給与計算・労務管理の基礎知識

雇用契約書とは?意味や記載事項、労働条件通知書との違いを解説

雇用契約書は、法律的にはもちろん、使用者と労働者の雇用上のトラブルを回避するうえでも重要な書類です。雛形をもとに実際の書き方、パートなど正社員以外の扱い、試用期間中の雇用契約書のあり方などについて詳しく確認していきます。

雇用契約書とは?記載事項や必要な理由

雇用契約書とは、使用者と労働者の間の労働における取り決めを書類にしたものです。お互いに同意して書類として残すことによって、仕事でのルールの再確認に繋がりますし、のちのち問題が起きた際にも、書面で記した内容であれば対応することができます。従業員にとっても契約をしっかりと確認できるメリットがありますが、会社にとっても将来のトラブル発生を防止するという意味で必要な書類なのです。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

雇用契約書に似た書類として、労働条件通知書というものがあります。実際には、記載事項など、内容はほとんど変わりません。異なるのは、お互いに同意したうえでの契約書であるかどうかという点です。雇用契約書には使用者と従業員両方の署名又は記名押印が必要ですが、労働条件通知書は使用者側が一方的に従業員に条件を開示するものであって、使用者側の署名又は記名押印のみにとどまります。

また、法律的にはどちらが雇用の書類として正しいものかという規定はありません。雇用契約を結ぶ際は、雇用契約書または労働条件通知書のどちらかを明示すれば問題ありません。

雇用契約書で記載しなければならない事項

雇用契約書とほぼ同等の意味がある労働条件通知書の例です。厚生労働省の様式例では労働基準法によって定められた必要事項がしっかりと網羅されています。

具体的に雇用契約書を作成する際に必要な項目が、次の10項目です。

  • 契約期間
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 始業と終業の時刻
  • 休憩時間
  • 交替制について
  • 休日
  • 有給休暇
  • 賃金
  • 退職
詳細な労働条件通知書(雇用契約書)様式例は、厚生労働省のページで確認できます。なお、雇用契約書にするには、従業員の署名欄を設ける必要がありますので注意してください。

必須項目でないが記載しておくと良い事項

従業員に対して会社のルールを明示するという意味であれば、厚生労働省の提供する雛形でも十分ですが、のちのちのトラブルを避けるためには、制裁についても記載をしておくことが望まれます。

具体的には、無断欠勤や勤怠状況が良くない場合の減給や懲戒処分などが制裁に当たります。労働基準法では、制裁について定めがある場合に周知する必要がありますので、会社で規定をする際は、併せて記載しておくとより安心です。

パートやアルバイトの雇用契約書

雇用契約を結ぶのは正社員だけではありません。パートやアルバイトについても、雇用契約書をしっかりと結ぶ必要があります。

労働契約だけであれば口頭でも契約は成り立つ

「このような条件で契約を結びますよ。」という口頭での取り付けだけで、労働契約自体は結ぶことができます。ただし、口頭で契約をする際は、お互いに同意しているということが前提です。

労働条件については書面による提示が必要

口頭で雇用契約が結ばれるのであれば、わざわざ書面で提示する必要はないのではと考えもあるかもしれません。確かに、契約をするという面だけ見れば必要ないでしょう。しかし、労働基準法や労働契約法では、書面によって労働条件を従業員に明示しなくてはならないという定められているため、雇用契約書をとりかわします。

なお、労働基準法によると、従業員に労働条件が明示されていなかった場合、使用者である企業は30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

ここで説明している従業員というのは、決して正社員だけに限りません。雇用形態に関わらず従業員であれば労働条件を明らかにする必要があるため、雇用する従業員がパートやアルバイトという形態であっても、雇用契約書を作成します。

一般的な雇用契約書との違い

パートタイムやアルバイトで従業員を雇用する場合、雇用契約書の作成は基本的には一般的な労働基準法に適ったものと大きく変わりありません。しかし、そこにパートタイム労働法第6条が加わるため、一般的な雇用契約書に追加する形で、昇給の有無、賞与の有無、退職手当の有無も記載する必要があります。

試用期間の雇用契約書

使用期間中であっても、本採用と同じように従業員として業務を行うため、雇用契約書の締結が必要です。また、正規・非正規どちらの場合の使用期間でも、雇用契約書の締結が必要になります。

試用期間中の労働と一般的な労働の違い

会社にもよりますが、試用期間といってもどのような人材なのか見極めるために会社側が設定している期間なので、労働内容に関しては一般的な内容と変わりありません。

違いがあるのは、法的な拘束力です。基本的には特別な事情がない限り、試用期間とともに解雇ということはできませんが、試用期間中については一般的な雇用よりも広い範囲での解雇が法的に認められています。

たとえば解雇の理由として認められるのが、従業員側の経歴詐称、試用期間中の複数回の無断欠勤、勤怠態度が悪く改善されない、協調性がなく会社に損失を与えるような言動などです。合理的な理由や社会通念上の理由があれば、一般的な労働者と比べて会社側は解雇しやすくなります。

試用期間でも雇用契約書を取り交わした方が良い理由

試用期間を経て、正式に雇用するときに雇用契約書を結ぶという企業も少なくありません。しかし、試用期間であっても、従業員の雇用にあたっては労働条件を書面で通知しなければなりません。試用期間にも雇用契約書を取り交わすか、労働条件通知書の作成・交付が必要です。

試用期間中に契約を明示しなかったことで、解雇が難しくなるなどの問題に発展する可能性も考えられます。試用期間で雇用契約書を交わす際は、一般的な記載事項に追記する形で、解雇の取り扱い、本採用になったときの手続きなどを記載すると良いでしょう。

なお、長期の試用期間は社会通念上、無効となります。試用期間を設ける場合は、長くても半年程度にとどめましょう。

まとめ

雇用契約書は、労働における取り決めを行い明示することによって、事前にトラブルを防ぐ意味もあります。正社員やパートなど従業員とはもちろん、試用期間のある従業員とも雇用契約書をとりかわすようにしましょう。



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