開業の基礎知識

開業費の範囲とは?開業費に関する疑問を解決

開業費の範囲

事業を始めるにあたって、机や文房具などいろいろな経費がかかります。まだ開業していないが支払いがあるものはどのように帳簿付けすればいいのでしょうか。

開業のためにかかった費用は「開業費」で処理するのが一般的です。 開業していないが支払いがあるものは経費になるのか、なるならどこまで認められるのか?悩むところですね。ここでは、そんな「開業費」の範囲について解説します。

目次

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そもそも開業って?

開業費の範囲を見る前に、そもそも個人事業主の「開業」とは何なのでしょうか?
法人の場合は公証人役場で定款の認証をして、法務局で会社設立の登記をして初めて「設立」となります。つまり、設立の日は公的に証明されています。

個人事業の場合は、公証人役場で定款の認証や法務局での登記などは必要ありません。公的に証明された開業日は存在しません。いわば自分が開業しようと思ったら開業です。

個人事業の場合、開業した日をいつにすればいいか悩むところですね。それまでサラリーマンをしていた場合は、勤めていた会社を辞めて仕事を初めて受注した日や、初めて販売商品を仕入れした日、またはその月の1日などにすることが多いようです。

開業費とは

開業前の準備活動に要した費用は「開業費」で処理します。では開業費とは何でしょうか。
実は、開業費は経費ではありません。「繰延資産」という資産の科目です。資産の科目で一旦処理し、その後毎年少しずつ経費にしていきます。これを「償却」といいます。

なぜこのような処理をするかと言うと「開業前の準備費用があるから今後ずっと仕事をしていくことができる。つまり開業年度だけの費用ではなく、それ以降の年度にも影響するため開業年度だけの経費にはならない」という考え方があるからです。

開業費になるものとならないもの

個人事業主の場合、開業までに支払ったものは基本的に「開業費」になります。例えば、店舗を開く立地の調査費やパソコンの購入費、事務所の家賃などです。
ただし、開業費にできないものもあります。代表的なものを見ていきましょう。

1つあたり10万円以上するもの

1つあたりの取得価額が10万円以上する備品や機械は固定資産になります。
固定資産はその種類や使い方などによって、それぞれ何年で経費にするかなど法律で規定されています。そのため開業費にはできません。

販売用商品の仕入代金

販売目的で購入した商品や材料は開業後に販売等して利益を得るためのもので、「売上原価」になります。そのため開業費にすることはできません。

敷金など後日戻ってくるもの

敷金や加盟金などで後日戻ってくるものは、そもそも経費ではないため開業費にすることはできません。

礼金

礼金は事務所等を借りるときに貸主に支払う金額のうち、戻ってこない部分(月々の家賃を除く)をいいます。礼金も開業費と同じく繰延資産ですが、開業費とは取り扱いが異なるため、原則、開業費にすることができません。

法人の場合は個人事業主の場合と開業費の取り扱いが一部異なります。法人は、開業のためだけに特別にかかった費用しか開業費にできません。個人事業主の場合は、開業前に支払った事務所の家賃や従業員の給料は開業費にできますが、法人の場合それらは開業のためだけの費用ではないので開業費にできません。地代家賃や給与手当などの経費で処理します。

開業費として認められるのはいつまでに支払ったものか

開業初年度に帳簿付けをしていると「いったい開業から何年前までの支出が開業費として認められるのだろう」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。

実は、決まっていません。理論上、開業のために支出した費用は何年前のものでも開業費にすることができます。開業費について重要なのは、開業のために支出したものかどうかということです。

しかし、実務上5年も6年も前のものを開業費にすることはあまりありません。少し前のものを開業費にする場合は、それが開業のためにかかった費用だという証拠を残しておく必要があるでしょう。

開業費の領収書は一つひとつ帳簿付けしなければならない?

開業前に支出する費用は数多くあります。では、それをすべて一つひとつ帳簿に付ける必要があるでしょうか。望ましい姿としては、やはり明細ごとに一つひとつ入力することです。これが帳簿付けの基本だからです。

しかし、開業費の詳細を別途エクセルなどにまとめて集計している場合はまとめて入力しても差し支えないと考えられています。  

※あまりないとは思いますが、開業初年度で消費税の課税事業者の場合は最低限消費税の課税、非課税などの税区分ごとに分けて帳簿に付ける必要があります。この場合、必ず別途まとめたエクセルなどの資料とともに、開業費とした経費の領収書を保管するようにしてください。開業前の書類や領収書と開業後の資料や領収書は分けて保管しておきましょう。

開業費の帳簿付けには開業日が大事

開業費の帳簿付けには開業日が大事です。では少し具体的に見ていきましょう。

例)開業前に事務用品を1,000円購入した。
仕訳例

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
開業費 1,000円 元入金 1,000円 文房具購入


例)開業後に現金で事務用品を1,000円購入した。
仕訳例
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
事務用品費 1,000円 現金 1,000円 文房具購入


開業前と開業後では同じ事務用品の購入でも、仕訳が全く異なるのが分かると思います。
開業前にかかった経費は、「開業費」で処理します。また、開業前はそもそも事業がまだ始まっていないので、事業用の資金がありません。そのため「現金」でなく「元入金」という科目を使って仕訳する必要があります。

開業日を決定するのは「開業届」

見てきたとおり、開業費の範囲を決めるのには、開業した日が重要です。 この開業した日、開業したことを税務署に届け出する「開業届」に記載する欄があります。 つまり税務署に「開業届」を作成するときには開業した日を決めておかなければいけませんし、それを税務署に提出する必要があるのです。でも事業を始める人は、「開業届」なんて書いたことないという人ばかりです。そんなとき便利なのが「開業freee」。「開業freee」は、簡単な質問に答えるだけで、すぐに必要な書類を自動で作成できます。しかも費用は無料です。開業して「開業届」を作成するときは、「開業freee」を使いましょう。

まとめ

開業前に支払った費用は開業費で処理します。しかし、開業前に支払ったものでも開業費にならないものがあるので、その範囲に注意しましょう。では、開業前といっても何年前まで認められるのかというと、実は決まりはありません。開業費について重要なのは開業のために支出したものかどうかです。ただし、少し前のものを開業費にする場合は、証拠が必要でしょう。開業費の範囲を決めるのに重要なのは開業日です。開業日は「開業届」にその日付を記載し税務署に提出します。開業して「開業届」を作成するときは、簡単な質問に答えるだけで、すぐに必要な書類を自動で作成でき便利な「開業freee」を使いましょう。

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