日本では、個人事業主だけでなく全ての国民が医療保険制度に加入することを義務付けられています。医療保険制度の形態はさまざまですが、個人事業主が加入すべき国民健康保険とは、具体的にどういった保険のことを指すのでしょう。
本記事では、個人事業主が加入すべき健康保険や加入方法・条件などについて詳しく解説をしていきます。
目次
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個人事業主になったら社会保険はどうする
日本では原則として、すべての国民が社会保険(健康保険)か国民健康保険に加入する義務があり、これを「国民皆保険」といいます。健康保険制度には以下の種類があります。
簡易課税制度の適用条件
- 健康保険…企業に勤める社員が対象
- 共済組合…公務員、私学の教職員が対象
- 船員保険…船員が対象
- 後期高齢者医療制度…75歳以上及び65~74歳で一定の障害のある方が対象
- 国民健康保険…上記以外の方が対象
出典:全国健康保険協会「医療保険制度の体系」
この5種類の健康保険制度のうち、主に会社員が加入しているのは「健康保険(社会保険)」です。一方で、個人事業主が加入するのは「国民健康保険」です。ここでは、この2種類の健康保険制度について解説していきます。
会社員と個人事業主の社会保険の違い
社会保険(健康保険)は会社勤めの方が加入する保険で、介護保険や厚生年金保険などと合わせて「社会保険」と呼ばれることもあります。一方「国民健康保険」は、会社勤めをしていない個人事業主や無職の人が加入する保険を指します。
「国民健康保険」と「健康保険」の特徴は以下の表のとおりです。
項目 | 個人事業主 | 会社員 |
保険の種類 | 国民健康保険 | 社会保険(健康保険) |
保険料の負担割合 | 全額自己負担 | 会社と折半 |
医療費負担 | 3割負担 | |
出産手当・傷病手当 | 無 | 有 |
保険料の算出 | 前年の所得により算出 ※世帯人数により増額 | 一定期間の給与等の平均額により算出 ※扶養人数による増額なし |
支払い方法 | 自分で支払う必要がある | 給与から天引き |
国民健康保険は保険料が全額自己負担で出産手当や傷病手当がなく、さらに世帯人数に応じて保険料が増額されます。
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社会保険とはこんな仕組み!国民健康保険との違いや、切替方法を解説
個人事業主が加入できる社会保険の種類
個人事業主は国民健康保険以外に、別の健康保険制度へ加入できる場合もあります。選択肢としては下記のとおりです。
個人事業主が選択できる社会保険
- 国民健康保険
- 健康保険組合などの任意継続
- 各団体の国民健康保険組合
- 扶養家族として社会保険に加入
ただし、それぞれ申請に期限があったり審査などの条件があったりと加入できない場合もあります。
個人事業主が加入する国民健康保険
前項で、個人事業主が加入できる健康保険を4種類あげました。それらの特徴や加入方法を詳しく解説していきます。
国民健康保険の保険証が発行されるまでの流れ
国民健康保険は、他の医療保険に加入していない全ての国民を対象とした医療保険制度です。会社員として働いていた人が個人事業主になった場合は、国民健康保険への加入が義務付けられます。
国民健康保険の加入においての必要書類は以下のとおりですが、会社の健康保険で家族を扶養している方とそうでない人で必要書類が若干異なるので注意が必要です。
国民健康保険の加入は、勤めていた会社を退職した日の翌日から14日以内に手続きを行う必要があります。上記の書類を用意したら、居住地の市区町村役所で手続きを行ってください。心配な人は、事前に電話して持参するものを確認しておくとよいでしょう。また、国民年金への加入もあわせて行うことをおすすめします。
なお、政府は、現在使われている健康保険証を2024年の秋に廃止し、マイナンバーカードへ一体化したかたちに切り替えると発表しています。この機会にマイナ保険証への切り替えをしておくとよいかもしれません。詳しくは、マイナ保険証の仕組みやメリットを確認してみてください。
国民健康保険の保険料
国民健康保険の保険料については、主に以下3つの要素で決定されています。
平等割 | 一世帯に定額でかかる部分 |
均等割 | 世帯における国民健康保険加入者数 均等割額 × 加入者数 = 均等割 |
所得割 | 前年総所得金額 - 43万円 × 所得割額 = 所得割 |
国民健康保険の保険料は自治体によって異なり、なかには上記に「資産割」が加わる場合があります。また、40歳以上65歳未満の加入者には介護保険料が上乗せされ、その合計が国民健康保険の保険料として請求される仕組みです。
健康保険組合などの任意継続
任意継続のメリットの1つとしては、扶養家族の保険料を払わずに済むことが挙げられます。いくつか条件はありますが、扶養家族が多い場合は任意継続をすればお得になることもあるでしょう。
会社員をやめて個人事業主になる方が該当しますので、1つの方法として検討してみてください。
任意継続の方法
会社の健康保険を任意継続するには期限があり、退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。この期間を過ぎてしまうと申請できませんので注意が必要です。 具体的な手続きの流れは、以下のとおりです。
任意継続する方法
- 任意継続要件を満たしているか確認する
- 任意継続被保険者資格取得申出書を取得する
- 居住地域を管轄する組合または協会に提出する
任意継続条件の詳細は、会社が所属する健康保険組合または健康保険協会に問い合わせてみましょう。提出書類については、生計維持・同一世帯居住関係を証明するために課税証明書や住民票のコピーなどの提出が求められることもあります。
任意継続する場合の保険料と継続期間
任意継続の申請が認められた場合は、最長2年間継続することができます。ただし、会社負担はないため保険料の全額を支払う必要があり、さらに1日でも保険料の支払いを滞納すると脱退となります。
任意継続期間の2年を経過した場合は、期間満了時に「任意継続被保険者資格喪失通知書」が送られてきますので、指示に従い速やかに保険証を返却しましょう。
各団体の国民健康保険組合
ここからは、各業界に特化した国民健康保険組合・団体・協会などをご紹介していきます。
国民健康保険と少し趣旨が異なりますが、場合によっては国民健康保険に加入するよりも費用を抑えられる可能性があるので比較し、検討してみてください。
ここでは、主な国民健康保険組合をご紹介します。
- 文芸美術国民健康保険組合
- 東京美容国民健康保険組合
- 地方自治体ごとの国民健康保険組合
文芸美術国民健康保険組合
文芸美術健康保険組合(通称:文美国保)は、法人化していない文芸・美術・著作などに従事する個人事業主が加入できる国民健康保険組合です。文美国保に加入するためには、この組合を構成する団体のいずれかに加入する必要があります。
それぞれ入会費や年会費が必要な場合もありますので、加盟団体一覧を参考に、ご自身が運営する事業に近い団体に問い合わせてみましょう。
文尾国保は保険料が所得に関係なく一定なので、個人事業主として多くの所得がある方にはおすすめの健康保険です。
保険料に関しては、以下のとおりです。
事業主組合員/月額 | 24,800円(内訳:医療分19,600円後期高齢者支援金分5,200円) |
同一世帯家族/月額 | 14,800円(内訳:医療分9,600円 後期高齢者支援金分5,200円) |
未就学児/月額確認 | 12,000円 |
※一人当たり保険料
東京美容国民健康保険組合
東京美容国民健康保険組合は、美容業界では唯一の公法人組合です。こちらは東京都内の事業所において美容の業務に従事している方が対象で、神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・山梨県に居住していることが条件です。こちらも文尾国保と同じく保険料は一律で、所得金額に影響されません。なお、東京美容国民健康保険組合は、法人化した後でも加入可能です。
保険料は、以下のとおりです。
事業主組合員/月額 | 19,000円(内訳:医療分15,500円後期高齢者支援金分3,500円) |
同一世帯家族/月額 | 8,500円(内訳:医療分5,000円 後期高齢者支援金分3,500円) |
未就学児/月額確認 | 5,000円 |
※一人当たり保険料
地方自治体ごとの国民健康保険組合
前述した健康保険の他にも、地方自治体や職種によって構成された健康保険組合が全国に数多く存在します。
これらは、あなたが健康保険に加入したい地域と健康保険組合と検索すれば、簡単に各自治体の国民健康保険組合が見つけられます。あなたの運営する事業に最適な国民健康保険組合を探してみてください。
扶養家族として社会保険に加入
家族が入っている社会保険の扶養になるという方法もあります。
個人事業主として開業している青色申告者であっても、配偶者や家族の扶養に入ることは可能です。
ただし、家族の扶養に入るための条件を満たしていない場合は、自分で国民健康保険に加入しなければいけません。
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個人事業主は扶養に入れる?扶養に入るメリットと要件を解説
個人事業主の社会保険と確定申告
個人事業主が加入できる健康保険の紹介をしてきましたが、ここからは保険料と確定申告について解説していきます。
会社員や公務員などは収入は給与所得になるので、年末調整で社会保険料控除を申告することが可能です。一方で、年末調整のない個人事業主は、確定申告をする際に社会保険料控除をあわせて申告する必要があります。
申告した金額は全額課税所得額から差し引かれるため、正しく申告することで課税所得額が減り、所得税額や住民税額も減らせ節税ができます。
控除の対象となる保険料は主に下記のとおりです。
各保険料 | ポイント |
国民健康保険料 | ・自分で納付額を計算して記載 |
国民年金保険料 | ・11月頃に送られてくる「社会保険料控除証明書」に記載の納付額を確定申告書類に記入 ・証明書は書類に添付して提出 |
労働保険料 | ・給付基礎日額によって金額が異なる |
配偶者などの家族の社会保険料 | ・家族が自分自身の社会保険料を社会保険料控除に含めていない場合に限られる |
ちなみに、個人事業主が負担した従業員の社会保険料は、社会保険料控除ではなく福利厚生費として経費計上が可能です。
漏れがないよう正しく申告し、課税所得額を抑えて節税に努めましょう。
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確定申告時に受けられる国民健康保険料の控除とは
まとめ
会社員向けの健康保険と個人事業主向けの国民健康保険は、加入条件から保険料まで大きく異なります。
国民健康保険にはさまざまな種類があり、所得によって加入すべき国民健康保険が異なる場合もあります。できる限り支出を抑え、最適な健康保険を探してみてください。
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よくある質問
個人事業主はどの社会保険にはいる?
個人事業主が加入する保険の選択肢は、主に「国民健康保険」「健康保険組合などの任意継続」「各団体の国民健康保険組合」「扶養家族として社会保険」の4種類です。それぞれ家族構成・所得額・職種など、人によって適した保険は異なります。
ただし、加入時の条件や審査がある場合があり、希望する健康保険に加入できないこともあるため、それぞれの加入条件などを確認して選択肢しましょう。
詳しくは記事内「個人事業主が加入する国民健康保険」をご覧ください。
個人事業主が任意継続する方法は?
会社員をやめて個人事業主になる場合、国民健康保険に加入するのではなく、健康保険組合などの任意継続を選択することもできます。ただし、会社の健康保険を任意継続するには期限があり、退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。
詳しくは記事内「健康保険組合などの任意継続」をご覧ください。