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開業費は繰延資産として任意償却する! 仕訳や勘定科目の処理方法解説

公開日:2017/09/26
最終更新日:2020/02/19

開業費は繰延資産として任意償却する!仕訳や勘定科目の処理方法解説

事業を始めるにあたって、パソコンや事務用品など開業準備の経費がかかります。開業前に開業準備のため支払った「開業費」は、帳簿上「経費」として処理はできません。全額を勘定科目「繰延資産」として処理します。

繰延資産として処理された開業費は、税法上の「任意償却」をしてください。青色申告の赤字の繰越を上手に活かして任意償却すれば節税効果になります。

白色申告だと赤字を翌年以降に繰り越すことができないので、開業費の繰延資産による節税効果はあげにくくなります。

この記事では、開業前にかかった「開業費」の仕訳・処理方法と青色申告で申告するための方法をご説明します。

目次

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開業費とは繰延資産で処理する開業準備にかかった経費のこと

開業前の準備活動に要した費用は開業費で処理しますが、実は開業費は経費ではありません
繰延資産」という資産の科目です。
資産の科目で一旦処理し、その後毎年少しずつ経費にしていきます。これを「償却」といいます。

なぜこのような処理をするのかと言うと、「開業前の準備費用があるから今後ずっと仕事をしていくことができる。つまり開業年度だけの費用ではなく、それ以降の年度にも影響するため開業年度だけの経費にはならない」という考え方をするためです。

繰延資産の基本と個人事業の開業費

繰延資産とは「すでに代金を支払済または支払う義務が確定し、サービスや物の提供を受けているが、今年だけでなく翌年以降にも影響を与えるもの」を指します。

資産の科目で一旦処理し、その後毎年少しずつ経費にしていきます。この繰延資産には会計上のものと税法上のものがあり、会計上のものは次の5つだけです。

<会計上の繰延資産>

  1. 創立費
  2. 開業費
  3. 開発費
  4. 株式交付費
  5. 社債等発行費

個人事業主で関係があるのは、開業費と開発費です。

実務では会計上の繰延資産だけは足りないので、税法の繰延資産を付け足しています。

税法上のものは数がかなりあるのですが、個人事業でよく出てくるのは、建物を借りるときの礼金などの「権利金」や、フランチャイズなどの同業者団体の「加盟金」などです。

個人事業主の場合、開業までに支払ったものは基本的に繰延資産の「開業費」になります。

(例えば、店舗を開く立地の調査費やパソコンの購入費、事務所の家賃など)

1つ10万円以上の固定資産や、税務上の繰延資産にあたる礼金は、会計上の繰延資産ではないので、開業費にすることはできません

個人事業の開業費に「できる」「できない」支出については、関連記事を参照してください。

【関連記事】
開業費の範囲とは?開業費に関する疑問を解決

開業費は会計上5年 税法上任意で償却

開業費を何年で償却するのかは、会計上の考え方と税法上の考え方の2つがあります。

  • 会計上・・・5年で均等償却
  • 税法上・・・任意償却

会計上は5年間で均等に償却となっていますが、税法では任意償却です。

任意償却とは、その年に経費にする金額を0円から開業費の全額(2年目以降は帳簿価額)までの範囲で納税者が自由に決めることができる償却方法です。

そのため、今年は赤字になりそうだから償却を0円にしようだとか黒字が多いので開業初年度で全額経費にしようということが自由にできます。

実務上は税法にのっとって処理する場合が多いです。

開業費の帳簿付けとエクセル集計の場合

開業前に支出する費用は数多くあります。

帳簿付けの基本として望ましい姿は、やはり明細ごとに一つひとつ入力することです。

開業費の詳細を別途エクセルなどにまとめて集計している場合は、まとめて入力しても差し支えないでしょう。必ず別途まとめたエクセルなどの資料とともに、開業費とした経費の領収書を保管するようにしてください。

開業前の書類や領収書と、開業後の資料や領収書は分けて保管しておきましょう。

固定資産の登録については、通常一括で登録して問題ありません。

エクセルで開業費の詳細を集計している場合の仕訳

エクセルで開業費の詳細をまとめている場合、償却費の仕訳も明細ごとではなく一括で処理します。

<開業費の仕訳例>
例)開業前に事務用品を10,000円、机20,000円 合計30,000円を購入した。

開業費の事務用品と机購入の場合

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
開業費 30,000円 元入金 30,000円 文房具、机購入

別途エクセルなどでまとめている場合は、仕訳もまとめて開業費で処理します。

開業前はそもそも事業がまだ始まっていないので、事業用の資金がありません。

そのため「現金」でなく「元入金」という科目を使って仕訳する必要があります。

<開業費の決算時の仕訳例>
例)決算で開業費を全額、経費計上(償却)した。

決算時に開業費を全額償却した場合

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
繰延資産償却 30,000円 開業費 30,000円 償却額

借方勘定科目は一例です。普段使っている償却科目で問題ありません。

開業費は任意償却なので、初年度に全額を経費にすることもできます。

白色申告と青色申告での開業費償却の違い

開業費は会計上の繰延資産のため、決算の時に任意の金額を償却して経費にすることができます

償却額を出す際は、今年と翌年以降の損益(赤字か黒字か)に注意が必要です。

今年を黒字にしたいのであれば、開業費の償却額を少なくすべきでしょう。

赤字でも良いというのであれば開業費の全額を償却しても良いです。特に開業初年度は初期投資などで赤字になることも多いので、翌年のことも考えて開業費の償却額を決める必要があります。

所得税の申告が、青色申告か白色申告かでもいつ償却するかが変わります。

白色申告の場合赤字が繰り越せない

白色申告は翌年に赤字を繰り越すことができません。翌年の所得が大きく黒字になりそうな場合は、開業費の償却額を翌年多くなるように調整することで節税につなげます。

青色申告なら赤字を繰り越せる

青色申告の場合、翌年に多少黒字が出そうでも今年の赤字を繰り越せるので、開業費の償却をすることができます。赤字を翌年以降3年間繰り越すことができるからです。青色申告をするにはあらかじめ「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。

白色申告と青色申告との違い、青色申告の詳しい手続きについては関連記事を参照してください。

【関連記事】
白色申告での赤字の処理。青色申告とはどう違うのか?
開業したら税務署へ!開業届と青色申告承認申請書を提出しよう

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まとめ

事業を始めるために支出した開業費は、複式簿記ではいったん「繰延資産」として資産の部に全額計上します。その際、10万円を超える資産は繰延資産として処理することはできない点に注意が必要です。

開業費は毎年期末に償却することとなりますが、償却で赤字が出れば節税効果を得ることができます。青色申告ができれば赤字を3年間繰り越すことが可能です。

開業届や青色申告承認申請書の作成や青色申告の前提となる複式帳簿による仕訳など、面倒になりがちな手続きは確定申告ソフトfreeeなら簡単に可能になります。

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