、扶養親族に年間38万円以上の支払いをしている
いずれの場合でも、扶養親族が非居住者であることを証明する親族関係書類等の添付が必要です。また、「留学」にチェックを付けた場合は、留学ビザなど留学していることが証明できる書類を添付します。
なお、1枚の申告書では記載欄が足りない場合は、書ききれなかった内容を他の用紙に記載して提出できます。他の用紙に関して、該当する項目で必要な情報が不足なく書かれていれば、書類の様式は自由です。
(4)「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」を記入する
「C 障害者、寡婦・ひとり親又は勤労学生」では、該当する欄にチェックを入れ必要事項を記載することで、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除を申告できます。
①の該当欄にチェックを入れ、障害者または勤労学生にチェックをつけた場合は、その内容を②の欄に記載します。
たとえば、申告者本人が特別障害者であった場合は、①の「障害者」の欄と、「特別障害者」と「本人」の交わる欄にチェックを入れます。②には、「身体障害者手帳(平成〇年〇月〇日交付)身体障害者〇級」のように、障害者手帳の交付年月日と障害の等級を記載します。
(5)「D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等」を記入する
申告者と同世帯に所得者が複数いる場合、親族はどの所得者が扶養しても問題ありません。「D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の欄には、共働きで申告者本人が子どもを扶養親族としていなかった場合などに、その扶養親族と扶養する所得者の以下の情報を記入をします。
- ①扶養親族の氏名・あなたとの続柄・生年月日・住所又は居所
- ②控除を受ける他の所得者の氏名・あなたとの続柄・住所又は居所
- ③異動月日及び事由
(6)「住民税に関する事項」を記入する
最下部の「住民税に関する事項」には、16歳未満の扶養親族や退職手当等を有する配偶者・扶養親族がいる場合に必要事項を記入します。
①「16歳未満の扶養親族」の欄には、2010年1月2日以降に生まれた扶養親族がいる場合は、その扶養親族に関する以下の情報を記入します。
- 氏名
- 個人番号(マイナンバー)
- 申告者との続柄
- 生年月日
- 住所または居所
- 控除対象外国外扶養親族かどうか
- 令和7年中の所得の見積額※
- 異動月日および事由
※「令和7年中の所得の見積額」欄には、退職所得を除いた所得の見積額を記載
②「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」には、退職手当等の退職所得が見込まれる配偶者・扶養親族がいる場合に必要事項を記入します。当欄は、住民税の計算時に控除の適用漏れを防ぐ目的で、2023年分の年末調整の申告書から新設されました。
②の欄には、該当する配偶者・扶養親族に関する以下の情報を記入します。
- 氏名
- 個人番号(マイナンバー)
- 申告者との続柄
- 生年月日
- 住所または居所
- 非居住者の区分
- 令和7年中の所得の見積額※
- 障害区分
- 異動月日および事由
- 寡婦またはひとり親かどうか
※「令和7年中の所得の見積額」欄には、退職所得を除いた所得の見積額を記載
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」について詳しく知りたい場合は、別記事「扶養控除申告書の書き方を記入例つきで解説【令和7年(2025年)版】」をご覧ください。
令和8年分扶養控除等(異動)申告書の注意点
令和8年分扶養控除等(異動)申告書については、「控除対象扶養親族」の名称が「源泉控除対象親族」に変更されています。
加えて、令和8年分扶養控除等(異動)申告書より「特定親族」のチェック欄が設けられています。
| 区分 | 所得金額 | 給与収入目安 |
|---|---|---|
| 特定扶養親族 | 58万円以下 | 123万円以下 |
| 特定親族 | 58万円超100万円以下 | 123万円超165万円以下 |
特定親族とは、19歳以上23歳未満で所得58万円超100万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円超165万円以下)の親族のことです。2026年から特定親族も扶養控除等(異動)申告書に記載が必要になります。
なお、19歳以上23歳未満の扶養親族で所得が58万円以下の場合は2025年分と同様、「特定扶養親族」にチェックを入れます。
年齢が19歳以上23歳未満の所得金額が58万円超123万円以下(給与収入で123万円超188万円以下)の親族も特定親族と定義されていますが、源泉対象扶養親族の特定親族は所得金額58万円超100万円以下(給与収入123万円超165万円以下)である点に注意しましょう。
2.給与所得者の基礎控除申告書の書き方
「給与所得者の基礎控除申告書」は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書兼 所得金額調整控除申告書」に記入欄が設けられています。
年間の合計所得額が2,500万円以下の場合は基礎控除の対象となるため、ほとんどの給与所得者は基礎控除申告書に必要事項を記入し、年末調整時に勤務先へ提出しなければなりません。
また、2025年(令和7年)度税制改正により、新たに「特定親族特別控除申告書」の記入欄が設けられています。
最上部の基本情報欄は、以下4種類の申告書の共通欄です。
- 基礎控除申告書
- 配偶者控除等申告書
- 特定親族特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
申告者の氏名・住所を忘れずに記入しましょう。
ここでは、その年の給与収入が650万円で、かつ給与所得以外の所得がないケースについて「給与所得者の基礎控除申告書」の記入例を解説します。
※本記事の記入例・計算例は、国税庁が公表している2025年分(令和7年分)の確定済み制度・様式にもとづいて解説しています
①「(1)給与所得」の「収入金額」を記入する
収入金額とは、給与から源泉徴収や社会保険料の天引きが行われる前の年間総支給額のことです。
源泉徴収票や給与支払明細書を参考にし、見積もった2026年中の給与収入見込額を「収入金額」欄に記載します。副業などで複数の勤務先から給与を受け取っている場合は、その合計額を記入してください。
今回の例では、収入金額欄に「6,500,000」と記入します。
②「(1)給与所得」の「所得金額」を記入する
所得金額は、給与収入から給与所得控除額を差し引いた金額です。2026年度は収入金額をもとに以下の計算式に当てはめて算出できます。
| 給与等の収入金額の合計額(A) | 改正後の給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円以下 | 65万円 |
| 190万円超 360万円以下 | (A)× 30% + 8万円 |
| 360万円超 660万円以下 | (A)× 20% + 44万円 |
| 660万円超 850万円以下 | (A)× 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円 |
今回のケース(給与収入650万円)の場合、給与所得は以下のように求められます。
給与所得控除額 = 650万円 × 20% + 44万円 = 174万円
給与所得 = 650万円 – 174万円 = 476万円
上記の表に当てはめ計算すると所得金額は476万円となり、②には「4,760,000」と記入します。
③「(2)給与所得以外の所得の合計額」の「所得金額」を記入する
給与所得以外の所得がある場合、「給与所得以外の所得の合計額」の欄に合計額を記載します。
| 所得の種類 | 給与所得以外の所得の例 |
|---|---|
| 事業所得 | 本業とは別に事業を行うことによって所得を得た場合 |
| 雑所得 | 原稿料や講演料などを得た場合 公的年金を受け取った場合 |
| 配当所得 | 株式投資の配当金を受け取った場合 |
| 不動産所得 | 所有している不動産を貸して収入を得た場合 |
詳細は、国税庁の「給与所得以外の所得の種類等」を確認してください。
④「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」を記入する
「給与所得の所得金額」と「給与所得以外の所得の合計額」を合算し、2026年中の合計所得金額の見積額を記載します。
今回のケースでは476万円のため、「4,760,000」と記入します。
⑤「区分と基礎控除の額」を記入する
記載した合計所得金額の見積額が該当する欄にチェックを付け、判定結果に対応する基礎控除額(95万円・88万円・68万円・63万円・58万円・48万円・32万円・16万円のいずれか)を「基礎控除の額」欄に記載します。
2026年(令和8年)分については、税制改正法案の成立状況によって金額が変更される可能性があるため、最新の国税庁公表資料を確認してください。
なお「区分Ⅰ」の欄は、配偶者控除もしくは配偶者特別控除を申告する場合に、「控除額の計算」欄の判定で出たアルファベットを記入します。それ以外の人は記入不要です。
今回のケースでは合計所得金額が476万円のため、「336万円超489万円以下」にチェックを付け、区分Ⅰには「A」と記入します。
3.給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方
配偶者控除もしくは配偶者特別控除の対象を受ける場合は、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の欄に記入します。
最上部の基本情報は、前述の「給与所得者の基礎控除申告書」と、後述の「所得金額調整控除申告書」と共通です。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を提出する場合は、忘れずに申告者本人の氏名と住所を記入しましょう。
①配偶者情報を記入する
まずは配偶者の氏名(フリガナ)や住所、生年月日を記載します。個人番号(マイナンバー)は不要のケースがあるため、勤務先に記入の要不要を確認してください。
配偶者が国外で暮らしている場合、「非居住者である配偶者」欄に◯を付け、「生計を一にする事実」欄に生活費や教育費に関する送金額を記載します。
この場合、親族関係書類および送金関係書類の添付が必要です。ただし、親族関係書類については、扶養控除等(異動)申告書を提出した際に添付している場合は必要ありません。
添付が必要な書類については、国税庁の「令和5年1月以後に非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ」を確認してください。
②「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」を記入する
配偶者の給与収入やその他所得をもとに、所得金額の見積額を記入します。
書き方と計算方法は、前述の「給与所得者の基礎控除申告書の書き方」で解説した収入金額と所得金額の算出方法と同様です。
③「判定」「区分Ⅱ」を記入する
「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」に記入した合計額および、配偶者の生年月日をもとに「判定」欄の該当箇所にチェックを付け、判定結果に対応する記号(①~④)を「区分Ⅱ」欄に記載します。
今回のケースでは「58万円以下かつ年齢70歳未満」の欄にチェックをし、区分Ⅱは「②」と記入します。
④配偶者(特別)控除の額を記入する
「区分Ⅰ」と「区分Ⅱ」の組み合わせを控除額一覧表へ当てはめ、該当する控除額を記入します。それぞれ以下の欄へ記載してください。
配偶者控除に該当する場合:「配偶者控除の額」
配偶者特別控除に該当する場合:「配偶者特別控除の額」
4.給与所得者の特定親族特別控除申告書の書き方
特定親族とは、生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下である人をいいます。
申告書には、以下の内容を記入します。
- 氏名
- 個人番号(マイナンバー)
- あなたとの続柄
- 生年月日
- 住所(同居していない場合のみ記入)
- 合計所得金額(見積額)
個人番号(マイナンバー)については、会社によっては記入が不要な場合があります。記入の要不要は勤務先に確認しましょう。
また配偶者と同様、国外で暮らしている場合は「非居住者である配偶者」欄に◯を付け、「生計を一にする事実」欄に生活費や教育費に関する送金額を記載します。
本年中の所得見積金額を記入し、「控除額の計算」から特定親族特別控除の額を当てはめ、控除額を記入しましょう。
5.所得金額調整控除申告書の書き方
所得金額調整控除には、以下2種類があります。
| 控除の種類 | 年末調整での申告 |
|---|---|
| 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除 | 〇 |
| 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除 | × (確定申告が必要) |
年末調整で対象となるのは、給与収入850万円超の給与所得者で、以下のいずれかに該当する場合です。
本人や扶養親族・配偶者が特別障がい者
23歳未満の扶養親族がいる
所得金額調整控除の対象となる場合は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の用紙の下部にある「給与所得者の所得金額調整控除申告書」の欄に記入をします。
一方、「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」は給与所得と年金所得がある人を対象とした控除ですが、年末調整では申告ができず、自身で確定申告を行うことで控除が適用されます。
給与収入額が850万円以下の場合は所得金額調整控除の対象外のため、所得金額調整控除申告書への記入は不要です。
最上部の基本情報の欄は、前述した「給与所得者の基礎控除申告書」「所得金額調整控除申告書」と共通です。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を提出する場合は、忘れずに申告者本人の氏名と住所を記入しましょう。
①「要件」欄の該当項目にチェックを入れる
以下の要件のうち、該当するものにチェックを付けます。 2つ以上の項目に該当する場合は、いずれか1つの項目にチェックを付けてください。
- あなた自身が特別障害者
- 同一生計配偶者が特別障害者
- 扶養親族が特別障害者
- 扶養親族が年齢23歳未満
なお、「特別障害者」「同一生計配偶者」「扶養親族」に当てはまる条件については、国税庁のホームページ「No.1160 障害者控除」や「令和7年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」をご確認ください。
今回は、23歳未満の扶養親族(子)を持つ給与所得者を例に記入例を解説します。
この欄では、「扶養親族が年齢23歳未満」の欄にチェックを入れます。
②☆または★欄に必要事項を記入
①の欄で「同一生計配偶者が特別障害者」「扶養親族が特別障害者」「扶養親族が年齢23歳未満」のいずれかにチェックを付けた場合、「☆扶養親族等」の欄に、要件に該当する同一生計配偶者または扶養親族の以下の情報を記入します。扶養親族が2人以上いる場合は、いずれか1人の情報を記載します。
- 氏名
- 個人番号(マイナンバー)
- 生年月日
- 住所(同居していない場合のみ記入)
- あなたとの続柄
- 合計所得金額(見積額)
①の欄で「あなた自身が特別障害者」「同一生計配偶者が特別障害者」「扶養親族が特別障害者」のいずれかにチェックを付けた場合、「★特別障害者」の欄を記入します。
ここには、要件に該当する自分自身・同一生計配偶者・扶養親族について、「特別障害者に該当する事実」を記載してください。
「特別障害者に該当する事実」とは、障害の状態または交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(障害の等級)などです。
なお、特別障害者に該当する方が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載している特別障害者と同一である場合、「扶養控除等申告書のとおり」にチェックを付ければ、ここでの記入は必要ありません。
今回のケースでは「☆扶養親族等」に該当する扶養親族が1名のため、上の記入例のとおり、扶養する子どもの名前や個人番号、生年月日などを記入します。
6.給与所得者の保険料控除申告書の書き方
「給与所得者の保険料控除申告書」は、給与所得者が生命保険料や地震保険料などの保険料控除を受けるために提出する書類です。
以下の4つのケースに当てはまる人のみ記入し、勤務先へ提出します。これらに当てはまらない人は、申告書の提出は不要です。
給与所得者の保険料控除申告書の提出対象範囲
- 生命保険に加入している場合:生命保険料控除の欄に記入
- 地震保険に加入している場合:地震保険料控除の欄に記入
- 勤務先以外で社会保険料を支払っている場合:社会保険料控除の欄に記入
- 小規模企業共済(iDeCoを含む)に加入している場合:小規模企業共済等掛金控除の欄に記入
本申告書を提出する人は、申告書の最上部の基本情報の欄に、自身の名前と住所を忘れずに記入しましょう。
(1)「生命保険料控除」欄の書き方
「生命保険料控除」欄の記入が必要なのは、その年に生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払っている人です。自身が加入している保険契約が控除対象であるか確認するには、国税庁が公表している「生命保険料控除の対象となる保険契約等」を参照してください。
生命保険料控除の欄は「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3項目に分かれています。自身が支払っている保険料の欄に記入を行います。
なお、生命保険料控除の欄は、自分が契約している保険会社から10月頃に送られてくる生命保険料控除証明書や契約時の保険証券を参照して記載します。
生命保険料控除に記入し本申告書を勤務先に提出する際は、旧生命保険料で一契約の保険料の金額が9,000円以下であるものを除き、「生命保険料控除証明書」の添付が必要です。
【一般の生命保険料・個人年金保険料の記入方法】
生命保険料控除の欄のうち、「一般の生命保険料」と「個人年金保険料」の書き方はほぼ同じです。この2つは保険の契約時期によって新契約と旧契約に区分され、新契約と旧契約では控除額の計算式や上限が異なるため注意しましょう。
一般の生命保険料の欄は、生命保険の加入者のみが記載します。保険会社から届いた「生命保険料控除証明書」と、契約時の「保険証券」に記載の情報を参照し記入を進めます。
個人年金保険料の欄は、勤務先以外で個人年金に加入している人のみが記入します。記入には、保険会社から届いた「生命保険料控除証明書(個人年金用)」と、契約時の「保険証券」の情報を参照します。
今回は「一般の生命保険料」に該当する生命保険に加入している以下のケースについて記入例とともに解説します。
加入する保険の種類:終身保険
契約者:本人
保険金等の受取人:妻
新旧区分:新契約
その年に支払う予定の保険料:4万8,000円
記入する項目は、以下のとおりです。
一般の生命保険料・個人年金保険料の記入項目
-
①保険会社等の名称
②保険等の種類
③保険期間又は年金支払期間
④保険等の契約者の氏名
⑤保険金等の受取人
⑥新・旧の区分
⑦あなたが本年中に支払った保険料等の金額(a)
⑧控除額の計算
⑦の「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」には、保険会社から交付される生命保険料控除証明書に記載されている「12月までに支払う予定の保険料額」を参照します。
⑧では、⑦で記入した金額(a)をもとに控除額を計算します。
契約している保険が新区分の場合は「A」の欄に、旧区分の場合は「B」の欄に(a)を記入しますが、契約が複数ある場合は、区分ごとに合算して「A」もしくは「B」の欄に記入してください。
まず「A」の金額を、以下の計算式(計算式Ⅰ)に当てはめます。算出された金額は「①」の欄に記入します。
| Aの金額 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 2万円以下 | Aの全額 |
| 2万1円から4万円まで | (Aの金額)× 1/2 +1万円 |
| 4万1円から8万円まで | (Aの金額) × 1/4 +2万円 |
| 8万1円以上 | 一律4万円 |
次に「B」の金額を、以下の計算式(計算式Ⅱ)に当てはめます。算出された金額は「②」の欄に記入します。
| Bの金額 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 2万5,000円以下 | Bの全額 |
| 2万5,001円から5万円まで | (Bの金額) × 1/2+1万2,500円 |
| 5万1円から10万円まで | (Bの金額)× 1/4+2万5,000円 |
| 10万1円以上 | 一律5万円 |
続いて「①」と「②」の欄に記入した金額を合算し、「③」の欄に記入しましょう。
「②」と「③」の金額を比較し、大きい額のほうを「㋑」の欄に記入します。これが生命保険料の控除額となります。
記入例の場合は「A」が4万8,000円のため、計算式Ⅰ(4万8,000円 × 1/4 + 2万円)に当てはめて「①」が3万2,000円となります。旧区分の保険料は支払っていないので、生命保険の控除額は3万2,000円です。
個人年金保険料の場合も、上記と同様の計算式で控除額を算出します。前述の「A」に対応するのは「D」、「B」に対応するのは「E」欄です。個人年金保険料の欄で算出した控除額は、「㋩」欄に記入します。
【介護保険料の記入方法】
この欄は介護医療保険の加入者のみ記入します。保険会社から届いた「介護医療保険料控除証明書」と、契約時の「保険証券」に記載の情報を参照してください。
今回は介護保険に加入している以下のケースについて、記入例とともに解説します。
加入する保険の種類:介護保険
保険期間:10年
契約者:本人
保険金等の受取人:妻
その年に支払う予定の保険料:3万6,000円
記入する項目は、以下のとおりです。
介護保険料の記入項目
-
①保険会社等の名称
②保険等の種類
③保険期間又は年金支払期間
④保険等の契約者の氏名
⑤保険金等の受取人
⑥あなたが本年中に支払った保険料等の金額(a)
⑦控除額の計算
⑥「あなたが本年中に支払った保険料等の金額(a)」については、その年に支払う予定の保険料額を記載します。金額は、保険会社から交付された介護医療保険料控除証明書に記載されている「12月までに支払う予定の保険料額」を参照してください。
今回の例では「36,000」と書きます。
そして、⑥の欄に記入した金額を「C」の欄に転記します。契約が複数ある場合は、合算して「C」の欄に記入してください。
介護保険料には、一般の生命保険料および個人年金保険料と異なり新・旧の区分はなく、すべて新契約に該当します。よって、「C」の欄に転記した金額を以下の計算式(計算式Ⅰ)に当てはめ、控除額を算出します。
| Cの金額 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 2万円以下 | Cの全額 |
| 2万1円から4万円まで | (Cの金額) × 1/2 + 1万円 |
| 4万1円から8万円まで | (Cの金額) × 1/4 + 2万円 |
| 8万1円以上 | 一律4万円 |
算出された金額は「㋺」の欄に記入します。これが介護医療保険料の控除額となります。
記入例の場合は「C」が3万6,000円のため、計算式Ⅰ(3万6,000円 × 1/2 + 1万円)に当てはめて「㋺」が2万8,000円となります。
【生命保険料控除額の記入方法】
一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の控除額を計算したら、最後に合計額を求めます。㋑+㋺+㋩の計算式で出た金額を右下の欄に記入しましょう。
ただし、生命保険料控除額の上限は12万円までです。したがって、㋑+㋺+㋩が12万円を超えた場合、控除額の欄には「120,000」と記載してください。
今回の場合は、㋑(3万2,000円)と㋺(2万8,000円)を合算した6万円が合計控除額のため、この欄には「60,000」と記入します。
(2)「地震保険料控除」欄の書き方
この欄は地震保険の加入者のみが記入します。保険会社から届いた「地震保険料控除証明書」に記載されている内容を参照してください。
今回は地震保険に加入している以下のケースについて、記入例とともに解説します。
加入する保険の種類:地震保険
保険期間:5年
契約者:本人
2025年(令和7年)中に支払う予定の保険料:4万2,000円
記入する項目は、以下のとおりです。
地震保険料の記入項目
-
①保険会社等の名称
②保険等の種類(目的)
③保険期間
④保険等の契約者の氏名
⑤地震保険料又は旧長期損害保険料区分
⑥あなたが本年中に支払った保険料等のうち、左欄の区分に係る金額(A)
⑦控除額の計算
⑦では、⑥で記入した(A)の金額のうち、地震保険料の合計額を(B)に、旧長期損害保険料の合計額を(C)に記入し、それぞれの金額を「地震保険料の控除額」の欄に転記しましょう。
(B)の上限は5万円で、(C)が1万円を超える場合は以下の計算式から算出した金額を記入します。
(C)が1万円を超える場合:(C)× 1/2 + 5,000(円)
ここで記入した(B)と(C)を合算した金額が、地震保険料の控除額です。上限は5万円なので、5万円を超える場合は「50,000」と記入してください。
今回のケースでは地震保険料のみのため、(B)に記入した4万2,000円がそのまま控除額となります。よって、「地震保険料控除額」の欄には「42,000」と記入します。
(3)「社会保険料控除」欄の書き方
この欄は、2025年(令和7年)中に国民年金、国民年金基金、国民健康保険、健康保険などの社会保険料を自身で支払った人のみ記入します。給与等から差し引かれた社会保険料は勤務先が把握しているため、年末調整で申告する必要はありません。
以下のとおり社会保険料を支払っていたケースの記入例とともに、書き方を解説します。
申告者本人
加入保険:健康保険
保険料:15万円
配偶者
加入保険:国民健康保険
保険料:15万円
社会保険料控除の欄に記入する項目は以下のとおりです。保険会社から送付される「社会保険料控除証明書」に記載の内容を参照し、記入を行います。
社会保険料の記入項目
-
①社会保険の種類
②保険料支払先の名称
③保険料を負担することになっている人の氏名とあなたとの続柄
④あなたが本年中に支払った保険料の金額
⑤合計(控除額)
④の金額は、「社会保険料控除証明書」に記載されているとおりに記入します。証明書の発行時点で支払った金額ではなく、12月までに支払う金額を記入してください。
社会保険料控除は、その年に支払ったすべての社会保険料がそのまま控除されるため、④で記載したすべての社会保険料を合算し、⑤の合計欄に記入します。
(4)「小規模企業共済等掛金控除」欄の書き方
この欄はiDeCo(個人型確定拠出年金)を含む小規模企業共済に加入している方のみ記入します。ただし、給与から差し引かれた掛金については勤務先が把握しているため、申告する必要はありません。
なお、控除を申告する際は、支払った掛金の証明書類の添付が必要です。
以下のうち、加入している小規模企業共済の欄に、その年の12月までに支払う掛金の金額を記入してください。
小規模企業共済等掛金控除の項目
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
- 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金
- 確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金
- 心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
たとえば、2026年中にiDeCoの掛金のみ18万円支払う場合は、記入例のとおり、上記のうち「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に「180,000」と記入します。
そして、その年に支払うすべての掛金を合算し、「合計(控除額)」の欄に記入します。
7.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の書き方
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の対象者のみが提出する申告書です。
年末調整で住宅ローン控除を受けられるのは、控除を受ける2年目以降である点に注意しましょう。住宅ローン控除を受ける最初の年は、年末調整での申告はできず、自身で確定申告をする必要があります。
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は税務署から控除対象者本人に送られてくる書類です。たとえば控除期間が13年の場合、税務署からは2年目以降の計12枚(=12年分)が一度に送られますので、紛失に注意してください。
書類の下部には「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」という欄がありますが、その欄は送られてきた書類にすでに印字されているため、書類上部の欄のみ記入します。
なお、住宅ローン控除は入居年によって計算方法などが異なるため、2025年(令和7年)分の住宅ローン控除適用を確定申告で受けた人が、2026年(令和8年)分について年末調整でこの控除を受ける場合について説明します。
(1)基本情報を記入する
申告書作成者本人の氏名・フリガナと住所に加え、勤務先名称(給与の支払者の名称)および住所(給与の支払者の所在地)を記載します。
「税務署長」「給与の支払者の法人(個人)番号」は、給与の支払者が記載する項目のため、空欄のままで問題ありません。
(2)詳細項目を記入する
「新築又は購入に係る借入金等の計算」欄は「A 住宅のみ」「B 土地等のみ」「C 住宅及び土地等」の3列に分かれています。控除対象となる住宅ローンが、A・B・Cのどれに該当するかを確認し、適切な欄に必要事項を記入しましょう。
記載方法や計算方法は以下のとおりです。
新築、購入及び増改築等に係る住宅借入金等の年末残高(①)
住宅ローンの「年末残高等証明書」の記載内容にしたがって、年末残高を対象区分の枠内に記入してください。2ヶ所以上から借り入れしている場合は、年末残高の合計額を記載します。
夫婦間などの連帯債務でローンを組んでいる場合は、年末残高のうち連帯で借りている金額を( )内に記入しましょう。
たとえばローンの年末残高の合計額が3,950万円で、全額を夫婦の連帯債務で借りている場合は記入例のとおりです。
住宅借入金等の年末残高(②)
①に記載した金額のうち、「単独で借りている残高+連帯債務で借りている残高×自分の負担割合」で算出した額を記載してください。連帯債務がある場合、( )内に自分が負担する割合を記載します。
たとえば、単独で借りている額が0、夫婦の連帯債務で借りている額が3,950万円の場合、夫婦それぞれ50%ずつ負担するなら、( )内は50、枠内には「1,975,000」と記入します。
取得対価の額(ロ)
取得対価等の額(ホ)
増改築等の費用の額(リ)
たとえば、取得対価の額(ロ)が1,100万円、取得対価等の額(ホ)が1,250万円、増改築等の費用の額(リ)が0円の場合、3項目の合計は1,100万円+1,250万円=2,350万円となります。
②の額(1,975万円)と3項目の合計(2,350万円)なら、②の額のほうが少ないため、③の枠内には「1,975,000」と記載してください。
③×「居住用割合」(④)
③で算出した金額のうち、居住用として使用する割合を記載しましょう。ビジネスには一切使用せず、専ら居住用として使用するなら( )内に100、枠内に③と同じ金額を記入します。
住宅借入金等の年末残高等(⑤)
④の合計額を記入します。対象となる住宅ローンの限度額である4,000万円を超える場合は、4,000万円と記載してください。
特定増改築等の費用の額(⑥)
特定増改築等の費用がある場合のみ、額面を記入します。特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けない人は、空欄のままで問題ありません。
特定増改築等の費用の額に係る住宅借入金等の年末残高等(⑦)
⑤と⑥を比較し、少ないほうの額面を記入します。ただし、特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けない人は、記載する必要はありません。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額(⑧)
⑤に0.7%(※)をかけた額面を記入します。⑤が1,975万円の場合は、以下の計算式になります。
1,975,000(円)× 0.7% = 1,382,500(円)
今回の場合は⑧に「1,382,500」と記入します。100円未満の端数は切り捨てます。
※2023年分の住宅ローン控除より、控除率が1%から0.7%に引き下げられました。計算の際はご注意ください
なお、東日本大震災の被害を受けた住宅等に対して住宅ローン控除が適用されており、新たに取得した住宅にかかるローンと控除適用年が重複する場合は、重複適用されている控除額を⑧の金額と合計し、「重複適用(の特例)を受ける場合の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」の欄に金額を記載します。
年間所得の見積額
年間所得の見積額を記載します。手取りの収入ではないため要注意です。
なお、年間所得が2,000万円を超える場合は、控除が適用されません。また、特例特別特例に該当する場合、年間所得が1,000万円を超えると控除の対象外となります。
まとめ
年末調整は、給与所得者がさまざまな所得控除や税額控除を適切に受けるために必要な手続きです。勤務先への提出期限までに間違いなくスムーズに書き終えられるように、各申告書の書き方を把握しておきましょう。
また、保険料控除などを受ける場合には、保険料や掛金の証明書もあわせて提出しなければなりません。保険会社から送付された証明書は、年末調整まで大切に保管してください。
年末調整は年に一度のみの作業となるため、記入が完了した書類はコピーを取っておくなど控えを残しておくと、翌年の記入がスムーズになるでしょう。
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よくある質問
年末調整で勤務先に提出する書類は?
年末調整を受けるすべての給与所得者は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。
そのほか、適用対象となる所得控除がある場合には「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」を提出します。
住宅ローン控除を受ける場合には、「住宅借入金等特別控除申告書」の提出も必要です。
詳しくは記事内「年末調整で提出する申告書の種類」で解説しています。
年末調整は何月に行う?
年末調整は、一般的に11月〜12月にかけて行われます。勤務先から申告書が配布され、従業員は扶養控除申告書や保険料控除申告書などを提出します。会社は提出内容をもとに所得税を再計算し、通常は12月または翌1月の給与で過不足税額を精算します。
詳しくは、記事内「年末調整の提出スケジュール・期限」で解説しています。
2026年の年末調整の変更点は?
2026年(令和8年)の年末調整では、基礎控除や給与所得控除の引き上げ、特定親族特別控除への対応、新しい源泉徴収税額表・申告書様式への変更などが予定されています。特に扶養親族の所得基準や申告書の記載内容が変わるため、最新情報の確認が重要です。
詳しくは、記事内「2026年の年末調整で変更される3つのポイント」をご覧ください。
年末調整は電子化できる?
年末調整は電子化が可能です。近年は、クラウド型の年末調整システムを活用し、申告書の配布・回収や控除証明書の提出をオンラインで完結する企業も増えています。電子化により、記入ミスや確認作業の負担軽減、ペーパーレス化などのメリットが期待できます。
詳しくは、記事内「2026年の年末調整を簡単に行う方法」をご確認ください。
参考文献
- 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」
- 国税庁「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」
- 国税庁「[手続名]給与所得者の保険料控除の申告」
- 国税庁「[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「年末調整で(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を受ける方へ」
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
- 国税庁「住民税に関する事項の入力」
- 企業年金連合会「税制改正により扶養親族等申告書の記入方法が一部変更されました!」
- 国税庁「令和7年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 国税庁「No.1411 所得金額調整控除」
- 国税庁「No.1130 社会保険料控除」
- 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」
- 国税庁「No.1145 地震保険料控除」


