白色申告の基礎知識

確定申告で赤字処理!白色申告で無申告はどうなる?青色申告は繰り越しできる

確定申告で赤字処理!白色申告で無申告はどうなる?青色申告は繰り越しできる

法人でも個人でも、開業してまもない頃はなかなか黒字にならず、利益がマイナス──つまり赤字になることがしばしばあります。赤字の取り扱いは、確定申告の際に青色申告と白色申告のどちらを選択したかで大きく異なります。

確定申告で青色申告を選択した場合、赤字が出ても損失(赤字)の繰り越し、または繰り戻しによる税金の還付が受けられます。赤字の繰り越しとは「赤字が発生した年の次の年から3年間まで所得から赤字の金額を控除できる制度(=繰越控除)」で、大きな節税効果が期待できます。

白色申告の場合は、被災時などを除き、この赤字の繰り越しができません。白色申告でも、赤字だからといって無申告だと銀行の融資が受けられなかったり、国民健康保険料の算定に不利だったりと、さまざまなデメリットが発生します。この記事では、赤字が出た場合の青色申告と白色申告の処理の違いと無申告の場合のデメリットについて、具体的な例を挙げてご紹介します。

目次

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白色申告と青色申告の赤字処理の違い

赤字の場合、所得に対してかかる税金(所得税)は発生しません。これは青色申告でも、簡易簿記(*1)で済む白色申告でも違いはありません。しかし、青色申告を選択すれば翌年以降に黒字が出た場合でも、所得金額から前年度までの損失(赤字)を差し引いて最終的な課税対象額を計算できます。

白色申告の場合、地震や台風で店舗が被災したなど一定の場合を除き、赤字を翌年以降に繰り越すことはできません。

また、繰越控除とは逆の「欠損金の繰り戻し」──つまり、今年度の赤字を前年度の黒字から差し引いて、前年度に支払った税金の一部を還付してもらえる制度も青色申告のみを対象としています。こうした点から、青色申告を選択したほうが節税対策上のメリットが大きいのです。

青色申告は事前に青色申告承認申請書を税務署に提出しなければならない、複式簿記による帳簿つけが必要、などの義務がありますが、税制上のさまざまな特典を受けられます。個人事業で赤字が出た場合、翌年以降3年間、この赤字を事業年度の所得から控除できる「純損失の繰り越しと繰戻し」の制度もそのひとつです。

*1:簡易簿記でも帳簿の記帳は必要

青色申告の損失(赤字)繰り越し例

青色申告の損失(赤字)の繰り越しを次のような具体的な黒字、赤字の数字を例にわかりりやすくご説明します。

例)個人事業の各年青色申告結果

  • 1年目:400万円の黒字
  • 2年目:200万円の赤字
  • 3年目:600万円の黒字

ある青色申告者の個人事業が、このような数字になりました。所得税計算は、基本的に1年ごとの所得に対して計算されます。従って、それぞれの年の所得に対して一定の算式を用いて所得税額を計算していきます。

2年目については所得、つまり儲けがありません。200万円の赤字ですから、所得がないということでその年については税額がないことになります。そして青色申告の場合、それでは終わりません。2年目に計上された200万円の赤字について、翌年に繰り越すことができるのです。

例)青色申告翌年繰り越し

  • 1年目:400万円の黒字
  • 2年目:200万円の赤字→3年目に繰り越し
  • 3年目:600万円の黒字→600万円-200万円=400万円

2年目の赤字が3年目に繰り越され、3年目は400万円の黒字に対して課税

3年目は600万円の黒字が出ています。しかし、2年目に出た200万円の赤字が繰り越されて600万円から差し引かれ、400万円の所得に対して税金を計算ことになるのです。この損失(赤字)の繰り越しは青色申告の大きな特典となっています。

損失(赤字)の繰り越しが大きな効果を発揮するのは開業当初です。通常、開業したばかりというのは商売が中々上手くいかない状態。2~3年継続して、ようやく黒字経営になるような事例も珍しくありません。そのときに青色申告を選択していれば、実際に黒字が出るようになったときに前年以前に計上された損失(赤字)を繰り越し、その年の所得を減少させることができます。所得が減少することで、節税ができるのです。

繰り越せる期間は翌年以降の3年間に限定されています。特に開業当初に関していえば、3年以内に黒字を達成することができれば、開業当初の損失(赤字)が活きてくることになります。

<青色申告の繰り越し効果>

  • 黒字になったとき前年以前の赤字を繰り越せる
  • 繰り越せる期間は翌年以降の3年間

白色申告の損失(赤字)は繰り越せない

白色申告は青色申告のように損失(赤字)の繰り越しができません。仮に損失(赤字)が計上されたとしても、その年で切り捨てられることになります。下記の例でいえば、3年目に計上された600万円については、600万円のままで税金計算をしなければならないのです。

例)個人事業の各年白色申告結果

  • 1年目:400万円の黒字→納税
  • 2年目:200万円の赤字→納税なし
  • 3年目:600万円の黒字→納税

白色申告においても、変動所得や被災事業用資金の損失(赤字)に限って損失(赤字)を繰り越すことができます。変動所得とは、印税や原稿料、作曲料、著作権使用料のほか、漁業や養殖など、その年によって大きく変動する可能性がある所得のことです。また、被災事業用資産の損失(赤字)は、棚卸資産や事業用固定資産が被害を受けた場合の損失(赤字)を指します。

白色申告で損失(赤字)繰り越しが認められるケース

  • 変動所得の損失(赤字)
    印税や原稿料、作曲料、著作権使用料、漁業や養殖などの損失(赤字)
  • 被災事業用資産の損失(赤字)
    棚卸資産や事業用固定資産が被害を受けた場合の損失(赤字)

特に開業当初に白色申告にしてしまっているケースでは、大損をしてしまうことが珍しくありません。繰り返しになりますが、商売というのは始めたばかりのころは上手く儲けが出せないものです。ですので、できれば開業と同時に青色申告の適用を受け、しっかりと損失(赤字)の繰越が有効活用できるような体制を整えておくことがとても大切です。

青色申告の損失(赤字)繰り戻し例

青色申告に関しては損失(赤字)について繰り戻しをすることもできます。下記の例でいえば、2年目に計上された200万円の損失(赤字)について、1年目に計上された400万円の黒字に対して前年に遡って相殺することができるのです。

例)青色申告翌年繰り戻し

  • 1年目:400万円の黒字→400万円-200万円=200万円
    ※ 2年目の確定申告で1年目に払いすぎた税金を減額できる
  • 2年目:200万円の赤字→1年目に繰り戻し

1年目はその時点において400万円の所得に対して税金を支払っていますから、改めて200万円の所得に対する税額を計算し、その差額(払いすぎになっている部分)は還付をしてもらえることになります。

赤字でも確定申告が必要になる

税法上、所得金額が基礎控除額である38万円以下の個人事業主は確定申告不要とされています。損失(赤字)の繰り越しや税金の還付を受けるためには、確定申告が必須なので青色申告者はたとえ赤字であっても忘れずに確定申告を行ってください。また白色申告者が無申告の場合にも、さまざまなデメリットが生じます。

無申告のデメリット

  1. 所得証明が取得できない
  2. 非課税証明書が発行されない
  3. 国民健康保険の軽減措置が受けられない

1. 所得証明が取得できない

事業の拡大や資金調達のために銀行に融資を申し込むと、税務署の収受印がある3年分の確定申告書の写しを求められます。これは事業内容の推移を見て返済能力をチェックするためです。しかし、無申告の場合は所得証明となる確定申告書を用意できません。つまり、無申告だと借り入れの際、非常に不利になるということです。

2. 非課税証明書が発行されない

非課税(課税)証明書は市区町村が発行している所得金額や課税額の証明書です。この証明書に記載されているのは住民税の課税額です。非課税証明書は児童手当の申請や公立の保育所の入所申込などに必要ですが、無申告の場合は発行されません。無申告だとこうした各種手当の申請においても不利益が多々発生します。

3. 国民健康保険の軽減措置が受けられない

個人事業主は会社員とは違い健康保険料が企業と折半になりません。全額自己負担の上、均等割といって家族(加入者)1人1人にかかります。しかし、所得金額が一定の基準以下の場合は保険料の軽減措置が受けられ、負担が格段に軽くなります。しかし、無申告の場合、この軽減措置は適用されず保険料の算定が著しく不利になります。

このように無申告だとさまざまなデメリットが発生するので、青色申告・白色申告を問わず必ず申告するようにしましょう。なお非課税証明書の発行および国民健康保険の軽減措置は、確定申告をしなかった場合でも住民税の申告を行うことで適用が受けられます。詳しくはお住まいの各自治体にお問い合わせください。

白色申告を簡単に終わらせる方法

確定申告は個人事業主・フリーランスの人だけでなく、副業で収入を得た会社員の方など、多くの人に関わりが深い一大イベントです。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、対象者は期限までに書類を作成し納税をすることが義務づけられています。青色申告するには事前に税務署への届出が必要になるため、その手続きをしていない場合は自動的に白色申告となります。

青色申告に比べると簡単と言われる白色申告ですが、書類作成に不安をお持ちの方は少なくありません。はじめての確定申告で不安な人にはfreee会計がおすすめです。

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ここからはfreee会計を使って書類完成までの3ステップを紹介します。

STEP1: 基本情報を入力する

自身の情報や仕事(事業)の内容について入力し、青色申告・白色申告のいずれかを選択します。各項目の横には「?」マークがついており、カーソルを当てると詳しい説明を見ることもできます。


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自身の仕事(事業)内容などの基本情報を入力!

STEP2: 申告書作成に必要な情報を◯✕形式で回答

次に、白色申告書を作成する際に必要な情報を入力していきます。1年間の収支に関して画面の指示に沿って○✕形式で15の質問に答えていきます。


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STEP3: 白色申告に必要な書類が完成!

上記の2ステップで白色申告に必要な確定申告書が自動で作成されます。有料プランでは、プリントアウトも可能なので、印刷して税務署に郵送すれば確定申告が完了です。※無料プランでは申告書作成まで可能。

また、マイナンバーカードとカードリーダがあれば自宅からでもすぐに提出が完了するので、税務署に行ったり郵送したりする手間も削減されます。

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まとめ

個人事業主が事業を行い、赤字になった場合の白色申告と青色申告の処理の違いについて紹介しました。開業したばかりで収入が不安定な個人事業主にとって、赤字の繰り越しや税金の還付を受けられる青色申告は大きなメリットです。逆に赤字だからといって確定申告をしないとと、デメリットが発生します。

青色申告の適用を受けるためには青色申告者になる必要があります。青色申告の場合、複式簿記により記帳した帳簿を基に損益計算書および貸借対照表を作成し、確定申告書に添付しなければなりません。手書きやエクセルで帳簿を作成しようとすると膨大な手間がかかり、簿記や税金の知識が求められます。

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