監修 北田 悠策 公認会計士・税理士
フランチャイズオーナーは、独立開業する際の選択肢のひとつです。ただし、フランチャイズといっても、多種多様な業種があり、業種ごとに年収が異なります。
また、フランチャイズオーナーは 未経験でも始めやすく開業当初から売上を立てやすいメリットがある半面、ロイヤリティを支払う必要があるなどのデメリットもあります。
本記事では、フランチャイズオーナーとしての独立に興味・関心がある人に向けて、基礎知識を紹介します。
雇われ店長との違いや、どのような人がフランチャイズオーナーに向いているのかも解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
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フランチャイズとは
フランチャイズ(franchise)とは、「会社の設立認可」「営業許可」などの意味の英単語です。
ビジネスモデルのひとつであり、「フランチャイザー」と呼ばれる親企業が加盟店に一定地域内での営業販売権を与えることを指します。加盟店は、営業販売権を得る代わりに親企業に「ロイヤリティ」と呼ばれる対価を支払います。
フランチャイズの形態をとっている業種は、コンビニ・居酒屋・ラーメン屋など、多種多様です。塾・デイサービス・ハウスクリーニングなどでも、フランチャイズ展開しているケースがあります。
フランチャイズオーナーとは
フランチャイズオーナーとは、各種フランチャイズチェーンと加盟契約を締結し、事業の運営を手がける人です。フランチャイザーからさまざまなサポートを受けることは可能ですが、直接経営に携わるのはオーナー自身です。
雇われ店長の場合、ご自身で資金を用意せずに済みます。一方、フランチャイズオーナーの場合、開業資金を拠出しなければいけません。ただし、経営が軌道に乗って収益が増えれば、雇われ店長よりも大きな収入を得ることを期待できます。
なお、オーナー自身で店長・店員の役割を果たすケースのほか、人を雇って現場を任せるケースも見受けられます。
フランチャイズオーナーの年収
フランチャイズオーナーの年収は、同じ業種でも地域・立地条件によって差があります。各業種のフランチャイズオーナーの収入(目安)は以下の通りです。
各業種におけるフランチャイズオーナーの収入の目安
- コンビニエンスストア:400~700万円程度
- 飲食店:400~1,000万円程度
- 塾:500~800万円程度
- リペア(修理)サービス:500〜700万円程度
- 買取専門店:400~1,000万円程度
上記以外にも、多種多様な業種でフランチャイズオーナーが募集されています。平均年収など、詳細を知りたい場合は、各フランチャイザーに問い合わせましょう。
フランチャイズオーナーとして事業を営むメリット
フランチャイズのオーナーになる最大のメリットは、未経験でもビジネスを構築できる点です。「いつか自分の事業をもちたい」「独立したい」と思っても、やりたいビジネスアイデアがなかったり、失敗を恐れたりする人は少なくありません。
フランチャイズでは、仕入れルート・販売方法・集客ノウハウなど、ビジネスを展開するために必要な知識と経験がパッケージになっています。何か事業を立ち上げようと思うと、その道のノウハウや専門知識が必要ですが、フランチャイズでは未経験からでもビジネスを構築することが可能です。
フランチャイズ加盟店として事業を営めば、すでに一度成功しているノウハウを入手できます。また、フランチャイズ展開している企業は有名企業が多く、立ち上げの段階からブランド力を得られます。
成功しているモデルを展開するため、通常の新規事業に比べて収益予測が立てやすいことがメリットです。事業者本人にとっても安心ですし、収益予測を立てやすければ、銀行からの借り入れもしやすくなります。
フランチャイズオーナーとして事業を営むデメリット
フランチャイズオーナーになるデメリットもいくつかあります。まず挙げられるのは、ロイヤリティの支払です。
フランチャイズへの加盟期間中は、本部に対してロイヤリティを払い続ける義務があります。多くのフランチャイズでは、「売上比率何%」という支払形態をとっており、中には「月額固定」形態のところもあります。
月額固定のロイヤリティの場合、思うように利益が出なかった月もロイヤリティの支払が発生するため注意が必要です。
また、オーナーとして事業を営むことになりますが、ある程度は本部のマニュアルにしたがわなければいけません。オリジナルメニューの提供や、店舗独自の販促キャンペーンができないところもあるため、自分の思う通りにやりたい人には不向きです。
また、メリットのひとつに「ブランド力」を得られる点がありますが、本部やほかのフランチャイズ加盟店が何か事件を起こし、ブランド毀損があった場合に影響を受けるリスクがあります。
フランチャイズオーナーに向いている人
開業資金を用意できて、店舗運営の経験がある人は、フランチャイズオーナーに適しています。フランチャイザーの理念・方針に賛同する姿勢をもつことも重要です。
さらに、与えられたルールの枠内で創意工夫し、売上増を実現するために努力を惜しまない性格であることが求められます。従業員や顧客と良好な関係を構築することが求められるため、コミュニケーション能力も欠かせません。
フランチャイズオーナーとして事業を営むうえでの注意点
フランチャイズオーナーになるメリット・デメリットを把握したうえで、オーナーに興味がある場合は、気になる業種の情報を収集しましょう。加えて、自己資金の準備や開業後の経理なども欠かせない要素となるため、事業を開始する前に以下の注意点を把握してください。
フランチャイズオーナーとして事業を営むうえでの注意点
- 必要な自己資金を事前に確認する
- 経理作業はオーナーが行う必要がある
- スタッフ雇用後は人事労務が発生する
必要な自己資金を事前に確認する
フランチャイズオーナーを検討している人は、どの程度の自己資金を用意しなければいけないのかを知っておくことが重要です。
フランチャイズ加盟店の募集情報には、「50万円以下で開業可能」や「開業資金不要」などの条件もあります。ただし、手持ちの資金が少ない状態で事業を開始すると、不測の事態が発生した際に不安に陥る可能性があります。ある程度の資金を確保したうえで、フランチャイズオーナーとしての事業を開始しましょう。
経理作業はオーナーが行う必要がある
フランチャイズの本部は、経営ノウハウを提供してくれますが、一般的に実務面(経理など)のサポートは実施してくれません。そのため、帳簿の管理や日々の経理・確定申告は、オーナー自身で実施する必要があります。
また、お店を開業したら、経理処理以外にも、多くの業務が発生します。事業規模が拡大すると自分一人ではまかなえなくなるため、売り上げが伸びてきたらスタッフの雇用も検討しましょう。
スタッフ雇用後は人事労務が発生する
スタッフを雇用すると、シフト管理や給与管理など、人事・労務に関連したバックオフィス業務が発生します。
経理処理とも共通しますが、作業をできる限り効率化することが重要です。人事・労務管理ソフトウェアの活用や、業務の一部を外部の専門業者に委託するアウトソーシングも検討して、本業に専念できる体制を構築しましょう。
フランチャイズオーナーとして事業を営むための最初のステップ
フランチャイズオーナーとして事業をスタートしたい人は、自己資金を確保し、業種を決めて資料請求しましょう。内容を精査し、条件に納得できた場合は、契約を締結してください。
そのうえで、1年目から青色申告で確定申告する場合は、税務署に開業届や青色申告承認申請書を提出しておきましょう。
開業時には、ほかにも提出する書類があり、「従業員を雇用するか」などによって種類が異なります。「何を提出したらいいかわからない」という方も多く、営業開始してから提出漏れに気づくケースもあるようです。
営業を開始すると忙しくなるため、無料で利用できるサービスを使って、開業に必要な書類の作成・提出を済ませるのもおすすめです。
【関連記事】
青色申告とは? 白色申告との違いや豊富なメリット、必要な準備・書類を解説
開業届とは?個人事業主が知っておくべき基礎知識や提出するメリット・注意点について解説
まとめ
フランチャイズとは、「フランチャイザー」と呼ばれる親企業が加盟店に一定地域内での営業販売権を与える仕組みです。ビジネスモデルのひとつであり、さまざまな業界で実施されています。
雇われ店長とは異なり、フランチャイズオーナーは、フランチャイザーとの雇用関係はありません。フランチャイズはあくまで自営業者であり、ご自身で開業資金を負担する必要があるものの、事業が軌道に乗れば大きな収入を得ることが可能です。
ただし、ロイヤリティの支払や、運営における自由度が少ないなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを正しく把握したうえで、フランチャイズオーナーとして事業を営みましょう。
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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
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1. 個人事業の開業・廃業等届出書
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2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業とfreee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。
よくある質問
フランチャイズオーナーと雇われ店長の違いは?
フランチャイズオーナーは自営業者であり、フランチャイザーとの雇用関係はありません。開業資金を負担する代わりに、事業が軌道に乗れば大きな収入を得ることが可能です。
一方、雇われ店長は自営業者ではなく、事業主に雇われている労働者(給与所得者)です。開業資金を用意する必要はありません。
詳しくは「フランチャイズオーナーとは」をご覧ください。
どのような人がフランチャイズオーナーに向いている?
フランチャイズオーナーには、開業資金を用意できて、店舗運営の経験がある人が向いています。
フランチャイザーの理念・方針に賛同する姿勢や、ルールの枠内で創意工夫して売上増のために努力できる性格であることも必要です。加えて、従業員や顧客と良好な関係を構築するためのコミュニケーション能力も欠かせません。
詳しくは「フランチャイズオーナーに向いている人」をご覧ください。
監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。
