
年末調整ソフト(システム)とは、企業が実施する年末調整業務の効率化・自動化をサポートするソフトウェア(システム)のことです。自社に合った年末調整ソフトを導入することで、業務効率化やコスト削減、従業員が申告手続きにかける時間を削減できます。
この記事では、年末調整ソフトの概要、種類、メリット、導入する際の注意点、選定ポイントを解説します。年末調整ソフト10選もご紹介しますので、参考にしてください。
目次
- 年末調整ソフトとは
- 年末調整ソフトの種類
- 年末調整特化型
- 給与計算型
- 労務管理型
- 年末調整ソフトを導入するメリット
- 企業側(人事労務担当者)のメリット
- 従業員側のメリット
- 年末調整ソフトを導入する際の注意点
- 導入・運用コストが発生する
- 導入準備・移行の手間と時間がかかる
- 従業員への周知や浸透に負担がかかる
- システム障害や情報漏洩リスクがある
- 年末調整ソフトの例10選【2025年最新版】
- 年末調整ソフトを選ぶポイント
- 自社の業務に必要な機能が揃っているか
- 従業員と管理者の双方が使いやすいか
- 既存システムとスムーズに連携できるか
- 困ったときに頼れるサポートがあるか
- セキュリティがしっかりしているか
- まとめ
- 2025年の年末調整を簡単に行う方法
- よくある質問
年末調整ソフトとは
年末調整ソフト(システム)とは、企業が行う年末調整業務を効率化・自動化するためのソフトウェアのことです。
導入すれば、従業員からの申告内容の収集、税額計算、源泉徴収票や法定調書の作成・提出といった一連の作業負担を軽減できます。
近年、ペーパーレス化やテレワークの普及により、紙での書類提出の課題解決や法改正への対応の負荷軽減を狙って、年末調整ソフトを導入する企業が増えています。
なお、年末調整をサポートするソフトは、国税庁も無料で提供しています(年末調整控除申告書作成用ソフトウェア)。
年末調整ソフトの種類
年末調整ソフトは、機能の範囲や特徴によっていくつかのタイプに分かれます。
主なタイプは次の3つです。
- 年末調整特化型
- 給与計算型
- 労務管理型
年末調整特化型
年末調整特化型のソフトは、名前のとおり年末調整業務に特化した機能を持つソフトです。
備えている機能は、年末調整の申告書作成、データ回収、計算、帳票出力などに絞られています。
年末調整以外のほかの業務に関するソフトを導入済みで、年末調整業務のみを効率化したい場合には適しているタイプです。
給与計算型
給与計算型は、給与計算システムの機能の一部として、年末調整機能が含まれているタイプです。
毎月の給与データと連携して年末調整計算を行えるメリットがあり、給与計算と年末調整を一元管理したい場合に適しています。
労務管理型
労務管理型は、人事労務管理システムの一部として、年末調整機能が搭載されているタイプです。
このタイプは従業員情報や入退社手続きなど、他の労務管理業務と連携できる場合があり、人事労務全体の業務効率化を目指す場合に適しています。
年末調整ソフトを導入するメリット
年末調整ソフトを導入する主なメリットを、企業・人事労務担当者側と従業員側に分けて解説します。
企業側(人事労務担当者)のメリット
企業側(人事労務担当者)の主なメリットには、次のようなものが挙げられます。
- 計算ミスの削減、ヒューマンエラーの防止
- 申告書の回収、チェック、督促などの作業工数削減
- 修正作業の効率化、差し戻しの手間軽減
- ペーパーレス化による印刷・郵送・保管コストの削減
- 従業員からの問い合わせ対応の負担軽減
- 進捗状況の可視化と管理の容易化
社内の業務効率化につながり、生産性が高まるほか、コストも削減できる点が主なメリットです。
従業員側のメリット
従業員側の主なメリットには、次のようなものが挙げられます。
- スマートフォンやPCから、場所を選ばずに申告が可能になる
- 入力補助機能やガイドにより、申告書の記入が容易になる
- 証明書などをデータで提出できる場合があり、書類準備の手間が省ける
- 過去の申告内容を流用できる場合があり、入力の手間が削減される
従業員側の申告が簡便になり、手続きにかかる時間も節約できる点が従業員にとっての大きなメリットです。
年末調整ソフトを導入する際の注意点
年末調整ソフトを導入する際の注意点を解説します。
導入・運用コストが発生する
年末調整ソフトを導入する場合、導入時のコストや運用コストが発生するのが一般的です。紙やエクセルで運用する場合に比べて、固定費が増加する傾向にあります。
発生する主なコストは、以下のとおりです。
- ソフトウェアのライセンス費用(初期費用、月額・年額費用)
- オプション機能や追加サポートにかかる別途費用
- システムの選定、導入準備、設定作業などにかかる担当者の人的コスト
導入準備・移行の手間と時間がかかる
年末調整に限らずソフトやシステムを導入する場合、導入準備・移行に手間や時間がかかります。
また、年末調整の繁忙期を避けて導入する必要があるため、導入時期が限られる点にも注意が必要です。十分な準備期間とテスト期間を見込んだスケジュール設定が不可欠になります。
従業員への周知や浸透に負担がかかる
年末調整ソフトを従業員に使ってもらううえで、周知や操作について周知する必要があります。
PCやスマートフォン操作に不慣れな従業員に対しては、個別のフォローも必要です。また、導入初期は操作に関する問い合わせが増加することが予想されます。このような対応が必要となるため、一時的に担当者の業務負荷が大きくなる可能性があります。
システム障害や情報漏洩リスクがある
年末調整ソフトを導入し運用が始まったら、システム障害などのリスクに注意が必要です。万が一、システム障害やメンテナンスが発生した場合、年末調整業務が一時的に停止する可能性があります。
また、従業員のマイナンバーなどの機密情報をシステム上で扱うため、情報漏洩が起こらないようリスク対策も欠かせません。
このようなシステム障害や情報漏洩時の対応について、事前に定めておく必要があります。さらに、不正アクセスのリスクがないかの確認、内部からの情報持ち出しのリスクがないかなど、リスク管理体制の見直しと新たな構築・運用も求められます。
年末調整ソフトの例10選【2025年最新版】
具体的に年末調整ソフトにはどのようなものがあるのか、2025年最新の情報からおすすめ10選をご紹介します。
名称 | 提供会社 |
---|---|
freee人事労務 | フリー株式会社 |
奉行Edge 年末調整申告書クラウド | 株式会社オービックビジネスコンサルタント |
オフィスステーション 年末調整 | 株式会社エフアンドエム |
マネーフォワード クラウド年末調整 | 株式会社マネーフォワード |
ジョブカン労務HR | 株式会社DONUTS |
クラウドハウス労務 | 株式会社Techouse |
HRBrain 労務管理 | 株式会社HRBrain |
弥生給与 Next / 弥生給与 | 弥生株式会社 |
S-PAYCIAL with 電子年調申告 | 鈴与シンワート株式会社 |
年調ヘルパー | 株式会社クリックス |
年末調整ソフトを選ぶポイント
年末調整ソフトウェアにはさまざまな種類があります。次のポイントを押さえて、選定してください。
自社の業務に必要な機能が揃っているか
一口に年末調整ソフトといっても、備えている機能はソフトによって異なります。自社が必要な機能を備えているか、しっかり確認しましょう。確認すべき機能には、次のようなものがあります。
必須機能として押さえたい機能例
- 申告データの回収(Web入力、スマホアプリ対応、ファイルアップロードなど)
- 各種控除(扶養控除、保険料控除、住宅ローン控除など)の計算精度と対応範囲
- 源泉徴収票や法定調書合計表などの必要帳票の作成・出力機能
- 電子申告(e-Tax、eLTAX)への対応
効率化支援機能として押さえたい機能例
- 従業員への進捗確認、督促、差し戻し機能
- 前年データや従業員情報の引用機能
- エラーチェック機能
- マイナポータル連携の有無(保険料控除証明書などのデータ取得)
従業員と管理者の双方が使いやすいか
年末調整ソフトをうまく導入できれば、企業や担当者、従業員それぞれにメリットが生まれます。ソフトを選定する際は、業務担当者と申請者である従業員双方が使いやすいものであるか確認しましょう。
主に、次の点を確認してください。
従業員(申請者)側の操作性
- 入力画面が直感的でわかりやすいか(専門用語が少なく、ガイドが充実しているか)
- スマートフォンからの申請に対応しているか
- 証明書(保険料控除証明書など)の画像アップロードが容易か
管理者側の操作性
- 管理画面(ダッシュボード)が見やすく、操作しやすいか
- 従業員の申請状況(未提出、確認中、完了など)が一目でわかるか
- 設定変更や従業員情報の管理が容易か
既存システムとスムーズに連携できるか
年末調整ソフト以外にシステムを導入している場合、連携が可能かどうかも選定のポイントです。
連携対象になるシステムとして、次のようなものがあります。
- 利用中の給与計算システム
- 人事労務システム
- 勤怠管理システム
これらのシステムと年末調整ソフトを連携する際に、スムーズに連携できるかよく確認してください。
データ連携の方法には、CSVファイルのインポート・エクスポート、API連携などがあります。自社の既存システムとスムーズな連携が可能か、連携のための設定が複雑でないか確認しておくことをおすすめします。
困ったときに頼れるサポートがあるか
新たにソフトウェアを導入する際は、サポートが充実しているかどうかも確認しましょう。
次のような点から、サポートの充実度を判断できます。
- どのようなサポート窓口が設けられているか(電話、メール、チャットなど、利用しやすい問い合わせ方法があるか)
- サポート品質の評判はよいか
- サポートの対応時間は十分か
- 問い合わせへのレスポンスは迅速か
- FAQやオンラインマニュアルなどの自己解決ツールは充実しているか
- 導入支援サービスの有無や内容(初期設定や導入時のトレーニングなど)
セキュリティがしっかりしているか
年末調整業務は、従業員の個人情報を扱うためセキュリティ面に注意して行わなくてはいけません。セキュリティがしっかりしているかどうか、よく確認することが重要です。
基本的なセキュリティ対策は、次のとおりです。
- 通信の暗号化(SSL/TLS)
- 不正アクセス対策(WAF、IDS/IPSなど)
- データセンターの安全性
認証・アクセス管理といったセキュリティ対策には、次のものがあります。
- アクセス権限設定の柔軟性
- 二要素認証などのログインセキュリティ
- プライバシーマークやISMS(ISO27001)などの第三者認証
まとめ
年末調整ソフトの導入は、業務効率化やコスト削減、従業員が申告手続きにかける時間の削減につながります。
本記事でご紹介したポイントをもとに、自社に合った年末調整ソフトを選定してください。
2025年の年末調整を簡単に行う方法
年末調整の計算や従業員からの書類の回収、年調減税への対応などに追われていませんか?
年末調整や源泉徴収票の作成はもちろん、こうした手続きは年末調整ソフト「freee人事労務」 を使うことで、簡単に行えます。
年末調整の計算と従業員への用紙の配布・収集・確認をペーパーレス化
2025年の年末調整にも対応
2025年の年末調整に対応が必要な「所得税103万の壁・住民税100万の壁・学生アルバイト等の特定親族特別控除」にも年末調整ソフト「freee人事労務」 は対応予定です!
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よくある質問
年末調整ソフトとは?
年末調整ソフトとは、企業が行う年末調整業務を効率化・自動化するためのソフトのことです。
詳しくは、記事内の「年末調整ソフトとは」で解説しています。
年末調整ソフトを導入するメリットは?
企業側・人事労務担当者にとっては、業務効率化につながる、生産性が高まる、コスト削減できるといったメリットがあります。
従業員側にとっては、申告が簡単になり手続きにかかる時間も節約できるといった点がメリットです。
メリットについて、詳しくは記事内の「年末調整ソフトを導入するメリット」をご覧ください。
年末調整ソフトを選ぶポイントは?
年末調整ソフトを選定する際は、次のポイントを確認してください。
- 自社の業務に必要な機能が揃っているか
- 従業員と管理者の双方が使いやすいか
- 既存システムとスムーズに連携できるか
- 困ったときに頼れるサポートがあるか
- セキュリティがしっかりしているか
詳しくは、記事内の「年末調整ソフトを選ぶポイント」をご覧ください。