監修 北田 悠策 公認会計士・税理士
カフェ・喫茶店は人々の憩いの場です。最近では、喫茶店とほかの業種を組み合わせてより人々との交流を深める場になる店舗も存在します。
本記事では、カフェ・喫茶店の開業前に決めるべき内容・開業資金の目安・開業前後に求められる広告宣伝などを解説します。
サービス・提供するメニュー・居心地の良さ・オリジナリティなど、コンセプトを持って地域に愛されるカフェ・喫茶店経営を目指しましょう。
目次
- カフェと喫茶店の違いは?
- カフェ・喫茶店の開業前に決めるべき内容
- 開業のコンセプトを考える
- 事業計画をプロに相談する
- 開業形態を考える
- カフェ・喫茶店開業資金の目安
- カフェ・喫茶店開業に必要なものと資金
- 自己資金で賄えない場合は?
- カフェ・喫茶店のメニューを考える
- カフェ・喫茶店開業前後の広告宣伝
- ホームページを作成する
- SNSを運用しよう
- カフェ・喫茶店開業の届けを保健所や税務署にする
- 保健所への営業許可申請
- 税務署への届け出
- カフェ・喫茶店開業後の経営のポイント
- 経営の現状を把握する
- 要因ごとに今後の経営方針を立てる
- まとめ
- freee開業なら、税務署に行かずに開業届をかんたんに作成
- よくある質問
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カフェと喫茶店の違いは?
2021年6月に食品衛生法が改正されるまでは、カフェ・喫茶店に関する許可には飲食店営業許可と喫茶店営業許可の2つがありました。
調理が必要な飲食物を提供するカフェでは飲食店営業許可が必要であり、加熱調理のみを行う喫茶店では喫茶店営業許可が必要でした。
食品衛生法の改正により、2021年6月1日以降は喫茶店営業許可が廃止され、現在では飲食店営業許可に統合されています。
カフェと喫茶店はイメージの違いはあるものの、どちらも飲食店営業許可の取得が必要である点では共通している業態です。
カフェ・喫茶店の開業前に決めるべき内容
ゼロからご自身でカフェ・喫茶店を開業する場合は、やらなければならない作業や手続きがたくさんあり、費用もかかります。
具体的にやらなければならない内容を把握し、節約しながら喫茶店の開業を目指しましょう。
開業のコンセプトを考える
まず、開業する店舗のコンセプトを考えます。明確なコンセプトを考えて店舗の個性を出せれば、お客様に対するアピールにつながります。
カフェ・喫茶店のコンセプト例は次の通りです。
カフェのコンセプト例
- コーヒーや紅茶に特化したカフェ
- 家族で楽しめるフードメニューを充実させたカフェ
- 学生向けのリーズナブルなカフェ
- 陶芸やパッチワークなどのものづくりができる体験型カフェ
喫茶店のコンセプト例
- 最高級の豆にこだわった喫茶店
- 自家焙煎で毎回挽きたてのコーヒーを提供する喫茶店
- ふわふわでバターが香ばしいモーニングのトーストがある喫茶店
- お客様が落ち着いて時間を過ごせる喫茶店
強いこだわりやコンセプトを持ち、消費者を引きつけるのはとても大切です。お客様がその店舗に価値を見出してくれれば、リピーターになってくれる可能性が高まります。しっかりとコンセプトを考え、サービスを提供していきましょう。
事業計画をプロに相談する
喫茶店を開業するにあたっては経営ノウハウや資金繰り、経理に関する知識も必要です。
喫茶店開業後に資金繰りなどで苦しまないためにも、事前に事業計画を細かく考え、可能であればプロに相談しましょう。
また、経理に関しては税理士にお願いする方法もありますが、会計ソフトを活用することでご自身でも経理を行えます。
最近では、レジと自動連携できる会計ソフトも利用可能です。ご自身で経理を行うと、お金の出入りの把握に役立つでしょう。
出典:freee株式会社「ユビレジ(iPadレジ)と同期し、会計ソフトへの売上入力を自動化」
開業形態を考える
カフェ・喫茶店は、企業と契約し、フランチャイズとして開業する方法も選択できます。経営ノウハウの提供・メニュー開発・資金援助・立地の調査や宣伝など、さまざまな支援を受けられスムーズな開業につながります。
ご自身のこだわりを強く反映することはできませんが、未経験者が大手のノウハウを取り入れながら開業できる点が魅力です。
ただし、充実したサポートを受けられる分、ロイヤリティなど本部に支払う費用も必要な
ので、その点も考慮したうえで決めましょう。
カフェ・喫茶店開業資金の目安
一般的に、カフェ・喫茶店の開業に必要な資金の目安は500〜600万円といわれています。以下では、開業に必要なものや自己資金で賄えないときの方法を紹介します。
カフェ・喫茶店開業に必要なものと資金
カフェ・喫茶店の開業には、店舗や調理設備、お客様が使用する設備などの準備が必要です。必要なものの例には以下が挙げられます。
カフェ・喫茶店の開業に必要なもの
- 不動産契約と家賃
- 調理設備
- 家具や照明
- 食器
- 人件費
- 広告宣伝費
最初に必要な資金のほとんどは、不動産の契約や家賃、お店の外装や内装に充てられます。
必要な資金は、店舗の立地や大きさによって異なります。「居抜き物件(※)」の活用により、費用を大幅に抑えることも可能です。
節約をしすぎて、イメージに合わない喫茶店になってしまっては本末転倒ですが、最初から費用をかけすぎても経営を圧迫してしまいます。コンセプトに沿って、お客様が喫茶店に求めるものを考えたうえで、バランスを取りながら初期投資をしていきましょう。
(※)居抜き物件…以前飲食店を経営していたお店を再利用する方法
自己資金で賄えない場合は?
喫茶店を開業するための資金を自己資金で賄えない場合は、以下の方法で資金を集めましょう。
資金を集める方法
- 銀行などの金融機関から融資を受ける
- 国民生活金融公庫を利用
- 助成金を申請する
たとえば、東京都中小企業振興公社が実施している「創業助成金」を活用すると、最大で400万円までの助成金の受給が可能です。こうした制度を上手く活用し、資金を調達しましょう。
出典:東京都産業労働局「創業助成金(東京都中小企業振興公社)」
カフェ・喫茶店のメニューを考える
カフェ・喫茶店を開業するうえで大切な作業のひとつに、メニューの決定が挙げられます。
まずは、一般的なカフェ・喫茶店に必ずあるような定番メニューを決めましょう。その後、ご自身のカフェ・喫茶店のオリジナルメニューを考え、アピールしたい商品はメニュー表の中でも目立たせましょう。
春夏秋冬、季節にあわせた商品は、目を引きやすいので、シーズンごとにメニューを考案する方法もおすすめです。
カフェ・喫茶店開業前後の広告宣伝
カフェ・喫茶店を開業したら、お店を知ってもらうための広告宣伝活動も大切です。スマートフォンの普及を受けて、近年ではインターネットを活用した広告宣伝が重視されています。
ホームページを作成する
お客様がお店の名前を検索した際、確実に見つけてもらうためにホームページやブログは重要です。ホームページは、プロに頼むとその分費用が発生します。初期費用を抑えたいときは、ご自身で作成する方法も選択肢です。
ホームページには、カフェ・喫茶店の場所や営業時間などのお店の基本情報、メニューと価格、スタッフ紹介などを記載しましょう。
SNSを運用しよう
余裕がある人は、ホームページ以外にもぜひSNSアカウントを持ちましょう。
Facebook・Twitter、きれいな写真を撮れるのであればInstagramもおすすめです。それぞれ利用層が異なり、情報発信だけでなくお客様とのコミュニケーションにも活用できます。
カフェ・喫茶店開業の届けを保健所や税務署にする
カフェ・喫茶店開業の準備が整ったら、保健所と税務署に届け出を提出しましょう。
どんな届け出が必要か、また、届け出をすぐに作成する方法をご紹介します。
保健所への営業許可申請
カフェ・喫茶店を開業する前に、保健所への営業許可申請をする必要があります。
店舗が決まったら、着工前に店舗の図面を持参し、保健所に事前相談に行きましょう。そして工事完成予定日の10日前までを目途に、必要書類を提出します。その際に、検査日も相談しておきましょう。
店舗が完成したら、保健所の担当者が店舗を訪れ、検査を行います。この検査をクリアして初めて、営業の許可を得られます。
また、「食品衛生責任者の資格申請」も必要です。これは施設の衛生管理や衛生教育を目的とした資格で、1万円ほどの講習を受ければ資格が得られます。また、規模次第(30人以上収容)では防火管理者も必要になります。
税務署への届け出
税務署には「開業届」を提出する必要があります。
法人ではなく個人事業主としてカフェ・喫茶店を開業する場合、税務署に開業を知らせる「開業届」の提出をしなければなりません。
その際、1月から12月までの所得を計算し所得税を申告する確定申告についても、簡単な知識を持っておきましょう。
確定申告には青色と白色の2種類があり、節税効果が高いのは青色申告です。一般的に青色申告は難しいと思われがちですが、会計ソフトを活用すれば白色申告と手間はほぼ変わりません。
むしろ、開業時に大きな資金が必要なカフェ・喫茶店の場合、青色申告の大きな節税メリットを活用しない手はありません。1年目から青色申告を選択するときは、開業届を提出する際に「青色申告承認申請書」も提出しましょう。
【関連記事】
青色申告承認申請書とは?書き方やいつまでに提出すべきか詳しく解説します
カフェ・喫茶店開業後の経営のポイント
カフェ・喫茶店では、コーヒーやパンなどの飲食物を提供し、その売り上げで店舗を経営します。開業後は経営状況を定期的に把握し、その後の店舗の運営に活かしましょう。
経営の現状を把握する
カフェ・喫茶店の経営には、売上に関する要因やコスト要因、内部環境要因や外部環境要因などが影響します。
たとえば、売上に関する要因には客数や客単価、回転率が挙げられます。コスト要因は、原材料費や水道光熱費、人件費を含む要因です。施設や設備などの内部環境要因、店舗のある地域の競合店の数などの外部環境要因も経営に影響する項目です。
カフェ・喫茶店の経営を改善するときは、上記の項目を調べ、経営の現状を把握するプロセスが大切です。現状の把握により、客数の減少が問題なのか、原材料費の上昇が問題なのかを確認できます。
要因ごとに今後の経営方針を立てる
経営の現状を把握し、どこに問題があるかを確認したら、要因ごとに今後の方針を立てましょう。
売上に問題があるならば、メニューの工夫や接客サービスの充実は有効な選択肢です。コストに問題があるときは、原材料費の見直し、水道やガスの節約などの対応策が考えられます。
また、午前中に人の流れが多い地域では、営業時間を変更してモーニングサービスを始める方法も挙げられます。カフェや喫茶店を取り巻く環境を考えて、要因に適した対策を行いましょう。
まとめ
カフェ・喫茶店の開業には、コンセプトや事業計画の考案、店舗や設備の準備が必要です。
飲食店営業許可や食品衛生責任者資格の申請、税務署への届け出なども求められます。必要な項目を把握して、ひとつひとつ進めていきましょう。
カフェ・喫茶店は、開業後の状況の把握も大切です。客数や回転率、原材料費や人件費がどのようになっているかを確認して、カフェ・喫茶店の経営に役立てましょう。
freee開業なら、税務署に行かずに開業届をかんたんに作成
個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
そこでおすすめなのが「freee開業」です。ステップに沿って簡単な質問に答えていくだけで、必要な届出をすぐに完成することができます。
freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業とfreee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。
よくある質問
カフェ・喫茶店の営業で必要な許可は?
飲食店営業許可の取得が必要です。以前は飲食店営業許可と喫茶店営業許可の2つの種類がありましたが、現在は飲食店営業許可に統合されています。
カフェ・喫茶店の営業で必要な許可を知りたい方は「カフェと喫茶店の違いは?」をご覧ください。
カフェ・喫茶店の開業で必要な準備は?
コンセプトや事業計画の考案、資金の準備、店舗を知ってもらうための広告宣伝などを行います。
必要な準備を詳しく知りたい方は「カフェ・喫茶店の開業前に決めるべき内容」をご覧ください。
監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。