契約の基礎知識

割印の役割とは?契約書に必要な押印の種類について解説

監修 関口 勇太 弁護士(第二東京弁護士会)

割印の役割とは?契約書に必要な押印の種類について解説

割印とは、複数の文書にまたがって印影が残るよう押印する方法のことを指します。割印は契約書などが2部以上ある場合に、それらの文書が同時に作られ、同じ内容であることを示すために用います。

本記事では、割印の役割や必要性、押印方法について解説します。あわせて、契約書に必要な押印にはどのような種類があるのかについてもまとめました。契約書を作成するうえで参考にしてください。

目次

契約書における割印とは

割印(わりいん)とは、複数の文書にまたがって印影が残るよう、印章(はんこ)を押す押印方法のことです。割印をすることで、複数の文書が同じ内容である、または関連しているものであることを証明し、文書の改ざんやコピーを防ぐことができます。

たとえば、契約書を作成するときは契約をする当事者分の契約書を用意するのが一般的です。その際、2部以上の文書が同じ内容であることを示すために割印を行い、契約者双方が一部ずつ受け取ります。

ほかにも、「基本契約書」と「その細則を定めた覚書」など、2つの文書の関連性を示す場合に割印をするケースや、領収書とその控えに割印をすることもあります。

契約書に割印がないと法的効力はどうなる?

契約書に割印が押されていなかったとしても、契約書の法的効力に影響はなく、一般的に署名や契約印があればその契約は成立します。しかし、割印を押すことで、改ざんのない正しい契約書であることが主張できます。

割印とほかの押印との違い

割印のほかにも契約書には、さまざまな印章・押印方法が用いられます。それぞれの役割について見ていきましょう。

契印

契印(けいいん)とは、契約書や申請書などの文書が複数ページにわたる場合に、それぞれのページにまたがって印影が残るよう、印章を押す押印方法のことです。契印はページの連続性を示して文書の差し替えや抜き取りを防ぐ目的で押します。

契約印

契約印は、契約書の末尾にある当事者の署名の後ろに押した印鑑のことです。署名にかかるように押しても、やや離した場所に押しても構いません。名義人の印章で押印してあることで、当事者の意思に基づいて押印されたもので、文書が真正に成立したものと証明することができます。

消印

消印(けしいん)とは、収入印紙を貼付した際に、印紙と契約書にまたがって押す印のことです。契約書以外にも郵便物と切手にまたがって押す印も「消印」と呼びます。消印は、収入印紙や切手が使用済みであることの証明となり、再利用を防ぐ役割があります。

訂正印

訂正印とは、契約書の文面に間違いがあった場合に、その内容を訂正・修正するために押す印のことです。文書に訂正印を押すことによって、契約書作成者本人による訂正であることを証明し、改ざんではないことを示すことができます。

捨印

捨印(すていん)は、あらかじめ文書の余白部分に押しておき、誤りが見つかったときに訂正印として利用できるようにしておくための印です。捨印の隣に文書内の訂正内容を記すことで、訂正を行ったことを示す役割があります。

割印に適した印章のサイズ

割印をするときに使う印章は、署名(捺印)に使用したものと同じでなくても問題ありません。個人の場合であれば契約印には実印を、割印には認印を使うことも可能です。

一方、法人の場合は割印のための専用の印章を作成する場合もあります。刻印内容は法人名とするのが一般的で、末尾に「◯◯之割印」などの文言を入れることもあります。

割印専用の印章は縦長の物が多く、下記のサイズがよく用いられます。

<割印線用の印章サイズの一般例>

  • 12.0mm×30.0mm
  • 13.5mm×33.0mm
  • 15.0mm×36.0mm

書体には特に決まりはありませんが、篆書体(てんしょたい)などが一般的に使われています。

篆書体の刻印例

契約書に割印をする際のポイント

割印をする際には一定のルールがあります。続いては、割印の方法や、失敗した場合の訂正方法について見ていきましょう。

割印の押印方法

割印をするときは、まずそれぞれの文書をずらして重ねます。ずらし方は、文書を上下にずらす、または斜め方向にずらすのが一般的です。2人以上が署名・捺印をしている場合は、全員分の割印が必要となります。複数名が割印をする場合は、最初に押された印影がずれないように注意しましょう。


契約書が2枚の場合の割印の押印方法

また、複数ページにまたがる文書の場合はすべてのページに割印が押されていなくてはなりません。縦長の印章は複数ページ同時に押すことが可能ですが、丸形の印章で長さが足りない場合は2ヵ所に割印を行うようにします。


契約書が2枚以上ある場合の割印の押印方法

なお、領収書と控えに割印をする場合は、両者を切り離す場所に割印をします。


領収書の割印の押印方法

割印を失敗した場合の訂正方法

割印をうまくできなかったときは、別の場所に押し直すのが原則です。文書にまたがるよう、あらためて慎重に割印をします。

失敗した場所に重ねて押印すると、印影がずれてしまい、割印の役割が果たせなくなる可能性が高いため避けましょう。失敗した割印には、二重線を引くなどの手を加える必要はありません。

電子契約は割印を行う手間がかからずに便利

近年は、電子契約サービスを活用して契約書を交わす企業も増えています。電子契約では、紙の契約書のように、割印をはじめとする押印の必要がありません。代わりに電子サインを用います。

電子サインとは、従来の署名捺印の代わりに本人性を担保し、内容に改ざんがないことを保証する仕組みです。電子サインの方法のひとつである電子署名は、「公開鍵暗号」「公開鍵基盤(PKI)」「ハッシュ関数」という3つの技術を使うことで、より厳格に本人性・非改ざん性を担保しています。

【関連記事】
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まとめ

紙の契約書を作成するときは、割印をはじめとする押印作業が必須です。電子契約であれば、電子サインや電子署名を利用することで、割印はもちろん、紙の契約書に必要とされていた押印も不要になります。

さまざまな契約書を電子化することで、作成にかかる手間やコストが削減され、よりスピーディーな契約締結が可能になるでしょう。

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監修 関口 勇太 弁護士(第二東京弁護士会)

立川法律事務所(東京弁護士法人本部)事業部長弁護士 。
大学卒業後に大手テニススクールにてテニスコーチを務めながらテニス選手として活動し、その後、弁護士を志す。現在は、地元である東京都立川市に拠点を構える立川法律事務所(東京弁護士法人本部)にて、事業部長弁護士として、個人向け業務から法人向け業務まで、民事事件から刑事事件まで幅広い業務を担いながら、さまざまな分野・業種の企業法務を多く取り扱っている。

監修者 関口勇太弁護士

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