開業の基礎知識
開業費の範囲とは?開業費に関する疑問を解決
事業を始めるためにかかった費用は、開業費と呼ばれます。開業費は節税に大いに役立ちますので、どんなものが開業費になるのか、帳簿付けはどうすればいいのかなど知っておく必要があります。
ここでは、そんな開業費の範囲について詳しく解説します。
目次
そもそも開業とは
開業費の範囲を見る前に、そもそも個人事業主の「開業」とは何なのでしょうか?
法人の場合は公証人役場で定款の認証をして、法務局で会社設立の登記をして初めて「設立」となります。
つまり、設立の日は公的に証明されています。
個人事業の場合は、公証人役場での定款の認証や、法務局での登記などは必要なく、公的に証明された開業日は存在しません。自分が開業しようと思ったら開業です。
開業届と開業日
個人事業を開業する際は、所轄の税務署に開業届を提出します。開業届には、開業日を記入する欄がありますので、自分で決めた開業日を記入しましょう。
ただ、個人事業の場合、開業した日をいつにすればいいか悩む方も少なくありません。
それまでサラリーマンをしていた場合は、勤めていた会社を辞め、個人として仕事を初めて受注した日や、初めて販売商品を仕入れした日、またはその月の1日などにすることが多いようです。
開業費とは
開業日までに、準備活動のために使った費用のことを「開業費」もしくは「開業準備費」と言います。業種にもよりますが、開業を決意してから実際に営業を開始するまでに色々と出費が発生するものです。
開業までの準備費用には、特別の取り扱いが認められており、収入から控除(こうじょ)することができます。
開業費と節税について
個人事業を開業すると、開業した年の12月31日までの所得を自分で計算・申告しなければなりません。これを確定申告と言います。
事業にかかった経費などを差し引くことを控除といい、差し引かれた金額に対して税金が課税されます。このため、少しでも控除金額を多くすることが節税への第一歩です。
出費一つ一つの金額は小さかったとしても、積み重なれば無視できない金額になります。開業前から、開業のためにかかった費用に関しては領収書をもらい、保管しておきましょう。
開業費は繰延資産
開業費は経費ではなく、「繰延資産」という資産の科目です。
このため、資産の科目で一旦処理し、その後毎年少しずつ経費にしていきます。これを「償却」といいます。
なぜこのような処理をするかと言うと「開業前の準備費用があるから今後ずっと仕事をしていくことができる。つまり開業年度だけの費用ではなく、それ以降の年度にも影響するため開業年度だけの経費にはならない」という考え方があるからです。
ちなみに、開業前に購入したか、開業後に購入したかによって、会計上の仕訳は下記のように異なります。
例)開業前に事務用品を1,000円購入した。
仕訳例
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
開業費 | 1,000円 | 元入金 | 1,000円 | 文房具購入 |
例)開業後に現金で事務用品を1,000円購入した。
仕訳例
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
事務用品費 | 1,000円 | 現金 | 1,000円 | 文房具購入 |
開業前にかかった経費の勘定科目は「開業費」です。開業後に購入したら、文房具類であれば「事務用品費」に分類されます。
また、開業前はそもそも事業がまだ始まっていないので、事業用の資金がありません。そのため「現金」でなく「元入金」という科目を使って仕訳する必要があるのです。
法人と個人事業主の開業費の違い
ちなみに、法人の場合は個人事業主の場合と開業費の取り扱いが一部異なります。法人は、開業のためだけに特別にかかった費用しか開業費にできません。
個人事業主の場合は、開業前に支払った事務所の家賃や従業員の給料は開業費にできますが、法人の場合それらは開業のためだけの費用ではないので開業費にできません。地代家賃や給与手当などの経費で処理します。
開業費の範囲
ここでは、何が開業費になって、何が含まれないのか、その範囲についてご説明します。
開業費になるもの
個人事業主の場合、開業までに支払ったものは基本的に「開業費」になります。例えば、店舗を開く立地の調査費やパソコンの購入費、事務所の家賃などです。
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開業費の例
- 開業のためのセミナーへの参加費用
- 調査のための旅費、ガソリン代
- 通信費用
- 打ち合わせ費用
- 関係先への手土産
- 開業までの借入金利子
- 広告宣伝費
- パソコン購入費用
開業費にできないもの
開業費にできないものもあります。代表的なものを見ていきましょう。
10万円以上するもの
1つあたりの取得価額が10万円以上する備品や機械は固定資産になります。
固定資産はその種類や使い方などによって、それぞれ何年で経費にするかなど法律で規定されています。そのため開業費にはできません。
また、定常的に業務で発生する備品については、10万円以下であっても開業費に含まれない可能性があります。
仕入代金
販売目的で購入した商品や材料は開業後に販売等して利益を得るためのもので、「売上原価」になります。そのため開業費にはなりません。
敷金・礼金
敷金や加盟金などで後日戻ってくるものは、そもそも経費ではないため開業費にすることはできません。
礼金は事務所等を借りるときに貸主に支払う金額のうち、戻ってこない部分(月々の家賃を除く)をいいます。
礼金も開業費と同じく繰延資産ですが、開業費とは取り扱いが異なるため、原則、開業費にすることができません。
開業費として認められるのはいつまでに支払ったものか
開業初年度に帳簿付けをしていると「いったい開業から何年前までの支出が開業費として認められるのだろう」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
実は、決まっていません。理論上、開業のために支出した費用は何年前のものでも開業費にすることができます。
開業費について重要なのは、開業のために支出したものかどうかということです。
しかし、実務上何年も前のものを開業費にすることはあまりありません。
少し前のものを開業費として処理する場合、それが開業のためにかかった費用だと説明できるようにしておきましょう。
開業費の領収書は一つひとつ帳簿付けしなければならない?
開業前に支出する費用は数多くあります。では、それをすべて一つひとつ帳簿に付ける必要があるでしょうか。望ましい姿としては、やはり明細ごとに一つひとつ入力することです。これが帳簿付けの基本だからです。
しかし、開業費の詳細を別途エクセルなどにまとめて集計している場合はまとめて入力しても差し支えないと考えられています。
※あまりないとは思いますが、開業初年度で消費税の課税事業者の場合は最低限消費税の課税、非課税などの税区分ごとに分けて帳簿に付ける必要があります。この場合、必ず別途まとめたエクセルなどの資料とともに、開業費とした経費の領収書を保管するようにしてください。開業前の書類や領収書と開業後の資料や領収書は分けて保管しておきましょう。
なお、後述する会計freeeを使えば、会計ソフトに必要情報を入力するだけで開業費を簡単に処理することができます。開業費を入力するといったサポートのページや、チャットでの質問も可能な上、会計初心者でも簡単に入力できるよう設計されています。
会計freeeの固定資産登録画面。情報を入力すれば自動で計算してくれる
開業日を決定するのは「開業届」
これまで見てきたとおり、開業費の範囲を決めるのには、開業した日が重要です。
前述した通り、開業届には開業日を記載する欄があります。
つまり税務署に開業届を作成するときには開業した日を決めておかなければいけませんし、それを税務署に提出する必要があるのです。
しかし新たに事業を始める方の多くは、「開業届」を書いた経験がないはずです。
そこでおすすめしたいのが、開業freeeです。開業届を始め、開業に必要な届出をすべて無料で作成することができます。
開業freeeなら、税務署に行かずに開業届をかんたんに作成
個人事業をスタートした際は「開業届」、青色申告をするためにはさらに「青色申告承認申請書」の提出が必須です。 記入項目は決して多くはありませんが、どう書けばよいか悩んでしまう方は少なくありません。
そこでおすすめしたいのが「開業freee」です。ステップに沿って簡単な質問に答えるだけで必要な届出がすぐに完成します。
開業freeeで作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。
毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
開業freeeの使い方を徹底解説
開業freeeを使った開業届けの書き方は、
準備→作成→提出
の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

Step1:準備編

準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。

事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。

申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。

給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。

さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。

入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。
地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。

届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、開業freeeを活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成も会計freeeを使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
開業freeeと会計freeeを使って、効率良く届出を作成しましょう。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに書類を作成し納税をすることが重要です。
青色申告と白色申告の違いを知りたい!という方は、こちらもご参照ください。「青色申告と開業届の基礎知識!青色申告のメリットと白色申告との違い」
書類の作成には、手書きのほか、国税庁の「確定申告等作成コーナー」や会計ソフトで作成する方法がありますが、「確定申告書の作成は難しいのでは?」と苦手意識をお持ちの方も多いでしょう。
そこでお勧めしたいのが、確定申告ソフト「会計freee」の活用です。
会計freeeは、会計の知識がないから不安だという方でも、質問に沿って答えていくだけで簡単に書類を作成することができます。
以下に書類を完成させるまでのステップをご紹介します。
1.銀行口座やクレジットカードを同期すれば自動入力!
1年分の経費の入力はとても面倒。会計freeeなら、銀行口座やクレジットカードを同期することで自動入力にできます。日付や金額だけでなく、勘定科目を推測して自動入力してくれるので、作業時間と手間を大幅に省くことができます。
2.簿記を知らなくても手軽に入力できる!
会計freee現金での支払いも、いつ・どこで・何に使ったか、家計簿感覚で入力するだけととても手軽です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるので、簿記を覚えなくても迷わず入力することができます。
有料のスタータープラン(年払いで月額980円)、スタンダードプラン(年払いで月額1,980円)は
チャットで確定申告についての質問が可能。
さらに、オプションサービスに申し込むと電話で質問も可能です。
価格・プランについて確認したい方はこちら。最大30日間無料でお試しいただけます。
3.質問に答えるだけで税金は自動計算
保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は、税金が安くなります。それらの難しい税金の計算も、会計freeeなら、質問に答えるだけで自動算出。確定申告のために、わざわざ税金の本を買って勉強をする必要はありません。
4.あとは確定申告書を税務署に提出するだけ
会計freeeを使って確定申告書を自動作成したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば完了です。
マイナンバーカードとカードリーダの用意があれば、ご自宅からでもすぐに提出が完了するので、税務署に行く手間がかかりません!
e-Taxでネットで確定申告:PC・スマホでのやり方とメリットまとめ【2019年(令和元年)10月最新情報】
会計freeeを使うとどれくらいお得?
確定申告ソフトの会計freeeには、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。
税理士さんなどに経理を依頼した場合、経理の月額費用は最低でも1万円ほど、確定申告書類の作成は最低でも5万円〜10万円ほどという場合がほとんどです。会計freeeなら、月額980円〜でステップに沿って質問に答えるだけで、簡単に確定申告を完了することができます。
余裕を持って確定申告を迎えるためにも、ぜひ確定申告ソフトの活用をご検討ください。
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