開業の基礎知識

個人事業主はローンを利用できる?種類や審査基準・事業の資金調達方法を解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

個人事業主はローンを利用できる?種類や審査基準・事業の資金調達方法を解説

個人事業主が利用できるローンは、「個人向けローン」と「事業者向けローン(ビジネスローン)」の大きく2つに分けられ、それぞれ使途が異なります。また、個人向けローンには、住宅ローン・教育ローン・カードローンなどさまざまな種類があります。

いずれも融資を受けるには審査を通過する必要があるため、一般的な審査基準を知り、審査通過できるように準備をしましょう。

本記事では、個人事業主が利用できるローンの種類や審査基準、事業者向けローン以外で事業資金を調達する方法を紹介します。

目次

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個人事業主はローンを利用できる?

金融機関が定める申込条件を満たし、審査を通過すれば、個人事業主もローンを利用できます。個人事業主が利用できるローンは、大きく以下の2種類です。

個人事業主が利用できる2つのローン

  • 個人向けローン
  • 事業者向けローン(ビジネスローン)

個人向けローンと事業者向けローンは、使途や対象者が異なります。

個人向けローン

個人向けローンは、生活費や住宅・車の購入など、個人的な使途に利用できるローンです。主に以下のような種類があります。

ローンの種類概要
住宅ローン住宅の購入や新築・増築・改築などに必要な資金を借り入れるローン
教育ローン子どもの教育費のためのローン
マイカーローン自動車に関する諸費用を賄うためのローン
カードローン利用限度額が設定されたローン。その範囲内であれば繰り返し借り入れが可能

一般的に、個人事業主・フリーランスは、会社員と比較して個人向けローンの審査を通過するのが難しい傾向があります。個人事業主は、毎月一定の給与を受け取る会社員と比べて収入が不安定な傾向があるためです。

しかし、収入が安定していることを示せれば、個人事業主やフリーランスであっても問題なくローンを借り入れることができます。

具体的には、過去2〜3年分の確定申告書や収支内訳書、事業用口座の入出金履歴、請求書の写しなどを用意して、継続的に収入があることを証明しましょう。返済能力を評価してもらいやすくなります。

個人事業主の住宅ローンはフラット35が向いている

個人事業主でも審査が通りやすい住宅ローンのひとつとして、「フラット35」が挙げられます。

フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。

全期間固定金利のため、変動金利型の民間金融機関の住宅ローンなどと比較すると金利が高いというデメリットがあります。

しかし、フラット35は審査のために提出する書類は直近2年分の確定申告書で足り、返済能力の審査はそのうち直近1年分の所得をベースに行われます。つまり、開業間もない個人事業主や、直近の業績がよいフリーランスでも利用しやすいといえます。

一般的に、個人事業主が民間金融機関の住宅ローンに申し込む際、直近2期~3期分の確定申告書と決算書の提出が必要です。ただし、フラット35でも、金融機関によっては直近3期分の提出を求められたり、返済負担率や物件に関する基準があったりするケースもあります。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」

事業者向けローン(ビジネスローン)

事業者向けローンとは、法人や個人事業主が事業資金を調達するためのローンです。銀行・事業者金融・信販会社など、さまざまな金融機関が提供しています。

多くの事業者向けローンは、担保・保証人なしで利用できます。個人的な使途には利用できませんが、事業資金であれば原則として使途に制限がありません。

審査が比較的早く、資金調達を急ぐ場面でも役立ちますが、銀行融資や公的融資と比べて金利が高い傾向にあります。

【関連記事】
必ず借りれるビジネスローンはあるのか?確実に資金調達をするために

個人事業主がローンを利用するケース

個人事業主がローンを利用する主なケースは、以下の通りです。

ローンの種類利用するケース例
個人向けローン・生活費が足りないとき
・住宅を購入・リフォームしたとき
・教育費が必要なとき
・自動車を購入したとき
事業者向けローン(ビジネスローン)・仕入資金や給与を支払うための資金が必要なとき
・事業拡大のための設備資金が必要なとき
・納税資金が必要なとき
・つなぎ資金が必要なとき

ローンを利用すれば、急な出費や資金不足に対応できる可能性があります。目的と返済スケジュールを確認のうえ、自身の状況に合ったローンを選びましょう。

個人事業主がローンを利用する際の審査基準

個人事業主に限らず、ローンを利用する際は審査に通過する必要があります。審査基準は金融機関によって異なり、詳細は公表されていません。

以下では、一般的に審査で見られるとされている項目を紹介します。対策を行ったうえで申し込みましょう。

個人向けローンの審査基準

ローンの種類によって異なりますが、個人向けローンの審査では、主に以下の項目が見られます。

個人向けローンの審査で見られる主な項目

  • 安定かつ継続した所得の有無
  • 信用情報

安定かつ継続した所得があるかどうかは、ローンの審査で重視される項目のひとつです。安定した所得の有無を確認するために、審査時は一般的に収入の証明ができる書類の提出が求められます。

たとえば、住宅ローンの審査では、直近2期~3期分の確定申告書などをもとに確認されます。

信用情報は、ローンやクレジットカードの利用状況を登録した個人情報です。信用情報に滞納などの情報が登録されていると、返済能力がないとみなされ、審査に通過しにくくなります。

事業者向けローン(ビジネスローン)の審査基準

事業者向けローンの審査で見られる項目は、以下の通りです。

事業者向けローンの審査で見られる主な項目

  • 信用情報
  • 財務状況
  • 業歴
  • 資金使途

たとえば、赤字決算・債務超過状態である、あるいは税金を滞納していると、返済能力がないとみなされ、審査に通過しにくい可能性があります。業歴が浅いことも審査に通過しにくくなる要因となる場合があり、金融機関によっては、「業歴○年以上」と具体的な基準を設けているケースもあります。

また、資金使途が明確であることも重要です。使途に具体性がないと正しく資金が使われないとみなされ、審査に影響するかもしれません。

これらの審査基準は、金融機関によって異なります。上記に該当するからといって通過できないとは限りません。

個人事業主が事業資金を調達する方法

個人事業主は、事業者向けローン以外でも、以下の方法で事業資金を調達できます。

個人事業主が事業資金を調達する主な方法

  • 日本政策金融公庫
  • 助成金・補助金
  • 銀行融資
  • 信用金庫・信用組合
  • クラウドファンディング
  • 消費者金融・事業者金融

それぞれ以下で詳しく解説します。

【関連記事】
個人事業主が受けられる融資とは?個人事業主の資金調達方法をご紹介

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は財務省所管の特殊会社で、日本に5つある政策金融機関のひとつです。個人事業主や中小企業の経営者を対象に、事業資金・運転資金の調達をサポートします。

融資のプランはいくつかありますが、開業前に利用できる制度としては「新規開業・スタートアップ支援資金」が挙げられます。

新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人が無担保・無保証(連帯保証人なし)で融資を受けられる制度です。売上や確定申告などの実績がなくても、運転資金や設備資金の融資を申し込めます。

申込内容によっても異なりますが、融資が決まるまでの一般的な所要日数は申し込みから2週間程度です。

日本政策金融公庫では、ほかにもさまざまな融資を行っています。各種融資制度に関する案内を受けたい人は、最寄りの支店で相談しましょう。

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
出典:日本政策金融公庫「よくあるご質問 事業を営む方 個人・小規模企業の方(国民生活事業)」

助成金・補助金

助成金・補助金は、国(厚生労働省や経済産業省など)や地方自治体などが支給するお金です。融資とは異なり、原則、返済の義務はありません。

助成金・補助金は明確に区別されているわけではありませんが、一般的に補助金と呼ばれるものは、あらかじめ予算が設定されています。申請者の中から採択されるため、要件を満たしたうえで申請しても、支給されるとは限りません。

助成金・補助金に関して詳しく知りたい方は、別記事「【2024年最新】個人事業主が開業する際に活用できる助成金・補助金・支援金を解説」をご覧ください。

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21「補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。」

銀行融資

事業資金を調達できる銀行融資は、「プロパー融資」と「保証付き融資」に分けられ、都市銀行や地方銀行などが融資を行います。

プロパー融資銀行が直接行う融資
保証付き融資公的機関の信用保証協会が返済を保証する融資

一般的に銀行融資は、審査基準が厳しいとされていますが、事業者向けローンと比べて金利が低い点がメリットです。

信用金庫・信用組合

信用金庫・信用組合による個人事業主や中小企業を中心に行う融資は、地域の活性化などを主な目的としています。そのため、地域に密着した事業であれば融資を受けられる可能性が高まります。事業者向けのローンと比べて、低金利であることが多いです。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で資金調達を行う方法です。事業内容や資金使途を公開し、興味をもった支援者・見込み顧客から出資・融資を受けられます。

また、市場の反応を確かめられるため、単なる資金調達にとどまらず、マーケティング・市場調査の手段としても活用できます。

資金調達を成功させるポイントは、事業内容を的確かつ丁寧に説明し、共感と信頼を得ることです。

実績がなくても資金を調達できる方法ですが、目標額に到達しない可能性があります。そのため、多くの人に知ってもらうための情報発信や、事業を魅力的に見せる工夫が必要です。

消費者金融・事業者金融

消費者金融・事業者金融の特徴は、即日融資や24時間いつでも借入可能など、利便性が高いサービスを提供している点です。

無担保・無保証(連帯保証人なし)で融資を受けられますが、銀行や信用金庫などに比べると、金利が高めに設定されています。

個人事業主がローンや融資を利用するための事前準備

個人事業主がローンや融資を利用して円滑に資金を調達するためには、事前準備が欠かせません。民間金融機関や公的機関に融資の相談をする際、準備しておくべき主な情報・項目は、以下の通りです。

個人事業主がローンや融資を利用するための事前準備

  • 必要な金額
  • 融資が必要になった理由
  • 返済計画
  • 用意できる担保・保証人
  • 確定申告書などの書類

申し込みをする前に、本当に融資が必要なのか、自己資金でカバーできないかなどを考えたうえで、必要な金額・理由を明確にしましょう。

また、現在の資産状況を踏まえた無理のない返済計画を立てなければなりません。返済シミュレーションを利用し、利息がいくらになるのかなども試算しましょう。

ローンの種類によっては、確定申告書や事業計画書などの提出が必要です。事業計画書は、融資の可否を判断するために重要で、記載されている内容に実現性があるかが確認されます。

まとめ

個人事業主が利用できるローンは、「個人向けローン」と「事業者向けローン(ビジネスローン)」の2種類に分けられます。生活費や住宅・車の購入などの個人的な資金が必要な場面では個人向けローン、事業資金が必要な場面では事業者向けローンが検討できます。

ローンの種類にかかわらず、融資を受ける際は審査を通過しなければなりません。円滑に資金調達できるよう、事前準備を行ったうえで申し込みましょう。また、ローンを利用する際は事前に返済シミュレーションを行い、無理のない返済計画を立てることが重要です。

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よくある質問

個人事業主が利用できるローンの種類は?

個人事業主が利用できるローンは、住宅ローンやマイカーローンなどの「個人向けローン」と、事業資金を調達する「事業者向けローン」に分けられます。

詳しくは記事内、「個人事業主はローンを利用できる?」をご覧ください。

個人事業主がローンの審査で見られる項目は?

ローンの審査では返済能力の有無を判断されます。そのため、信用情報などが見られますが、項目は個人向けローンと事業向けローンで異なります。

詳しくは記事内、「個人事業主がローンを利用する際の審査基準」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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